第257話  こっちの世界


自らあがいて手にいれよ!それが「力」だ!!
雄々しいアオリで始まる今回のバキ。
こういうアオリは格闘漫画ならではですね。
刃牙が自らあがいて手に入れたのは梢江ちゃんだけだろ?とか、言っちゃいけません。
今はJrも自らあがいて松本梢江をモノにしようと頑張っています。
手に入れる価値があるのかどうかは甚だ疑問ですが。

 

達人に惨敗したJrはまた梢江にイヤしてもらうべく、ファミレスでデートしていた。
場所は前回と同じ『オーガスト』のようだ。
しかし、いい加減、デートの場所を変えるつもりはないのだろうか?
財力はあるんだから、豪華なレストランで戦えばデートすればいいのに。

「ゴメンナサイ……」
「モウ少シオシャレヲシタカッタノダケレド…」

Jrは達人に受けたダメージが大きいようで、木の皮にぶつけられた額と折られた左人差し指にはテーピングが巻かれていた。
数日前よりもひどくなった怪我に、梢江も思わず「うわァ…」と声をあげる。
なんだか危機感のない悲鳴だが、梢江のことだからこういう事態に慣れているのでしょう
知り合いの大半が格闘家ですし。ええ、はい。

Jrは満身創痍の肉体をカバーするべく、タキシードを着込んでいる。
刃牙には4000年経過してもできないファッションに梢江はメロメロ(死語)だろう?
しかし、傷だらけのため、どうみてもカタギには見えない。
最低限、譲歩しても先輩からのお叱りを受けたホストくらいだろうか。

梢江はJrの怪我の原因を渋川老との喧嘩なのかと問う。
Jrは2コマに渡り考えた末、「ケンカデハナイ…」と主張した。
いろいろあったが、本気の達人と戦い、そして敗北した。
あれはJrにとって、正真正銘の決闘だったのだろう。

しかし、梢江の視線は冷たかった。
傷ついたJrをイヤすつもりなどないような冷たい目だ。
なんだか、ヒロインのくせにこういう目がイヤに似合うのはなぜだろう?

「バカヤロウ」

梢江の冷たい態度についにJrがキレた。
――と、思ったら、どうやら梢江が言ったようだ。
って、梢江デスか。
スゲエ、迫力だ…
さすが、松本梢江だ。萌えの新境地を開拓しすぎて、誰もついていけないところまで達している。

「強いのは俺 イイヤ俺が強い」
「イイヤ俺ッ イイヤ俺ッ」
「強いんだ星人」

『グラップラー刃牙』時代の梢江は闘争というものに否定的だった。
そして、それは今も変わっていない。
梢江はボロボロの身体でも戦いを続けるJrを理解できていないようだ。

しかし、この言葉はあんたが言えるのか?
梢江はバキに入ってからというものの、
シコルスキーを拉致監禁した。 (監禁されたのは梢江です)
花山の足を折った挙句、岩石の投擲でダメ押しした。 (足折ってないし、岩石も投げてません)
スコルスキーと柳を一人で圧倒した。 (圧倒したのは刃牙です)
猛獣の連撃で烈海王を屠り去った。 
(屠っていません)

勇次郎の次くらいに闘争を愛しているような人間に思える。
テメェのツラ見てみな、笑っているぜッッ。

梢江は格闘家を異星人扱いまでしている。
たしかに格闘家一同の中にはどうみても異星人にしか思えない人も混ざっている。
もちろん、範馬のことだ。
他にもデカくても弱い巨人星人必ず負けるムエタイ星人など、いろいろな異星人がいます。

しかし、読者的に言わせると異星人なのは梢江、アンタの方だッ!!
私はどうしても梢江を地球人とは思えません。
なんというか人間を超越した迫力を保有していますので。

「傷ツイテイタンダネ…………」
「僕ノタメニ………」

Jrは思いっきり好意的に解釈した。
いや、やりすぎだろう。
それでも、梢江には効果があったのか。
ついつい「イヤイヤイヤイヤ」と全力で否定した。
もちろん、その顔は242話で見せたあの形だ。
この女ッ、美少女がどこまで美少女から遠ざかれるのかを試しているのかッッ。
なんという覇気ッ。なんという胆力ッ。
その閃光を浴びた読者は例外なしにイヤな気分になれます。

その形相を傷ついた身体で直視してしまったJrは思わず目を見開く。
今まで恋は盲目、あばたもえくぼ状態だったJrさすがに自分の選択が誤っていることに気づいたか
気づくのが遅かったが、遅すぎたわけではない。
人間はやり直せる。梢江を捨ててしまえば、君は順風満帆な日々を過ごせるさっ。

しかし、Jrが驚いたのは梢江の奇妙な面構えにではなかった。
ガラスの向こうに立っている白い背広、丸まった肉体、眼鏡、傷だらけの顔、そして眼帯の男を見つめていた。
間違いなく武神愚地独歩だ。
それにしても白昼堂々とやるべき格好ではない。
どうみてもカタギには見えない。黒世界の人に見える。自分の前にこんな男がいたら、迷わず避けて通ります。

Jrは冷や汗を流す。
下痢になってしまい急いでトイレに急行したのはいいのだが、全ての便器が使用不可能になっているような危機的な状況だ。
そんなことになれば自分だったら泣きます。

