範馬刃牙 第46話 ジルベルトスタイル



「もう……」
「指でつまむことすらしていない」
「ただ 乗せているだけ………」


バンダナを引っ張られるだけで勝負ありのスタイルを取るオリバだが、顔は誇らしげだ。
長老は大驚きだ。
ぬぅ、あの持ち方は、と雷電並みに驚いている。
反面、刃牙は怪訝そうに見ている。
…あれ?刃牙が1ページ目から出ている?
快挙だ。
あと5ヶ月は出てこない可能性もある。

「耳にしたことはある」

知っているのかゲバルッ!?

[シシリー島出身のホテル王 ジャン・ジルベルト]
[1947年シャンゼリゼ通りに外国人初の超大型高級ホテルを建てたことで
 観光客の賞賛と地元住民のヒンシュクを同時に買い新聞を騒がせた]
[この男の持つもう一つの顔 マフィアの一員であったことは世間の知るところではあったが]
[1961年暮れ――上納金にまつわる裏切り行為が発覚する
 即刻組織内にて処刑が決定]
[1962年1月4日 満月の深夜]
[ブローニュの森にて マシンガンの銃口が囲む中処刑は行われた]
[処刑のスタイルは――――――]
[離した方が即負け(銃殺) ルーザールーズマッチ]
[ところがこのハンカチマッチには 恐るべきハンデがあった]
[若く巨体の挑戦者には しっかりと握らせたのに対し――――――]
[齢70を越えるジルベルトには 手の平に乗せるだけ]
[奇跡は起ころうハズもなく勝負は一撃でケリがつく]
[仲間達の一斉射撃で処刑は幕を閉じるも]
[そのルールだけは名を残す]
[ルーザールーズジルベルトスタイル]


民明書房並みに胡散臭い解説が終わると同時に、ゲバルもバンダナを自分の手の平に乗せる。
ジルベルトスタイルで殴り合う覚悟を決めたようだ。
次の瞬間、右アッパーをオリバにモロに打ち込む。
ハンカチを流すと負け、指の力を競い合うはずのルーザールーズが、いつのまにか零距離における殴り合いをする戦いに変わった
オリバに有利なタフネスを競う戦いになったのだ。
計算があったのかどうかわからないが、これがオリバの狙いだったのだろうか。

ゲバルは後ろ回し蹴りをオリバのボディにヒットさせる。
後ろに吹っ飛ばして、バンダナを落とさせる気だろうか。
だが、オリバは微動だにしない
持ち前のタフネスをフルに発揮している。
白熱する戦いに所長も「これだからやめられんッッ」と大喜びだ。
所長ならやめろよ!

今まで攻撃を受けるだけのオリバだったが、自分の得意とする戦いに持ち込めたからか、攻めに転じる。
ゲバルの後頭部を掴んで、そのまま力任せに地面に叩き付けた
ものすごい一撃に元ヘヴィ級チャンピオンのアイアン・マイケルも「スッゲェ…」と驚く。
囚人たちはバンダナを手放すことを確認する前に、死んでしまったのかを確認するくらいの一撃だ。

「甲だよッッ」
「ゲバルは手の甲でキープしている」


だが、ゲバルも一向に引かない
ダウンしながらも後ろ手でバンダナを離さない。
一流の意地を見せつける。
激闘に囚人たちのテンションはうなぎ登りだ。

「貴族だとマフィアだと 能書きだけはたいそう景気がいい」
「けれどその実 なにをやってるかと言えば遊戯のようなハンカチゲーム」
「茶番だッッ」

その激闘に水をさしたのは刃牙だ。
お前、本当にロクなこと言わないな。
「バカバカしい」と吐き捨てその場を立ち去ろうとする。
ライバルたちの戦いを見ている主人公のやることじゃない。

そんな主人公の横暴に何かが作用したのか、突風が吹き始める。
この突風は致命的だ。
手に乗せるだけのジルベルトスタイルでは、突風によってバンダナが吹き飛ぶ可能性がある。
だが、二人はお互いの手を縦にしてバンダナを協力して支えあう。
すさまじいまでの意地だ。
なんかオリバとゲバルがすごくかっこいい。
これならマリアさんもデレモードに入るだろう。

「見ているかマリアッッ」
「これが男の――――」
「勝……


「ちょ…ッッ なに……??この子…」

刃牙がマリアさんの上に乗って寝ていました☆
本当の本当に最悪だこの人!
主人公のやることじゃねえ!
とてつもなく悪役(ヒール)です。

刃牙の暴挙にオリバは金的を食らったかのような顔をする
あまりのショックに思わず、バンダナを保持することを忘れてしまう。
風に任せバンダナは遠くへと飛び、ルーザールーズは突然の終わりを告げた
ルーザールーズで決着するとは思わなかったが、ルーザールーズがこんな終わり方をするなんて予想外も予想外だ。
刃牙はひどすぎる。


ルーザールーズが終わったことで次回から本格バトルが始まるかもしれない。
問題は戦いに水をさした主人公をどうするかだけど。
「遊戯のようなハンカチゲーム」「バカバカしい」とかなんでこの人はこんなに偉そうなんですかね。
オリバとゲバルのダブルビンタに一発で気絶したくせに
あんな感じにオリバとゲバルの二人がかりで刃牙を倒しにかかるのかもしれない。
むしろ、もうやってください。俺は止めない。

でも、この暴挙はなんか刃牙らしいなぁと思う。
刃牙にはヒールが似合っていると思う。
遠慮なくビルから突き落とす、ライバルとの戦いを金的で終わらせる。
悪役の所業だ。
今回の刃牙の暴挙には賛辞を送りたいところだ。
ただのモブじゃなく主人公らしくないところを見せてくれて本当にありがとう。
次回、刃牙VS4000人の囚人が始まります。


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