範馬刃牙 第27話 対峙



数年ぶりに刃牙が自分以外の人のために戦うッッッ。
最後に戦ったのは…梢江を守るためにシコルスキーと柳を迎撃したあたりか。
…ごめん、刃牙。やっぱり、自分のために戦ってくれ。

「君はその絶望的に不自由な状態のまま わたしを挑発した」
「「厳罰を与える」」


看守は警棒を巧みに振り回しながら、口上を並べる。
看守だと呼びにくいので、アイアン・マイケル同様ハゲであることからアイアン・マイケル兄と呼ぼう。
アイアン・マイケル自体、フルネームじゃないと誰だこいつ?な感じが漂うので呼びにくいけど。
そういえば、アイアン・マイケルはどうなったんだろう?

ともあれ、刃牙の前でいい気になって喋っていると危険だ。
金的が待っている。
最近の例ではJr.がやられている。
いきなり、死相が出ています。どうでしょう。

「しかも君は わたしの身体的欠点にも触れている」

アイアン・マイケル兄が猛る。
前回、刃牙が言った「アンタの髪の毛が生えるワケでもねェだろう」という暴言は密かに頭にきていたようだ。
ハゲであることを気にしていたのかよ。
バキ世界にはハゲキャラが溢れているから、あまり気にする必要はないぞ!
試合中に勝利宣言するハゲとかと一緒にされると困るだろうけど。

で、当の刃牙は…微笑を浮かべている
人のコンプレックスに触れておいてこの顔だ。
すげえ嫌な人です、この男。
なんか刃牙らしくなってきた。
悪役(ヒール)でこそ、刃牙は輝くのだ。

アイアン・マイケル兄はハゲの怒りを込め、刃牙に警棒を振り下ろす。
が、当然刃牙に決まるはずもなく、あっさりとハイキックのカウンターを食らう
スネを使ったムエタイ流の蹴りだ。
これは「ハゲにはムエタイで十分だ」という刃牙の挑発か(違います)。

刃牙のハイキックをまともに受けたアイアン・マイケル兄は独房室を越え、廊下まで吹っ飛ぶ。
ハイキックは刃牙にとって必殺技だ。
現に春成やアイアン・マイケル(妄想体)が一撃でやられている
打たれ慣れてないであろうアイアン・マイケル兄の場合、もうこれだけで勝負ありだ。

と思ったら、アイアン・マイケル兄の意識は絶たれていなかった。
刃牙が全力で蹴ればこの程度の相手はその間実に2秒で勝負ありだろう。
手加減して蹴ったのが妥当か。
…嫌な主人公だなぁ、本当。

「こんなものはオレにとっちゃ不自由でもなんでもない」

刃牙は肩の関節を外し、拘束された両腕を腰に回す。
ずいぶん楽な態勢になった。
…こうすることができるなら、どうしてわざわざ苦しい態勢を維持して、パンとカップスープを食べたんだろう。
マゾだからだな。
うん、マゾだから、わざと苦しい状態を維持するんだ。

そんなわけでさらに楽なるため、両腕を前に回そうとする。
両腕が前に回ってしまえば、両手が繋がれているとはいえ、攻撃も防御も使えるようになる。
刃牙にとって有利なポジションになる。

当然、アイアンマイケル兄はそれを許すはずもなく、警棒の連撃を放つ。
が、どれも刃牙には命中せず、挙句の果て脳天をつま先で叩かれる
軽い音が鳴るだけの打撃だが、絶妙な角度、絶妙なタイミングの一撃なのは間違いない。
これだけで脳震盪を起こしているはずだ。

だが、ダメ押し大好きの刃牙は容赦しない。
さらにつま先蹴りでアゴを攻める!
…本当にダメ押ししすぎです。実力差を示すだけでは済まず、とどめの一撃まで食らわせている。

度重なるダメ押しにより、アイアン・マイケル兄の戦闘能力は完全になくなっていた。
意識を失った状態で後ろに下がり、廊下の段差から墜落しそうになる
背景を確認したところ、アイアン・マイケル兄が今いるのは実に7階だ。
ここから落ちてしまえば即死だ。
アイアン・マイケル兄はハゲ頭を下に落下しそうになっているので、なおのことまずい。

これには刃牙も予想外だったのか、必死になって助けに向かう
おおッッ、窮地の人間を助けようとするなんて実に主人公らしい!
ついさっきまで、その窮地の人間をとことん虚仮にしていたのは無視しておく。

そんなわけで廊下からも役者的にも落ちゆくアイアン・マイケル兄に両手を差し伸べる。
伸ばした金具で繋がれた両親指を、アイアン・マイケル兄はどうにかこうにか掴む。
瞬間、刃牙の顔が苦痛に歪む
金具に指が圧迫され、血が出ている。
何だか妙に出血しているが気にしない。

「……た… たす……けて…」

「だいじょうぶ 必ず助ける」


その間実に2秒。
インスタント友情の完成だ!!
対決→窮地→救助の友情芽生え王道コンボだ。
刃牙の嘲笑から始まったのは気のせいです。

「なにもない」
「そいつからはなにも返ってこない」
「アメリカ人だからな…」


ここでゲバルの登場だ。
今までで何をやっていたのだろうという疑問は置いておいて、現在、真夜中のため、囚人は自由に刑務所内を歩けないはずだ。
であるのに、ゲバルが出歩いているのはやはりその特権だろう。
アンチェイン2世(仮)は自由に刑務所内を闊歩できるに違いない。

ゲバルはアイアン・マイケル兄を助けることに不服のようだ。
アメリカ人嫌いだからなぁ…
…ん?
ということは、同室のアイアン・マイケルは毎日のようにいじめられてるのか?
哀れだ。実に哀れだ。

刃牙はゲバルの言葉を無視し、アイアン・マイケル兄を引き上げる。
そのまま墜落させていたら、さすがの刃牙でも危ない処罰が下されていたのかもしれない。
そもそもがそもそも、アイアン・マイケル兄に喧嘩を売らなければよかったんだけど。

ゲバルは刃牙を「人のいいことだ…」と言い放ち、去っていく。
アイアン・マイケル兄の足元は密かに何かの液体で塗れている。
失禁ですか?
範馬刃牙になって初失禁なのは嬉しいけど、できることなら派手にやってもらいたかった。
試合中に失禁した大御所範馬刃牙が目の前にいるんだから、それこそ派手に失禁すれば良かったのに。
例えば…刃牙の手にぶら下がった見開きで失禁するとか。
どーよ、ケイスケイタガキ。

何にせよアイアン・マイケル兄は一命を取り留める。
が、囚人が看守に暴力を振るったという事実は残ったままだ。
かなりの厳罰が予想される。
特別懲罰房へ連れていかれそうだ。
そこでバトルワイヤルをするとか。

「本日も異常なし」

だが、アイアン・マイケル兄は刃牙の暴力をなかったことにした
強ければ監獄のルールも帳消しにできるようだ。
監獄のルールに囚われない強さを刃牙は発揮した。
これでゲバルに一歩近づいたといえる。
近づくべきなのはオリバだけど。


そんなわけでオリバー刑務所1日目が終わった、はず。
次回からは本格的に監獄バトルがスタートされるのだろうか。
いきなりゲバルと戦って、矢継ぎ早にオリバと戦っても、1年くらいしか続きそうにないため、前菜代わりに誰かと戦うことになるのだろうか。
ここでアイアン・マイケルの登場だ。
高所から落ちそうになるけど、刃牙は一向に助けない。


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