EPISODE1 覚醒の鼓動



WAXF以来、実に5年ぶりの金子彰史作品だ!
金子彰史ってなんぞや?
そもそもシンフォギア感想じゃないのか?
となるのでサクッと解説にしておくと、金子彰史はワイルドアームズシリーズのトータルゲームデザイナーです。
その作風はあまりにも天才的かつ天然的だ。
金子彰史はRPGでいきなりチャリンコダッシュしたり、ミサイルにパンチしたり、スコップホッピングしたりする超展開をいくつも盛り込む。
(実際に見てみないと理解されないだろうけど)そんなデンジャラス極まりない男がついに復活したッ!
一大事だ! 金子彰史大好きな私はわざわざ別コンテンツを作ってレビューせざるを得ないッ!!



いきなり挿入される金子彰史だ!
何かこれだけで安心できる。
はい、重度の信者です。

少女、小日向未来は百合の花を持ちながら雨に打たれている。
濡れながらバスに乗り、とある場所に浮かぶ。
背景に映るのは荒廃した町並みである。
作品が変われど舞台は荒野だ。

バスの中には骨折している人が何人か見ることができる。
認定特異災害ノイズが暴れ回っている世界観だ。
節々に災厄の痕跡を見て取れる。

未来は墓地へ着く。
そこで泣き崩れた。



「逢いたいよ……もう逢えないなんて……わたしは嫌だよ……響……ッ!」

何かいきなり死んでた!
遺影は立花響のものだ。
アンタ、メインキャラの一人ですよね。
唐突な流れでびっくりだよ。
死亡率が軒並み低めの金子彰史作品の中では異質だ。

「私の大切な親友は戦場で歌を唄い続けた」

未来はそう締めくくる。
あれ、響は公式サイトのキャラクター紹介でも左から3番目のキャラですよね。
まさかの重要な立ち位置ということだろうか。



そんな唐突な展開にやけくそ気味なタイトルで物語は始まった。
で、話は2年前に遡る。
町はオープニングと違ってそれほど荒廃していない。
ノイズの被害が増加するのはこれからということか。

その日、響は未来と一緒にツヴァイウィングのライブに行く予定……
だったが、未来が急用で来られなくなってしまった。
これ、悲惨な目に遭う時、孤立するフラグですよね……



さて、舞台裏。
ライブを前にツヴァイウィングの二人、翼と奏は緊張している趣だった。
ただそれはライブに緊張しているというよりも、別の何かに緊張しているようだ。
こう百合っぽさを演出することで視聴者を引っ張ろうとする金子彰史の思惑が見え隠れするが、
金子彰史に萌えとかエロを期待すると悲惨な目に遭うのは忘れないでおこう。



「今日のライブの結果が人類の未来を賭けてるってことにな」

指令こと風鳴弦十郎は意味ありげなことを二人に言う。
研究施設らしき場所にはNehushtan、青銅の蛇が置かれている。
ライブに見せかけてこのNehushtanで何かを行うようだ。

翼の表情も不安なのか暗いし、相当な大イベントが行われるようだ。
励まし合う二人の関係は相当に密なものなのだろう。
視聴者の見ないところで何かがあったと思われる。
その辺の情報は意図的に隠しているとか省いているのか。

で、ツヴァイウィングのライブは行われる。
Nehushtanを使った実験も滞りなく進む。
が、突如Nehushtanの反応が変わり爆発する。
その時に聖遺物と呼ばれている。
聖遺物と言えばWA4にも登場した単語だ。
キーワードをシリーズ間で絡める金子彰史の手法は健在だ!



「ノイズが、来るッ!」

爆発と共に黒い粉が舞う。
人を炭素に変える災厄、認定特異災害ノイズの兆候だ!



ただの怪獣じゃねえか!
か、怪獣だー。これは怪獣だー。
特に人型の青いノイズは怪獣以外の何でもない。
出たよ、怪獣をやたら出したがる金子彰史の癖が!
WA1で脚部がキャタピラのモンスターを出しただけのことはあるよ。
いいから大窪のおっさん連れてこい!

