EPISODE6 兆しの行方は
今週のシンフォギアは新曲ありだ!
歌はシンフォギアとは切り離せない存在だ。
少女の歌には血が流れている。
どちらかと言うと少女は歌う時血を流しているって感じだけど。
翼とか。
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「完全聖遺物が相応のフォニックゲインが必要だとフィーネは言っていた」
「あたしがソロモンの杖に半年もかかずらったことをあいつはあっという間に成し遂げた」
「そればかりか無理矢理力をぶっ放して見せやがった……ッ!」
山奥のすごい形状の金髪ハウス(仮)の側にある湖畔でクリスは物思いに耽る。
その中身は当然と言うべきか、響のことだ。
クリスは完全聖遺物、ソロモンの杖の起動に半年もかかったのに対し、響はデュランダルをその場で起動させた。
翼も完全聖遺物の起動をできるかできないかという状況らしかった。
それを鑑みると響の驚くべき資質と言うべきか。
これは胸の中に聖遺物を秘めているのが影響しているのだろうか。
クリスは半年かかったとはいえ、ソロモンの杖の起動を成功させているようだ。
つまり、クリスも歌を歌えるということだろう。
だが、歌っていない。
歌が不必要な完全聖遺物だからなのかもしれないが、歌っていない。
中の人はEDテーマを歌っている。
本編中でも歌う時が来るのか?
クリスが名前を出したフィーネはドSの金髪全裸のことだろう。
黒幕にして了子疑惑もある。
この胸を強調した普段着もフィーネの趣味なのか?
クリスが選んだものだとしたら、何というか口調以外も尖っている子だ。
これで16歳なんですよ。大丈夫か、16歳。
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「化け物め……ッ!」
「このあたしに身柄の確保をさせるくらいフィーネはあいつにご執心というわけかよ」
響の資質を毒づく。
わりと劣等感が強めのクリスだ。
せっかく噂の完全聖遺物を纏って現れたのに、翼の絶唱に破れ、響のデュランダルに破れたのだから仕方ないかもしれないが。
現状、文句なしの全敗だ。
Mというダメな部分もあるよ。
この人は格好良いライバルになれない人なのか。
格好良い先輩になれない人もいるから釣り合いが取れているかも。
アイラブフィーネなクリスとしても興味が響に向いているのもアレなのだろう。
もっと私だけを見ていじめてということか。
クリスはネガティブな感情ばかりが前面に出ている。
外見だけなら真っ当な美少女なのに……外見だけなら。
そんなクリスの胸元にはネックレスがある。
翼や奏のそれと同形状だ。
つまり、クリスは聖遺物の欠片を持っている。
完全ではない聖遺物、つまりはシンフォギアシステムだ。
これがどういう意味を持つことやら。
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ここでクリスの過去がフラッシュバックされる。
両親らしき人間を殺され、拉致され、過酷で苛烈な幼少期を過ごしたようだ。
クリスの服装は周りの子供とは異なり、随分と綺麗なものだ。
拉致された国の生まれではないことが伺える。
こんな青春を過ごせばヤンキー口調になるか。
クリスの過去に関してだが、実は第1話の未来の父が読んでいた新聞に断片的ではあるが書かれている。
南米内戦地より5年8月振りに日本に帰還。
バルベルデ共和国にバイオリニストの親が殺されたらしい。
日本に戻ったが宿舎に移動後に行方不明になっているという内容だ。
ここから察するにフラッシュバックの内容は南米内戦地でのこと、2年前に日本に戻ってきた時にフィーネの介入があったのか?
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「そして、また……あたしはひとりぼっちになるわけだ」
フィーネは16歳の少女をボンテージにさせて電気責めする女だ。
別の興味の対象が現れれば、クリスなんてポイ捨てだろう。
それはクリスも感じているようだ。
新聞の内容を鑑みるに今のクリスに親はいない。
フィーネが親代わりで依存する対象だ。
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そして、謎多きフィーネの素顔が明らかに!
