てんむす 第9話 食べるばっかじゃないのかい?



バキが復活するまで代役としててんむす感想を書きます。
「餓狼伝じゃないの」とか「バチバチがあるじゃん」とか、いろいろ思ったがてんむすを選択する!
思うに「咲-Saki-」に目を付けた人の気持ちってこんなのなんだろうな。
てんむすはまさに題材を大食いにした「咲-Saki-」……いや、キャラが可愛い「喰いしん坊!」だ!
よっしゃあ……! 何かを失った気がするが何の問題もない。


主人公、春風天子(はるかぜてんこ)は自宅の春風神社で夕食を営む。
片手には大盛りの天丼だ。
ご飯は山盛りだし、エビ天は直立していて極めてバランスが悪い。
どうやってバランス取っているんだ、こいつ。
これが料理を楽しむということか?



この子がてんむす主人公、春風天子だ。
「〜なのさ」「〜かい」という言動が特徴的である。あと超どてらだ。
おかげで今ひとつ可愛くない。
いや、それがチャンピオン的な正義なのかもしれないが。

天子は前回の大食い競技のことを家族に話す。
朗らかで円満な家族だ。
範馬家族とは大違い……いや、あいつらも今は円満な家族関係を築いているか。

春風家は弟の正教(まさかず)、母の蒼子(そうこ)、祖父の梅次郎(うめじろう)の4人家族だった。
祖母は遺影が飾られていることから、既に鬼籍に入っているらしい。
父親は……一体どうしているのだろうか。
偶然この日はいないのか。
中学生の時点で父親の姿が確認されていない以上、父親も祖母と同じように……

でも、和やかに食事は進む。
弟は姉である天子をからかい、祖父は孫馬鹿丸出しで天子も溺愛しており、母は苦言を漏らしながらも天子の様子を微笑ましく見ている。
暖かい家族だ。
これが範馬一族だったら「漫然と口に物を運ぶな」とか「ジャケットの着用は必然ッッ」と怒られる。
……いや、あれは久し振り、あるいは初めての家族での食卓だから、慣れれば和やかなスマイルスペースが築かれるかもしれない。

天子は少し前までは大食いに対して消極的だった。
母が思い出すエピソードでは中学時代に大食いを止めることを決意していたらしい。
ドーナッツを食いながらの告白だ。止める気がない。
「哲ちゃん家でしか私ごはんいっぱい食べないからね!」と言っている時点で止める気ゼロか。
……好かれているな、哲ちゃん(幼なじみ)。

食卓でも天子は食べる量を控えようとしていた。
腹の音が鳴るのでまったく食欲を抑えられていない。
一家の空気もしんみりとしたものになる。
そんな天子を母や祖父だけではなく、弟も心配していることから一家のムードメーカーであることが窺い知れる。

こんな経験があるということは天子の大食い適正は日々の訓練によるものではなく、才能によるものが大きいのか?
主人公とはいえズルいな。
花ぽんだって涙ちょちょ切れるというものだよ。
「喰いしん坊!」では胃を拡張するために、毎日キロ単位で食べていたのに……
それとも哲ちゃんの家でたくさん食べているのか?

翌日、食い道部の活動に天子は哲ちゃん付きで出席する。
期待するのは今日食べる食べ物だ。
だが、予想に反して何もない。

「お前(みゃあ)さんが入部してからは食ってばっかだったけどや」
「食い道部は大食い競技部」

[45分 60分の大食いに耐えうるための体力作りの運動]
[データに基づく研究と対策の勉強]

「本来の練習はそういうことにも重きをおいてるのだわ!!」


2年生の先輩の遊(属性、チビ)と二子(属性、眼鏡)が大食いについて語る。
大食いは陸上で例えるとマラソンに近いものだ。
速度のみならず、体力やペース配分などの突出した要素よりもトータルバランスが要求される。
大食い競技は過酷である。トレーニングが欠かせないものなのだ。

前回の大会で天子が優勝できたのも素人が相手だったのが大きいのだろう(事実、第1話で早食いでは天子は経験者の遊に敗れている)。
2位になった花ぽんもこと大食い競技においては素人だった。
大食い競技において重要なのは一定量を定期的に食べるペース配分だと「食いしん坊!」でも語られていたし、
あの時の天子は無意識下において大食い競技のセオリーを守ったことになる。

そんなわけでただ食べるだけがトレーニングではない。
その日の部活は調査であった。

「大食い競技において 容量の多い胃は必要不可欠」
「そしてそのトレーニングのためには 毎日ある程度のごはんを食べる必要があるんだ」
「お店に食べにいくにしても 大食いのありなし店のよしあし」
「大会の際のメニューによって 練習で食べるメニューも変わる…」
「だから週に2回はみんなで集まって」
「お店の情報を交換してるのさ」


マネージャーの九士朗は『調査』について教える。
店の情報を知ることで日々のトレーニングに彩りを持たせる意味合いがあるのだろう。
何よりも大食いには金がかかる。
安くてたくさん食べられる店を発見できればなおのこと良い。
競技の活動としての意義が感じ取れる。

「喰いしん坊!」だって初めての店で初めての料理を食べた時に、まず一番に言うことが味だからな。
こうした情報交換は大食い選手にとって、けっこうなウェイトを占めるのだろう。
大食いだからといって味は度外視できない要素なのだ。

こうして調べた店はわかりやすさのためか、カードにまとめられていた。
哲ちゃんの家もチェック済みだ。
……4段階評価のうちの1点だけど。
お前ら容赦ねえな! 前回、たくさん食べただろうが! しかもタダで!
きっと大食いのトレーニングには向いていないという意味での1点に違いあるまい……

部長の由理亜(属性、美人)の提案でみんなで同じ店に食べに行くことになる。
……集団で大食いメニューを制したら店にとって迷惑以外の何でもないような……
それを含めての調査なのか?
そこで二子が希望したのは韓国料理の店にあるチゲ30分食べ放題のメニューだった。
チゲと言えばとにかく辛いアレだ。
二日酔いの時に食べれば効果大ですよ。美味しんぼ知識だけど、私は自分の身で実践したから間違っていない!

「二子先輩辛いの好きですね 前もカレーたべてましたし

「苦手よ」
「苦手だから食べに行くのよ」


カレーの大食いをやった時のように、辛いのが好きかと思えた二子だったが、意外にも苦手のようだ。
だから、カレーの時は辛さ対策グッズを用意したのか。
大食いだからと言って味は軽視できないように、好き嫌いだって軽視できない。
ましてそれが競技となればなおさらのことだろう。
競技だからこそ、苦手を克服するために食べる。
天子の知りえない食だろう。



苦手料理を克服していないとこうなるので危険だ。
ついでにこれは世界大会の決勝ラウンドでの悲鳴だ。
よもや、世界の場で八角に苦しむことになるとは思うまい。選手も、読者も。
なかなかの笑い所だと思うが、これは「喰いしん坊!」の話なので「てんむす」とは一切関係ない。
べ、別に「てんむす」を出汁に使っているわけじゃないからね!

最近じゃグリーンピースがあるから焼売は食べられないという悲鳴もあった。
壮絶に馬鹿らしく感じてしまうし、苦手料理の克服は急務だ。
カレーの時は後輩の手前もあってか、気合いで乗り切ったようだが今回はどうなるのだろうか。
大食い競技の厳しさは乗り切ったが、鍛錬の厳しさを天子は知ることになるかもしれない。
次回へ続きます。



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