範馬刃牙 第56話 距離



今回のゾクセイは前回に続き、B:71cmと控えめだ。
いや、違う。
ゲバルが脱走したんだった。
あと、刃牙が放置された。
36話では「俺と闘いたいのならいつでも」と、ゲバルは刃牙を敵として認める発言をしていた。
だが、オリバに負けた途端、見事忘れられた。
刃牙はそんなもんらしい。
かなりナメられているんだけど、刃牙ならその事実に気付かなそうだなぁ。
むしろ、別にいいやと思ってしまいそうだ。
刃牙だし。

そんなわけでゲバルのいない朝が始まった。
看守の「キサマらは人間のクズだ」から始まる熱い点呼が今日もオリバ刑務所の中に鳴り響く。
とても平和です。
刃牙なら老後までここで過ごしそうだ。
過ごしてもいいかな、と思っていそうで怖い。

「外出……いいスか」
「ちょっと外の空気を吸いたいんで ほんの4〜5分…」


と、そんな点呼タイム朝7時の真っ最中に、誰かが看守に素っ頓狂なことを聞いた。
刃牙だった。
ゲバルのいない今、ゲバルの真似をしてアイデンティティを保つつもりだろうか。
隈取を施して刃牙モンド範馬になる。
ところでアイアン・マイケルが普通に驚いているから、何だか不憫だ。

「はァ!?」

絶妙のタイミングで看守が相槌を打つ。
ボケとツッコミが成り立っている。
オリバ刑務所は今日も平和だ。

「ごめん」

刃牙が看守を蹴ったァ!
体重を乗せていない軽い蹴りだ。
だが、ほどよい脱力から鋭さが生まれているのか、この蹴り一発で看守はダウンだ。
ボケたはずの刃牙がツッコミをしてしまった。
お前それでいいのか。

で、当然、緊急警報発令だ
18歳の少年が見せた狂気にPTA総動員だ。
とりあえず、別の看守が刃牙に拳銃を向ける。
いきなり、チェックメイトか?
だが、そこは一流の身体能力を持つ刃牙だ。
大ジャンプをして、看守の後ろに一瞬のうちに回った。
そして、即頭部を両手の親指で叩いて気絶させる。
まったく無駄のない的確にして最小限の攻撃で、刃牙は看守二人を数瞬のうちに倒した。
嗚呼、そういえばこいつ強かったんだ
普段はまともに戦いもしないのに、いざ戦えば強いのがちょっと憎い。

「いってらっしゃァァい」
「行ってこい少年ッッ」
「外の空気たっぷり吸ってこいッッ」
「そのままどこか行っちまえッッ」


囚人の声援を浴びて刃牙は誇らしげだ。
刑務所の一大勢力を治めるボスって感じの貫禄がある。
いや、こいつ何もしていないんだけど

ただ、マリアさんをベッド代わりにした勇者として刑務所内での地位は確立できているのかもしれない。
オリバVSゲバル戦では、やたらとオリバと親しげに会話してたし、何時の間にやら一目を置かれる存在になったのだろうか。

そんなわけで脱走開始だ。
どうやって脱走するのかとなると、いきなり柵の向こう側にジャンプした。
刃牙のいる独房は地上5階ほどの高さだ。
いきなり死ぬつもりか?
と、思ったら、下の階にある柵に掴まっては回転して勢いを殺して降りて、
また、下の階にある柵に掴まっては回転して勢いを殺して降りてと、アクロバチックに降りていった。
正面突破も楽勝といわれたゲバルに対抗してか、刃牙も正面突破を仕掛ける気だった

当然、看守は精一杯の妨害を試みる。
刃牙が1階に着いた瞬間、発砲を開始する。
刃牙は花山やオリバじゃないんですよ。撃たれればきっと大ダメージだ。
なので、かわすしかない。
というわけで、月面宙返りでかわす
ガーレンさながらの動きだが、意味はあるのだろうか?
まぁ、変則的な動きで狙われにくくなるだろうから、ガーレンの月面宙返りよりは意味があるな。

で、ドアを蹴破る。
ドアの向こう側には3人の看守が待ち構えていた。
そして、即座に発砲する。
と、同時に一瞬で接近した刃牙のパンチキックが3人に一発ずつ同時に決まった。
さすが、象より強いカマキリを倒した男だけあり強い。
何気に集団戦ができるのが範馬刃牙という男だ。
こうして戦えばかっこいいのに、普段は何もしないから困る。

刃牙は倒した看守から鍵を奪い取る。
その鍵で次の扉を開け、出口まで一直線だ。
…鍵穴の下にはパスワードを入力するキーが見えたんですけど。
どうやって解いたんだろうか。

ともあれ、無事外に出た。
当初の外の空気を吸いたいという目標は達成だ。
だが、そこにはライフルを持った看守と所長が待ち構えていた
あっさりと刃牙は囲まれる。
所長は勝利を確信したのか、刃牙の目の前に踏み込む。
馬鹿か、こいつ。
一瞬で人質に取られるぞ。
今の刃牙なら人質を取ることなんて余裕だ。
そんなアホ所長は刃牙に脱走の真意を聞く。

「なろうかなって………… アンチェイン…」

僕はアンチェインになれるかな…なりたいな…
てっきり、ゲバルに放置されても傷つくプライドも、ゲバルと戦うという目標も、
どっちも失っていたかと思っていたら、ちゃんと戦いのことは忘れていなかったようだ。
暫定アンチェインになって向かうのは、恐らくゲバルの元だろう
無視されたままじゃ、主人公が廃る。
でも、直接オリバの元へ向かうとか、本場のマクドナルドを食べにいくとかは勘弁な?

「……で 今この時点での結論は?」

「なれるさ 多分ね」


一応、絶体絶命だが刃牙は不敵だ。
刃牙には勝算があるのだろう。
目の前に所長がいるし、ライフルを持っているくせに円形に刃牙を囲む陣形とか。
この状態で撃てば味方にも当たりますよ。
威嚇にはなるけど、いざ撃つとなると何もできない。
何もできずにみんな刃牙にのされるんだろうなぁ。


やっと刃牙が動き出してくれた。
行動があまりにも遅すぎたが、何もしないよりはマシだ。
この調子でゲバル島へ足を運んでもらいたい。
そして、ゲバルとの決着をつけようとしたら、ゲバル四天王が現れるのでみんな倒す。
ゲバル四天王を倒したら、ゲバル城にいるゲバルの元へと向かう。
そこで100人のゲバル兵が襲い掛かってきて、これもみんな倒す。
ゲバル城に踏み込んだら、そこで真のゲバル四天王が現れるとか。

ところで17ページ目に妙に存在感のある囚人3人が現れている
刃牙が刑務所にやってきた初日にも出てきている3人だ。
この人たちがこれからの話に絡んできたりするのだろうか。
そうなれば嬉しい。
というか、刃牙には刑務所にいるってのに囚人と戦うシチュエーションがまだ一度もない
このままじゃボッシュを誘拐損だ。
一度は戦って元を取らないと。


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