範馬刃牙 第261話 大観衆



押し寄せるギャラリーに勇次郎が困惑した。
鬼の目に涙ならぬ、鬼の顔に冷や汗であった。
意外と大衆に弱いのか?
落雷の時も注目されて冷や汗に包まれていたのかも。


さて、完全に無視された刃牙であった。
でも、今回はスポットライトを浴びるよ。
忘れられがちだが刃牙がこの漫画の主人公です。
いや、タイトルにもなっているから忘れようもないはずなのだが……

話は前後して刃牙が勇次郎に投げ飛ばされた瞬間に戻る。
ゴキブリダッシュを破られた上に、いきなり2階ほどの高さから投げ飛ばされた。
いきなりの展開に刃牙は冷や汗を流す。
まぁ、勇次郎の冷や汗と違って刃牙の冷や汗は安いのだが。

突然の落下に普通人なら混乱する。
だが、刃牙は落下の達人だ。
五点着地するし(意味もなく)身投げする。
しっかりと受け身を取って落下の衝撃を緩和、即座に立ち上がる。
寝っ転がってダメージの回復を待つようなことはしない。
勇次郎ならば刃牙の目の前にいて追い打ちを仕掛けてもおかしくはない。
勇次郎を想定したトレーニングを重ねただけのことはある。

[ハネ起きるや否や―――]
[少年の背を叩いた巨大な衝撃……!]


でも、刃牙は背中からの衝撃に身体を丸める。
せっかく褒めたのに何と無様な……
今のが勇次郎じゃなく良かったな。勇次郎だったらお前死んでるぞ。

刃牙の背後にいたのは勇次郎さえも狼狽させた観客……というよりも野次馬だった。
勇次郎さえ驚いたのだ。
刃牙も冷や汗に包まれ言葉を失う。
観客慣れしているんだろうけど、やっぱり突如現れた群衆には驚かざるを得ないか。

完全に無視されたと思った刃牙だったが、ちゃんと観客たちは刃牙のことも知っていた。
名前付きで。
って、名前がバレているのか?
学校生活、大丈夫か……?
んー、でも、大統領誘拐で顔も割れているし、今更か。

そもそも、刃牙は地元じゃなかなかに伝説的な存在の気がする。
100人相手に正面から殴り合い(負けたけど)、不良にとっては憧れの存在である花山と壮絶なタイマンを繰り広げた。
知る人ぞ知る男になっていてもおかしくはないし、むしろ自然だと言える。
でも、そんな武勇伝も高校生になるとまるでなかったことにされてる。
数年間の空白があったからなのかもしれないが……
伝説というよりも幻のような存在だ。

何故、突如これほどの群衆に溢れたのか。
ホテルの人からの口コミか?
いや、それではこれほど爆発的に群衆が押し寄せることは……

ここで真実が語られる。
何と報道番組で機動隊と自衛隊の出動が報じられていた!
報道規制くらいしろ、徳川光成ィ!!
原因が親子喧嘩とまで報じられているよ。
誰だよ、チクった奴。後光が見えていた爺さんが教えてくれたのか?

現場での報道も行われ、ぐしゃぐしゃになった車両が映し出される。
ま、待て!
マスコミを現場に入らせちゃダメだろ!?
第一空挺部隊が動くだけの事態だ。
テロ事件が起きたくらいのサプライズだ。
なのに……どうしてこうなった。

……もしかして、徳川光成さん。楽しんでいる?
余命幾ばくもないから、せめて勇次郎への仕返しとして報道を行わせたりして。
徳川光成の権力は総理以上だし、やろうと思えばいくらでもやれるだろう。

親子喧嘩でホテルが閉鎖され、車が破壊され、自衛隊と機動隊が動き出した。
とても報道番組が報道を行うような内容ではない。
あまりに情報が氾濫しており、整理されていない。
だが、都市伝説を知る男たちを動かすには十分であった。

[どこかで聞いたあの噂]
[アレが開始(はじ)まったのだ!!!]