って、早!
もう明らかになるのかよ!
全然、引っ張らねえ!
次回予告は引っ張った挙げ句、金子文章丸出しなのに!
しかし、同一人物説の了子とはまるで違うような……
服の趣味も華やかな了子に対して、フィーネは喪服のような漆黒だ。
でも、髪の形はそっくりだ。
了子は質量を持った立体映像という可能性も残っているので油断はできない。
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「こんなモノに頼らなくともあんたの言うことぐらいやってやらぁ」
「あいつよりもあたしの方が優秀だってことを見せてやるッ!」
「あたし以外に力を持つ奴は全部この手でぶちのめしてくれるッ!」
「そいつがあたしの目的だからなッ!!」
ソロモンの杖をフィーネに投げ渡し、なくても大丈夫と強がる。
だが、アンタはソロモンの杖がなければダメダメだろ!
絶唱の時といい、デュランダルの時といい、ビビってソロモンの杖に頼っている。
翼と互角以上に渡り合ったことからやればできる子かもしれないが、どうにも詰めが甘すぎる。
何だろう、このムエタイ戦士というかロシア人みたいな噛ませ空気……
あ、金子彰史はかませ犬が好きだった。
かませ犬に「俺はかませ犬じゃねえッ!」と叫ばせたほどに。
自分以外の適合者を倒すのがクリスの目的なのか?
我最強の人……とは思えない。
どうみてもフィーネ独占目的か。
シンフォギア世界には翼といい未来といい誰かに依存する人が多い。
そんな中で意外にも響は独り立ちしている。
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「奏……私も見てみたい……ッ!」
「見なければ奏と同じところに立てない……」
「戦いの裏側……向こう側に何があるのか……確かめたいんだ……ッ!」
さて、みんな大好き翼さんはICU(集中治療室)を出た直後に歩くという恒例事業をやっている!
特に意味もなく出歩くのは大怪我を負った人のお約束だ。
さすが中二病惰弱メンタル面倒臭いと讃えられる風鳴翼だ。期待を裏切らない。
あと翼さん、奏の話はアンタの夢の中の話です。
自分の中ではしゃいで盛り上がっちゃっている。
ともあれ、考え方がポジティブな方向に向いているのはいいことかもしれない。
戦うに戦うだけではなく、戦いの先にあるものを見ようとしている。
過負荷がうまく作用したか。
病棟から翼はリディアンの校庭を見る。
そこには未来と一緒にランニングをする響の姿があった。
自主トレをしているのだ。
防人として鍛錬を欠かしていない。
翼の怪我で響は変わった。翼自身も変わったように思える。
翼が入院している病院はリディアンの近くにある。
付属病院か何かだろうか。
寮あり病院ありとリディアンの設備は非常に整っている。
なのに、学費は格安だ。
……何か裏がありそうだ。
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「暴走するデュランダルの力……怖いのは制御できないことじゃない」
「躊躇いもなくあの子に向かって振り抜いたこと」
「わたしがいつまでも弱いばっかりに」
響はデュランダルの暴走を思い出す。
制御できないことじゃなく、クリスに向かって振り抜いたことが悩みの種だ。
いや、工場破壊しているぜ、アンタ。
ちょっとはその辺も気にしてください。
まぁ、ウルトラマンが怪獣を投げ飛ばすのに躊躇しないようなものか。
ノイズは遠慮なくブッ倒すが、人間相手はそうもいかない。
問答無用で剣を向ける翼のようにはいかなかった。
その辺は女子高生だ。
この身を剣と鍛えているわけではない。
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「わたしはゴールで終わっちゃダメだ……ッ!」
「もっと遠くを目指さなきゃいけないんだッ!」
「もっと遠くへ……遠くへ……ッ!」
響は走っているうちに元とはいえ陸上部の未来を追い越した。
特訓によって鍛えられたのか、あるいは聖遺物の副作用なのか。
響の身体能力は確実に強化されている。
サンドバッグを吹っ飛ばすくらいだし、陸上部以上の走力とスタミナは余裕か……
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出たァ!
