範馬刃牙 第98話 武の懐



驚天動地の烈海王復活だ。
完全にピクルを翻弄している。
思わず烈海王じゃなく烈海皇を名乗りそうだ。あるいは誤植する。
まぁ、大擂台賽に集まった海王たちの中でもっとも海皇に近いのは烈だから、名乗っても違和感なさそうだ。
間違って烈洋王を名乗ってしまえば、即喰われるから注意が必要だ。
なお、復活記念に今回は刃牙が表紙にすら出てきていない。

「……ッッ ………!?」

でも、当の本人が驚愕して困惑しているのはどうかと思う
せっかくかっこよく決められる場面なのに、けっこう失敗している。
しかし、烈海王が表現したいのは萌えなのだろう。
あえて、驚愕して困惑することでカワイサをアピールしているのだ!
現に戸惑う烈を見て抱きしめたいと感じる読者も多い(断言)。

[オマエだよ烈]
[オマエが目指すオマエ… オマエがなりたいオマエ――]
[烈 海王 そのものだ]


ビッグ烈海王は誇らしげに断言しきった。
母性すら感じさせるその姿はツンデレ神様かと思っていたが違っていたようだ。
いや、むしろツンデレを極めた果てにツンデレ神様になった烈海王なのかもしれない
神になった烈海王は時間という制約に縛られなくなったので、ツンデレきれない今の烈海王の目の前に参上したのだろう。

[俺の――…… 完成形………………か!?]

トンデモスピリチュアル体験に烈海王は困惑しっぱなしだ。
思わず目の前の自分を完成形だとか馬鹿なことを言ってしまう
お前、そんなにデカくなりたいのか。
むしろ、幻覚見ていることに気付け。

もしかしたらピクルに噛まれたのがやばかったか?
野生動物は雑菌の塊だ。
ピクルは一見人間だが、超ド級の野生環境で育ってきたし何より2億年前の生物だ。
その身体には現代には存在しない未知の雑菌などもあるだろう。
引っかかれただけで十分雑菌が入り込むというのに、噛まれでもしたら致命的だ。
ウィルスに感染して幻覚を見ている可能性も十分にある。
…あ、逆にウィルスに感染したからこそ、スタンド能力に目覚めた可能性もあるな。

そんな烈を支えるようにツンデレ神様は慈母の笑みを浮かべる。
スペック似の笑顔だけど。
何とも安心できない。胡散臭い。笑顔よりも存在自体が胡散臭い。
アライ父にイロイロ任せるようなものだぞ、これ。

[ところが…… 武はオマエを離してくれぬ]

抱いたぁ!ツンデレ神様が烈を抱きしめたぁ!
むぎゅっと抱きしめた!
きゅーっと抱きしめた!
もう少女漫画のクライマックスのような熱い抱擁だ。
ヘタすれば腕が3本になりかねない。(イメージ画像)

もし「範馬刃牙」が少女漫画だったらこのままレイプされていたことだろう。
お前の体(なか)を…かき回してやりたいのにっ…
いつでも俺の気持ちは…この武術の中に…隠してきた…
顔なんか見なくても伝わるだろ…この狂おしさ…
来いよ…俺の全ては闘技場で教えてやる…
中国拳法が俺にもっと輝けと囁いている…

(最後のは違うだろ)

[委ねてみろ…]

ツンデレ神様は追い打ちと言わんばかりに耳元で甘く囁く
責めるな受けろと。
ウブな生娘ならこれだけでベッドに直行しかねない。
まるで黒砂糖を蜂蜜で煮込んだような誘惑だ。
烈の耳をそのうち甘噛みしそうで怖い。
あひゅッッ…

たしかに前半のピクルに対する攻めは総受けの烈海王らしくなかった。
タクタロフ相手にサンボの土俵に持ち込んだように、マウント斗羽の奇襲を受けたように、受けてからが烈海王の本領なのだ。
ピクルにSMプレイのように手痛い目に遭わされ、公園での羞恥プレイのごとくのグルグルパンチにより、
烈海王のマゾの血が覚醒したのだろう。
もはや心は拒絶すれど肉体は快楽を享受する状態になっている!

[4000年を背負うなどと 構えずに………]
[武を護るなどと 気負わずに……]
[身をまかせる…]
[そうでもしなけりゃ…… 背負うなどとてもとても…]


ツンデレ神様は要するに気楽にやれと励ます。
烈海王は真面目ツンデレだから融通の利かない部分がある。
中国拳法の象徴の郭海皇を見習え!
勝手に100年に一度の大会をなかったことにするし、気に入らないヤツは身内でも手を切り落とすぞ!
…かえって中国拳法の地位が地に堕ちるよな、これ。

「とてもとても…」を8連呼して、ツンデレ神様は烈を本格的に洗脳しようとする。
烈は完全に魂が抜け落ちたようにぼーっとする。
隙だらけだ。実に隙だらけだ。
まさにどぢっ娘。
ツンデレであり、なおかつどぢ。最強だ!

