範馬刃牙 第81話 嫉妬
[日本中が見ていた]
[比喩やものの例えではない]
[野性そのものを]
ピクルの公開レイプに日本中は大注目だ。
公開レイプなんてメタルモンスターしかやれない所業だ。
それを一介の野性がやったのは驚愕に値するっていうか野性そのもの=SEXなのか?
野性の見方をかなり間違えている気がする。
これは野性というよりも性欲だろう。
性欲そのものの塊がピクルなんだよ!
というか、いくら野性動物だって牝が近寄った瞬間に交尾を開始しないぞ、日本人。
この異常事態にテレビ局は大慌てだ。
ストライダムも自分がついていなかったのはまずかったと思ったのか冷や汗の嵐だ。
視線が下がっているし相当申し訳ない気持ちなりがあるらしい。
というか、お前がアレン君の次くらいにピクルの脅威を知っているだろうに。
なんでわざわざ衆人の目につく輸送法を行ったんだ?
刃牙は相変わらずの冷や汗顔だ。
一時期破廉恥な真似をしまくった人間だとは思えないが、さすがに衆人環視の中でセックスはやってなかった。
上を行かれた気分なのだろう。
ついでに冷や汗顔の1コマで今回の刃牙の出番は終わりだ。
実に主人公らしい。
[衆目の一致するところは一つ]
[この後 この雄は――――――――
いったい何をするのか!?]
ピクルは拳銃を構えた軍人たちに囲まれる。
ここからピクルは一体何をするのであろうか?
アレン君の一件で文明人でないピクルも銃がいかなる武器なのかは知っているはずだ。
普通だったらけっこうやばい。
でも、ピクルの身体能力の前に拳銃なんて何の武器にもならない。
それを知っているのか、ピクルはまったく焦った様子を見せない。
刃牙だってライフルに囲まれても冷静だったのだ。
この程度で狼狽するようではピクルは自動で刃牙以下になってしまう。
というか、(さっき書いたばかりだけど)なんでストライダムはこんなに警備の薄い形のピクル輸送を行ったのだろうか。
最大トーナメントが行われた時には不測の事態に備えて一流のハンターによる麻酔銃連射+捕獲用の網作戦を準備していた。
ストライダムが最大トーナメントに来ていたのかどうかはわからないが、
勇次郎が大暴れしたことは知っているだろうし、勇次郎がどう捕らえられたのかも知っているだろう。
そして、ストライダムはピクルの強さをティラノサウルス以上と知っていることから、おそらくではあるが勇次郎並みだと解釈しているはずだ。
ここまでピクルを警戒する要素が整っているのにどうしてこんなに穴だらけの輸送を行ったんだ?
根本的な問題として伊波さんの突撃を許すほどのザルな軍人をどうして警備につける!
ただ、ピクルは野性だから警戒が強すぎるとコトがうまく運ばない可能性だってある。
警戒心を見せすぎたアレン君はピクルに殺されかけたし。
もしかしたら、ザルな警備をあえてすることで危険はないと思わせる高度な作戦だったのかもしれない。
でも、民間人女性リポーターの果敢な突撃によって全てが台無しになってしまった。
さて、この警戒状態からピクルが何をするかとなると…寝てしまった。
犯り終えたら寝る。
それが健康の秘訣。
そうなのかどうなのかは知らないが野性は寝ることを選んだ。
警戒心ゼロだ。完璧ゼロだ。
よほど嘗められているんだな、軍人もとい現代人。
下半身を隠さずに寝るあたりが野性だ。
野生か、それ?
ここでペイン博士が再登場して解説を始める。
本部みたいにリアルタイムに解説するのではなく、何物かに答えるような解説――
柳龍光の歯について語った長谷川光臣のような解説であった。
解説の内容は単純に隕石が地球に衝突、恐竜を絶滅させた氷河期はティラノサウルスと戦っているピクルをも凍らせたというものだった。
戦いながら凍らせるというのも無理がある。
ええ、無理がありまくる。
でも、無視だ。
きっとエターナルフォースブリザード。
一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる。
相手は死ぬ。
で、偶然にも塩漬けにされてピクルが生き返った、という「ピクル」における話のおさらいをペイン博士はする。
ここでティラノサウルスは損傷が激しくて復活できなかったという事実がさりげなく語られる。
凍死した生物が蘇るには損傷があるとかないとかの問題ではないが、すでに「ピクル」第1話で突っ込んだ道だ。忘れよう。
ただ、ピクルほどの怪物が凍結するというのも今考えれば奇妙だ。
凍死の危機が迫ったのだ。何らかの生存本能が働くというものだろう。
少なくとも凍るまで戦うなんてことはないはずだ。
それとも氷河期を迎えた地球を見て、
もはや生き残ることは不可能だと悟り最大のライバルであったティラノサウルスに最後の勝負を挑んだのだろうか。
相手も相手で虫の息だろうし、そんな状態で戦うのもアレな気はするが。
「この度羽田空港で起きたあの出来事
被害者である女性リポーターは気の毒と言う他ありません」
「しかしみなさん 彼は2億年前の地球という言い換えるなら他の星から来たのです」
「我々の持つ常識
モラルは一切通用する相手ではないのです」
と、こうしてペイン博士は話を締める。
というか、待てお前。
ペイン博士は常識の通用する相手ではないと知っている。
警察程度で押さえることのできない戦闘力の持ち主だとも知っている。
軍隊を潰したことから軍隊に勝る戦闘力の持ち主だと知ったはずだ。
そして、ペイン博士はピクル蘇生計画にもっとも深く携わっていた人物の一人だ。
なのに何でこんな人事のように物を言うんだ?
