範馬刃牙 第285話 息子、父、そして…



鬼哭拳の連撃でダウンした刃牙の前に謎の幻影が現れた!
ピンチの格闘家が幻影を見ることはままあることだ。
烈然り、アイアン・マイケル然り。
アイアン・マイケルも見てたよ!
やべえ、厄い。


勇次郎の鬼哭蹴で刃牙はワゴン車諸共吹っ飛んだ。
普通なら死ぬ。
普通なら死ぬが刃牙は意識を留めていた。

(出てるンだろうな… 脳内麻薬…?)

(背中……出現(でて)るんだろな……)
(小っちゃい鬼………)


刃牙の武器、脳内麻薬と鬼の貌が出ていることを感じていた。
意外と冷静だ。
脳内麻薬はこのクラスになるとみんな出していそうなものだろうけどどうなんだろう。
復元を日常化するという話はどうなったんだっけ?

普段なら反撃の兆候だ。
が、周りの人間の表情は暗い。諦めがある。
まぁ、鬼哭拳食らいすぎたし繰り返すようだが死んでいてもおかしくはない。
諦めてしまってもおかしくはない。

(全部やった)
(出せるものはすべて出た……………小便まで 持てるすべてを吐き出した)
(もういいや……………)
(もう十分だ)


さらに本人も諦め気味だ!
上体を持ち上げるなど動ける余力を見せてはいるが、心が折れちゃっている。
夜叉猿やジャック戦以来だ。
悔しさや苦痛を通り越して、自虐するような笑みさえも浮かべている。

しかし、失禁のことを挙げるなんて意外と冷静だ。
小の次は大があるぞ!
諦めるな! 絶対諦めるな!
出しておけ! マニアックだけど確実な需要があるぞ!
そっちの業界でも男の大の需要はないだろうけど。

「続けるか」

殺す気の鬼哭拳を連打し、それに一応とはいえ耐えきった刃牙にこの一言だ。
何だかんだで刃牙との戦いはあくまでも親子喧嘩らしい。
差と大きさを見せつければそれで十分か。
結局、戦いの領域に踏み込めないまま終わっちゃうのか?

この言葉に刃牙はぐだぐだと言葉を並べて答えを引き延ばす。
さすがに降参しろと言われるとそうは言い難いようだ。
この辺、面倒臭い男である。
常在戦場の意志の体現、鬼の貌を出してまで胸の覚悟を構えようとしない。
ここで「親父にはかなわねえ! 俺が悪かったよ! せっかくの家族団欒だし飯の続きしようぜ!」と言えたら、
この親子関係ももうちょっとさっぱりしたものだったんだけど。
いや、これはそれ以前の問題か。

その時、ピクルが何かを感じて脅え始める。
頭を抱えちゃっているほどだ。
自分に理解できない未知のモノにとことん弱いのがピクルである。

で、何が出てきたかというと前回のラストを飾った謎の幻影だ。
なるほど、ピクルが脅えるのも道理だ。
幽霊だし。実際、ジャックの時は逃げ回っちゃったし。
それは勇次郎も感じていた。髪の毛が逆立つほどだ。
ピクルが脅えるのはいつものことだが、勇次郎がこうなるのは並み大抵のことではない。

「親父…………」

勇次郎は呟く。
これでやっと刃牙も勇次郎及び周囲の様子に気付き振り返る。
そこにいたのはとにかく太い男の幻影だ!
オリバ並みの太さと筋肉だ。あるいはそれ以上かもしれない。
しかも、デカい。背景の観客の2倍はあるよ。
ものすごい肉体の持ち主ではあるが、アンタ誰よ。

その幻影は刃牙にも見えているのか、髪が逆立つ。
この場にいる全ての格闘家を戦慄させるほどの迫力の持ち主だった。
たしかにこの筋肉は尋常ではない。
片手間に適当なムエタイ戦士をジャガっていそうだ。

「迷ったか」
「範馬勇一郎ッッッ」


幻影の正体は範馬勇一郎……
つまり、勇次郎の父親だ!
勇次郎の父親というのは今の今までどんな人物だったのか、作中では一切話題に上がることはなかった。
だが、この世界は血脈の影響は大きい。特に範馬の血の影響力は非常に強い。
それだけに勇次郎の父親の存在が気になってしまうのは道理である。
あの勇次郎の父ならどれほどの強さを誇るのか……
気になって仕方ない。

そして、勇次郎という名前も疑問だった。
勇次郎は生まれながらにして最強であった。
その勇次郎が名前には「次」と二番を意味する言葉を込められていた……
不思議に感じたものだった。
せめて名前だけでも一番ではなくそうとしたのか、あるいは勇一郎がいるのか。
答えは後者だった。

ともあれ、長い間に渡りその存在が囁かれていた勇次郎の父、勇一郎が幻影なれど現れた。
バキファンにとっては待望の瞬間である。
これほどの筋肉の持ち主ならば文句なしに強い。
勇次郎の父親と言われても納得してしまう。

「肩幅広…ッッ」

刃牙が勇一郎の屈強な体格に突っ込んだ!
そこかよ。
幻影が見えることに突っ込んだらどうか。
あ、そういえば、私も幻影が見えることに突っ込むのを忘れていた。
いや、まぁ、見えて当然じゃん?

