範馬刃牙 第303話 拳に込めるモノ



勇次郎が刃牙に拳を握らせた!
丁寧な決着をつけようとしていることが伺える。
そのうち、決着って何だっけとなる。
今ももうなっている気がしなくもないが。


「この世で一番優れた道具だ」

ここで回想が行われる。
刃牙が勇次郎から格闘技を教わっている頃にして刃牙が坊主の時代だ。
本邦初公開の坊主刃牙である。一番若い刃牙であることは疑いようもない。

そんな刃牙に対し勇次郎は人間の手がもっとも優れた道具だと教える。
日常のあらゆる道具の役割を果たし、その上武器になる。
それが勇次郎の理屈であった。
勇次郎が手で何でもできるほどの筋力があるからこその理屈ではある。

並みの人間なら手をコマの背景に乗っているペンチ代わりにはできない、ガムテープ代わりにもならない。
というか、ガムテープってどういうことですかい。
勇次郎の手はガムテープ代わりになるのか?
真空か?

「人差し指から順に」
「折りたたみ」「仕上げは」
「親指で締める」
「何を握った…」
「力だ」
「力を掴むのだ」
「掴んだ力を刺し込むのだ」
「人類最古にして最良の武器」
「それが拳だ」


そして、勇次郎は刃牙に拳を握らせる。
今、勇次郎が刃牙に行った行為と同じだ。
これを刃牙は鮮明に思い出していた。
初めて勇次郎から教わったことなのだ。
海馬に強く刻み込まれてるに違いあるまい。

それにしても肉体言語万歳だ。
範馬一族にとって肉体こそ至高なのだ。
そりゃあ素手の時代とかいきなり言い出すよ。
素手の時代だから先見の明があると言えるのか?
いや、勇一郎時代から素手の時代だから既知の事実か。

「折りたたんだ指は力を抜き親指でそっと抑えておく」

肉体に対する信仰のみならず、ちゃんと勇次郎は拳の握り方を教えてくれる。
おお、勇次郎らしからぬ。
丁寧に教えている以上に力を抜けと教えているのが勇次郎らしからぬ。
勇次郎のことなら「とにかく力め」と教えていてもおかしくないのに。
というか、「とにかく力め」という主張だったのに。
さすがに初心者にそんな無理難題は押しつけないか。

「構えには拘るな」
「拳の配置は肉体(からだ)に訊け」


いきなり投げた!
身体に訊けと来ましたよ。教える気、ねーじゃん。
やっぱり、こいつは範馬勇次郎だよ。
いや、これは範馬の血に対する信頼と見るべきか?

ともあれ、その言葉の通りに刃牙は構える。
この姿を見て勇次郎は本日何回目かわからない鬼(パパ)スマイルだ。
刃牙が教えを覚えていたのがそんなに嬉しいんだろうな。
大丈夫、鞭打だって覚えているし。
ボクサー対策はもう忘れているかもしれないけど。

さて、ここで花山と千春は最前線まであと10列くらいのところまで近付いていた。
花山さん、ここでいいって言っていたのに。
前回とまったく同じやり取りにコピーかと疑ってしまったじゃなイカ?
前回とまったく同じく、花山はここでいいと言っている。
どうみてもここでいくなかった。
多分、次回にはもっと近付いていることだろう。
ガタローマンお得意の繰り返しギャグか?
ニンジャスレイヤーでも採用されております。

「防御の一切を忘れろ」
「重心を前足 拇指球へと集めろ」
「打ち込むことだけに集中しろ…」
「その他一切を濁りとしろ」
「己の全存在を乗せた“拳”は全てに勝る」
「通用するもしないもない」
「思う必要すらない」
「“強さ比べ”ってなそういうもんだぜッッ」


こうして刃牙と勇次郎は技術なしで殴り合いを始める。
勇次郎は鼓膜破りからの鬼哭拳で勝負を決められただろう。
だが、それをすることなく、あえて殴り合った。
今更だがメッチャクチャ楽しんでいる。
決着を着ける覚悟を見せたのに、未練たらたらだよ。

二人の顔面に同時にパンチが入り同時に吹っ飛ぶ。
勇次郎はもちろんのこと、刃牙も一歩も引いていない。
鬼の貌の持ち主同士による全力のぶつかり合いだ。
決戦に相応しい大舞台である。

さて、正面からの殴り合いと言えばアイアン・マイケルと千春が……いや、これなしで。
刃牙とジャックや刃牙とオリバや刃牙とピクルなどが繰り広げた……範馬一族ばっかりだな。
ピクルは範馬一族の祖先疑惑があるし、オリバは一時期Wikipediaに刃牙の叔父というデマが書かれていたし。
ともあれ、正面からの殴り合いは範馬一族の恒例行事だ。
最終局面を飾るのに正面からの殴り合いは相応しいと言えよう。
シンプルな強さに根ざした範馬一族ならなおさらだ。
だが、いつから最終局面と錯覚していた……?
次回へ続く。


絶技を尽くした後は二人とも原点に返った。
ここから殴り合いのみで決着……ですよね?
刃牙のことだからいきなり技を使い始めるかも。
油断できない。

拳の握り方は刃牙が初めて教えられ、勇次郎は初めて教えたことだ。
二人の関係の原点と言える。
これで刃牙がど忘れしていたらどうなっていたことやら。
悲しそうで泣きそうになる勇次郎を見られたかも。

殴り合いとなるとパワーとタフネスの勝負となる。
勇次郎はスピードでは押されているが、パワーでは依然有利を保っている。
タフネスは似たようなものか。
刃牙は鬼哭拳とドレスに耐え、勇次郎はゴキ哭拳に耐えている。
一応、勇次郎に分があるとみるべきかもしれないが、刃牙はオリバに殴り勝っている。
パワーを上回るスピードを見せるかもしれない。
でも、ピクルに惨敗しているからなー。うーむ、わからん。

単純な力比べとなるとますますこれ以上の局面はなさそうだ。
だけど、本当に先行きが読めない。
先行きとかそういうレベルじゃないかもしれないが。
ここから自分の嫁自慢対決を始めたりして。
朱沢江珠を怒濤の勢いで惚気る勇次郎に対して、刃牙は梢江をどうやって褒めるんだろう。
やっぱり、格闘家に殴りかかる獣性か?

そういえば、梢江どうなったんだろう。
今頃、ピラミッドでは梢江の壁画が見つかっていたりして。
最強最悪のモンスターとして伝わる梢江に時の文明の暗部を思い知るのだった。



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