範馬刃牙 第55話 脱走
結局、オリバの勝因がわからないまま、試合は終了した。
地球アタックが結局どんな技だったのか、謎のままだった。
放置プレイですよ。あるいは放棄プレイ。
アイアン・マイケルが刑務所にいる理由並みに放置されてしまった。
ところで今回の範馬刃牙は、ゾクセイのすぐ後に配置されているのが厄い。
松山せいじ渾身の貧乳娘のあとに、勇次郎の扉絵だッ！
きっと、バストが72cmなのが立腹なんだろうな。
さて、ゲバルさんのその後だ。
朝、ゲバルの寝床であるロッカーを見てみたら、そこには誰も入っていなかった。
そういえば、ゲバルはロッカーの中で寝る変態プレイを好んでいた。
ロッカーの中にはバケツとかの清掃用具が入っているし、ものすごく寝づらそうだ。
アイアン・マイケルが入りたての頃は、ここにアイアン・マイケルを入れて、アマゾン川に流したりして遊んだんだろう。間違いない。
ともあれ、ゲバルは行方不明になっていた。
看守はルームメイトの刃牙たちに確認したが、目撃者はいないようだ。
ルームメイト4人揃って、明らかに看守に協力する気のないツラをしている。
看守にもっと力があったら、即尋問にかけていたところだろう。
だが、刃牙とかがいるから相手が悪い。看守は刃牙たちの言葉を信じるしかないのだ。
でも、このままだと悔しいので、きっとアイアン・マイケルを尋問にかけるに違いない。
アイアン・マイケルは一人だけ弄られるのだ。
そうすることで、少なくとも刃牙よりは存在感を出せる。
看守は恐る恐るロッカーの中を調べる。
中には「Dear
Maria&Oliva」と書かれた謎の封筒が入っていた。
「俺に――――ではなく
マリアと俺にかよ……」
そこでオリバがさも当然のように封筒を開ける。
刃牙たちの房に実に馴染んでいる。違和感なしだ。
何だかアイアン・マイケルがハゲになっていることも違和感ないし、刑務所にいるのも自然に思えてくる。
だから、アイアン・マイケルの現状について何も説明しないのか。
ケーキが甘い理由を説明する必要がないように、アイアン・マイケルは刑務所にいて当然なんですよ。
さて、アイアン・マイケルは置いておく。
封筒の中にはゲバルの肖像画と船が印刷された100ゲバルと刻印された紙幣が入っていた。
って、趣味悪ッ！
なんかもう全力で胡散臭い金だ。バイソンドル並みに胡散臭い。
何だかゲバルバンクでしか取り扱っていそうにない。グローバルさに欠けています。
この100ゲバ（仮称）は文房具店で売られているジャリガキが大好きなアイテムのひとつか？
「紙幣（かね）だな」
「奴の島の通貨じゃねェか」
ちゃんとした通貨なのかよッ！
悪い冗談としか思えない100ゲバだったが、これでゲバル島の野菜とかお肉とかも買えるようだ。
でも、諸外国に持ち込んだらあっさり破り捨てられそうな気がする。
ともあれ、ゲバルの行方を探す看守たちはロッカーの底のパネルを外したり、しらみつぶしに痕跡を探す。
パネルの下にはコンクリートの床をくりぬいた穴が空いていた。
この穴を使ってゲバルは脱走したのか。
ヒゲミサイルや鼓膜破りなど、器用なことが得意な男だけはある。
そこ、セコい手段ばっかりとか言うな。
「堂々と表門から出ようと思えば
楽々と出られる力を持つ男だ」
ゲバルはこんな手口を使わずとも、正面突破で脱走できるらしい。
そういう刑務所もどうかと思う。
死刑囚一同もわりかし楽に脱走できていたから、刑務所脱走は強さのステータスのひとつなんだろうな。
アイアン・マイケルも一度脱走してみよう。多分、すぐ掴まる。
さて、謎の100ゲバの推理編に移る。
刑務所はもちろん、アメリカでも使えない紙幣だ。
地球上全てで使えない気もするが、一応何とかゲバル島だけでは使える。
[使用（つか）いたいなら島まで来いってか]
100ゲバはオリバ夫妻（仮）への密かな好意だった。
ツンデレの好意並みにさりげなく、しかし、確かな好意が込められていた。
「あなたがいつもコンビニエンスストアのお弁当のような下賎なものばかり食べているのが不憫ですので、
これからはわたくしが同情を込めてお弁当を作って差し上げてますわっ」みたいなノリだ。
結局はお弁当を作ってあげたいんですよ。
そんなわけでゲバルは脱走してしまった。
本人としてはオリバとの勝負できて満足なんだろうな。
刑務所に悔いなしだ。
刃牙が置いてけぼりにされたけど。
オリバ＞（100ゲバの壁）＞刃牙ってことか？
刃牙VSゲバルのフラグは見事になかったことにされてしまった。
真に放置されたのは刃牙だったようだ。
今回も1度しか台詞ないし、それでいいのか主人公。
このままでは勇次郎にすら放置されかねないが、それはそれで死なないで済むのでありといえばありか。
あ、そういえば、ゲバルを喰ってみたいと言っていた勇次郎の立場もどうなるんだ？
当のゲバルはゲバル島に戻って、島の仲間たちと仲良く伐採の仕事をしていた。
大統領自身が肉体労働をしなきゃいけないため、あまり裕福な国ではないんだろうな。
100ゲバだし。
仕事仲間たちはゲバルの帰還を笑顔で迎えている。
前歯がなかったり、顔面に傷を負っていたり、なぜかガスマスクを首に下げていたりと、ゲバル軍団の一員なのだろうか。
海賊時代の仲間の可能性もある。
刑務所ではあまり考えられなかった和やかな時間がゲバルを包む。
刃牙が一生手に入れることのできない時間だろうな。
刃牙の人生が過酷すぎるとかそういう理由じゃなく、刃牙の人格的に。
さて、ゲバルは島民に非常に慕われていた。
ゲバルのために嵐の夜の猛雨をツボに集めてくれる少年もいたし、民の信頼を一身に背負っているようだ。
1ヶ月くらい唐突に国を空けたりと、為政者としての資質は絶無だが、一人の人間としては立派、かもしれない。
そこ、セコい手段ばっかりとか言うな。
ゲバルが刑務所から離れてしまったので、これからの展開はどうする気だろう。
刃牙はゲバルと戦わずして、オリバとの決戦を迎えるのか？
それとも、ゲバル島まで出向くのか？
このまま何もしないで勇次郎編がスタートするとか、そういう展開になる可能性も否定できない。
そして、刃牙は死ぬ。
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