範馬刃牙 第273話 超えられまい



刃牙が勇次郎に撫でられた!
撫でるということはジャガれるということだ。
今の刃牙の生殺与奪は勇次郎に握られている!
力の差を象徴するようなポジションである。


勇次郎はゴシゴシと刃牙を撫でる。
何か擬音が撫でる音じゃない気がするのですが。
勇次郎だから不思議でもないか。
刃牙だから耐えられるのであって、ムエタイ戦士ならば既に脳漿をぶちまけているかも。

刃牙は暴れるが勇次郎の緊縛を抜けることができない。
こういう時に関節外し技を使えばいいのに。
あるいは外した瞬間に勇次郎の腕力でひねり潰されちゃうのか?

これは格闘技のセオリーにはない状況だ。
それだけに対処に困っているのかも。
いや、勇次郎のやること為すこと全てが格闘技のセオリーから外れているけど。
ピクルには格闘技が通じたけど勇次郎にはそうもいくまい。
弱点属性には期待できないぜ?

「我が子に…………」
「なんちゅう意地悪な………ッッ」

「底の底から」
「サディストめ………………」


徳川光成と独歩の評価は厳しい。
撫でることは刃牙がもっとも望むと同時にもっとも忌む行為だ。
それをあえて押しつける!
サディストというよりもエロゲーやエロ同人の調教する人みたいだ。
悔しいでも感じちゃう。

いつまでもそんな愛撫を受けてはいられない。
刃牙は勇次郎に蹴りを放つ!
勇次郎に姿勢を操られ、自分の顔面を蹴ってしまう!
ゴウランガ! 何たるブザマ!
完全に弄ばされていますよ。
思わず鼻血と涙が吹き出る刃牙であった。

その刃牙の鼻血を勇次郎は止めてあげる。
人差し指を鼻に当てただけでパッと止まった。
すげえ。鬼の救急処置は恐ろしいな。
おまけに指先についた血を舐める。
ちょっとキモい。

「殺傷するも自由」
「愛でるも自由」
「受け入れようが拒否しようが無関係」
「条件に左右されぬ力」
「自らの意志を――」
「希望(のぞ)む通りに実現させる力」
「それが……………」
「“強さ”の最小単位!!!」


勇次郎には今更ながらに強さについて語る。
刃牙を対戦相手としてではなく、教育相手として見ているような態度だ。
刃牙は未だに脅威に当たらない相手ということか。
戦いが始まって半年は経つのに、まだ闘争のレベルにさえ入っていない。

勇次郎は刃牙を投げる。
超高速横回転だ。トリプルアクセルなんてレベルじゃない。
ワンハンドレットアクセル?
それくらいの勢いだ。

刃牙は必至に踏ん張り回転を押さえ込む。
驚異的な足腰と平衡感覚だ。
それでも勇次郎相手には耐えることしかできないのだが。
タフネスが自慢なのが災いしているか。

[「“耐える”こともまた―――強さのひとつ」]
[「“自己(おのれ)に克つ”力――――― これもまた強さ」]
[見失うな!!!]
[それ等 戯言 一切 耳を貸す必要なし!!!]


勇次郎に語る強さを解説で反論する刃牙であった。
耐えることも強さ。
耐えきれずにパンツを引き裂いた男が言っても仕方がない。
いや、最近は梢江と疎遠だから、欲情を抑えられているのか?

[それ等の“解説”は全て“意志”を通せぬ者達の“必要事項”]
[言わばそれは弱者の選択]


まさかの解説に解説で反論だ!
〜〜〜〜ッッッ。
解説(というよりも地の文か?)まで戦場にするのは初めてである。
解説でさえ屈服させようというのか、この男は。
最終的には勇次郎SAGAで完全屈服させそうだ。
チャンピオンREDで掲載します。

解説で叩き潰したところで勇次郎は刃牙に後蹴りを決める。
刃牙は吹っ飛んだ。本気で吹っ飛んだ。
10mは吹っ飛んでいる。
ピクルに蹴られた克巳なんて目じゃない。
その身体能力はピクル並みか。

独歩の目から見てもこの蹴りは本気であった。
刃牙を弄びながらも要所は本気である。
だからこそ、なおさら実力差を感じてしまう。
柴千春と一緒にトレーニングしていた方が良かったんじゃなイカ?

