範馬刃牙 第294話 ある男の憂鬱



刃牙が範馬脳に目覚めた。
まさか刃牙が勇次郎を押している。
校歌を聴いたようなブーストだ。
しかし、脳が目覚めてパワーアップだなんてジョジョ第2部のカーズみたいだ。
悪役やん。


前回の引きのまま、刃牙は勇次郎を殴り飛ばしている。
決して夢とか幻の類ではなく、現実のもののようだ。
現がHANMA。
一体どうなってるんだ? エイプリルフールじゃないぞ。

(そりゃもう……)
(退屈で…退屈で…)
(辟易していたんだ…)
(人生(にちじょう)ってやつに……………)


勇次郎は殴られて吹っ飛んでいるというのに独白開始だ。
余裕と見るべきか、驚愕と見るべきか。
そんな勇次郎にハイキックが決まる。
ダメージ十分で再び吹っ飛ぶ。

独歩も徳川光成もオリバも驚愕する。
3人とも勇次郎の強さをよく知っている。
ピクルだけ反応が疎いのは勇次郎のことをあまり知らないからか。
刃牙の潜在能力を知っているからか。
本部がいれば良かったのに。

刃牙は後ろ廻し蹴りを勇次郎に放つ。
かつて筋肉ボールと化したオリバに放った最大級の破壊力を持つ攻撃である。
これには勇次郎もまた身体をくの字に曲げる。
刃牙が勇次郎を凌駕している?
まだ、戦えるだとッ!?
何を支えに立ち上がるッ!?
何を握って力と変えるッ!?
頭の中の珍妙な脳の仕業か?
そうだ、お前が秘めているモノは何だ?
心は確かに折り砕いたはず。
なのに、何を秘めている?
それは私が産んだモノか?
お前の秘めたそれは一体何だッ!?
何なのだッ!?

(死刑囚………5名……)
(いい風貌(つら)構えの5名だった)


ここでまさか勇次郎は死刑囚を思い出す。
ものすごいフェードアウトをした死刑囚であったが、勇次郎はちゃんと覚えていた。
シコルスキーと柳くらいとしか関わっていなかったのに。

死刑囚の合い言葉は「敗北を知りたい」だった。
負け知らずという点で勇次郎と共通する。
結果としてみれば中身には相当な差があったわけだが。
なるほど、思い起こすのも道理か。

(一人は………俺が葬ったっけ…)

そこも思い出すんだ!?
柳さん、思い出してもらえてよかったね。
あの後、彼はどうなったのだろう。
ドイル、柳、シコルスキーはその後が不明瞭なのでちょっと不安だ。
応援に駆けつけてあげればいいのに。

(ああいうのって理解(わか)るよ…)
(痛いほど実感(わか)る…)

死刑囚は勇次郎から見れば小兵だ。
だが、死刑囚の気持ちを勇次郎は理解できるものらしい。
敗北を知らない者同士、敗北を知らない気持ちを理解する。
繋がりの薄い者ではあるが、大きな共通点がある。

だから、勇次郎は死刑囚に積極的に関わらなかったのだろうか。
死刑囚は敗北を知らないという倦怠を適度な強敵と戦うことで紛らわせることができた
退屈をわかる以上、それが満たされる喜びをむざむざ壊さなかったのかもしれない。
柳の件はあれです。
息子がやられましたから……

相変わらず勇次郎は刃牙の連撃を受ける。
今度はパンチによるコンビネーションだ。
勇次郎の上体が泳ぎ鮮血が舞う。
異常事態ばかり起きているが、現実は受け止めるより他ない。
今の刃牙の戦闘力は勇次郎に匹敵する!

(いつしか…立っていることに気付いたんだ……)
(頂上(いただき)へ……)
(目指すべきものが何一つない場所だ………)


気付いたらレベル99で最強装備全て揃えた状態だ。
いや、重課金廃人装備の方が時勢に見合っているか?
倒すべき敵がいないし、目指すべき場所もない。
ピクルは恐竜との戦いがあったから退屈はしなかったかもしれないが、勇次郎はそのような相手がいない。
相手に困ったから自分で作ったくらいだ。

(“手こずる”―――ってことがないのは悲劇なんだ)
(理解(わか)んねェだろオマエたち)
(“強さ”も度を越すとよ 夢を奪い去っちまうんだ)
(強さも度を越すとよ)
(人生から光を奪っちまうんだ)


勝手気侭に生きているように思えた勇次郎だったが、勇次郎なりの悩みを抱えていた。
それは過去にも触れられたことがある。
頂点ならではの悩みだ。
そして、勇次郎はその頂点っぷりがとんでもなかった。
実力の並ぶ者など存在しなかった。

(理解(わか)んねェだろオマエたち)
(強過ぎちまって俺は手こずれねェんだぞ!!?)


Lv99でスライムを倒し続けるような作業を繰り返してきたのだろう。
そりゃ倦怠しかない。
手こずることも幸せである。届かぬことも幸せである。
勇次郎だからこそ言える言葉だ。

だが、今は刃牙が圧倒するくらいの戦力を持ってる。
なくなったはずの夢が叶った。
大人だから夢を見るってOTONAも言っていた。
勇次郎もその夢と向かい合うべきだろう。
今、全力で戦う時が来た!

と思ったら、ここで刃牙が金的だ!
この人、本気で容赦ねえ!
ひどい! ひどさが爆発しすぎている!

何か勇次郎の独白全てを吹き飛ばす金的である。
長大なボケを見せられた気持ちになっちゃったよ。
長い連載の中で勇次郎が金的されたのはこれが初めてだ。

単純な打撃に対する耐性は幾度となく証明されている。
だが、金的に対して……果たして……
これで勇次郎がピクルレベルで横回転したら嫌だな。
「やられた! 勘弁してくれ!」の表情になるのも嫌だ。
勇次郎は未曾有のキャラ崩壊の危機にどう立ち向かうのだろうか。
次回へ続く。


勇次郎が金的を喰らった!
いやもう、今回はこれに尽きますよ。
ひどいオチである。
ピクル戦の時は金的一発で大騒ぎだった。
ならば、今度はどうなる?
あな恐ろしや。

刃牙の得意技はいろいろあるが、やはりどれかひとつをあげるとするのならば金的だ。
その破壊力は幾度となく証明されてきた。
金的が一番に上がってしまう主人公もどうかと思いますが、まぁ無視しなさい。

その金的を勇次郎は受けた。
これはデカいぞ。今宵一番のダメージだ。
ピクルなんて金的の激痛を思い出して、股間を押さえて戦慄しちゃうかもしれない。
今回リアクションがなかった分、次回のナイスリアクションに期待したい。

しかも、いつもの金的ではない。
勇次郎を圧倒するだけの身体能力を以て蹴られた。
これはヤバい。もう種をばらまけなくなりそうだ。
何だか金的の自己ベストを更新しっぱなしだ。

そして、勇次郎がどうなることやら。
金的を決められたらナイスリアクションするのがお約束だ。
だが、それは勇次郎の培ってきた威厳を失いかねない。
イロイロな意味で次回は目が離せないぞ!
この期に及んで金的で盛り上がるのがバキという漫画の恐ろしいところである。



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