ピクルのことをあっさりと発表されて不機嫌なのだろうか。
当初は徐々に情報を公開していくつもりだったし。
次はワイドショーの場面になる。
限りなく水掛け論的にピクルを断罪するかどうかの議論が繰り広げられる。
肉体至上主義の生物にこんなことを言っても無駄だ。
徳川のじっちゃんだって散々犯罪行為をしているのに捕まっていない。
あと神心会も糾弾されていない。
というか、2億年前の人間なんて人類の宝だ。
断罪するとか言うな。
研究対象に使え!
またまた場面は変わって、今度は米軍基地の前。
ピクルの公開レイプにガンギレした伊波さん信者がデモを繰り広げていた。
この数、実に数百人。要求はピクルの差し出し。
差し出せばお前ら全員マッハ3で殺されるんですけどOK?
こいつら、ピクルを人の形をした猿程度にしか考えていないらしい。
信者というのは思いがけないエネルギーを出すけど基本視野狭窄だ。
この中に一人くらいは神心会門下生がいると思うとちょっと微笑ましい気分になる。
ドリアンに吹っ飛ばされたタクシー運転手のごとく微笑ましくなる。
米軍は公開レイプ事件について一切の無回答だ。
まぁ、伊波さんも馬鹿だった。
馬鹿ゆえの瞬発力で軍人を乗り越えピクルに近づけたのは評価できるかもしれない。
でも、馬鹿だった。
とりあえず、人類の宝だし殺すわけにはいかない。
なので、無回答。
日米関係が怪しくなるかもしれないけど、まぁその場合は勇次郎に出向いてもらおう。
きっと、何とかなる。
そう思っていたらズチャ…と非常に重々しい足音が響く。
この範馬足音は間違いない。
範馬勇次郎だ。
「いるんだろ
ピクル……」
予想通りの地上最強の生物範馬勇次郎だ。
何かやばいものを感じたのかデモ隊も黙る。
やはり、勇次郎もピクルの迸る野性に強く感じるものがあったのだろう。
再開数話にして巨頭、もとい巨凶激突か?
「………」 「………」
「通るぜ」
ワガママさも地上最強の勇次郎は軍人の返事を待たずに突き進もうとする。
ピクルのワガママさも公開レイプしたことからかなり高いと思われる。
さすが、通すのはアレだと思ったのか止めようとする。
多分、来週には軍人が肉の塊になっている。
そして、ピクルに関わることのやばさを感じたデモ隊は帰ることだろう。
しかし、米軍基地に乗り込もうとしていたのは勇次郎だけではなかった。
米軍基地の柵をひとっ飛びで越え、侵入したもう一人の男がいた。
これだけの跳躍力を持つ男はドイルか?
いや、それはない。
現代文明の塊の男VS原始の野性の男という対決も見てみたいがそれはない。
さて、侵入した男は弁髪の男――
なんと超一流拳法家烈海王だ!
バキ世界の格闘技においてもっとも深い歴史を持つ中国拳法の第一人者がピクル騒動に乱入した。
四千年の歴史を以て磨き上げられた肉体と拳術の極みと原始の環境下で鍛え上げられた野性の極みが激突するのだろうか?
魅力的なカードがいきなり組まれた。
いや、戦うと決まったわけじゃないけど。
ピクルを神心会の管理下に置くために誘拐に来たとか。
ともあれ、烈海王は範馬一族以外には負けなしだ。
その強さは保証済みでかつて刃牙に烈海王に勝てる人間は地球上を探してもいるのかどうかと言われたほどだ。
ピクルと戦うには申し分のない逸材と言える。
そして、噛まれる分にも申し分ない逸材だ。
範馬一族以外に敗北はない烈海王を倒せば、ピクルの株も上がるというものだ。
烈海王が噛まれるのはちょっと惜しい気もするが、板垣先生は関係なくヤル。
お気に入りのキャラらしいけど関係なくヤル。
強いからこそ壊すのが板垣恵介だ。
例えば現実において大活躍するムエタイのように!
バキ世界において最強の格闘技である中国拳法を壊せば、その爽快感は有り余る物があるだろう。
あー、大擂台賽で思いっきり中国拳法レイプが行われた気もするが。
現在、ピクル(野性)と勇次郎(範馬)と烈海王(中国拳法)の三大勢力が邂逅しようとしている。
いきなり大勢力の争いになろうとしている。
烈海王繋がりで神心会も来るだろうか?
ただ噛まれるだけの存在としてムエタイが来てもおかしくない。
バキ連載史上、一番のいい意味で混沌とした流れになっている。
で、範馬刃牙はどこに割り込むの?
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