範馬刃牙 第66話 受刑者は語る



刃牙とオリバの戦いが始まったが、なんか信用できない
この土壇場で刃牙はあれこれ言って、試合放棄する可能性も否定できない。
前回のラスト放ったボディブローも、打った後に「ははは、独房生活が長くて力が出ねえや」と言って、
試合をオリバが言ったTV中継まで延長、勝負をなかったことにするための伏線かもしれない。
なお、ハイキックでオリバにダメージを与えたことは忘れろ。
あと、試合してくれとひざまずくと言ってたことも忘れろ。

もしくは殴った瞬間に、「今日はこれまでにしておくかぁ」とオリバ刑務所編が全てリアルシャドーオチになる可能性も高い。
極まったリアルシャドーは未来予想をも可能とする。
だから、刑務所に行く前には会ったことのないゲバルすらもリアルシャドーできたのだ!
アイアン・マイケルの処遇に関しても、きっちりとシミュレーションした結果なのだ。

まぁ、それはともかく刃牙は壁の穴からちらりと見えるオリバの腹筋にパンチを放った。
本当に戦うのかどうか不安に思われている中の精一杯のパンチだ。
絶対オリバには効かない。
なんかこれほど強く思えるパンチはそうそうない。
アイアン・マイケルのパンチは役に立たないレベルの確信がある。

「重い……」

え?
効いてる?

嘘だ!
アイアン・マイケルのパンチで倒せるのはやられ役格闘技テコンドーだけだ!
あとムエタイ!

「この限られた状況下で放ったボディブロー こうまで体重を乗せることはなかなか…」

効いたと思ったら、重いの意味がダメージが重いのではなく、無茶な状況下で打ったわりには重いということだった。
刃牙にとっては十分なボディブローだが、オリバにとっては十分ではないボディブローなのだ!
よし、イケる!
やっちまえ、アンチェイン!
…本気でオリバを応援してしまった自分はどうだろうか。

「どうだバキ こっちへ来いよ」

お前も豹柄パンツを履かないか?レベルの殺し文句でオリバは刃牙を引っ張る
ただ、力任せに引っ張るだけで技術も何もない。
しかし、刃牙は壁に引っかかり、けっこうなダメージになっている。
壁が邪魔なら、壁を武器にしてしまえばいいのだ。
オリバの方が今のところ一方上手のようだ。

[リッチ・コックス(米国(アメリカ))33歳 懲役18年―――――]
[後に彼(コックス)はこのビッグマッチ最初の目撃者として―――
 受刑者仲間数百人に数百回同じ話をさせられることになる]


と、ここで予想通りにとばっちりを食らっていた隣の房の囚人に脚光が浴びる。
ショウ君的に泣いてわめく巻き添え役かと思ったら、片平恒夫風の解説役のポジションらしい。

「メリ込んだんだな 壁に… イヤ…バキがさ」
「そうしたらさ…」
「引っこ抜いちまったンだな…力で」
「壁がどーなったか……って?」
「ないよ……もう」
「部屋が一つになっちまったんだ」


解説役らしく見事に解説するが、格闘技の解説じゃねえ!
こんな嘘臭い話を数百もするというものだから、聞く方も話す方も根気強い。
いや、オリバのすごさをよく知っているだろうから、むしろ、リアリティに溢れているのかもしれない。

ともあれ、解説通り、オリバは刃牙を壁ごと引っ張った。
純然たる力技だ。
片やボディブロー、片や壁破壊とスケールが海原雄山と富井副部長並みに離れてしまって非常にやばい。
刃牙が逆転するためにこれ以上のスケールの大きさが必要だ。
うーん…
宇宙規模の力を持つ範馬の血の覚醒か?
それだけは勘弁だ!

「スゴかったのは その後さ」
「手足をこう…こんな感じで…」


オリバは刃牙の手足を掴んで持ち上げる。
抵抗が不可能な状態だ。
喧嘩を売ったことを後悔しているのかもしれない。
というか、ビンタ一発で気絶した身分のくせになんで喧嘩を売ったんだろう?

「叩きつけたのか……って? イヤ…違うんだそれが」
「こう……… ワカるかな?
 こう……… バサッ……って
 ホラ……… タオルとかで…」


オリバは刃牙を掲げて、上下に激しく振った
オリバの必殺技、刃牙シェイクだ!
もう脳震盪とかそんなレベルじゃない。
脳内出血すら起こしそうなほどシェイクだ。
ここで刃牙が「今のが俺でよかったなアイアン・マイケルだったらもう殺してるぞ」と虚勢を張れば、どこか見直すかもしれない。

「その後………? 放ってたよ タオルだから…ボスにとっては…」

でも、虚勢を張る暇もなく、真上に投げられる。
ああ、口すら使えなくなったら、刃牙はいったいどうすればいいんだろう?
勇次郎に助けを求めても、ゲバルとのフラグがなかったことにされた今となっては助けに来そうにない。
刃牙、大ピンチだ。

だが、このオリバ、容赦せん。
コケにされた恨みはタオルよりも重いのだ。
そんなわけで宙に浮いた刃牙に、オリバのボンバータックル(仮称)が入る
刃牙に衝突したオリバは壁に関係なく突き進む。
遠慮なく突き進む。

「その後……? 知らねェなァ……」
「なんでか…って?」
「隣行っちまったもの …っていうかずっと向こうに……」


ボンバータックルの勢いは止まらず。
独房の壁を何枚も破ってやっと止まった。
オリバ、脅威の突進力だ。
それに潰れない刃牙の硬さも評価できる。
死んだようにぐったりと倒れているけど。
…やっぱり、喧嘩を売るのは速かった気がする。
せめて、全盛期のアイアン・マイケルくらいはノーダメージで倒さなきゃオリバには勝てないだろう。
アイアン・マイケルを目標のひとつにすると何十年かかっても、オリバを倒せそうにないが。

最近、まったく戦っていないことが災いしたのか、刃牙はやばいくらいに押されている。
もしかして、Jr.にノーダメージで勝てたからオリバくらい楽勝とでも勘違いしたのだろうか?
パンチが効かなかった、一発で気絶という過去を完全に忘却してしまったようだ。
今ごろ、アイアン・マイケルをマウスたちから助けて、少しでも身体を慣らしておけば良かったと思っていることだろう。
あと、アイアン・マイケルが助けに来るに違いない。
ううん、アイアン・マイケルはすぐやられるからダメだと自己完結しそうだけど。

もしかしたら、「さすがオリバは強ェや。でも、俺をタオルみたいにブン回すのは誇張しすぎたかな」とリアルシャドーオチになるかもしれない。
一人で勝手に上下に揺れる刃牙に、アイアン・マイケルはびっくりだ!
刃牙の変態度が急激に加速するので読者的には大満足。


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