範馬刃牙 第299話 見物人(ギャラリー)



戦いは梢江でさえ止められないレベルになってきた。
制御不能の止められない女、松本梢江が止められない戦いなのだ。
最強よりも最愛を訴えた梢江だったが、刃牙は最愛よりも最強に行ってしまった。
あるいは恋人への最愛から家族への最愛か。
ん? これってNTR?


[父と子が……]
[繰り広げる]
[人ならぬ領域の戦闘(たたか)い]
[神々しいまでの超人技]


梢江を無視して範馬に目覚めた刃牙と勇次郎の戦いは続く。
あ、結局、前回の勇次郎の髪の凄さは説明されなかった。
本部がいたら「髪で合気じゃとッッ」とかそんなリアクションをして驚いてくれただろうに。
うん、もうあいつは驚くことしかできに。

飛びかかる刃牙を蹴りで迎撃しようとする勇次郎だが、空中で身を逸らされかわされてしまう。
そして、伸びた勇次郎の脚に刃牙が組み付く。
今の刃牙は技術筋力ともに勇次郎に匹敵するレベルに仕上がってる。
こうなるといかに勇次郎と言えどピンチか?

だが、刃牙は勇次郎の脚に組み付いたまま動けない。
否、動けない!
恐るべし脚力とバランス感覚で脚を天へと伸ばしたまま、一切の姿勢を崩さない。
まるで父親が片腕で子を持ち上げるように、勇次郎は脚で刃牙を持ち上げている。
刃牙の全身の力が勇次郎の片脚で相殺された。
やはり、筋力は未だに勇次郎に分があるのか?

刃牙と勇次郎の激闘にやがて機動隊と自衛隊も観客を取り締まる、あるいは保護することを忘れその戦いに目が行ってしまう。
何せ強さの世界に生きている住人なのだ。
強さの結晶体である刃牙と勇次郎に目を奪われ、憧れて当然なのだ。
本職を忘却してしまうのも仕方がない。
そもそもドレスの時に無遠慮に避難していたし今更である。

勇次郎は刃牙を脚に組み付かせたまま、一気に振り抜く。
ものすごい勢いで刃牙が飛んでいった。
反射神経で押されたとはいえ、そのパワーは相も変わらず恐ろしいものがある。
今の刃牙と勇次郎の関係は力の1号と技の2号か。

刃牙は勇次郎を押していたとはいえど、致命的なダメージは奪えていない。
最強必殺技ゴキ哭拳でさえノーダメージだった。
刃牙には勇次郎ほどのパワーが備わっていないということだろうか。
やはり、鬼の脳が目覚めた程度では純然たる鬼の筋力には追いつかないのか。
まぁ、勇次郎は勇次郎で刃牙に致命的なダメージは与えられていないから、攻撃力を防御力が凌駕している状況なのかもしれないが。

観客が避難するほどの勢いと飛距離だったが、刃牙は僅か数回のブレーキでそれを制止する。
相変わらずキレキレの反射神経と身体操作だ。
パワーで劣る分、こうした反応では勇次郎を上回っていそうだ。
スピードだけとはいえ勇次郎に匹敵するモノを手に入れたのは大きい。
今まで勇次郎に挑んだ多くの格闘家が何一つ勇次郎を上回ることができず、結果として敗北したからだ。
郭海皇でさえ技術という点において勇次郎を凌駕できたかとなると疑わしい。

勇次郎と刃牙の距離が離れる。
その隙を見計らって、勇次郎が梢江に話しかける。
〜〜〜ッッッ。
まだ用済みじゃないのかこの女は!?

「喰らっても」
「喰らっても」
「喰らっても尚………」
「喰らい尽くせぬオンナであれ」


勇次郎はかつて梢江に向けた言葉を繰り返す。
喰らい尽くせないというか、喰らえば喰らっただけ腹を壊すオンナの気もする。
バキSAGAなんて1回読めばお腹いっぱいですよ。むしろ、胸焼けがする。
まだ、ガチホモを見せられた方がいいくらいだ。

勇次郎にいきなり話しかけられれば梢江だってビビる冷や汗だらだらだ。
機嫌を損ねた?
あの言いつけを守れなかったのか?
梢江が恐怖に支配される。
この窮地はストライダムクラスの外交力がなければ乗り越えるのは難しいだろう。

