範馬刃牙 第5話 てきとうな相手
いよいよ刃牙のスパーリングが開始される。
ついに本格バトルが始まるのだろうか?
人気はなくとも、戦えば盛り上がるのが刃牙の憎いところだ。
ここ数年はその間実に2秒で終わらせたり、5ヶ月引っ張って金的で終わらせたりと、かなり盛り下げているけど。
[バキさんが始めた動き――――]
[これはシャドーボクシングだ]
刃牙はスパーリング相手と戦う前のウォーミングアップとして、シャドーボクシングを始める。
ルミナはちゃんと実況してくれている。
こういう驚き役がいてこそのバキ世界だ。
ルミナはバキ世界の住人として立派にやっていけるだろう。
弱くても解説できればいいんです。
代表例、本部。
どうでもいいけど、川原でシャドーを始めるなんてどうみても不審者のすることだ。
小学生が水きりしたり、強面の軍人がやってきたりと、今日の多摩川は不審者だらけだ。
ニュースで紹介されるぞ。不審者のパラダイスだと。
[ハッキリ言ってオレはボクシング通だ]
[シャドーボクシングはボクシングの基礎トレーニングだ]
[一流選手からそうじゃない練習生なで必ずやる]
[目の前に対戦者を想像し][想像のパンチをかわし][想像の隙を打つ]
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ。
鮎川ルミナ、解説を始めた。
驚き役やら実況役やらで終わるキャラだとばかり思っていたら、なんと解説ができたとは。
刃牙の傍らにいるには最適な人材だ。
ハンパじゃない。適当な人材と言えよう。
なお、Jr.はハンパな人材でした。
刃牙のシャドーはどんどん加速していく。
表情も真剣だ。
あくまでスパーリング前のスパーリングだから、ここまで躍起になることはないだろう。
止まらないのが範馬なのだろうか。
金的したら踏みつけまでするし、セックスが始まってしまったら数日連続でヤり続ける。
[それはもうオレが知ってるシャドーボクシングではなく]
[目の前に対戦者を想像する――――というより]
[本当に――――ホンモノの対戦者が目の前にいるような]
「え…」「えッ」「え?」
[え―――――!?]
ルミナに刃牙の目の前に立つ幽霊のようなモノが見えた。
…刃牙のスタンドか何かか?
むしろ、スパーリングというのはリアルシャドーだったのか?
なんかこっちが「え―――――!?」と叫びたい。
現実の相手と戦わずに、妄想と戦う範馬刃牙。
どうよ?主人公として。
[………………………………………]
[ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ]
[!!!!!!!!!!!!!!!]
[〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ]
刃牙本体と刃牙妄想体の激しい戦いが繰り広げられる。
だが、ルミナも負けてはいない。
「…」と「ッ」と「!」と「〜ッ」だけで激しい驚愕を表現している。
恐ろしいスキルだ。
言葉らしい言葉を喋っていないのに、意味が伝わってくるような気がする。
驚き役として非常に高い資質を持っているようだ。
ところでずっと前から感じていたけど、自身の妄想が他者に見えるなんてものすごい妄想力だと思う。
無論、誉められたものじゃないけど。
強い妄想は現実になるなんてどこのキュレイシンドロームだろうか?
[もう……今起きていることを疑うことはできなかった]
[バキさんが対戦者として描いているそいつは]
[ボクサーだッッ]
ルミナが言うにはボクシング通らしいので、刃牙の足の動き・手の動き・胴(からだ)の動きから相手がボクサーだと察せられるようだ。
見えないはずの対戦者を察することができるなんて、ルミナは相当の洞察力の持ち主のようだ。
うん、実に解説向きのスキルだ。
[バキさんが戦っているそいつ]
[元統一世界ヘヴィ級チャンピオン――――――――]
ボクサーってだけでなく、どんなボクサーなのかもわかるのか?
もう、本当に感服するくらいの洞察力だ。
あと40年くらい立てば解説役として大成できるだろう。
本部、さりげなくピンチだ。
元統一世界ヘヴィ級チャンピオンで刃牙と互角に戦える男ときたら、間違いなくマホメド・アライだろう。
息子は弱かった。
だが、頭の中で描いたベストな状態の父ならどうなのだろうか?
刃牙といい勝負ができそうで怖い。
そんな予想をしながらページをめくってみると…
[アイアン・マイケル その人だ!]
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ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
今更アイアン・マイケルはないだろう。
柴千春に負けているんですよ?最大トーナメント2回戦負けですよ?
それともJr.よりも強いボクサーとでも言うのだろうか。
いや、だとしたらJr.の存在が非常に悲しくなる。
まぁ、5ヶ月引っ張って金的で敗北した時点で悲しみは絶頂に達していたけど。
というよりも、アイアン・マイケルは勇次郎相手にパンチ2発で一蹴されている。
しかも、ボクシングの土俵で、だ。
どうみても勇次郎戦前のスパーリングパートナーとしては不足だ。
適当な相手じゃありません。
見事なまでにハンパな相手です。
驚愕を通り越して、言葉にできない感情を抱きました。
なんだろう。
柳の前に本部が姿を現した時の感情と似ている。
あの時は本部が絶対殺されると思っていたら、見事に圧勝した。日本刀を持っていたから、だけど。
そんな感じにアイアン・マイケルが刃牙を圧倒するのだろうか?
きっと、チャンピオンの巻末コメントは「アイアン・マイケルが強くて何が悪い」で決まりだ。
おまけながら、今回のチャンピオンには板垣先生とレイザーラモンHGのインタビューがあった。
いったい何をどう狙っているのか判断しにくい組み合わせだ。
刃牙とオリバを戦わせるつもりだとか今後の展開が楽しみになる発言があったので、読んでみるとけっこう面白い。
そして、「範馬刃牙はほぼ勢いで始めたような物。これからどうなるのか自分にもわからない」(意訳)という発言がとっても板垣先生だった。
…本当にどうなるんだろう?
第1話で巨大象を倒したと思えば、小学生を水きりさせるし、挙句には賞味期限が5年以上も前に切れた男アイアン・マイケルを出している。
いろいろな意味でこれからの展開が気になる。
連載開始からずっとサプライズ続きだ。いい意味でも、悪い意味でも。
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