梢江も「愚地センセイ…………」とつぶやく。
さすがに覚えているようだ。
それにしてもセンセイ? もしかして、直弟子なのか?
そういえば、グラップラー刃牙時代の刃牙VS猪狩戦で、独歩は梢江に丁寧に解説していた。
そこから、二人の武術家としての絆が芽生えたのだろうか。
花山薫や烈海王に躊躇なく拳を振るえたのは、実戦主義の神心館で鍛えたからだろう
もちろん、全て推測(妄想)デスが。

独歩は幾多の鍛錬で丸くなった異形の拳でJrを呼ぶ。
ファミレスに入らなかったのは、Jrと梢江の間に険悪なムードが漂っていたからだろう
その場にヘタに飛び込めば、梢江の猛獣の連撃で屠られるのは間違いなかった(たぶん)
さすが、武神。 ベストな選択をしている。

結局、Jrは梢江よりも武神との事情を優先した。
やはり、梢江の優先度は戦いよりも低いらしい。
それとも、あのツラを見せられたから引いてしまったのか?

 

「おあつらえの空き地だ」
「人が通るのは5分に1〜2回…………」
「3分以内に終わらせりゃいいワケだ」

都内で偶然見つけた空き地で独歩とJrのリベンジマッチが始まろうとしていた。
でも、「人が通るのは5分に1〜2回」ってよく知っていますね?
喧嘩好きの独歩なら、喧嘩に適したポイントを把握しているということなのか?
それとも前もって下準備をした場所なのか?

3分以内に決着発言を独歩はした。
この人、本気で3分以内に終わらせるつもりだ。
達人同様、本気モードらしい。

「アナタハ数日前……」
「僕ニ殺シ合イヲ挑ンダ」
「ソシテ敗レテイル」
「アレハ決着デハナカッタノカ」

独歩のリベンジに不服なのか。
非常に痛いところをJrは突いた。
本当に痛い。痛すぎる。
だが、独歩はそれを肯定したうえで、戦いたいと宣言した。
正論には開き直りで対抗する。
戦法としては正しいが格好良いとはいえない。
だが、独歩はそこまでしてでも、Jrを叩き潰したいのだろう。

やる気満々の独歩に対し、Jrは自分には怪我というハンデがあると言う。
どうやら、あまり戦いたくないらしい。
まぁ、直前に地上最強の雌と戦ったわけだし、重傷人だし。

「おめェさんまさか…」
「怪我人を相手に卑怯だなんて言うんじゃねェんだろうな」
「人間生きてりゃ飯も食えば酒も飲むんだ」

「ケガもするし病気もするだろうよ」
「ベストコンディションなんて望むべくもねェ………」

「それがだぜ」

だが、独歩の言葉は非情なモノだった。
行住坐臥、戦いに身を置くのは武道家の精神だ。
そして、今の独歩は武道家としての独歩だ
例え、右手を切り落とされようが戦うのを止めない。右腕がギブスに巻かれた状態でも逃げ惑うことはしない。
思えばドリアンとの戦いで見せた独歩の精神はまさしくそれだった。
武道家に肉体の不調は言い訳にはならない。

さっそく、独歩は不意打ちの蹴りを放つ。
軽い蹴りだ。
しかも、狙いは折れた左人指し指だ。

「アイイッ」

ドリアンの砕いた指を強打する独歩ならではのエゲツナイ攻撃だった。
Jrは奇声をあげてしまう。
見事なリアクションだ。
だんだん、Jrが負け犬になっていっているのは気のせいでしょうか?
なんか末期のシコルスキーみたいな雰囲気だ。

「坊やとはもう2度とやりたくねェ」
「俺らにそう言わせてみな」

Jr VS 独歩2回戦目の始まりだ。
これが真夜中ならJrの頭上に死兆星が輝いているのは間違いない。
ジャックにぼこられ、達人にぼこられ、独歩にぼこられる(であろう)Jrの役どころはかなり崖っぷちだ。
果たして、梢江を手に入れることはできるのか?
刃牙との戦いはどうなる?
というか、刃牙はどうした?
次号へ続くッ!!

 

Jrが歴戦の勇士に次々と弄られている。
今回も弄られることだろう。
ドリアン戦で見せた『怖い独歩』の前にJrはどんな目に遭ってしまうのだろうか?
耳を斬られ、指を折られ、胸骨を破壊され、膝を壊されるだけでは足りない。
まだ、玉が残っている。
前回の戦いでは玉を狙いながらもかわされてしまったため、今回は玉を執拗に狙っていくことだろう
「ほいっ」(メタァ)「ほいっ」(ベチィ)「ほいっ」(グシャア)「ほいっ」(ピシィ)と、
長き連載の中でもトップクラスに位置する壮絶な玉責めが行われるに違いない。

玉責めをされ、敗北したJrは股間を押さえながら、梢江とのデートに望むことだろう。
だが、そこに現れたのは除海王だったッ!
玉の怨みは強い。
Jr、ついに不吉の象徴、巨漢に弄られてしまうのかッ!?
でも、除海王に負けるようなら、Jrは本当に終わりだなぁ。
本部に敗北した柳並みにまずいことになる。


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