ここまで実に7ページ。
7ページも無視されたことが悔しかったのか、ピクルが烈海王に再び襲い掛かる。
口を大きく開き、噛みつこうとする。狙いは顔だ。
やばい。ボケている場合じゃないぞ、烈。
ピクルの咬合力を持ってすれば烈の頭蓋骨は一瞬で噛み潰されることだろう
まさに致死の一撃だ。

ピクルはロシア殺しを決めた直後には首筋に噛みついた。その次に肩の肉を狙った。
どちらも致命傷にはならない場所だ。ただし、肉は多い。
が、今回は顔という肉は少ないが致命傷になる場所を狙った
食欲よりも闘争を優先している。
これは烈を敵と認めたということだろうか。
涙が止まった原人は何を思う。

ピクルの噛みつきに対し、烈は平手によるアッパーで迎撃する
無駄な力のないスマートな一撃だ。
バキ世界ではジャック戦で噛みしめていないところに打撃を喰らうと大ダメージ理論が確立されている。
そのためか、あれほどダメージがなかったピクルものけぞる。

しかし、それだけでやられるピクルではない。
今度は自慢の爪を突き立て振り下ろす
またも顔狙いだ。
まともに喰らえば烈の顔面の皮が一気に剥ぎ取られかねない。
それを髪を爪に絡ませるほどの紙一重でかわす
今の烈はピクルの攻撃を完全に見切っている。
これがスピリチュアル効果か。

[どこまでも…………]

ピクルの攻撃をかわした烈は右腕を「ヒュラ」と軽やかに振る。
力が入っていない。
しかし、中国拳法は脱力さえすればクレーターを作れるので力は無関係だろう。
脱力から放たれる一撃はどこを狙う!

ビシャッ

金玉だッッッ。
全裸のピクル最大の弱点についに打ち込んだ。
しかも、生ですよ。生で手ですよ。
むにゅっとした感覚が烈海王を支配していることだろう。板垣風に言うならば無柔っ。
常時の烈なら思わず打ち込むのを感触的に躊躇いそうな部位だが、今の烈なら遠慮なく打ち込む。
むしろ、感触を楽しむ。
ピクルの…大きくて…柔らかい…と思っていることだろう。多分ない。

[疑わず………]

さすがのピクルもこれには大ダメージだ。
がっちりと股間を押さえる。
ええ?股間を押さえるの?
今まで圧倒的な部分だけを見せてきたピクルだが、ちょっと株を落としてしまった。
金的はバキ世界においてジャブみたいなものだから、打たれてもしょうがない。ダメージを受けてもしょうがない。
でも、喰らった後に股間を押さえるのはまずい
グルグルパンチ並みにキャラとしての品性が落ち込む。
シコルスキーとか、Jr.とか、刃牙とか、股間を押さえたキャラは皆堕落している。

[どこまでも 信じきり]

股間を押さえて隙だらけのピクルに追い打ちをかけるように烈は右背足を顔にぶちこむ。
完全なノーガード状態への一撃だ。
さらにリズムよく、延髄にハイキックを打ち込む。
金的からの完璧な連携だ。
ピクルの脱力状態を狙い澄ましているところが今までと違う。
やはり、勝利の鍵は金的か。
あと5回くらい殴っておこう
揉んでもいいよ。

[どこまでも……]
[どこまでも…]


金玉を打たれ、前後から蹴られ、ダメージを受けたのかピクルは呆然とする。
呆然としているのはいつものことだがいつもよりもレベルが違う。…気がする。
そんなピクルに対して烈は高く足を上げる。
カカト落としか!?
いや、烈の足の指は妙に大きく開いている。
カカト落としとは違う技が炸裂するのか!

[武の――――――――]
[懐へ……………………]


烈はピクルの髪の毛を足で掴み、下に一気に引く。
脅威の足握力を誇る烈海王ならでは驚愕の足技だ。ピクルの髪の毛が耐えきれずに抜ける。
体勢を崩したところに膝蹴りと肘打ちの中華サンドイッチを顔面に決めた
今度こそ大ダメージになるか。
これで効かなければ中国四千年とか投げ捨てて逃げた方がいい
あと背景にあるキモい赤子はなんですか。

[それが すなわち……]
[4000年を背負うということッッ]


モノローグ付き連続攻撃を終え、ついにピクルがダウンした!
これには徳川のじっちゃんも大興奮だ!
結局、戦い見たいだけかよお前。
相手は文化遺産だし、烈だって殺されそうになったし、もうちょっと心配しようよ。
ペイン博士なんかピクル死んだんじゃね?というくらい驚いているし。

あとピクルの倒れっぷりがマケボノって感じだ。
金的といい、ピクルのキャラクター性が失われてきている
これがグルグルパンチの呪いか?
次回へ続く。


ついに烈が逆転した。
金的も責めたし申し分ない。
もう海王60年は出し尽くしたという感じだ。
それだけにこれからのピクルの反撃が怖い
力だけでは勝てないと刃牙が言いながらも、力だけでも勝てるのがバキ世界だ。
烈が本領を発揮したようにピクルも本領を発揮する可能性が高い。

しかし、ピクル緒戦とは思えないほど盛り上がっているが、これ以降どうやって続けるのだろうか。
連載中止して出したキャラがJr.程度の扱いに終わるわけがない。
また、烈だからこそ、ここまで健闘できてもいる。
克己だったら背骨折られた時点で勝負ありだ。
克己とか昂昇とか寂海王とかの微妙な立ち位置にいる人はどうするんだろう。

ところでなんでピクルはいきなりダメージを受け始めたのだろうか。
頚動脈蹴りとか、今回の攻撃よりもやばいダメージがありそうなんだけど。
と思ったけど、これ、独歩VSドリアンで越えた壁だよな。
あの時も何で催眠術を破られた途端にダメージを受け始めたのだろうか。
心の問題か?
なら、ピクルレイプがこのまま続くとか。

ここ最近の流れはなんか烈が主人公という勢いである。
刃牙はいきなり範馬力を引き出すのが悪いのだろう。
もうちょっと、苦戦しようよ。
そういうわけでピクルと戦う時が来たら、まずは噛ませよう。
そして、未来の自分が助けに…来そうにない。
無視するよな絶対。現に親友とも言える烈が命がけの戦いをしているのに来てないし。


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