範馬刃牙 第86話 本能のままに
悪鬼と野人が出会った。
いきなりの超大物同士が邂逅だ。
周りの面子も十分以上に豪華だが、それに負けないくらいの華だ。
せっかくだから狂獣郭春成も連れてこい!
色黒でロン毛だから、ピクルの代わりに置けるぞ。
身長でバレる。
「”烏合の衆”とはよくぞ言ったもの」
いきなり勇次郎は集まった格闘家たちを雑魚扱いだ。
どこまでも不遜な人だ。
中国の146歳ジジイくらいじゃないとダメらしい。
でも、Jr.を少しでも評価したならここにいる人たちも評価してあげればいいのに。
ここにいる格闘家は全員Jr.よりも強いぞ!
克巳と鎬昂昇はいい勝負かもしれないが。
で、見開きで格闘家たちが一斉に並ぶ。野人のピクルも並ぶ。
ピクルはでかいでかいと言われて、どれくらいのデカさかと思っていたら、なんとジャックと同じくらいの巨体だ。
てっきり2m程度かと思っていたんだけど、2m20cm以上の身長の持ち主らしい。
ティラノサウルスと戦って勝つくらいだから、かなり恵まれた体格をしている必要があるだろうし、これくらいでかいのはある意味必然か。
板垣作品における巨漢は噛ませ犬というジンクスは忘れろ。
アクリルの壁ごしにピクルは勇次郎を凝視する。
現代最強の男が目の前にいるのだ。
何か惹かれるものがあるのだろう。
だが、特別な敵意は見せない。様子見の段階だろうか。
アレン君には敵意を見せたのに勇次郎に敵意を見せていないのも不思議だ。(ピクル3話)
もしかしたら、相手が敵意を持っていた場合に限って、ピクルも敵意を見せるのかもしれない。
アレン君は敵意を丸見せしたから警戒され、今回はみんな敵意よりも興味が前面に出ているから警戒しなかった、とか。
ピクルはもしかしてもしかしたら自己防衛のためだけに戦う比較的平和なヤツかもしれない。
公開レイプは忘れろ。
「烏合の衆って… 誰のことだい…?」
で、そんな中、愚地克己が勇次郎に声をかける。
馬鹿か、オメェは!
もう冷や汗だらだら流しながら話している。
雄弁に負けを物語っている。
知らぬ間に自暴自棄になっている。
何が悪かったんだ。
思わず大擂台賽に名前を変えて出場したら、ボロ負けしちゃったりしたのだろうか。
範海王じゃなく克海王で出場すればよかったのに。
勝つ海王と読むからとても縁起がいい。負け海王だけど。
何とかハッタリを効かせて克巳は微笑む。
冷や汗が虚勢っぷりを加速させているのが大失敗だけど。
でも、勇次郎に見られた瞬間、表情が驚愕に包まれる。
おまけに「〜〜ッッ」なんて派手に驚いている。
なんか克巳の立ち位置がいつの間にか加藤になっている。
つまり、ヘタれ。
「だから相手にもされんのだ――――――――――俺にも刃牙にも父親にも」
「何一つプランも立たぬままやれば何とかなるだろうと」
「敗北を予感しながらも 父親を前にしてうっかり虚勢を張ってしまう」
「しかも瞬殺を免れたなら―― 加勢も期待できると」
白目で勇次郎大説教だ。
ピクルには言葉はないが勇次郎には言葉がある。
早速、勇次郎はピクルとの差をアピールする。
範馬の話術は一級品であり、特に勇次郎の話術はバキ世界の中でも最高峰に位置する。
怒濤の話術を用いることができる分、勇次郎が有利か?
あ、ピクルに言葉は通じないから話術で迫っても意味がないか。
そんなわけで克巳はダメ出しにダメ出しをされた。
虚勢を張っていることを見抜かれ、挙げ句加勢を期待していたことすらも見抜かれる。
虚勢はともかく、加勢を望んでいただなんていくら何でもマズい。
克巳ってこんなにショボい人だったのだろうか?
