範馬刃牙 第70話 無意識



オリバが倒れた。
そして、オリバが立ち上がる可能性よりもこのまま倒れている可能性の方が高いのが範馬刃牙という漫画だ。
特に刃牙が絡むと対戦相手の瞬殺確率は上がる。
もう瞬殺は勘弁だ!

オリバを倒した刃牙の動きはボブの目には一切映らなかった。
それほどまでに素早い動きだったのか、あるいは目立たない動きだったのか。
判断しがたいが監視カメラは刃牙の動きを捉えていたようだ。
空前絶後の解説編だ!
解説されないまま、投げっぱなしで負けたゲバルのことを少しだけでもいいので思い出してあげてください。


ともあれ、(未来の)ボブは映像を見せながら所長に解説する。
映像のタイマーが動き出してから0.109秒、刃牙が動き出す。
この段階ではオリバは動いてはいない。
オリバが先に動いたところをカウンターを当てたのではなく、刃牙が先に動いていたのが瞬間ダウンの真相だった。
.0.206秒、オリバの片足が僅かに浮き上がる。
その瞬間に刃牙の右ストレートがオリバの顎に決まった
両手をだらりと下げた状態からのストレート、実に0.097秒の神速の打撃だ。
筋力だけでなく理想的な脱力がこの速度を生んだのだろう。
…って、鬼の貌、いらなくないか?

バキ世界において、攻撃の速度が具体的な数値で表されるのは非常に珍しい。
珍しいので今まで速度が明らかになっているものと比較してみる。
マホメド・アライのパンチの速度は0.11秒だった。
そう、刃牙のパンチはマホメド・アライよりも速いのだ!
だが、Jr.のパンチはそれよりも速いと当の本人は言っている。
もしかしたら、刃牙のパンチスピードはJr.と同等程度くらいかもしれない。
こう書くとJr.は鬼の貌を発動させた刃牙とほぼ同じパンチスピードの持ち主っぽくて強そうに思えるが、
Jr.はパンチ以外に鍛えるべき部分がたくさんあるからなぁ。

でも、刃牙がいくら速くても素の状態の勇次郎には劣っている
「グラップラー刃牙32巻」を参照にしてみると、勇次郎の金的は0.1秒、畑中を投げた時に至っては0.03秒だ。
刃牙のパンチよりも3倍速い投げを使えるなんて、勇次郎はどこまでも規格外だ。

さて、ボブの話に戻る。
刃牙のパンチを食らって0.109秒後、0.315秒の時点でオリバは失神したらしい。
えー…それって勝負ありってことですか?
まぁ、ハイキックでダメ押ししない分、刃牙は空気を読んでいるのかもしれない。
もっと別の部分で空気を読んでもらいたいけど。

映像を見た所長はボブになぜオリバが無抵抗であったのかを聞く。
たしかにオリバは刃牙に無抵抗で殴られている。
それは反応することもできなかったからだと思うけど。
ボブも「0.1秒のパンチに反応できるヤツがいるか」と返せばいいのに「オリバの意識はなかった」お得意のトンデモ論で返答する
ああ…ダメだ…
前回からわかりきっていたけど、ボブ・マッカーシーの解説には信憑性がない
今すぐ本部呼んでこい。


シーンは未来の所長とボブの話から、刃牙のパンチでダウンしたオリバに戻る。
このまま、刃牙は刑務所を出て行ってしまいそうだ。
出口には勇次郎が待ちかまえていて満面の鬼笑みでハイタッチしそうだ。
そして、オリバ刑務所編完!となっても不思議ではない。
バキを長年読んでいる自分としては、その覚悟はもう出来ている。
そういう展開になると怒りそうだけど。

「鼻たれのオマエが よもやの急成長」
「やはり範馬の血」
「期待しててよかった……」


なんとオリバが息を吹き返した。
実にありえない展開だ。本当にありえない。
せっかく、お膳立てされて出てきたライバルを問答無用に瞬殺するのが刃牙のストロングスタイルだったはずだ。

とにかく、オリバがあの一撃でKOされなかったのは喜ばしい。
「期待しててよかった」と言っていることから、刃牙との戦いに期待している部分があったようだ。
顔には余裕がある。
Jr.みたいにいっぱいいっぱいじゃない。
これならイケるッッッ。
刃牙ならこの間にも踵で踏みつけそうだから注意する必要があるけど。

