第268話 大変な勇気


刃牙との対決もついに秒読み段階だ。
でも、開始(はじ)まるわけではない。
あくまで秒読みなのです。
そんなわけで刃牙は出てきません。


Jr.はホテルから出て、地下闘技場行きのS級VIPカーに乗る。
運転手は21巻に登場した人と同様だ。
さすが、Jr.。VIPカーに乗れるなんて待遇がいいです。
これがシコルスキーあたりだったら、電話ボックスに入れられたまま、強引に拉致されるところだ。

「あのチャンピオンと禁じ手一切なしの試合をするなんて」
「大変な勇気です」

ッッ!!
運転手の人が刃牙を擁護したッッ。
前回、強敵(とも)たちに敗北予想されるほど刃牙に対する風当たりは強かったのだが、この人は実に優しい。
しかも、「父親の範馬勇次郎氏という例外を除くなら」「世界最強でしょうな」とお墨付きだ。
でも、実際に立ち会っていない人の意見だから、あまり参考にならないのかも。

「大変な勇気だ」
「男として尊敬申し上げます」


たしかに刃牙と戦うとロクなことにならない。
まず、金的大好きだ。
ヘタすると男として再起不能になる。
しかも、パンツを履くことすら許さない
全裸のまま戦うことを強制されるのだ。
とどめには放置プレイされる可能性もある。
肉体的だけではなく、精神的にも責めるのが範馬刃牙なのだ。
…って、アレ?全部、シコルスキーの例のような…


ココノ――
地下6階ニ…………
闘技場ガアル


Jr.はついに地下闘技場に足を踏み入れようとしている。
それなりに緊張しているらしく、モノローグ付きだ。
でも、モノローグくらいカタコトじゃなくてもいい気がするのは自分だけだろうか?

武器ヲ手ニスルコト以外ハ――
全テガ許サレル
反則ガナイ
レフェリーガイナイ
K.Oナックアウトスラモナイ


Jr.は今再び地下闘技場のルールを確認する。
ルールがないのなら、大擂台賽も同様だったと思う。
ついでに今までの路上バトルもルールはなさげだ。
あと、KOくらいは十分にあるような気がする。
寸止め決着もあったくらいだし。

もしかしたら、Jr.はアライ父に誇張された情報を吹き込まれたのかもしれない。
「刃牙を殺さなきゃアンタが殺されるぜッッ」と煽って戦意を上昇させたのだ。
こんな策士っぷりを炸裂させた可能性が十分以上に高い。

究極ノ完全決着ッッッ

Jr.は緊張からか恐れからか、いずれにせよガチガチと震えだした
そりゃあもう、勇次郎の目の前に立った小坊主のような反応だ。
この反応は実にヤバい。
途端にJr.が勝てる気がしなくなってきた。
でも、ここまで緊張する必要はないだろう。
出場(で)るだけならマイク・クインにも出来たんだし。


ナニヲシテイル?
コウシテイレバ勝テルノカ
俺ハ――――――――――――
勝テルノカ!?


控え室に一人ぼっちで置き去りにされたJr.はアップを始める。
でも、あまりにも全力全開すぎる。
必死の表情で汗びっしょりだ。
もう少し抑えないと試合に回す体力がなくなってしまうだろう。

大擂台賽の時はさしたる緊張もせず試合に望めたが、今回は異常に固くなっている。
まぁ、かませ犬な巨漢や名前だけの海王との戦いは緊張するほどのモノでもないのかもしれない。
だが、刃牙だから緊張する、というのも違う気がする。
同じ範馬であるジャックと挑む時は連勝効果もあるのかもしれないが、ずいぶんリラックスできていたし。

コノ廊下ヲ………
戻ルトキ………
俺ハ……
歩イテ………


ついに試合の時がやってきた。
でも、相変わらずJr.は緊張した面持ちだ。
歴戦の勇士すらも緊張させるのが地下闘技場効果なのか。
それとも、久し振りの勝利を手にするために緊張しているのか。
ここはアンドレアス・リーガンを見習うべきだ。
あの人、刃牙に100%勝てる気でぶつかって惨敗してたし。

オオオオオオオオオオ

ついにJr.は地下闘技場に足を踏み入れた。
轟くのは相変わらず下品な観客たちの雄たけびだ。
久し振りの大勝負に観客たちも大興奮だ。

歩イテ帰レルノカ!!?

Jr.、ビビりっぱなし。
ここの観客はヘタな試合をするようなら、間違いなく帰してくれないだろう。
そりゃあ、その間実に2秒で終わる試合ワケわかんねぇ試合が繰り広げられると暴動が起こる
最低でも金玉は蹴られなければ無事に帰してくれないのは間違いない。
生還の鍵は金的だ。

そして、ついに刃牙が登場しようとしている――というわけで、次号へ続く。
冒頭でも書きましたが、またまたまたまたまたまた刃牙は出てきません。
次こそは出てくるのか?


Jr.はやたら固くなっている。
この調子だと刃牙との戦いが思いやられる。
序盤は不利っぽいが、前回「アライJr.が完成する」発言をアテにすれば、後半一気に盛り返しそうだ。
そして、刃牙に勝ってもらいたい。
Jr.が負けてしまうと刃牙には勇次郎と戦う以外に生きる選択肢がなくなってしまうし。

次回はいよいよ刃牙が再登場する。
刃牙が最後に出てきたのは249話だ。
もう19話も、5ヶ月も主人公が出ない漫画なんてそうそうない。
チャンピオン以外には間違いなく存在しない。

でも、今回姿を見せていないのが不安要素だ。
次回、廊下から出てきたのが加藤(車イス中)かもしれない可能性も否定できない。
なんだか試合直前になって「俺は誰とも戦う気はないんだ」とドタキャンしそうで怖い。
もう刃牙に対して前向きな予想ができないのは仕様なのかッ!?

一番怖いのは梢江を駅弁しながら登場することだろう。
そりゃあもうジェーンを駅弁しながら登場した勇次郎並みの気迫で出てくる。
もしそうなったら密かに隠れていた一流のハンターたちが「シィィィトッッ」と言ってバンバン刃牙を撃つことになるだろうな。
当然、弾は麻酔ではなく鉛弾だ。
でも、撃つ前に視覚をやられるかもしれない。
自分もちょっと想像したら眩暈がしたし。


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