第250話 もう一人のハンマ
前回の「食イ終ワルマデ待ッテロ」発言通り、Jrはジャックの食事をイスに座ってじっと待っていた。
だが、ジャックはアクセル全開で食べる。
脅威のステーキ一気食いだ。
いろいろな意味で偉業だ。
そして、さすがは範馬一族だけのことはある。
なんだか目立ちたがり屋です。
「急ガセテシマッタカナ………?」
数々の生贄がJrを変えたのか、やたらデカい態度でふんぞり返っている。
ポーズも高圧的で生意気だ。
この無謀には店員も冷や汗を流す。
まぁ、食事中にジャージの黒人が乱入してきたら誰でも困りますが。
「イヤ…オレガ勝手ニ急イダ」
「食事ヨリズットスバラシイコトガアリソウナノデナ」
だからってステーキを一気食いすることはないだろう。
あんた、急ぎすぎです。
絶対喉につっかかります。
それ以上にお前はどこからそんな収入を得ているんだ?範馬の七不思議か?
なんにせよ、ジャックも戦いに飢えていたようだ。
あのロシアの死刑囚をボコっても満足してはいなかったらしい。
…まぁ、あれだと満足できるはずはないんだけど。
「ン〜〜〜………」
「ソレハドウカナ…」
「僕ニトッテハスバラシイコトデハアルガネ」
「君ニトッテスバラシイ事カトワレルト……」
Jrの不遜な態度は止まらなかった。
「俺は勝つからいい経験できるけど、君はどうせ負けるからいい経験なのかな?」…という、
とことん嘗めきっている発言だ。
相手が烈老師だったら、「貴様は中国拳法を嘗めたッッ」と飛び道具攻撃を食らうことは間違いない。
しかし、ナニが彼をこんなに変えたのだろうか?
達人たちへの勝利か?それとも梢江フェロモンか?
だが、そんなJrの態度にジャックも腹が立ったのか?
Jrの目の前にいきなり出現した。
あの巨体で素早く、音もなくJrの前まで移動したのだった。
ジャックの恐るべき身体能力にさすがのJrも冷や汗を流す。
この調子で戦闘中も冷や汗を流してください。
それはもう、範海王並みにダラダラと。
「モット広イ場所ニシタカッタノダガ……」
「昼ハ人目ニツキヤスイノデ」
「ジュウブンダ」
廃ビルらしい場所に移動する。
不規則に柱があり、足元には水溜りがある。
とてもではないが戦うのに適した場所ではなさそうだ。
(回想)
トイレの中や電話ボックスの中で戦ってたなぁ…
(回想終了)
ごめん、ここってめちゃくちゃ戦いやすいですね。
こういった荒れた場所なら、パワーファイターのジャックに分がありそうだ。
場所が狭いため、若干動きにくそうだが関係ない。
電話ボックスの中で見せた立ち回りがジャックにはあるのだ。
まぁ、パンチしていただけですが。
とにかく、戦いは開始(はじま)った。
ジャックが渾身の左パンチを放つッ!!
だが、Jrはあっさりとかわし、テンプルにカウンターのパンチッ!
打ち所が悪かったのか、ジャックが地面に膝をつく。
〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!
異常なタフネスの持ち主のジャックがダウンッ!?
拳王様が膝をつけた時のような衝撃だ。
Jrの打撃力は範馬にも通用するのかッ!?
「ビューティフル……………」
苦しいな状況だが、ジャックには余裕があった。
思えばジャックの戦いの全てが相手に先手を取らせていた。
Jrの攻撃も予想内なのだろう。
とすれば、次週からが本番だ。
範馬VS天才ッッ!!
今だけは範馬を応援したい気持ちです。
ネット界のJr人気は非常に低い。
達人や武神といったバキ界屈指の人気キャラをあまりにもあっさり倒してしまったからだろう。
また、全体的に単発試合だけなのもその傾向に拍車をかけている。
せめて、苦戦の末にギリギリの勝利を収めていたのならJr人気はここまで低くならなかったはずだ。
そして、この戦いをJrはどう切り抜けるのか?
インチキ範馬に為すすべもなく屠られるのか?
それともインチキ魔法滅土の才能で範馬を上回るのか?
個人的にはジャックに勝ってもらいたいです。
やっぱり、範馬=強いはインチキ構造ながら、バキ世界において非常に重要だと思うんで。
それはムエタイ=無勝や本部=無勝と同じくらい重要な要素です。