まぁ、怪獣が現れたわけだ。
何か怪獣過ぎて緊張感がないな……
これじゃ危機感を煽られない。むしろ、笑い所だ。
まぁ、ノイズさんも悪い人じゃないかもしれない。
だって、怪獣だし。



あ、悪い人だった。
人に接触することで炭素にし、自分諸共バラバラに砕いている。
自爆型怪獣だ。
こういった戦い方をする以上、エース級の怪獣ノイズと殴り合うみたいな展開はなさそうだ。
いや、怪獣だからどうなるかはわからないが。

ノイズは躊躇も遠慮もせずに死にたくないと叫ぶ観客たちを炭素へと変えていく。
災害の名に相応しい見境のなさだ。
ガンダムAGEのUEが茶番に見える。
いや、あれは根本的に問題があるか……
何か第1話からスゴイことになってきたぞ。



「――飛ぶぞ翼ッ! この場に槍と剣を携えているのはあたしたちだけだッ!!」

ノイズの襲来に奏が吠える。
朝8時の奏と違って積極的だ。
そして、飛ぶッ! 歌うッ! ――変身だッ!!



奏は歌って変身して、歌いながら戦う。
何かとんでもなく体力がいりそうだな……
歌いながら戦うので必殺技を叫べない。
だから、一枚絵を出す!
槍を複数に分裂させて投げつけるSTARDUST∞FOTONと竜巻を起こして叩きつけるLAST∞METEORが炸裂だ。
どっちも星をモチーフにしたネーミングだ。
でも、竜巻でLAST∞METEORはどうなんだろう。

歌っているから強いぞ、ツヴァイウィング。
ノイズたちを次々に薙ぎ払っていく。
でも、歌が終わると弱体化だ。
歌を歌い続けないと強くなれず、かといって歌を歌いながら戦うのも大変。
防人は大変だ。



その間にNehushtanは謎の動きを見せる。
直後に崩落が起き、その後を知ることはできない。
ノイズはこれを狙っているのか、あるいはNehushtanがノイズを引き寄せたのか……
真相は先のことだ。



その様子を響は逃げることなく見入ってしまう。
そうしていると突如足場が崩落、ノイズに満ちたドームに落ちる。
すると怪獣のノイズがチャンスと言わんばかりに襲いかかる。
怪獣だから緊張感がないが、炭素化させるから危険だぞ!

ついでに嬉しそうに歩み寄ってくるノイズさんを見ると案外悪い人じゃなさそうに思えてしまう。
怪獣だし。怪獣に悪い人はいないさ。
何せ中に人が入っているから悪いわけがない。



「駆け出せェッ!!」

駆け出せと言われた!
逃げろ、じゃなく駆け出せ!
その言葉に従い響は傷付いた足を引きずりながら歩き出す。
それでも襲いかかるノイズは槍を回してガードという古典的手法で迎撃する!
古いのだが、それがいい。



だが、防御の際に飛び散った破片が響に突き刺さる。
盛っているかのような盛大な出血だ。
まさか、これで死ぬのか?
遺影になってしまうのか?



「おい死ぬなァッ!目を開けてくれェッ!!」
「生きるのを諦めるなッ!!!」


生きるのを諦めるなッ!
奏の言葉に響は意識を取り戻す。
レイプ目だけど。血がなかったらイロイロ思われても仕方がない。

奏は生きようとする意志を守るために戦っている。
逃げろ、ではなく駆け出せ。
生きるのを諦めるな。
守られるだけではなく、自分の脚で歩んで欲しいのだろう。



「いつか、ココロとカラダ、全部空っぽにして思いっきり歌いたかったんだよな……」
「今日はこんなにたくさんの連中が聴いてくれるんだ」
「だから、あたしも出し惜しみなしで行く とっておきのくれてやる」
「絶唱……ッ!!」


ノイズを倒すため、響を守るために、奏は歌う。
相棒の翼の静止も聴かずに歌う。
メガンテソングの効果は絶大で、ノイズたちは炭素となり全滅するのだった。



奏は血を吐きながら歌い、自らも炭素となって消えていった。
まさかの第1話での離脱だ。
メ、メインキャラがあっさりと死ぬだと……
プリキュアの片割れが第1話で死んだような衝撃展開だ。