オリバにビビっていた辺りから何かマズい気がしたが、ここにきてマズさが極まってしまった。
…きっと、一時期加藤を師匠にしたのがマズかった。
驚き役としての修行を積まされたに違いあるまい。
[何もかもを見抜かれあまりにも的確に指摘された若き空手家
もはや取る行動は他にあろうハズもなく]
「邪ッッ」
克巳だって男の子だ。
虚仮にされたままでは気が済まない。
勇次郎に対して手刀を放つ。
しかし、それはフェイントで本当の狙いは右上段廻し蹴りによる奇襲だった。
でも、全然読まれていたのでハンドポケットのまま、あっさりかわされる。
脚を動かした様子はない。勇次郎が小さいながらも技を見せた。
この結果があまりに予想通りすぎたのか、独歩は視線を下に逸らす。
なんか非常にかわいそうな人になってしまった克巳だが、男の子だからかわされてもめげない。
素早く、かつ無謀に勇次郎との距離を詰めようとする。
だが、突如姿勢が崩れる。
足下を見てみたら靴紐を勇次郎に奪われていた。
しかも、左足の靴紐だ。
蹴りにいった右足ではない。
ハンドポケットのまま、蹴りをかわす技を見せた後は超スピードによる靴紐強奪を見せた。
克巳はいいモルモットになってしまった。
そんな克巳は靴紐を顔に投げつけられ、紐が顔にからみつく。
なんかもう、情けなさすぎてどうすればいいのかわからなくなってきた。
ピクル争奪戦初の脱落者が出た。もう間違いなく克巳はJr.並みに活躍できない。
そして、勇次郎はアクリルガラスの前に立つ。
自慢の鬼の筋力で壁を破壊するのか?
アクリルは硬度以上に展性に優れた素材だ。
殴る蹴るの効果はあまり期待できそうにない。
いったいどうやって破壊するのだろうか?
まぁ、勇次郎なら殴って終わりだろうけど。
ついでに鎬昂昇は鍵を差し出そうとする。
お、お前、それじゃ勇次郎のパシリじゃないか!
ピクル争奪戦、第2の脱落者だ。
克巳共々、見事にかわいそうな人になってしまった。
当然のごとく、鎬昂昇を無視しながら勇次郎はアクリルガラスに顔を当てる。
思いっきり当てる。
べっちゃりとアクリルガラスに勇次郎の顔がくっつく。
えーと…何やってんだ、この人。
遊んでいるのか?
歪んでいる勇次郎の顔はギャグ以外の何でもない。
そう思っていたら、押しつけられた勇次郎の顔によってアクリルガラスが引き延ばされた。
勇次郎はなんと押すだけでアクリルガラスを突き抜けようとしている。
異常すぎるパワーだ。
あまりに異常すぎるから格闘家勢は全員冷や汗を流す。
ジャック兄さんだって冷や汗を流す。
ジャックと勇次郎には埋められない隔たりが未だ存在しているようだ。
その隔たりが刃牙よりは小さいと信じたいが。
あと克巳は靴紐を絡ませたまま、驚く。
なんかすっかり情けない姿が似合う人になってしまった。
シコルスキーと一緒に晩酌してみたらどうだろうか?
意気投合してピクルに二人して挑みかかり負ける。
やがて、引き延ばされたアクリルガラスは限界に達し、勇次郎の顔を中心に割れていく。
割れたアクリルガラスの先は尖っている。
それが勇次郎の身体を引っ掻き、そして衣服を引き裂く。
ひいいいいいい。痛い痛い。
これは絶対に痛い。
痛いはずだが、勇次郎の皮膚からは一切の血が出ていない。
勇次郎の筋肉の硬度はアクリルガラス以上らしい。
なんか金属よりも硬そうだからなぁ。勇次郎ボディ。
そして、身体全体でアクリルガラスを押し出し、ピクルの部屋へと押し入る。
勇次郎らしい、ド派手なパフォーマンスだった。
範馬一族は目立ちたがり屋なのだ。
ただ破ればいいだけの壁も創意工夫を以て独創的に、かつ芸術的にぶち壊す。
この一級品のパフォーマンスにより、勇次郎は一歩どころか17歩くらいは抜きん出た。
戦う前から芸で圧倒するのが勇次郎なのだ。
勇次郎とピクルが肉薄する。
ピクルはZENRA130%だ。
対する勇次郎はアクリルガラスによって上着は引き裂かれたものの、下着は全然平気だ。
上は脱げど下は脱がず。
範馬流の紳士道を見せた。
息子はヤンチャンで下着諸共脱ぐ。むしろ、破る。
スマートさが足りない。
今回、勇次郎は克巳の蹴りを技でかわし、スピードで靴紐を奪い、力でアクリルガラスを破ると、
技・スピード・力の三要素を見事に見せつけた。
いや、克巳がモルモット扱いだから技とスピードのインパクトは薄いか。
力は見事にアピールできたけど。
ん?
ということは、アクリルガラス>克巳なのか?
あー、しょうがないよ。克巳じゃアクリルガラスにすら勝てない。
つまらないくらい普通に壁を壊した克巳じゃアクリルガラスにも勝てない。
でも、思えば、勇次郎がぶっ壊した部分は前回放尿したところだよなぁ…
ちょっとばっちい。
勇次郎は放尿を知っていたのだろうか?
まぁ、範馬一族の長なら、放尿程度じゃひるみもしないよな。
放尿大好きな刃牙とゲロ大好きなジャックを息子に持つんだ。
その手のプレイは上等だ。
次回は勇次郎が放尿する番なのだ!
そして、放尿合戦が始まる。
刃牙は家のトイレで普通に放尿している。そして、すぐに寝る。
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