「倅がおまえを」「喰らい尽くしたのか尽くせぬのか」
「それはいい……」
「確かなことは」
「刃牙は強くなった」
「無関係ではあるまい」
「礼を言う」


勇次郎が梢江に頭を下げた!?
あの天上天下唯我独尊俺様万歳我が儘上等の勇次郎が、頭を下げて礼を言っている!?
多分、人類史上初ですよ。
人類史上初の異形であり偉業だ。
その立役者が松本梢江である。英語で言うとKOZUE MATSUMOTO。
ストライダムなんてどうせ高級レストランのフルコースを奢っても当然と言わんばかりに礼もないのだろうに。

これは刃牙と梢江の付き合いが認められたと見てもいいのだろうか。
喜べ、結婚できるぞ。
駄目だ獣臭しかしない。

「時間だ」
「オンナがいつまでも居る場所じゃない」

「ハリ倒されないうちに」
「隠れてねェと」「怪我するぞ」


が、感謝と同時に退去を命じられる。
しかも、刃牙からもだった。
恋人からもお茶漬けを出された。これはキツい。
如何に松本梢江といえど一応は女子高生である。
今だってセーラー服だ。
シンプルにしてディープ。
しかし、梢江が着ると風俗にしか見えない。シンフォギア以下の色気ですよ。

「屈しないわ」
「……だって」

されとて松本梢江。
(全裸になっても)退かぬ!
(萌えで読者に)媚びぬ!
(ヒロインとしての立場を)省みぬ!
もはや女を捨て、獣に目覚め、雌へと到達し、結果出てくるだけでネタになるにまで至った。
それ故に断固拒否!

「キャアァッ」

だが、目の前で殴り合いを始められ悲鳴を上げた!
一応は女子高生です。信じられませんが女子高生です。
やはり、人知を越えた戦いには割り込めないか。
ここで変な声を出していたら萌え成分がアップしていたのに。
「うにゅ!」とか「にゃん!」とか「うみゃー!」とか「はわわ!」とか。
そして、御堂筋ならずともキモォオオオオオオと叫ぶ。

もはや梢江でさえ止められない戦いだ。
ピクルの介入も梢江の介入も二人を止めることは敵わなかった。
ヒートアップするのみであるし、その終わりを告げるのはどちらかが動きを止めた時だけか。
もう梢江は二人を止めるために脱いじまえ。
それだけは勘弁と勇次郎も譲歩してくれるかもしれない。
次回へ続く。


刃牙はスピードで圧倒したかと思いきや、今度はパワーに苦しめられている。
さすがは範馬勇次郎。
なかなかに喰らい尽くせない。
そして、まだまだ続きそうだ。
親子喧嘩が始まるまで長かったが、始まったら同じくらい長かった。

刃牙のスピードの極致、ゴキ哭拳は通じなかった。
勇次郎のパワーの極致、ドレスは通じなかった。
お互いどうしろといった趣だ。
梢江もスパイスになり得なかった。
いや、梢江でどうにかなるのも凄いけど。

梢江と言えばぼっちになった梢江をどうにかしたい。
梢江は核兵器同然の破壊力を持つ。
通った後に残るのは死せる荒野だ。
読者的には。

そんな梢江はすみやかに保護する必要がある。
ここでJr.がやってくるとかどうよ。
梢江とは相性ぴったりだぞ!
梢江を安全な場所に避難させれば惚れてくれるやもしれぬ。
誰得。いや、梢江自体が誰得。

Jr.が来なかったら誰が梢江を避難させるのだろうか。
さりげなく最大トーナメントの時に梢江に話しかけていた独歩だろうか。
刃牙が卍固め喰らった時とか。
あの時は独歩は何を思って解説したのだろうか。
そういえば、梢江は観客席で観戦したり控え室で観戦したりいろいろと慌ただしかった。
いや、どうでもいいことですが。

独歩がダメならピクルだ。
史上最強の雄VS史上最強の雌!
あまりの雌臭にピクルと言えどむせるかも。
あるいは白亜紀の雌と対等! と熱烈ラブコールか。
いや、原始人に匹敵するって、梢江の雌性。

ここで梢江との戦いで得た必殺技を勇次郎に放てば、梢江も満足してくれるかもしれない。
人体の弱い部分を問答無用に穿つスネ蹴り!
使えるモノは何でも使う投石!
トドメには烈を屠り去った猛獣の連撃!
うん、どれも実戦で使えるな。
梢江の抑えられない破壊衝動はどこから来ていたんだろう……



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