範馬刃牙 第58話 刃牙の自由



刃牙はアンチェインになった。
…なったのかなぁ?
アンチェインという称号は、刑務所を出入りできればもらえるものでもあるまい。
ただ一度の結果ではなく、長年積み重ねた実績が必要のはずだ。

例えばだが、ホールインワンを取れたからって、プロゴルファーになれるわけでもあるまい。
ホールインワンを取っただけの素人に、「俺はプロ並みの腕前だ!」と言われても説得力がない。
目の前に本物のプロがいたら、怒るか飽きれるかのどちらかだろう。
刃牙の言ってることレベルなんてそんなもんですよ。

100キロのカマキリ(妄想体)を倒して、勇次郎レベルまで踏み込めたと錯覚するだけのことはある。
むしろ、大統領を誘拐できた時点で、勇次郎と互角と思ったのかもしれない。
刃牙の脳は妄想で出来ています。


刃牙は所長に手錠を求める。
脱獄を完成させた直後にこの台詞だ。
所長を嘗めてる発言だ。

「外出(で)られるか あるいは外出(で)られないのか」
「知りたかったのはそれだけなんだ」


わかったから、自分でフラグを立てた以上、ゲバルに逢いに行け
風邪を引いたら、なぜか普段自分に憎まれ口ばかりしか言うお嬢様が見舞いに来たんですよ。
さらに頬を赤らめながらお粥を作ってくれたんですよ。
幼馴染になんか構っていられるか〜〜〜〜!
PEッッッ。
そんな勢いなのに、フラグを無駄にしている。
なんともったいない。

で、手錠をかけられて、刃牙はオリバ刑務所に戻る。
行って戻るというなんか意味のない行動だった。
自己満足とはこのことか。

が、戻ろうとして開門が行われた矢先にオリバがバイクに乗って現れた
世界のHONDAがとても作りそうにないビックサイズのバイクに、ジーンズ+肩剥き出しのジャンパーだ。
ジャンパーの皮膚防御率は実にひどく、背中しか隠せていない
上腕二頭筋に加え、腹筋まで丸見えだ。
なんですか、この安っぽい雑魚の服装は。
ケンシロウにいいおもちゃにされそうな気がする。



あと、オリバの服装見てたらエディ・Eを思い出した。

オリバは自慢のバイクを思いっきり吹かす。
それ、煙幕?ってくらいの排気ガスが放出される。
さすが、アメリカン。スケールがでかい。
そして、すぐさまエンジンを切り、バイクを降りる。
お前、何のためにエンジンを吹かした
威嚇だろうか。
とりあえず、轟音に刃牙は耳を塞いだので、威嚇としては成功だろう。

そんなオリバは怒っていた。
怒ってます。とにかく、怒っています。
目の前の若輩が気に入らないのだろう。
刑務所的にも気に入らない。
読者的にも気に入らない。
世界にひとりぼっちか?

(怒っている……ッッ あの取り乱したことのないオリバが…)

オリバの怒りは火山の爆発に匹敵するのか、所長はオリバの怒りに冷や汗を流す。
減給どころじゃない処罰が待っているのだろうか。
1ヶ月のオリバの食費を所長のポケットマネーから出すとか。

「俺の自由がオモシロクないのかい」

面白くないだろう。
何が面白くないって、脱走しただけだから面白くない。
というか、脱走できただけで自由になれるものか?
脱走しても指名手配されるなり、追っ手が付きまとうはずだ。
何とも自由ではない。

「俺と並んだつもりか ぼうや」

元祖アンチェインは即席アンチェインが気に入らない。
そりゃあ気に入らない。
地上最自由なんですよ。
刑務所に入るのに大統領を誘拐しなきゃいけないような、不自由な奴とは比べて欲しくない。

「武器を使用(つか)わず堂々と外へ 用が終われば帰る」
「俺とあんた―――――――いったいどこが違うのかなァ」


ホールインワンしたからプロゴルファーと互角と思う馬鹿がここにいた!
いや、何もかも違うと思います。
毎日、脱走できるかとなれば、刃牙には不可能っぽいけど、オリバには楽勝のはずだ。

積み重ねてきた実績に対して、たった1回の結果だけを取り上げ、刃牙は互角になったと主張している。
なんかとんでもなく詐欺っぽいやり口なんですけど、これ。

「外出から戻らなかった時のみ 教えるつもりだったが」
「日本には「お灸を据える」という言葉がある」
「ボウヤ 抵抗は自由だ」


オリバは所長に刃牙の手錠を外すように命令して、(趣味の悪い)ジャンパーを脱ぎ捨てる。
ここで刃牙をボコることにしたようだ。
道理の通じない相手には実力行使しかない。
オリバは全世界共通言語暴力で、アンチェインの真の意味を教えるつもりだ。

立ちはだかるオリバに対し、刃牙は手錠を腕の力のみで引きちぎる。
高い身体能力を持つだけあり、手錠破壊は楽勝だ。
そして、刃牙世界における手錠は破壊されるためにしかない。

「2日前にミスターゲバルと派手に喧嘩し 多少ダメージが残っちゃいるが」
「相手は子供だ問題はあるまい…………って」
「嘗めてんのはてめェなんだよォッッ」
「今日は見逃してやる」
「飯喰って出直してこいッッッ」


刃牙がキレた!
しかも、ただキレたんじゃない。
逆ギレだ!!
逆ギレしつつも、さりげなく戦いを回避するようなことを言っているのが策士だ。
戦いたいのか戦いたくないのか、どっちなんだお前は。

ゲバルとの戦いのダメージが残っていると刃牙は言っているが、それ自体がなんか言い訳っぽい
だって、オリバはショットガンに撃たれた傷が数時間で治るほどの治癒力を持つ男ですよ。
ゲバルに殴る蹴るされたダメージはあるだろうが、2日も時間が経てばほぼ完全に解消できるだろう。
まぁ、2日の間にステーキをたらふく食していなければ治っていない可能性もなくもない。

しかし、なんでこの人はこんなに偉そうなんだろう
刃牙が言われるなら問題ない。
挑戦者側が言われるなら問題ない。
でも、挑戦者側が言ってどうする
失礼じゃん。アンチェインの前であんなハナシ…わたしのこと嘗めてンじゃん、とマリアさんが怒っても不思議ではない。
というか怒れ。

ところでこの人は逆ギレしたらハネられた過去38話
)をすっかり忘れてしまったのだろうか?
あれから時間が経過したけど、オリバと刃牙の力の差は埋まってはいないはずだ。
力量差は絶望的であり、さらにこれといった鍛錬はしていないのに、どうして刃牙はオリバにこうもつっかかるのだろうか?
いや、戦闘は避けるようなことを言ってるけど。
今の刃牙はかなり姑息な気がする。
むしろ、先天的なニート体質なのかもしれない。
やればできる、だが、今はダメだを繰り返してるし。

誰がパンツ履いていいつッたと、パンツすら履かせず金的した頃から、このペテン師ぶりが発揮されたのだろうか。
ここらでもう一度ハネられるのはどうだろうか?
良ければ主人公として目覚める。
悪ければタイトルが範馬勇次郎になる。
うむ、理想的!


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