「トール・ノーレットランダーシュ著 「ユーザーイリュージョン―――――意識という幻想」」
「著書の中でノーレットランダーシュは述べている」
「「意識は0.5秒遅れてやってくる」――――――と」


ここで起き上がりながら解説開始ィィィッッッ。
先手を取られたオリバだが、解説することで戦いの流れを取り戻そうとする。
さすが、筋肉だけでなく頭脳も規格外の男だ。
戦いの駆け引きを心得ている。
起き上がるや否やハッタリをかましたJr.が脳裏をよぎったが無視

解説を開始しようとするオリバに対し、刃牙は恐ろしく涼しい顔をしている。
自分が優勢になると本当に態度が悪くなる男だ。
完璧な格闘家とベタ褒めしたカマキリも、逆転が分かると防御はからっきしと突っ込むだけある。
こいつ、もしかしてツンデレか!?
ないないそれはない。

オリバが解説の引き合いに出した「ユーザーイリュージョン―――――意識という幻想」という本は実在するらしい。(参考
レビューやらを見ていると、人間のメカニズムをまとめた本ではなく、なんかずいぶん高尚な本らしい。
えー…そういう本を引き合いに出しても…
それとも確信犯か?
驚異の横文字連打で刃牙の脳を左右に揺らす気なのかもしれない。

「人が行動(うご)くとき――――」
「脳が「動け」と命ずる0.5秒前に信号が発せられる」

「つまり――――」
「信号を発してから意識するまでのほんのわずか――――」
「0.5秒間は無意識というワケだ」
「0.5秒間はやりたい放題というワケだ」


えーと、つまり…
人が動き出すには0.5秒の時間が必要ってことか?
オリバの話は人が動くのに信号が必要なのか、脳が必要なのか、今ひとつさっぱりしない。
そもそも、信号が何なのかが今ひとつわからない。

とにかく、オリバ理論では行動する前に0.5秒の隙が生まれるらしい。
その僅かな隙を突く術を刃牙はものにしたらしい。
って、待て。
それってもしかして、0.5秒以内に相手を攻撃できるなら全段ヒットってことか?
なんかけっこう多くの格闘家がその領域に入っているような気がする。
もしかしたら、刃牙じゃなくても達することのできる境地かもしれない。

まぁ、バキ世界の理論にあれこれ言っても話は始まらないから略そう。
刃牙は0.5秒の間、相手を殴りまくれる技術を手に入れた。
それでいい。それだけでいい。問題ない。

というか、せっかく鬼の貌を出したのに地味な能力だ
時を止めるザ・ワールドチック、あるいは超加速するメイドインヘブンな能力ではあるが、いかんせんそれらのスタンド能力よりも応用が効きにくい。
故にどうも地味だ。
刃牙ザ・ワールドを使ってやることといえば瞬殺くらいだ
…それだけは勘弁だ。マジで。

「そんなお宝ではあるが」
「わたしには必要ない」

せっかくの刃牙ザ・ワールドをオリバはあっさり否定だ。
さっきダウンしたことを忘れたのだろうか?
ちょっと前なら何時間殴らせても効きそうになかったけど、今の刃牙は鬼を出している。
殴られるとけっこうまずいかもしれない。

「何故ならわたしには」
「これがある からッッ」

「…………ッッ なんだいこりゃッッ」


オリバは両手を上げ、勢いよく下ろす。
同時にオリバの影が刃牙を包み込む
オリバの姿が映っていないため仔細はわからないが、さっきまで完全に無反応だった刃牙の目が見開く
刃牙すら驚愕する変化がオリバに起きたらしい。
何か巨大化したようにしか思えない。
もしかしたら、ここで54話で語られていたオリバ筋肉を解放すると刑務所すら呑み込むほど巨大という話を持ってくるのか?
オリバの動きはタキシードを破った時と同じなので、タキシード爆裂の真相は筋肉が異常に膨張したからかもしれない。
ついでに何か怪しい汁が出てタキシードを固める。

刃牙に変化が起きたように、オリバにも変化が起きた、らしい。
鬼の貌並みの超変化を起こせば、五分の戦いが繰り広げられるかもしれない。
ただ、オリバが腕を振り下ろしたと同時に0.5秒ラッシュを繰り広げて決着ってのは勘弁願いたい
来週オリバ変化の真相を解説→再来週瞬殺で決着って展開もパスだ。
要するに刃牙には空気を読んでもらいたい。


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