風呂シーンだ!
風呂だよ、風呂!
金子彰史が風呂だ!
しょ、正気か?
金子彰史、頭大丈夫か?
たまに金子彰史の安否が真剣に不安になるアニメだ。
いくさ場で常在戦場なのがいつもの金子彰史です。
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「私も中学時代を思い出せて気持ち良かったぁ」
「あれだけ走ったのにッ!?」
「やっぱりさすがだよ陸上部」
「こっちはへてへてのへとへとでとろとろだったのに」
響は未来を褒める。
が、その未来を追い越したのが今の響だ。
その事実からか、未来のことが眼中にないほど響が他のことに集中していたからか、未来の表情は曇る。
デートの約束だけではなく、日常の些細なことでもすれ違う二人であった。
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「やめてとめてやめてとめてやめてとめてやめアァーッ!」
響の身体に筋肉がついた、傷があると未来があちこちを触る。
何たるスキンシップ……じゃなく、これはWAネタだ!
やめてとめてはWA3のシェイディが罠にかかった時のそれと同一!
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未来はお好み焼き屋フラワーでおごってもらうことを約束する。
約束するとあかんて……もう何度同じ失敗を繰り返せば……
しかし、お好み焼き屋か。
もうちょっとこう、色気というか瀟洒なところに行っても。
焼きそば大好きなのが金子彰史ヒロインだから、お好み焼き大好きでも不思議はない。
ここで未来は脇の肉をブラに詰めている。
涙ぐましい努力だ……
奏やクリス、けっこう大きめな響にはわからぬ努力だろう。
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さて、二課では本部の防衛設備の強化が行われている。
デュランダルを狙う勢力があることが明らかになった。
である以上、設備の強化は急務である。
了子曰く、元からグレードアップしやすいように作られており、その案も以前より政府に提出されていたが反対されていた。
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「大臣が反対していたのは俺たちに法令を遵守させることで
余計な横やりが入ってこないよう取りはからっていたからだ」
反対していたのは前回暗殺された二課に好意的な広木防衛大臣だった。
二課に好き勝手やらせるためにあえて力を与えないでいた。
広木防衛大臣の二課への信頼が見える。
司令がメガトンパンチで道路を破壊したのも、広木防衛大臣の後ろ盾があったからこそか。
関係あるかもしれないし、関係ないかもしれない。
防衛大臣には副大臣がスライドする形となる。
その副大臣が本部の改造計画を推し進めたのだが、その防衛大臣は親米派だった。
ここでも米国の陰謀が見え隠れする。
広木防衛大臣を暗殺したのも米国か?
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その時、トラブルが起きる。
尾を引かないトラブルのようだが、その実どうなっているのかはわからない。
今一番怪しい了子がその収拾に向かったことからもだ。
親米派の防衛大臣が指示した本部改造計画で起きたトラブル……
どこか裏があるようにも思える。
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銃器を携え何やら物騒な任務に当たっている緒川は、響に翼のお見舞いを頼む。
広木防衛大臣を殺害した傭兵部隊を追っているのだろうか。
隠れ家らしき場所の制圧は終えているようだ。
だが、血痕などが見られないことから戦闘には及んでいないのがわかる。
既にもぬけのからということかもしれないが、そこで意味有りげなリュックサックが見つかる。
米国政府の陰謀といい、この件といい、見えない部分でも話は動いている。
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そのおかげで未来との約束を反故にすることになる。
もはや恒例なった約束ブレイクだ。
本編中だと約束を遂行できたことは一度もない。
ライブはぽしゃり、流れ星も見られず、そして今回もダメだった。
ここまで約束を守れていない金子彰史主人公も珍しい。
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さて、翼の病室に入った瞬間、響は戦慄する。
常在戦場を心がけている(かどうかはわからないが以前よりは胸の覚悟を構えようとしている)響が驚愕!
