ピクル 第3話 食欲
俺のターン!死亡フラグ!
俺のターン!死亡フラグ!
俺のターン!死亡フラグ!
何勘違いしていやがる!俺の死亡フラグはまだ終了していないぜ!
もうやめてアレン君!あなたの死亡フラグは限界よ!
離せ!
俺のター(ry
そんなわけでアレン君は銃を取り出す。
ピクルに挑むという最大級の死亡フラグを遂行しようとする。
さっきまで死亡フラグを回避してきたのに、なんでこの人はド級の死亡フラグを選ぶんだ?
アレン君。漢である。
おとこと読まずにかんと読む。
「文明人代表としてはさ……」
「ここは一つ…………」
「仕切らせてもらうぜ……………」
適度な緊張、適度な恐れ、アレン君のコンディションはベストだ。
己の持つ力を全て発揮することができるだろう。
発揮しても勝てないけど。
いや、むしろ緊張しまくって恐れまくれよ。
こんなところだけ戦士にならなくていい。
そんなアレン君の挑戦的態度を無視して、ピクルは何かを探す。
匂いを嗅いでいるところから、次のティラノサウルスを探しているのかもしれない。
ティラノサウルスを捕食していたということは、あの巨大サイズを食らい尽くすということにもなるし、一度の食事の量は半端ないだろう。
あんな肉1枚で満足するはずもなさそうだ。
そして、何すればいいのかわからないし、どこなのかわからない。
じゃあ、とりあえず食欲優先だ!
なんか範馬っぽい。
で、ピクルはさきほど無視したはずのアレン君を睨んだ。
ピクルは「ハルルル」というバルバルバル並みに不思議なうなり声を上げて、アレン君を牽制する。
「ハルロロ」と厳しい形相で首を振って、アレン君に何かを伝えようとする!
少なくとも好意ではないな。
アレン君、死亡数ページ前。
「ジャストモーメン(はぁと)
なに!?言って(はぁと)言って(はぁと)なにして欲しいの!?
ナニ? なに?」
で、なんでこの人はこんなに自分の危機に疎いんだろう。
質問している場合じゃないッッ。今すぐ逃げろッッ。
あ、犬は逃げる人間を追うらしいし、死んだふりがいいか?
もう死んだ人間だし、うまいこと擬態できるかもしれない。
ピクルは野生に生きていることだしイケる!
…あ、野生に生きているから生死には敏感かも知れないな…
アレン君の敵意を感じたのか、ピクルはアレン君に近寄る。
ナニを考えているのかさっぱりわからないだけに恐怖だ。
しかも、恐竜クラスの超暴力の持ち主だけになおさら恐怖となる。
相手は人類じゃなく人の形をした猛獣だぞ、アレン君。
今すぐ逃げろ!もしくは死んだふりだ!
「スト〜〜ップッ ちょっと待ったアアアッッ」
(上等だぜいッッ)
が、アレン君は拳銃をピクルに向ける。
ガ、ガチる気か!原人相手に!
無理無理無理無理。
というか、上等だぜいってお前、なんでそんなに死ぬ気なんだ?
全然上等じゃない。
KAMIKAZEという言葉が生まれた初めて覚えた言葉だな、お前。
こう見えて心は日本軍の特攻兵なんだろう。
ギャグのためなら命を張るさ。
(撃つ!!? どーする!!?どこ撃つ!!?)
拳銃ぶっぱするからと言って、貴重なサンプルを無闇に傷付けるわけにはいかない。
殺してでもしたら人類史に残る偉大な研究成果が没になってしまう。
この状況では世間的にはアレン君の命よりもピクルの生存が優先される。
アレン君はいくら死亡フラグ好きでもこの辺はわきまえているようだ。
(ビビりやがれ!!!)
