ピクル 第2話 動き出した時間(とき)
アレン君が順調に死亡フラグを重ねる中、ピクルが目覚めた!
塩漬けにして90日もやや放置気味に扱った挙げ句、好物の匂いを漂わせれば2億の時も越えることが可能なのだ。
反論は許さない。
許すような作風でもないので、感想でちまちまと突っ込みます。
とりあえず、ピクルの目覚めの前にちょっと忘れていたが、アレン君はティラノサウルスのステーキを作って食べるところだった。
てっきりピクルが目覚めちゃったから食べることができないんじゃないか、と思っていたら、普通に一口食べた。
ひいいい。なんでこの人はこんな芸人体質なんだ?
しかも、驚くべきことに普通に食べれている。
硬いと吐き出すこともなければ、まずいと吐き出すこともない。
さらにしょっぱいと吐き出す最終手段も乗り越え、普通に味わった!
ティラノサウルスの味はビーフともラムとも鯨とも似つかぬ味らしい。
十分にイケる味らしい。
この調子だと2億年前の細菌や寄生虫が胃の中で覚醒することもなさそうだ。
ティラノサウルスのステーキはどうみても板垣先生の創作なのに、それなりに説得力がある。
…もしかして、食べたことがあるのか?
板垣先生はリアリティのためなら岸部露伴並みに躊躇しなそうだ。
[およそ2億年の永き眠りからの覚醒(めざめ)
雄(おとこ)は動けずにいた………]
その一方、ピクルはピクルでフリーズしていた。
さすがあんな無茶な蘇生方法だと動けるわけないよな。リハビリ必要だよな。
あ、凍っていたからフリーズするって言い回しはなかなかうまいのかもしれない。
そう思ったら違うようだ。
ジュラ紀の人間であるピクルは近代的な研究施設の設備に驚く。
驚いたあまり冷や汗すら流す。
戦闘中のダメージよりも深刻な驚愕がピクルを襲っているようだ。
とはいえ、ジュラ紀から現代にワープしたようなものだ。
ジュラ紀はパソコンがないとかそういうレベルではなく、文明そのものが存在しない。
照明はもちろんのこと、プラスチックもなければ平面な床を作る技術もない。
目を覚ましたら何から何まで異世界なのだ。
本能だけで生きているであろうピクルでも、この異常事態には動揺するしかない。
冷や汗流して混乱中のピクルであったが、敵が襲いかかってくる気配の有無を感じるあたりは野生というか戦士だ。
研究者しかいないので、その類の気配を感じていないようだ。
半径1キロ以内にオーガがいたら真っ先に反応していたことだろう。
ともあれ、驚愕しながらも敵の有無を確認するあたり、ピクルの人生を戦いが包んでいたことが伺える。
試合だけでなく実戦に強いことはバキ世界において強者の証だ。
実戦指向のくせに試合にも実戦にも弱かったシコルスキーのことは忘れよう。
そんな起きたらUFOの中クラスのサプライズだらけの空間の中、ピクルは唯一見知ったティラノサウルスの匂いを感じる。
何もかもがわからない状態の中、この匂いは強い味方、かもしれない。
罠だと疑う知能がないのか、ピクルはほいほいと匂いについていくのだった。
よかったのかほいほいとついてきて。俺は恐竜だって喰ってしまう男なんだぜ、とアレン君が言ったり言わなかったり。
その匂いに従ってアレン君の部屋までピクルは移動する。
そして、さんざん死亡フラグを立ててきたアレン君とピクルがついに遭遇した!
この事態にアレン君は膨大な量の思考が同時展開される。
この思考の中にカッターで戦うことを考えた。
根拠はないが無理だと悟る。
拳銃を使うことも考えるが、出した瞬間に殺されるだろうと悟る。
アレン君はさんざん死亡フラグを立てたが、この辺は順調に生存フラグを選んでいる。
それが崩壊序曲にも感じるが。
とりあえず、食欲を満たすことが大事なので(そうなのか?)、ピクルはティラノサウルスのステーキを一口で、しかも噛まずに食べる。
ステーキを一口で食べる荒技はジャックが実行したことがあるが、さすがに噛んでいた。
ピクルは噛まないあたりでジャックを凌駕している、のかもしれない。
恐竜を倒す身体能力は勇次郎並みで、食欲に関してはジャック並みだ。
やっぱり、こいつは範馬の祖先なんだろうか?
