範馬刃牙 第75話 筋肉の向こう側
アイアン・マイケルの忠告を無視して、刃牙が真っ正面から殴り合いを挑んだ!
ううむ、こいつ、本当に刃牙か?
相手のエンジンがかかっていない間に全力で殴り潰すのが、ここ数年のファイティングスタイルだったはずなのに…
悪役(ヒール)らしくない。
なんか主人公っぽいんですけど。
体重差だけで考えると殴り合いでオリバに勝つのは絶望的だ。
アイアン・マイケルですら勝てない。
だが、範馬の前には体重は無関係だ。
純粋に筋肉の質と密度が問われる。
鬼の貌と怪力無双が激突する!
「近いんだね…」
「終わりが………」
その頃、マリアさんはオリバから捧げられた薔薇が枯れるのを見ていた。
薔薇にはオリバのマリアさんに対する愛が込められている。
その愛=筋肉が枯れるような描写は、何かを象徴するようだ。
マリアさんの言う通り、オリバの終わりが近いのだろうか?
もしかしたら、この薔薇はアイアン・マイケルが摘んできたものかもしれない。
この薔薇が枯れるということは、アイアン・マイケルが危ないということなのだ!
そこ、無理矢理とか言うな。
さて、ページをめくると見開きで刃牙とオリバのドアップが描かれる。
拳は当たる直前だ。
どうやら、前回の正面激突宣言はペテンではなかったようだ。
いや、催眠術にかかっているのかもしれないけど。
オリバ、あるいは読者が。
あと、なんでこいつらは妙に笑顔だ。
なんでこんなに笑顔なんだろう。
さらにページをめくると見開きで両者の拳が頬に当たる様が描かれる。
拳がぶつかった瞬間まで笑顔だ。
超スマイル。
もうSmile!Smile!Smile!と叫び出しそうな勢いだ。
そのうち、刃牙はラジカセで喋るようになる。
Smileに行こうぜとか勇次郎に言って裏拳をモロに喰らう。
またページをめくると見開きで拳が顔にめり込む。
拳圧で両者の顔が歪む。
その光景にこの殴り合いがどれだけ壮絶なのかがわかる。
例えるなら、大型扇風機に顔を晒すようなものだ。
あれ?
それってバラエティ番組でよくやることだっけ…
今度もページをめくると見開きで両者の顔が吹き飛ぶ。
拳が見えないことから打ち抜いたのだろう。
吹き飛びながらも、視線は相手の方を見ている。
闘争心衰えずだ。
アイアン・マイケルなら、即背中にいるジョン・L・サリバンを凝視することは想像に難くない。
もう一度ページをめくると見開きで両者が殴られた反動で上体を思い切り反らす姿が全身像で描かれる。
今まで顔ばかり描いていたが、ここで初めて全身が描かれた。
上半身が大きく後ろに反っているが、下半身は不動だ。
見事に踏ん張っている。踏ん張りすぎて見た目がちょっとギャグだ。
また、刃牙がのけぞるなら自然だが、あのオリバも刃牙と同じくらいのけぞっている。
圧倒的なタフネスを誇るオリバを正面から殴って同等のダメージを与えているのだ。
範馬力は侮れない。
次もページをめくると見開きで踏み込む両者の足のドアップが描かれる。
シンプル・THE足だ。
初代足キングの烈海王も満足の足だ。
あまりに足なのでコメントに困る。
ともあれ、二人とも大きくのけぞりながらも、次の攻撃に備えているのだ。
パンチ力だけでなく、精神力も足腰の力も常人離れしている。
どうなるとページをめくると見開きで殴りかかろうとする両者の全身像が描かれる。
刃牙が腕を若干折り曲げコンパクトな体勢で殴ろうとしている。
腰の回転に加え腕を伸ばす力で殴ろうとしているのだろう。
反面、オリバは腕を曲げず、腕力と腰の回転を力を直接たたき込むように殴りかかる。
些細な違いかもしれないが、両者の格闘スタイルの違いが描写されている。
格闘技に長ける刃牙と筋肉に任せるオリバだった。
そして、ページをめくると見開きで拳が正面から顔にめり込む。
今度は頬を殴るなんてものじゃない。
完全に拳が顔にめり込んでいる。
オリバのパワーも恐るべしだが、刃牙のパワーも侮れない。
ぬぅ、範馬の筋密度にはオリバも不利なのか?
そんなわけで脅威の見開き8連発だった。
烈海王に殴られ吹っ飛んだドリアンを遙かに超える8連発だ。
モノローグも何もない。
ただ、肉の激突を見せられた16ページである。
正確には完全な見開きは2回だけで他は1ページ1コマだったが、そんなこと大した問題にならない。
「3人が3人……見られなかったんだよ…」
「スゴすぎて」
そして、ボブの解説が入る。
殴り合いがすごすぎて何が起こっているのか把握できなかっただろうか?
お前それでも武術経験者か。
なお、アイアン・マイケルは驚く暇もなかった。
撃たれちゃったのだろうか。
「ちょうどその頃」
「外柵いっぱいに―――」
「ハゲワシが並んでたって…」
な、なんでハゲワシが寄ってきているんだ!
説明、まったくなし。それが板垣流。
アオリで「”死”が臭いたつ
まさに死闘ッッ!!!」と書かれていることから、なんかどちらかが死にそうだからよってきたらしい。
でも、真相は不明だ。
そんなわけで今週の範馬刃牙は総勢28コマで終わった。(扉絵抜き)
このあまりにも豪快なコマ割りは餓狼伝の長田のバックドロップに迫ろうかという勢いだ。
そちらも扉絵を抜いて数えてみたところ、12コマで終わっていた。
それと比べるとなんと2倍弱ある。
他の漫画と比べると全然少ないけど。
バキのすぐあとに掲載されている「みつどもえ」と比べてみたところ、8ページで51コマ、
20ページで28コマのバキと比べるとコマ密度が2倍ほど違う。
あとゾクセイとは乳密度が8倍ほど違う。
刃牙は今のところ、オリバと五分っている。
オリバは打たれ強さと筋力にかけては(勇次郎を除いては)バキ世界最強だ。
そんなオリバと対等に殴り合えるのは、刃牙の潜在能力の高さを暗に示している。
「小細工を弄して勝ったところでさほど意味はない」と大見得を切るだけのことはある。
ここからどう話が転ぶのだろうか?
純粋な殴り合いでオリバに勝るのか、それとも数週間前に言ったことを忘れて策を弄するのか。
…いや、だって、刃牙ですよ。
やっぱり筋肉じゃ勝てないかぁ、とかさわやかに言いそうだ。
そして、金的する。
むしろ、鬼の剛体術で金的する。
これにはオリバの黄金も砕けざるを得ない。
あと殴り合いは殴り合いでも0.5秒パンチ連発とか。
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