範馬刃牙 第311話 親父の味
勇次郎がリアルシャドー味噌汁を作った!
ラスト2話にして超展開である。
ラスト何話だろうが超展開ばかりであったが。
結局、勇一郎って何だったんだろう。
刃牙が勝てるとか言っていたけどどういうことだったんだ?
[何もない空間に]
[“見えない壁”を見せてしまう技術がある]
勇次郎の味噌汁を作る仕草は一流のパントマイム並みだった。
何かを魅せるということにおいて、勇次郎は実に達者だ。
地上最強の生物だけあってその強さのアピールに余念がない。
いや、味噌汁作りは強さのアピールとは無関係だけど。
こうしたアピールの結果、実際の強さ以上の、いや、実際の強さと同じだけの風聞が伴ったのだろうか。
逆にムエタイなんかはアピールは凄いけど、中身が伴っていない典型だろう。
いや、アピールらしいアピールもやっていないか……
ムエタイ史上で行われたアピールなんてサムワンのVSキングコブラくらいだ。
キングコブラですよ、キングコブラ。
アナコンダを投げ倒した男でさえかませ犬になったのにキングコブラなどと……
[巨凶範馬勇次郎会心の作]
このアピールをギャラリーたちは見ていた。
刃牙のスタンド攻撃はわからなかったが、勇次郎のリアルシャドー味噌汁は伝わった。
やっぱり、身振り手振りがあると随分と違うものである。
ついでに豆腐は手の平の上で切るものらしいですね。
前回、意気揚々と突っ込んだらこのザマ。
私、ずっとまな板の上で切ってたよ……だって怖いし……
勇次郎は味噌汁作りを終え刃牙の元へと持ってくる。
味噌汁だけかよ!?
塩分以外も用意してあげようよ。
せめて白米も。銀シャリとも言う。
これには刃牙もレイプ目を止めて立ち上がる。
味噌汁パワー、半端ねえ。
これがソウルフードというものか。
[前代未聞……]
[空前絶後の]
[エア夜食!!!]
最終回まで残り2話!
今回を除けば残り1話!!
クライマックスで行う最大の見せ場がエア夜食だ!!!
ど、どう反応を返せばいいのだろうか。
念願が叶って良かったのか?
いや、エア夜食だしなー。
何か突っ込んであげるべきかもしれない。
具体的にはいつの間にか現れたちゃぶ台とかに。
ついに訪れた親子の団欒だと言うのに。
刃牙が悲願が叶ったというのに。
それなりに感動的な場面であるはずなのに、エア夜食で台無しだ。
エア夜食という行為もその響きも悪いな。
虚空に踊る幻想のくらいは言っておくべきだったか。
エア味噌汁を前に刃牙は恍惚とした表情を浮かべる。
何というか、ヤバい。いろいろとヤバい。
まず、表情がイッている。
血涙もヤバさを引き立てる。
何というか死の淵にある刃牙の幻覚にも思えてきた。
(こんなものしかねェ…)
(充分すぎるほどです)
(“お父さん”)
(よしやがれバカ)
(“親父”でいい)
親子らしい会話のはずだ。
二人の背景を思うと感動的な場面のはずだ。
なのに、エア夜食で台無しだ。
繰り返しますが、エア夜食で台無しです。
他に突っ込むべきなのか。
とりあえず、念話しているところに突っ込んでおこうか。
「団欒じゃねェかッッ」
独歩はわざわざ突っ込む。
わざわざでも突っ込んでおかないと突っ込みが追いつかない。
いや、感動的な場面だし突っ込まない方がいいのかなー。
感動的ですよね?
スレ違い続けた二人がお互いを親子と認め合い、勇次郎から親子として歩み寄ったのだ。
あの勇次郎がだ。
この二人はわかり合えたのだ。
そして、刃牙にとって親が作った料理を食べる。そんな当たり前さえも初めてなのだ。
エア夜食だけど。
刃牙は勇次郎に言われ膝を崩して味噌汁を食べ始める。
完全に和みムードだ。
何か冷めるぞとか言われた。
たしかに時間を置けば冷めそうだ。
うまく騙されておくが吉か。
(違う)
(以前(まえ)から思っていたことだが)
(持ち方が成ってない)
ここで勇次郎の指導が入った!
食の礼儀作法に勇次郎は厳しくも正しい。
厳格さは見習いたいくらいだ。
その勇次郎が箸の扱い方に突っ込んだ。
これは刃牙ならずとも従わざるを得ない。
(ハハ…料亭じゃあるまいし…)
(ああ…… 美味い…)
無視した!
そして、食べた!
表情とした表情だ。
だが、食べているのはあくまでもエア味噌汁。
そして、血涙。
ヤバい人にしか見えないが一片の誤差もなく元からヤバい人なので別にいいか。
この人、ゴキブリになるからなー。
(ちょっとしょっぱいけど……)
(フフ……)
(味噌汁の味ひとつわからんか……………)
刃牙がダメ出しした!
それに対して勇次郎は反論しながらも冷や汗を流している。
けっこう堪えているようだ。
ついでに未だに念話中だ。
それでいて違和感がないのがちょっと怖い。
むしろ、意志疎通できていることに突っ込むべきか?
(じゃあ食してみたらいいじゃん)
刃牙はエア味噌汁を突き出した。
差し出された味噌汁に対してアドリブで返答を返し、さらにアドリブで動いた。
何か高度なやり取りだな。
見事にやってのける範馬親子の絆が伺える。
マジ梢江が入る隙ないっすね。
というか、どっかに行って消えた。
「くだらん」
「真似事は」「しょせん真似事」
「“水”ほどの味もない」
勇次郎が投げた!
これは逃げと言わざるを得ないだろう。
自分から始めたのに刃牙のレスポンスから逃げてしまった。
刃牙は勝ち誇っていい。
……これしか勝てんのかな。
あと刃牙の鼓膜は破けているから聞こえていない。
でも、念話するほどだからなー。
ちゃんと意味は伝わっているようだし結果オーライか。
何かすごい次元の戦いだ。
(あ……そう)
「ああ〜〜〜ッッ」
刃牙がエア夜食に対しエアちゃぶ台だ!
虎王並みの見事なカウンターだ。
これには真似事と断じた勇次郎も動揺してしまう。
最終局面に相応しい高度な攻防であった。
勇次郎の無茶ぶりをアドリブで返し、さらにやり返した。
結果、勇次郎を動揺させることができた。
これはこの勝負の流れがわからなくなった。
そして、次回最終回だ!
この流れで最終回かよ!?
どう収拾させるのか、もう誰にもわからない。
次回へ続く。
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