いつまでも悩んでいられないので、アレン君は地面を撃って威嚇する。
野生動物ならビビりそうだ。あとシコルスキーもビビる。
でも、相手は恐竜に真っ向勝負を挑む雄だぞ。
拳銃ごときでビビるわけがない。
「―――――――………」
だが、撃った次の瞬間、ピクルは消えていた。
そして、一瞬の間にアレン君の後ろに回り込んでいた。
ピクルのうなり声でアレン君は回り込まれたことに気付くのであった。
回り込まれたことを回り込まれてから気付くほどの超瞬発力だ。
範馬並みの瞬間移動能力と言える。
謎の多いピクルの身体能力だが、機動力は範馬クラスのようだ。
即やばいと感じたアレン君は振り向きざまにピクルの腹部に銃弾を3発ぶちこむ。
常人なら致命傷だ。安心して死ねる。
これでピクルが死んだらギャグだ。
しかし、ピクルは微動だにすらしない。
ちょっとだけ驚いたくらいのようだ。
[文明の利器たる拳銃………]
[生身の素肌に3発撃ち込むも……………]
[ジュラ紀戦士(ファイター)―――……]
[ピクルの腹筋を貫くには――――――――
9ミリの弾頭ではあまりにも頼りなく……………]
銃弾は全然効いてなかった。
腹筋を貫くどころではない。腹筋の中に埋まるどころでもない。
銃弾はピクルが傷口に手を当てるだけで取り出せた、
つまり、腹筋の皮膚部分近く、非常に浅い部分で止まったということになる。
ピクルの腹筋はオリバクラスだと判明した。
ピクルはどうやら範馬の機動力にオリバの防御力を備えているらしい。
技術面に期待できない代わりに身体能力が半端ではない。
さすが、史上最強の男だ。
なんでこんなヤツの相手をアレン君がしなきゃいけないんだ?
まぁ、それが板垣クオリティだが。
[驚愕(ショック)続きのアレンくん]
[この夜
大のショックは]
[この瞬間(とき)だったッッッ]
ピクルは銃弾を握る。
そして、野球選手さながらの投球のフォームを取る。
…いや、待て。
お前、本当に原人か?
物を投げるという行為は人間しかやれない。
火を使ったことと物を投げたのが人間が進化した要因と呼ばれるほどだ。
ピクルはジュラ紀の生物だが知能はけっこうあるようだ。
でも、なんでこんな合理的な投球フォームを取るわけだ?
若干振りかぶりすぎの気もするが、知能のない生物が取ったわりには十分に形になっている。
知能っていうか本能で投げている気がするが。
技術面には期待できないピクルだったが、これを考えると格闘技も本能でこなすかもしれない。
あ、そういえば夜叉猿も加藤を投げていたな。
うーむ、夜叉猿がものを話す日は近いかもしれない。
で、投げる。豪快に投げる。
硬球で投げれば200kmも夢じゃないほどのスピードだ。
投げた3つの銃弾のうちの2つはアレン君の顔面近くの壁に埋まる。
かつて、勇次郎は郭海皇の眼鏡を蹴りで飛ばして、壁にめり込ませた。
壁にめり込むことも異常だが、蹴りで飛ばすというのもかなり異常だ。
対してピクルは弾丸を投げて壁にめり込ませた。
とりあえず、めり込ませ対決では勇次郎の方に分があるか。
ピクルも十分おかしいけど。
致死に匹敵する攻撃をされながらもアレン君は何とか助かった。
死亡フラグを重ねつつも、ここでは死ななかったから生き残れる希望はある!
3発のうちの1発はアレン君の肩に当たったけど。
死亡フラグを重ねすぎると1発では死ねないらしい。
じわじわと死ぬのが重ねすぎた者の使命か?
「ハルララル」
ピクル激怒!
アレン君失禁!
そりゃあ漏らす。
アレン君はピクルを侮りすぎた。
自分の人生も侮りすぎた。
一度の人生、大事にした方がいい。
塩漬けになって復活とか目の前の異星人にしかできないから。
とりあえず、次号アレン君死亡だろうか?
死ぬ以外の未来が本気で見えない。
ただ、殺すだけなら数ページで済んでしまう。
なので、もうちょっと生き残りそうだ。
生命の危機を本気で感じた以上、アレン君は遊びを捨てるだろう。
今まではちょっとノリが悪かった。
本気で生き抜くことを考えたアレン君はどうなる!
「ハ…ハルルルル?」
「HAHAHA!いけないなぁピクル君(はぁと)
現代にはAIKIってやつがあるんだぜ?」
「ハルルルル!?」
「君がいくら力持ちでもAIKIにはかなわないんだぜ!」
「ハ、ハルー!」
こうなったら、チャンピオンを裂く。
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