「フフ……」「変わらん」
「我が子相手に…」
「手こずる我が子……」


勇一郎は意味有りげなことを呟く。
幼年期での戦いのことを言っているのか、それとも自分と勇次郎の関係を言っているのか。
勇一郎も強さの世界に生きていることは明白である。
当然、戦ったことがあるだろう。
勇次郎と勇一郎の関係はいろいろと深読みできてしまう。

「刃牙ちゃんや………」
「勝てるぜ」「お前……」


まさかの勇一郎からのお墨付きをもらった!
勝てるのか? 本当に勝てるのか?
いや、無理だろう。むしろ、アンタは何で刃牙を知っているのさ。
それとも勇次郎が意味有りげなことを言って場を惑わすのは父親譲りだったのか?
現にものすごい勢いで場を惑わしている。
何かもう試合展開以外でも意味がわからない戦いだ。

「勇次郎の以前(まえ)に」
「米国(アメリカ)に勝った男じゃ………ッッ」


徳川光成は勇一郎について語る。
勇次郎よりも先に大国アメリカに勝った男!
勇一郎の肉体はハッタリではなく、実際に地上最強クラスらしい。
とすると、アメリカは範馬一族に好き放題やられていることになる。
勇一郎に好きにやられ、勇次郎に好きにやられ、最後に刃牙は大統領を誘拐した。
……範馬一族が巨凶と呼ばれるわけだ。

勇一郎は相当な実力者であるようだ。
だからこそ、勇次郎は範馬の血を持ち上げていたのだろうか。
自分が強いからというのもあるが、特濃父親を知っていたからとか……
そうすると意外と勇次郎は勇一郎をリスペクトしているのかも。

とんでもない燃料が投下された。
エジプトオーガ壁画並みですよ。
もしかして、勇一郎からオーガ壁画に繋がったりして……
次は勇一郎の過去が語られる時が来るのか。
次回へ続く。


まさかの勇次郎の父親の登場だ。
幻影で出てくるとは……
まぁ、勇次郎の父親だから出てきてもおかしくはない。

幻影で出てきたということは既に故人なのだろうか。
勇次郎との死闘の果てに命を落としていてもおかしくはないし、むしろ当然の流れだろう。
勇次郎の鬼が哭くようになったのも、強大であり敬愛していた父親を自らの手で討ったから……と妄想も広がる。
だからとて、範馬一族はただ死ぬわけではない。
死んだと思ったら生きていたとかもあるかも。

これはどれほどの強さを持つのか、実際に見てみたくなるな。
回想だけのみならず、現代の格闘家たちとの死闘も演じてほしい。
範馬一族真の長VSピクルなんてなればビッグカードにもほどがあるぞ。

勇一郎が存命しているとなるとけっこうな歳だ。
勇次郎が30代後半から40代前半と想定しても、勇一郎は若くて60代、70代以降の可能性もあり得る。
格闘家としての旬は過ぎている。
まぁ、範馬一族にとっては大きな問題ではないだろう。
老いても衰えぬ範馬の肉体を見せてくれるかも。
むしろ、見せて欲しい。

この勇一郎を交えれば第2回最大トーナメントは超豪華になる。
むしろ、範馬一族だけでトーナメントを開いたりして。
大擂台賽直前に勇次郎が投げた伏線の回収ができるし、一石二鳥!

しかし、勇一郎の登場によって何かもう全力で刃牙が置いてけぼりにされている。
まぁ、仕方ないね……
勝てるとか言われているけど、どうせ範馬一族お得意のハッタリだろうし。

万が一にもこれで刃牙が勇次郎越えを果たしたら偉いことになる。
越えるべき相手がいなくなって、バキという物語にも終焉が訪れる。
だが、勇一郎という爆薬が投下された。
勇次郎の次は勇一郎との戦いがあるかも……?

戦い以外の部分でも話が広がるというかワケワカラン方向に飛んでいく。
今年中に終わるのかな、これ。
どうも落ち着くべき部分に落ち着く気がまったくない。
こうなると勇一郎の回想でコミックス1巻分は覚悟する必要がありそうだ。
……それはそれで面白いかも。

ついでに勇一郎の幻影は格闘家には見えているようだが、一般人には見えていないようだ。
一般人にも見えるリアルシャドーとの違いはそこか。
演じる者がいるからリアルシャドーなら見え、いないから勇一郎の幻影は見えないと説明できる、ような。
勇一郎を見るにはイマジネーションが必要ということか?
何なんだろうなぁ、この幻影……
原始人も出てきたし何でもありのように見えて、案外そうじゃないのがバキの気難しいところですね。
わりと作中ルールは遵守している。
それは作中ルールと同時に板垣先生の俺ルールなので、一般的なルールから逸脱することは多々あるけど。



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