範馬刃牙 第34話 海の賊(おとこ)
ゲバルは自ら地面に寝た。
いわゆるアライ・猪狩状態だ。
相手が立ち技系格闘技なら、この態勢は非常に有効だ。
何せ有効打がない。
寝技が対抗策となるが、3人同時に寝技を仕掛けるのは不可能だろう。
ゲバルの作戦は密かに練りに練られている!!
ガコッ ドッ ゴッ ドコッ ガッ
って、普通に3人がかりで踏みつけられた!!
自信満々だったのに、あっさりとやられている。
これがうすた京介漫画だったら、「ガビーン」の文字が飛んでいるくらいだ。
ゲバルは密かに変わり身の術を行い、ロッカーと自分を取りかえる。
でも、中身はゲバルだ。
無遠慮に、かつテンポよくゲバルの顔面は踏み付けられる。
そういえば、数週間前にあるボクサーが同じような目にあっていたなぁ。
そのボクサーはどこへ行ったのだろう?
今週はズバリ出てきません。
「口ほどでもないじゃないか……………」
「これが2代目(ミスターセカン)とまで言わしめた男の実力(ちから)か」
マウスは早速の勝利宣言だッッ。
これで負けるようなら、お前はアイアン・マイケルだ。
アイアン・ゲバルに改名しろ、お前。
もっとも、アイアン・マイケルとは格が違うゲバルは、マウスたちの猛攻のダメージをものともせず起き上がろうとする。
ここからどんな反撃が繰り出される!!
「風… い〜〜〜い風だ……………」
…風?
踏まれすぎておかしくなったのか?
大丈夫か、あんた!
だが、同時に風が吹き始める。
すっかり実況役の部長(アイアン・マイケル贔屓)も(風を…呼んだ…??)と驚いている。
一個人の力量で風が呼べるとか、それはもう格闘技の領域ではないが、バキ世界では普通にありえそうだからツッコミは厳禁だ。
ゲバルは尿サークルから出て、壁に突き刺さった風車まで歩いていく。
風によってくるくる回っているところに、ゲバルの息を吹きかけて回転はさらに加速した。
でも、これじゃすごいのかすごくないのかよくわからない。
拳銃で蝿を捕まえた時といい、強さのアピールがヘタな人だ。
ついでにアピールがうまいのがロシア人やムエタイ使いだ。
あまりにうますぎるので、試合では弱いと予想できてしまうが。
だが、今度は普通にすごいことが起こった。
突風の発生だ!
さっきまでの微風なんかじゃない。
マウスたちの髪型が乱れて、どこかドイルっぽくなるくらい、突風が吹いている。
その中でゲバルは上着を脱ぎ捨てる。
上着は片手で高々と上げた後、突風に任せて飛ばすというオシャレな脱ぎ捨て方だ。
その間実に2秒で脱ぎ捨てた後、パンツを破り裂く刃牙とはスタイリッシュ度が段違いだ。
ゲバルは顔に手を当てる。
手をのけた次の瞬間、顔面には隈取りのようなメイクが顔面に施されていた。
今までのややとぼけていたような顔つきはどこへ行ったのか、途端に凶悪な顔つきになった。
マウスたちは負け犬の表情をする。
もう平気で人を殺しそうなツラだししょうがない。
あ、でも、普通の状態でも平気で人の三半規管は破壊してるか。
「満ち潮だ」
「船出の刻」
なんか場にあっていないヤバイことを言っているが、ゲバルの顔つきはさらにやばくなる。
加えて筋肉が急に引き締まる。
ゲバル本気のスタイルか!
バンダナも取って、完全にやる気だ。
ついでにバンダナの下には普通に髪が生えている。
よかった、ハゲじゃなくて。
とりあえず、ゲバルの真の実力が次回発揮されそうだ。
元海賊という設定を思い出したように、海賊関係の単語を使っているが気にしない。
というか、今のゲバルには別の風景が見えていそうで怖い。
今の彼は刑務所にいるじゃない。自慢の船の上に乗っているのだ。
極度の妄想癖を持つゲバルは同じく妄想具現化能力を持つ刃牙のいいライバルになれるだろう。
刃牙の召喚する梢江(SAGAバージョン)に、ゲバルはどれだけ佐渡川絵に変換できるかが勝負どころだ!
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