最終話 地球規模
ついにバキ最終回だ。
でも、チャンピオンめくって最初のページにバキ最終章「範馬刃牙」の新連載が予告されている辺り、全然最終回っぽくない。
まぁ、これがチャンピオン流だ。ストロングスタイルだ。
「おかしなことだぜ」
「最強目指す者同士…」
「いつでも会える距離にいながら」
「一度も立ち合ったことがない」
姿勢を崩しながら独歩は言う。
たしかに言う通りというか、「グラップラー刃牙」の第1話を見る限りだと独歩がラスボスの位置にいた。
いつか刃牙が越えるべき壁と思っていたら、結局はシカトコースを歩んでいる。
でも、人気に関しては刃牙を圧倒的に上回っている。
シカトコースに見えて実は出世コースだったのだ。
「「そうですね」と――――――」
「言うと同時に蹴りが跳ねてきそうだ」
緊迫した空気を刃牙は敏感に察知して、独歩の行動を予想する。
百戦錬磨だけあり、油断も隙もない。
これがJr.だったら、あっさりと攻撃を食らいそうだ。
実際には食らわないだろうけど、あの人は金的で大きく株を落としちゃったからなぁ。
「愚地さん」
「あなたは一つだけ…俺に関して思い違いをしている」
あ、始まった。
刃牙大得意の詭弁タイムだ。
ナニかあるたびに刃牙はこの詭弁を言い、そして読者の印象を悪くする。
最終回だというのにそれをやるつもりか。
「俺が武や強さを志す目的――――」
「それはあなた達とは違う」
「俺は地上最強を目指しちゃいない」
この言葉に同じ格闘家としての独歩は驚愕する。
思えばこの詭弁は梢江と勇次郎以外には言っていなかった。
何だか勝ち逃げされたような台詞だ。
「親父がもし地上最弱なら」
「俺は二番目に弱い生物でいい」
つまりは地上最強ということですね?
そして、この言葉により、刃牙VS独歩の戦いはなしになるのだった。
あー、でも、愚地さん。
「眼の前に立っちまった以上――――」「叩きのめすのがこっちの世界だろ」と言っていましたよね?
刃牙の心情関係なしに喧嘩売ればいいのに。
そして、19:50。地下闘技場に場面は変わる。
地下闘技場には前回同様多くの刃牙になじみのある格闘家が集まっている。
前回、刃牙に関与しないと宣言した花山だけ来ていないけど。
それよりも無視されている寂海王やオリバは少し悲しい。
完全に生死不明扱いとなっている末堂はもっと悲しい。
刃牙は数分間闘技場のど真ん中でただ構えていた。
構えているだけだった。
これにはさすがの変人揃いの顔なじみさんたちも奇怪に思う。
「イメージの具体化を待っている」
鎬昂昇は解説する。
でも、それは本部の役目だと思う。
「イメージの具体化」ということは、長年忘れられ続けてきたリアルシャドウの準備ということだろうか?
そして、19:58。
今まで微動だにしなかった刃牙が突然冷や汗を流す。
同時にこの場に集まった格闘家たちは驚嘆の言葉を次々に口にする。
他者ノ眼ニマデイメージガ見エル
刃牙の目の前にはイメージされた勇次郎の姿が見えた。
勇次郎との本番前の準備が整ったようだ。
でも、冷や汗ダラダラだ。
あと他者の目にも見えるイメージなんてどういうことだろうか?
スタンド能力か?
「イクぜ…」
現在時刻は20:00。
イメージされた勇次郎に脅威を感じながら、刃牙はリアルシャドーを開始しようとする。
これでイメージにボコボコにされたら笑うしかない。
そして、イメージ勝って勇次郎に「勝ったのは俺だ」と宣言しても、説得力は皆無だ。
東アフリカ
タンザニア連合共和国
セレンゲティ国立公園
場面は突然別の国へと移り変わった。
そこにはライオンがいた。
そして、範馬勇次郎がライオンの前に立ちはだかった。
刃牙が刃牙なりに勇次郎との戦いを控えていたのなら、勇次郎は勇次郎なりに刃牙との戦いを控えていた。
それがライオンとのスパーリングか。
人間界に十分な相手がいないため、動物と戦うしかないのがオーガの悩みか。
でも、ライオンよりも北極熊の方が強いと思う。
せっかくならそっちと戦えばいいのに。
それとも、狩り尽くして絶滅してしまったのか?
!
勇次郎がライオンの前に立った瞬間、勇次郎が反応した。
どうやら地球を半周して刃牙の殺気が勇次郎に届いたらしい。
板垣先生らしい、スケールが大きいのか小さいのかよくわからない表現だ。
これで真後ろに誰かが立っただけなのなら、すごく悲しい。
そして、「バキ」は終わった。
次号からバキ最終章「範馬刃牙」が新連載される。
…これを新連載と呼べるのか?
新連載「範馬刃牙」は勇次郎との戦いがメインになるのだろうか?
だとすると1年あれば終わりそうなので怖い。
傍らの格闘家たちとの戦いを自ら反故にしてしまったため、どういう展開になるのかが気になる。
できれば末堂の生死をはっきりさせてもらいたい。
今まで掲載されたバキシリーズのまとめをしてみる。
「グラップラー刃牙」は刃牙が強くなっていく話だった。
未成熟だった刃牙が幾多の戦いの果てに、最大トーナメント優勝という一種の頂点に立つまでが描かれているいわば刃牙成長編だ。
この頃の刃牙は比較的批判を受けていなかった。
それに対して「バキ」は刃牙が強くなった後の話といえる。
手のつけられないほどに強くなった刃牙にかなう相手は存在せず、刃牙不敗が続いていくというかその間実に2秒。
そんな中、柳は刃牙に一応勝利した。したにはしたけど、屈辱的なリベンジによりその勝利は帳消しになったけど。
そのためか「バキ」において、刃牙の成長はほとんど描写されていない。
まぁ、セックスとか砂糖水で強くなったけど、そんなのを認めることはできない。
特に前者で強くなるなんて本当にズルい。
そして、刃牙のパッシングは加熱するのだった。
そして、最終章の「範馬刃牙」では勇次郎との決戦が描かれるのだろうか?
まぁ、今すぐ決戦してもボコボコにされるだけだろう。
勇次郎の前に越えるべき壁はいくつもある。
それを含めた話になりそうだ。
とりあえず、予想通りタイトルを変えて続くので、ホッとしていたりする。
「バキ」は「グラップラー刃牙」時代のも含めて、70巻近く続いている。
70巻もの間、ネタ漫画として機能している実に貴重な存在だ。
それは「範馬刃牙」になっても変わらないんだろうなぁ。
「範馬刃牙」はいったい何年続くのだろうか。
板垣先生のことだから、ちゃっかい5年くらい続きそうだ。
5年間、勇次郎と戦い続ける内容だったら感動する。