範馬刃牙 第283話 血の覚醒



鬼哭拳が刃牙に放たれる!
ただ全力でブン殴る。
それだけが全ての必殺の一撃である。
これを攻略するということは鬼の貌を攻略することに、引いては勇次郎そのものを攻略することに等しい。
刃牙はまさしく正念場に立たされている。


「お父さんを喜ばせなさい!!!」

刃牙の脳裏に浮かぶのは母の言葉だ。
この言葉の直後に刃牙は酷い目に遭ったっけ?
今度は鬼哭拳だ。上半身が透けて見えるほどの速度を誇る。
意識を一瞬失う程度では済まない。

その絶対的危機に対し、刃牙はまさかの無手!
準備がなさすぎる!
いや、リアルシャドーしてもどうせやられるから仕方ない諦めようとなるかもしれないけど。
でも、決まれば死ぬぞ?
ただ困ってる場合ではないぞ?
生きるのを諦めるなッ!

生きるのを諦めない男(かどうかはよくわからんが。特に毒でヤバくなった時とか)、刃牙は咄嗟にガードの体勢を取る。
ガード! その手があったか!
いや、それじゃダメだろう。
百戦錬磨の刃牙が取った最後の選択肢がただのガードだ。
対策も技も何もない原始的な防衛行動だ。鬼哭拳のどうしようもなさがわかるというものだ。

そして、上半身を捻りに捻って繰り出す力任せの一撃、鬼哭拳が刃牙に決まった。
ガードには成功する。
成功するが、刃牙は空へと飛んだ。
何という破壊力! あの刃牙が飛んだ! ……ままあることか。
ともあれ、ガードの意味がまったくない。
圧倒的な肉体の違いだ。

刃牙の落下先にはワンボックスの車があった。
刃牙がそこに落ちると車体が歪みガラスが粉々に砕ける。
音もなく飛んだから勢いはそれほどでもないと思いきや、その実ものすごい勢いで飛んだようだ。

それでも刃牙は倒れない。
虚ろな視線で生気がまったく感じられないが倒れない。
ガードの甲斐があったのか、それとも刃牙特有の超タフネスを発動させたのか。
あるいは擬死じゃないだろうな、これ。
刃牙ハウスに帰ってから武の勝利とドヤ顔する気じゃないよな?

でも、範馬勇次郎は一切遠慮しない。
すぐさま踏み込んで追撃の鬼哭拳だ!
ダメージが加速するってレベルじゃねーぞ!
一発目は右の鬼哭拳、二発目は左の鬼哭拳。
恐ろしいことだが鬼哭拳はコンビネーションだった。

今までは一発の鬼哭拳だけで勝負を終わらせることができた。
だが、初めて二発目を使わせる相手が出てきた。
それによって初めて鬼哭拳の全貌が明らかになったのだ。
ただ一発思い切り殴るだけではない。
二発、あるいは数発に渡って行われる必殺の一撃の乱舞だ。
シグルイで例えると星流れを二刀流で行うような暴挙だ。
これは無理。
修正パッチはよ。

一発目の鬼哭拳で体勢を崩された……いや、崩れたというレベルではないが、
とにかく体勢が崩れた以上、二発目の鬼哭拳を刃牙はモロに受ける。
かつて独歩を殺した心臓への鬼哭拳だ。
ハートブレイク鬼哭拳。止まるっていうか、貫く。物理的に破壊する。
めり込む拳が鬼哭拳の危険度の高さを象徴している。

拳が刃牙の胸にめり込み、刃牙は車にめり込んだ。
衝撃を逃がすことができずモロに受けた。
これじゃ消力も使えない。
本邦初公開の鬼哭拳コンビネーションは2段構えで隙がない。
勇次郎の必殺の念がひしひしと伝わってくる。
生きろと言ったのに殺す気満々だ。
生かしたいのに、殺さざるを得ない。鬼の哀しみか。

この地球史上最大威力の2発に観客たちは一様に声を失う。
刃牙もよだれを垂らして死にかけだ。
小便を漏らす余裕さえない。
これは生きるのを諦めちゃったなー……仕方ないなー……

こうなってからが怖いのが刃牙……だったけど、このモードに入った刃牙ってダメなんだよな。
オリバとゲバルに吹っ飛ばされた時然り、ピクルに蹴り飛ばされた時然り。
よだれを垂らした刃牙の終わっている感はすごい。

さて、同日。
エジプトカイロのギザのピラミッドにて。
って、何でそんなところに話が飛ぶんだ?
古代範馬文明とか出てくるんじゃないだろうな。
まぁ、そりゃないか。ハハハ。

ピラミッドには調査班が訪れていた。
どうやら内部に入った調査班がいたのだが、90分経過しても外部に出てきていないようだ。
調査班の一人はこの遅れに焦燥感を覚えるのだが、もう一人は落ち着いていた。
90分経過しても出てこない……
遭難か、帰るに帰れない大きな新発見か。

内部に入ったクリス教授は隠し通路を発見し、未開の空間を見つけていた。
世紀の発見だが夥しい汗は喜び以上の驚愕を感じさせる。
クリス教授が見つめるのは壁画だった。
それは鬼の貌の壁画だ!
バカな!? 古代範馬文明が実在したのか?
それとも時の人間たちが後々に災厄となる存在を予言したのか?
何だかわからんが大変なことになったぞ。

というか、これがどうやって話に繋がるんだ?
ライブしていたら怪獣がやってきたくらいの超展開だぞ?
わけがわからないよ。
でも、これで範馬一族がピクルに負けていた歴史という点が補填された。
人類史、大丈夫か?

で、最後の特大のオチで刃牙のことをすっかり忘れてしまった。
あいつ、大丈夫かなー……
鬼哭拳を2発食らって範馬の血で蘇られても困るから、このまま気絶しておくのがいいかもしれない。
次回へ続く。


鬼哭拳炸裂! しかも、2発も!
消費MPが大きいから一発しか撃てないなんてこともなく、普通に連打した。
この難局を乗り越えても刃牙には手立てがあるのか?
なさそうだなぁ……

刃牙は瀕死どころか即死まで持ち込まれた。
これで範馬の血に目覚め、鬼の貌を出すのか?
でも、刃牙の鬼の貌ってオリバと殴り合えるくらいだ。
あの時はあんまりにもあっさりと出しちゃったからなかったことにしたいかも。

ただ刃牙は成長している。
ピクルを相手に鬼の貌を出さずに圧倒できるほどだ。
……成長と言っていいのか、ちょっと判断に困るけど。
むしろ、イカサマ臭いような……

そんな刃牙が鬼の貌を出せば、あの頃とは違った破壊力を秘めるのかも。
鬼の貌+格闘技という新たな進化を見せるかも。
でも、それは勇次郎も同じなんだよなー。
うーん、どうなることやら。

まぁ、それよりも壁画ですよ、壁画。
ニンジャが描かれていたくらいの衝撃だ。
アイエエエ!? オーガ? オーガナンデ!?
やっちゃったのはいいけどどうやって回収するのだろう?
多分、まともに回収しない。

しかし、勇次郎は歴史にまで踏み込むとは……
次は神話か?
それに大して刃牙は都市伝説程度と鼻で笑われそうだ。
刃牙が勇次郎に負けているのは、強さだけでなくスケールもだからな……
刃牙もここで風呂敷を広げてみるか?
尿を漏らす妖怪として山形県に伝わってみるんだ!
ダメだ……イロモノにしかなれぬ……これが刃牙か……



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