それにしてもステーキを普通に食べるピクルは味に対するこだわりはあまりないのだろうか?
2億年前にスパイスなんてないだろうし、焼いて食べるという技法もないと思う。
それがガンガンに効いたこのステーキは普段ピクルが食べているティラノサウルスとは別物なのではないだろうか。
食べる物を食べたら次はアレン君だ。
ピクルはアレン君をにらむ。
というか、食べ物>人間なのか?
食べ物が重要なのか、アレン君が空気なのか、どっちが正解なのだろう。
ピクルはアレン君に猛接近して匂いを嗅ぐ。
ピクルが女の子だったら萌えシチュエーションだ。
男の人の匂いがするね…とか言われる。
でも、相手は範馬の祖先疑惑のするエセ原人だ。
萌えるとかそういうレベルじゃない。
板垣作品の時点でそういうレベルじゃない。
で、匂い審査の結果、アレン君に価値なしと見たピクルはアレン君から興味を失う。
うまそうな匂いがしたら即食べていたのだろうか。
食べるだろうなぁ。野生だし。
でも、胃の中に好物のティラノサウルスがあるんだから、引っ張り出してみたらどうだ?
何にせよ九死に一生を得たアレン君だった。
ムエタイ戦士が出てきてそのまま素通りされるくらいの奇跡だ。
ムエタイ戦士は戦ってはいけない。
戦えば敗北が待っているってけーねが言ってた。
「一応ここは俺が仕切らなきゃ…………」
が、アレン君は背中を向けたピクルに対して拳銃を取り出す。
ひいいいいいいいいいい。
何でこの人はこんなに死亡フラグ大好きなんだろう。
ピクルを蘇らせることを提案する。(死亡フラグその1)
蘇生に対して軽々しい態度を見せた。(死亡フラグその2)
ピクルを監視していた。(死亡フラグその3)
ピクルにたばこの灰を落とした。(死亡フラグその4)
ティラノサウルスを食べようとした。(死亡フラグその5)
たった今拳銃を取り出した。(死亡フラグその6)
多めに見積もったがもう6つも死亡フラグを立てている。
いや、もうこれは絶対死んだ。
全身全霊をかけて雄弁に死を物語っている。
死亡確定度で言えばサムワン海王並みだ。
しかし、アレン君に勝機があると言えばある。
ピクルの知能は現代に適応していないのだ。
拳銃がどんな武器なのかもわからない。
面と向かい合った状況では危険なものと察知して対処されるだろうが、後ろを向いているのなら不意打ちに成功するかも知れない。
まぁ、無理だけど。
勝てません。アレン君では勝てませんよ。
連載2回目でこのじっくりとした展開ということは、「ピクル」連載中はピクルの強さに焦点を当てた物語になりそうだ。
勇次郎との決戦など、格闘家との本格的な勝負は本連載に戻ってから、となるのだろうか?
ピクルの怪物性にはまったく底が見えないし、ガンガン活躍を見てみたいのでじっくりと展開してくれた方が嬉しい。
でも、先週からさんざんバキが範馬が、と言ってきたけど、ピクルがバキの外伝作品とは思えばどこにも書いていない。
もしかしてもしかしたら、ピクルはバキとは完全別世界の可能性もある。
79話の終わり方を見るに、別世界の話だったら板垣先生は大物だと思うけど。
いや、でも、板垣先生は大物だからなぁ…
とりあえず、ピクルとバキは別物という確証を得るまでは、本感想ではバキとリンクしているという前提で書いていきます。
もしかしたら、これで味を得た板垣先生は12人のピクルを出すかもしれない。
各時代最強の塩漬け男が集うのだ!
その中にはムエタイ時代最強の男がいる。
もちろん、そいつはかませ犬だ。
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