第271話 命のやり取り



いきなりですが、jr.さん、大ピンチです。
ファーストコンタクトでダウンする馬鹿がどこにいるか。
富士山に登ろうとしているのに、小石につまづくような大失態だぞ。


「まだやるかい」

刃牙は前回のまま、不遜な態度とポーズと台詞だ。
「まだやるかい」ってアンタは花山かよ。
主人公のくせに弱者の叩き潰し方を熟知している人間だ。
…あれ?Jr.って弱者だったのか?

バッ

Jr.は閃光のような速さで立ち上がる。
ボクシングを基盤とするアライ流はダウンしたまま戦うのは利口ではない。
まして、相手はグラウンドでも十分に戦えるトータルファイター範馬刃牙だ。
Jr.の取った行動は完璧かつ最善の対応だ。
顔がめちゃくちゃ焦っているのはどうかと思うけど。

「失敗(ミス)ッタナ」
「今ノノックダウン」
「君ノワンチャンスダッタ」


起き上がったらすかさずJr.の反撃が始まった。
言葉によるものだけど。
まぁ、反撃というよりも負け惜しみだけど。
なんかこの台詞、克己にすげえ似ている。
顔もそっくりだ。
かなり落ち目だ。
自ら役者的な崖っぷちに立ってどうする。

「オ陰デ目ガ覚メタ」
「準備ガデキタ」


こういうことを言うヤツは大抵目が覚めてないし準備もできていないのが板垣漫画の常識だ。
こんなことを口にすると直後にひどい目に遭う。
不意打ちを食らうくらいならまだいい。
ひどい場合は金的を食らう。
Jr.の金玉は生存できるのか?

刃牙の視点は非常に醒めている。
こんな感じに調子に乗っていた相手を幾度も叩き潰してきただけのことはある。
繰り返すようだが、刃牙の前でおのぼりさんになると危険だ。
今のうちに金玉を守っておいて方がいい。

「命ノヤリ取リ………」
「君ノ友人達ガ教エテクレタ」

「闘争(たたかい)トハ――――勝負トハ――――」
「真剣(リアルファイト)トハ――――」

「準備ガデキタ」
「殺ラレズニ殺ル……」
「父ノ体現シタ競技レベルデノ打タセズニ打ツ」
「更ナル高ミヘスライドサセタ」
「殺ラレズニ殺ル!」


Jr.は復活早々、自分のアライ流をどんどんと解説していく。
やばい。金的フラグが立ちまくりだ。
こんなことをのたうっていると本当にひどい目に遭うから止めておけ。
あと解説は若輩がやるものではない。
ナイスミドル以降がやらないと、本当にひどい目に遭う。

そんな不安を察知したのかアライ父は冷や汗を流す。
対する勇次郎はハッタリだとわかりきっているのか範馬的な笑顔を浮かべる。
刃牙はガイアたちや死刑囚と本当に殺るか殺られるかの戦いを幾度も経験している。
もう毒を使われたり、ナイフを取り出したり、画鋲使ったり、梢江が拉致されたりするのは日常茶飯事だ。
…んん?なんかどんどんショボイ例になっていくぞ?
とにかく、Jr.の経験していない領域を刃牙は知っている。
殺し合いという領域ではJr.は圧倒的に不利だろう。墓穴を掘ってしまっている。

にしても、「殺ラレズニ殺ル」はどうしても板垣的なハッタリにしか聞こえない。
先生はこういうハッタリが大好きだ。
「死に勝る護身なし」とか「やったぁぁぁぁ勝ったぞぉッ!!」とか。

こんなハッタリは刃牙には通用しないのか、相変わらず醒めた表情だ。
勇次郎VS郭海皇のハッタリ合戦を間近で見た人間なだけのことはある。
並大抵のハッタリでは驚きもしない。

「タトエ瀕死に追イコマレテモ」
「必ズ…」
「殺
金的ッ金的ッ金的ッ金的ッ金的ッ金的ッ


アレコレ言っているうちに見開きで金的を食らった
身体が浮き上がってしまうくらいの強力な金的だ。
ベストオブ金的主人公の範馬刃牙らしい、見事なまでの金的だ。
…蹴られる蹴られると思ったら本当に蹴られやがったこいつ…
範馬刃牙はストレイツォ並みに容赦しない。
奥歯なんかじゃ生易しい。睾丸を袋から抜き取るぞ。
パンツを脱がせなかったのがせめてもの優しさだ。
これがムエタイやロシア人だったら、間違いなくパンツを剥ぎ取られて金的を食らっている。

Jr.は金的を食らった人恒例の顔をする。
イロイロな意味で痛そうだ。
その後はダウンだ。
もちろん、両手は定位置に当てる
ここまで来るとハッタリを通り越して、なんだか惨めだ。

そして、息子の見事な金的っぷりに鬼父(パパ)は満面の笑みを浮かべる。
白目だけど。
「息子よ、見事な金的だ」と心の中では思っているのだろう。
範馬にとって金的は欠かせないらしい。

なお、松本梢江さんは口に手を当てて大驚きだ。
まぁ、そりゃあ松本梢江さんも恐怖の金的には驚くだろうな。
どうして、今までこの方法を思いつかなかった――って、アレ?

「さァ…」
「瀕死だぜ」


だが、範馬刃牙は睾丸だけじゃ済まさない。
今度は尻の穴顔面を思いっきり踏みつけた
何だか親の仇と言わんばかりに遠慮のない攻撃が続く。
もう範馬だ。
あらゆる部分で範馬を象徴している。
そんな範馬がちょっとだけ憎い。

範馬刃牙はJr.の瞳孔を確認する。
いや、あんた、そこまで死亡確認をしないでも…
生きている限りぶちのめすが今の刃牙の流儀のようだ。
なんか邪悪なものにでも目覚めているっぽい。

死亡不確認した刃牙はJr.にチョークスリーパーをかける
アンタ、追い打ちしすぎだッ!!
ここまで遠慮のない追い打ちをする主人公も珍しい。
珍しすぎて主人公らしくない。
まぁ、それはいつものことだけど。

何にせよJr.大ピンチのまま次号へ続く。
ここから逆転するにはチョークスリーパーの体勢のまま、立ち上がる必要がありそうだ。
さながら勇次郎のように、ジャックのように。
でも、Jr.は範馬じゃないから無理っぽい。


ついにJr.に金的が炸裂した。
刃牙はきっと男として機能させないために金的したんだろうな。
もし試合に負けて梢江を奪われたとしても、ナニがダメになっていたらちょっとアレだ。
別に恋人だからってSAGAりまくるわけでもなく、そこに愛情があるわけでもないのだが、
SAGAばっかりな刃牙はとりあえず潰しておいたのだろう。
これで試合に負けても勝負に勝った、と言い張れる。

今回のJr.は克己にすごく似ていた。
思考的にも肉体的にも。
肌のトーンを変えれば、そのまま克己になってしまいそうだった。
特に最後のページ1コマ目のJr.は日焼けした克己にしか見えない。
もしかしたら、今のJr.は克己が日焼けした姿なのか?
次号、試合場に本物のJr.が現れるッ!
お楽しみにッ!
そして、ハッタリを言っている間に金玉を蹴られる。


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