こうして伝説を知る人たちが動き出した。
見落としてしまいそうなくらいに些細な番組だったのかもしれない。
だが、それは愛する者の死に匹敵する強力さで瞬く間に燃え広がった。
そして、二人を群衆が包んだのだった。
まるで斗羽と猪狩の試合のようだ。

「いやァ……」
「ま…………」
「しょうがねェッかァ…」


困惑する勇次郎と比べると、刃牙は落ち着いているというか冷めた反応だ。
もっとも、さっきまでは驚きっぱなしだったから大した差はないのだが。
勇次郎の驚きがどこまで持続するかが鍵か。

とりあえず、これで刃牙も堂々と脱げるというものだ。
せっかくの大一番なのに恒例のトランクスではないのはさすがにもったいない。
よし、刃牙よ。脱げ!
直後に機動隊にわいせつ罪で連行されて超最終回を迎える。

次回は特別編、「最強親子喧嘩プレイバック」だ。
次々号は2本立てだぞ。
つまり、次週は休載!
(*´ω`*)
次々号の次回へ続く。


なかなか先に進まない親子喧嘩であった。
ナメック星爆発まであと5分って感じだ。
ゆっくりしていってね!!!

ここからの戦いは観衆の視線を浴びながら戦うのだろうか。
意外と驚いていた勇次郎を気遣って、ホテルの中で戦ったりして。
そうなると暴動が起きかねないのが困り所だ。
親子のサービス精神が問われるな。

これで親子喧嘩から地上最強決定戦へとシフトしそうだ。
戦いも本番になるのか?
ゴキブリダッシュも破られたし、ここからは筋書きのない勝負になるのは疑いようもない。
だから、本部もここに駆けつけろ。今すぐにだ!
アンタ、ここを逃せば本気で出番がなくなるぜ?

しかし、観客がたくさん集まったのはいいけど、現実に落胆したりして。
伝説の中の刃牙はさぞ勇猛果敢な勇者かもしれないが、現実の刃牙はアレだ。
非常にいやらしい。あと微妙に小さい。
十八番は金的だよ。
金的な伝説に落胆しかねない。

それとも刃牙には金的伝説もあったりして。
刃牙と相対した格闘家の3割の睾丸は砕ける!
そんな恐怖の伝説である(あるいは怪談)。
あと刃牙の睾丸はオリハルコンより硬いという伝説もあったりして。
刃牙はけっこう金的を食らうんだけど、一向に睾丸が潰れる気配がないというか、SAGAで盛りまくりなんだよな……

そんな刃牙のリアル・キンテキが勇次郎に炸裂したら、大盛り上がりだろうな。
あれが伝説の金的か!
男ならあまりの恐怖にきゅんと萎縮してもおかしくはない。
ナムアミダブツ!
で、高速で回転して痛がる勇次郎の姿にがっかり……
……止めよう。金的だけは止めよう。

勇次郎は観客を盛り上げる芸をいくつも持っている。
芸という言い方にも語弊があるが、勇次郎が盛り上げることが上手いのは事実だ。
大擂台賽でも瓦を力のみで粉砕したり、闘技場にクレーターを作ったりでアピールした。
今回もアピールして観客を味方につけるか?

そうなると刃牙の存在がさらに薄くなったりして。
だって、刃牙は勇次郎にかなわないというのが都市伝説だし。
勇次郎は「ウオオーッ! オーガ強ェ!」と賞賛され、刃牙は「伝説通りにオーガにかなわねェ!」と落胆される。
観客は刃牙に対して逆風になりそうだな……

まぁ、ここでヒロインの出番ですよ。
松本梢江、参戦!
「刃牙君、頑張って!」なんて言えばヒロインっぽいんじゃないっすかね(投げやり)。
そして、観衆はリアル・レジェンドに続いて、リアル・クリーチャーの出没に震えるのだ……



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