勇次郎の蹴りは刃牙にとっても相当のダメージだった。
立ち上がることができない。
地を這いずる刃牙のアゴに、勇次郎のツマ先が触れる。

[“強さ”それ自体は]
[善でもない 悪でもない]
[強き者は]
[耐えぬッッ]
[そもそも耐える必要がない]
[“自己(おのれ)に克つ” その必要すらないッッ]


勇次郎は相変わらず解説で責めながら、脚を振り上げる。
180度、綺麗に振り抜かれた脚によって、刃牙のアゴは揺らされる。
呆然とした表情で刃牙は飛ぶ。また、飛んだ。
今度は脳を揺らす打撃で飛ばされた。
ダメージは今までよりも大きいであろう。

強き者は耐えない。
勇次郎理論であり、強者の理論であった。
虎は何故強いかと言われたら元から強いからと言わんばかりだ。
バキ世界の虎は弱いけど。

これは耐えてきた刃牙には理解しがたいことなのかもしれない。
今も勇次郎からの賞賛に耐えている。
強いが、強者ではあれないのが刃牙なのかもしれない。

[それ等“言い訳”は強さの純度を曇らせる 排除すべき不純物!!!]

吹き飛び落ちてくる刃牙に勇次郎は拳を叩き込む。
勇次郎にしては珍しいあまり力んでいないモーションの小さな一撃だ。
それでもタイミングもスピードも一級品なのがわかる。
何せインパクトの瞬間が見えないほどの速さだ。
殴られたという結果だけが残る一撃である。

[確かに伝わる]
[父の意志]
[子は痛みによるメッセージを 教育として実感す]


こうして刃牙は沈んだ。
勇次郎、本気の三連撃であった。
力強くも美しいコンビネーションである。
刃牙のような一種の必至さが感じられないのは、勇次郎の力量の大きさを示しているのだろうか。

そして、刃牙に勇次郎の解説は伝わった。
勇次郎の独り相撲ではなかった。
今の勇次郎は解説さえも支配するに至っている。
本部がここに来ない理由がわかった気がした。
次回へ続く。


まさか、解説でも勇次郎は責めた!
何だかラノベめいた手法だな。
あらゆる面で刃牙を屈服させようとしているのが伺える。
独歩がサディスト呻くわけだ。

それもこれも刃牙が責めに耐えきると信じているからだろうか。
細かいところで親馬鹿なんだよなー。
いや、まぁ、勇次郎なら誰が相手だろうがこんなことをしそうだけど。
本部を解説で屈服させることも躊躇わない。

この技術(技術?)があれば、ピクルとの会話も可能だな。
今頃、ピクルも勇次郎の語る強さの概念を聞き届けていたりして。
そういえば、ピクルさんは何をしていらっしゃるんだ?
刃牙が恐竜じゃなくなったから興味を失っていたりして。

刃牙は勇次郎の本格的な攻撃を初めて受けた。
確実に相手を倒すための打撃だ。
これには刃牙もピンチっぽい。
いい加減、刃牙も鬼の貌を出さないと不味いところだ。
最近の刃牙は妙に鬼の貌を温存したがる。
オリバ戦みたいに軽々使われても困るけど。

とりあえず、この戦いは勇次郎はやりたいことをやりたいようにやれている。
強さ理論だと勇次郎が圧倒的に上だ。
溜めに溜め込んだ親馬鹿を(暴力の形で)解放できてさぞかし満足だろう。

それに対して刃牙はどうなのか。
ゴキブリダッシュは破られ、トリケラトプス拳は有耶無耶のうちになかったことにされ、0.5秒パンチも破られ気味だ。
鞭打で痛がらせたことぐらいだな。
……この中だと鞭打が一番戦果を残しているのか。
空道は偉大なのかも。

んー、でも、マゾは刃牙、じゃなくて刃牙はマゾだからなー。
案外、喜んでいるのかも。
まぁ、刃牙と言えば理不尽なタフネスからの理不尽な反撃だ。
ピクル戦だって殴られたところが急所になるはずだったのに、いつの間にか克服!
勇次郎も理不尽の前に屈するか、あるいは……

今回の解説のように盤外戦術も盛り込まれそうな戦いだ。
主人公補正VS.最強補正!
創作物において事欠かせない補正同士の一大決戦である。
あ、わりと気になるかも。
まぁ、それ以上にムエタイの噛ませ補正の方が気になるのですがね!



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