範馬刃牙 第67話 刑務官は語る
刃牙がオリバと戦っている。
刃牙が戦っているんですよ。
嘘ではない。
チャンピオンと間違えてチャンピオソを買ってきたわけでもない。
本当に刃牙が戦っている。
ボコボコにのされているけど。
…うん、まぁ、アレだ。
全然、鍛えてなかったからしょうがない。
[アンチェイン・オリバVSバキ・ハンマ
第二の目撃者となったエドワード・バカラ(米国(アメリカ))29歳懲役8年]
ここで解説役の交代だ!
解説役を変えるという奇策がここで炸裂した。
刃牙がボコボコにされるのは想定の範囲内だったが、これは想像できなかった。
いわば本部が解説をしていたら烈海王に解説を奪われたのに相当する。
本部の存在意義が露と消えてしまう。
だが、これは本部にとってもチャンスだ。
「本部以蔵(日本)50歳懲役8年」とかやって、解説交代すれば出番が出てくる。
チャンスだ、本部。
銃刀法違反で捕まれ!
本部はともかく、オリバは刃牙を拾ってドアに叩き付ける。
尿を食らわせたのに笑われた恨みは深い。
まだまだ、ぶっ叩くつもりだ。
対する刃牙はドアに叩き付けられると同時に腕を上げ、ガードの体勢を取る。
さすが、刃牙。
タフさは一流だ。
そのタフさがちょっとだけ憎い。
刃牙がガードを固めた次の瞬間、オリバの右フックが刃牙に決まる。
ガードには成功したものの、刃牙の顔が苦痛に歪む。
刃牙の背中にある鋼鉄製ドアも、あまりのパンチの威力に歪む。
なんか基本的な腕力の時点で天と地の差だ。
大丈夫か、刃牙。
右フックの次は左ストレートがガード越しに決まった。
刃牙はドアもろとも吹っ飛ぶ。
これだけで十分大ダメージだが、柵を乗り越え1階まで落ちた。
パンチのダメージに加え、落下のダメージでダメージ倍増だ。
刃牙は何とか受け身を取ろうとしたが、あまり効果ないだろうなぁ。
アイアン・マイケルならこの時点で10回は死んでるが、この筋肉魔神は容赦しない。
1階まで飛び降りて、刃牙にさらに追撃しようとする。
今まで散々馬鹿にしてきたツケがここで一気に来たとしか思えない。
でも、さっきまでの猛攻を受けながらも立ち上がろうとする刃牙のタフネスっぷりは常人離れを超えて、卑怯の域に達している気がする。
だって、あそこまでやられて、ダメージ表現の基本となる鼻血すら出していない。
…いや、まぁ…この卑怯っぷりは今に始まったものじゃないけど。
「そこからはわたしが話そう」
[ボブ・マッカーシー(米国(アメリカ))27歳刑務官]
また、解説役が変わった!
1度ならず、2度も変わった。
3回目の正直と言うことで、本部が解説し始める可能性は非常に高いことは疑いようない。
「起き上がりざまバキがヒザにサイドキックを疾走(はし)らせたんだ」
オリバのダイナミックな攻撃に別の意味で対抗するように、刃牙は小さい攻撃をする。
膝狙いだ。
パワーで圧倒的に負けていても、膝さえ壊せば相手は立ち上がれなくなる。
そうなれば、刃牙に勝ち目は出てくる。
テニスの王子様ではテニスで勝つのが無理なら、相手の腕を壊して棄権させればいいという戦術が出てきた。
刃牙の狙いは格闘技で勝てないなら、相手の膝を壊して勝つことなのだろう。
HPを0にする必要はないんですよ。ステータス異常マヒにすれば全滅になるんですよ。
刃牙のしたたかさが見受けられる。
あとちょっとセコい。
「難なく掴まれちまった…」
でも、ダメでした。
刃牙のキックはあっさりとオリバにキャッチされてしまう。
筋肉の塊の外見からは想像できない素早さを持つのがオリバだ。
掴まれた後、刃牙は肩の高さまで持ち上げられる。
また、掴まえられてどうするお前。
どうにも、学習能力がない。
あと、わざわざ、身体を水平に保ったまま持ち上げられる刃牙は律儀だ。
…かえって疲れないか、それ。
「蹴ってたよバキは…… 残った足で……………」
オリバを蹴るために、この無理な体勢を刃牙維持しているようだった。
でも、こんな不安定な体勢では力が入らない。
ただでさえ、攻撃が通じていないというのに、こうなるとオリバには少しもダメージを与えられないだろう。
足掻きおる!
刃牙めまさに足掻きおる!
――とボブ・マッカーシーも牛股師範並みに言いかねない刃牙の足掻きっぷりだ。
「わたしはねェ…」
「自分の耳を疑ったよ」
「初めてだもの――――――― あんな音ッッッ」
かつて、ドイルを地面に叩き付けたように、オリバは刃牙を地面に叩き付けた。
だが、コンクリートの地面のため、ドイルの時とはダメージは比べものにならないだろう。
刃牙が叩き付けられたことで生まれたクレーターは深さ30cmにまで達している。
過去、消力パンチなどで同等のクレーターが作られたが、
今回のクレーターは設置面積の広い刃牙で作られたため、その破壊力はそれ以上のものがある。
あと、刃牙は硬すぎる。
潰れる気がまったくない。
と、ここまでで、独房の壁、独房のドア、そしてコンクリートの地面と被害が加速度的に増えている。
刃牙が2週間後まで勝負を待っていたら、ここまで被害は広がっていなかったのに…
さすが、巨凶範馬だ。
被害が無駄に広がっていく。
「しかし―――その時はまだ 我々はその変化に気付いていなかった」
お前、範馬の血がどうとか言うつもりかぁ!
それだけは勘弁だ。
メンゴメンゴオニメンゴ。
散々暴れていたオリバが実は刃牙の作った幻影だったというオチなら問題ないけど。
幻影オリバの叩き付けで刃牙が気絶しちゃったから、妄想具現化力がとぎれてオリバが消えてしまうんですよ。
このオチならいろいろと問題ない!
幻影オリバを出してオリバと戦うという戦法も編み出せて一石二鳥だ。
そして、刃牙は能力バトルものになるのだ。多分。
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