少女たちは戦うことで傷付けば血も流すし、命を落とす。
ノイズとの戦いは重いモノだと改めて教えられる。
怪獣だからと侮ってはいけないようだ。
……怪獣だから緊張感、ないんだよな。
いや、それこそが金子彰史流なんだけど。

さて、ここまでがAパートだ。
まだ、半分も残っている!
恐ろしいテンションの高さだ。

さて、話は現代に戻る。
(正確にはオープニング以前ライブ以後となる)
私立リディアン音楽院に響と未来は入学していた。
響はあの惨劇を乗り越え、無事に一命を取り留めていた。

響がリディアン音楽院に入学したのは、翼に憧れていることとあの日起きたことを知るためだった。
未来に入学できたのは大したものだと言われるほどだし、リディアン音楽院に入学することは相当に難しいのだろう。
相変わらずミーハーではあるが、あの経験は彼女に何らかの影響を与えているのは間違いない。



で、某所。
怪獣軍団の大行進が行われていました。
まったく自重する気のない怪獣っぷりだ。
金子彰史、本当にやりたいことをやっているなぁ。
やりたいことをやってこそ、金子彰史は輝く。自重しないでください。

ノイズには通常兵器が通用しない。
ミサイルも当たらずにすり抜けてしまう。
そこにやってくるのが翼だった。
ツヴァイウィングの片割れを失っても、歌い続けて戦い続けている。



刀を抜いてからカポエラをするという理解に困る必殺技、逆羅刹だ!
刀を抜く必要、ないよね!?
一応、刀でも切っているけど足のそれがあればいらないよね!?
むしろ、カポエラという選択肢がそもそもないよね!?
ここに超金子彰史流演出が炸裂した
狙っているのか、狙っていないのか、狙っているとしたら大暴投もいいところである。
そして、これでこそ金子彰史である。
うむ、信者も大満足。



亡き奏のSTARDUST∞FOTONに酷似した技、千ノ落涙と
刀を大剣にしてジャンプから振り下ろすメテオドライ……蒼ノ一閃で大型怪獣を倒し奏はノイズを全滅させる。
ライブの時は必殺技をひとつも使っていなかったのに……奏を失ったことが響を強くしたのだろうか。
ラブラブだっただけに人生観が変わる勢いだったことは想像に難くない。

響は翼と言葉こそ交わさなかったものの出逢う。
翼も響のことは知っているだろうし、遠因ではあるが響を守るために奏は死んだ。
特に何もなかったが、何かあるとすれば第2話以降だろうか。



響は翼のCDの初回特典見当てで町に繰り出す。
そこで響を待ち受けていたのは炭素化したモノだった。
ノイズの襲来だ。
現場を見るまでまったく気付かなかったことから、ノイズは相当に神出鬼没のようだ。
触れれば即死の特性だけでなく、隠密性もある強敵だ。

ついでにこのシーンではチャリンコが炭素化している。
ノイズが炭素にできるのは人体に限らないことが伺える……のはわりとどうでもいい。
チャリンコは金子彰史を語る上では欠かせない重要なガジェットである。
ジャリガキの主な機動力となるチャリンコは金子彰史作品において高い重要度を誇る。

だが、スタッフにチャリンコを出して欲しいと主張しても断り続けられ、チャリンコが金子彰史作品に出ることはWA4までなかった。
WA4においては無理矢理チャリンコをイベントシーンに組み込むことでやっと登場したほどである。
(そのシーンはチャリンコを必死に漕いで列車に追いつくという異常なテンションのイベントだった。初見で大爆笑した)
そこまでしてチャリンコを出そうとする理由はよくわからんが、とにかく金子彰史にとってチャリンコは大事な存在なのだ。
このシーンでチャリンコを出したのもただ出したかっただけなのは容易に想像できる。



響は町ではぐれた子供を連れて逃げる。
が、ノイズに先回りされている。
ノイズの異常な空気の読み方に思わず苦笑いだ。
怪獣デザインといいノイズが急に可愛く見えてきたぞ。
いや、極悪非道なのは知っているけど。




「あの日、あの時、間違いなく私はあの人に救われた」
「私を救ってくれたあの人は、とても優しくて力強い歌を口ずさんでいた」

響が思い出すのは「生きるのを諦めるなッ!」という奏の言葉だ。
あの言葉を支えに泳いで、走って、昇って、ノイズから逃げる。
って、すごいところまで逃げた!
とんでもない行動派だ。
まさしく金子彰史主人公以外の何でもない。
濃厚な雄度を感じざるを得ない。

響はただのミーハーに見えて、心の奥底にツヴァイウィングの見せた姿が焼き付いている。
生きるのを諦めず、みっともなく逃げる姿……
それは痛々しくもあり燃える。
それだけならまだしも、うっかりビルの屋上というとんでもない場所まで逃げて笑いを誘うのは金子彰史の作風です。



ノイズさん、アンタ、空気読みすぎだよ!
一体どうやってこんなに沸いたんだ?
相手が主人公だからって大量動員しすぎじゃないか?
この後先というか理屈を考えないテンション!



(私にできることは……)
(できることがきっとあるはずだ……ッ!)
「生きるのを諦めないでッ!!」


響が吠えたッ!
そして、歌うッ!
そこで歌うのかよッ!?
生きるのを諦めないッ! だから、歌うッ!!
奏の影響があるとはいえ、なかなか無茶な益荒男だ。

歌った瞬間、響の身体から光が迸る。
これは覚醒か?
歌って覚醒!
何だかわからんがとにかくよしッ!



「ガングニールだとォッ!!」

特異災害対策機動部二課が震撼する。
ガングニール! WAシリーズに幾度も登場した単語である。
モニターの前で私も震撼して興奮を隠せなくなる。
金子節が炸裂しすぎだよ!
もう金子金子ばっかりで何を言っているのがわからないと思いますが、とんでもない盛り上がりで発狂していたことは察してください。

ガングニールという単語に翼は戦慄する。
思い当たるのは奏が使っていた武器だ。
槍だし、ガングニールっぽい。



生きるのを諦めない響は、その意志を貫くために変身!
……なんだけど血管に茨が走ったり、メカメカしいものが身体から出て何度もピストンしたり、非常に身体に悪そうだ。
寿命が縮みそうな変身だな……
既に死亡が内定しているし、生きることを諦めなかったのは良かったけど先行きが暗い。

ともあれ、無事に変身が完了だ。
生きることを諦めないッ!
命を救ってくれた恩人のように、諦めずに戦う時が来たッ!!



何かめっちゃ悪そうになった!
牙も生えたしダークサイドの変身にしか思えない。
生きることを諦めなさすぎて反転しちゃったか?

変身は変身でもWA2のプロトブレイザーめいた変身だ。
あの時はモンスターになった仲間を倒していったな。
……少女、大丈夫かな。
次回へ続く。


そんなわけで信者眼丸出しの感想でした。
信者眼の混ざっていない感想は他の人がやるだろうし、好き勝手やる方向で。

さて、第1話からとんでもないスピード感とテンションの高さと濃度の濃さだった。
正直、超展開に次ぐ超展開だ。
金子彰史作品に慣れていれば盛り上がりすぎて仕方がないけど、そうじゃない人はついていけるかは不安です。
ただ一度でも笑ったらこのアニメというか金子彰史の作風を楽しめると思う。

また、主人公に思えた奏があっさりと死に、実は響が主人公だったり不意打ちも盛りだくさんだ。
サプライズに満ちた展開を期待できそうだなー。
あとどっちも雄度が高い。
雄度の高い百合って需要あるのかな……
おすゆり。

バッドエンドがあらかじめ予見されているかのような出だしだった。
響は死亡内定だし変身したら暴走っぽくて厄い。
ただ金子彰史が話をバッドエンドで締めたことはない。
どうなるかはまだわからない。

話的には全体的に語られていない部分が多すぎて何が何だか。
翼と奏の過去、ライブで行った実験、聖遺物について、響が変身できた理由、ノイズの正体、歌を歌う意味など謎がてんこもりすぎる。
ついてくるなと言わんばかりのアクセラレイターだ。
これらの伏線がどう解放されていくのかが見所か。

私個人に感じたものとしては超面白かったし超楽しかった。
何一つの自重が感じられない金子節!
アクセルを離さないというかブレーキ壊れました的なスピード感だ。
あと怪獣。超怪獣。
マジでもネタでも目を離せなくなりそうだ。


シンフォギア感想トップに戻る TOPに戻る