翼が無事であることに安心するが、焦りは止まらない。
その理由は室内の光景にあった。
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そこにあったのは超汚い翼の部屋だ!
下着やゴミが散乱するのはまだしも、液体まで構わず垂れ流しだ。
薬物まで散乱させるのは不味いだろう。
想像を絶するレベルで部屋の整理をできない女、風鳴翼!
こんな人が常在戦場やら胸の覚悟やら防人の覚悟やら言っていました。
面倒臭くても中身は普通の少女、それが風鳴翼なのである。
普通の少女なので部屋も散らかす。
普通の散らかし方ではないけど。
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恥ずかしい一面を見せてしまい翼は赤面する。
あら、可愛い。
男塾並みにネタキャラ一直線だった翼が可愛いところを見せた。
これが防人としての務めか……
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CMを挟みながらあっという間に片付ける響だった。
いろいろと立つ瀬がない翼は赤面するばかりだ。
こんな翼は奏が存命していた時以来である。
また、響に対して厳しい表情を見せてきただけにこうした緩んだ表情は貴重だ。
入院中に本当に気持ちの整理ができたらしい。
翼の中の奏とはいえ、奏パワーは偉大だ。
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「今はこんな状態だけど報告書は読ませてもらっているわ」
「私が抜けた穴をあなたがよく埋めているということをね」
あの翼が響を認めている!
しかも、翼語じゃなく日本語で!
この人、誰だよ!
中二病で惰弱メンタルで面倒臭いのが翼じゃなかったのか?
翼語で好き勝手言いたい放題言って後輩を困らせるダメ先輩が風鳴翼の真骨頂じゃなかったのか?
そんな翼が響を素直に認めるなんて……
奏、偉大というレベルじゃないよ。
あるいは奏がいれば、最初から翼もこうやって響と接することができたのかもしれない。
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一方で未来は図書館で「素直になって自分」を手に取る。
これも恒例のWAネタだ。
WA3に同名の本が登場している。
いろいろなシリーズから細かいネタを拾ってきて嬉しいばかりだ。
こういうのを見ると金子彰史の中にはWAがまだ生きていることが伺える。
WA7まだでしょうか。
あ、WA6はシンフォギアです。
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そこで楽しそうに語らう二人を偶然見てしまう。
未来、大ショックだ。超ショックだ。
約束をポカして何をやっているのかと思えば……
響大好きの未来としては気が気ではない。
翼の精神が相変わらず曖昧なら、困っている響を見られたのに……
歯車が噛み合っちゃった翼は普通の人だ。
常在戦場とか突然言い出しません。
褒めるべき部分は褒めます。
これが本来の翼なのであろうが、未来としては仲良くしている場面を見たのだからたまったものではない。
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「でも、だからこそ、聞かせて欲しいの あなたの戦う理由を」
「ノイズとの戦いは遊びではない」
「それは今日まで死線を越えてきたあなたならわかるはず」
以前は遊び半分と有無を言わせず真っ二つにした翼だったが、今度は響を認めて歩み寄ろうとしている。
ここで翼の戦う理由を問われると「剣だから」という困った返答になる。
今の翼なら違う答えになるであろうが、ちょっと前までの翼は剣で通す。問答無用に通す。
風鳴翼はこの身を剣と鍛えた戦士ですから……
だが、今の響は奏の代わりになるといった他者に寄った理由ではなく、自分の意志で戦っている。
あの素人丸出しだった響が翼抜きで生き延びているのがその証左だ。
浮ついた気持ちはないし、自主トレしていることからそれは明らかだ。
そのことを翼は知っているからこそ、あえて問うているのだろう。
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「きっかけは――きっかけはやっぱりあの事件かもしれません」
「私を救うために奏さんが命を燃やした2年前のライブ……」
「奏さんだけじゃありません あの日、たくさんの人がそこで亡くなりました」
「でも、わたしは生き残って今日も笑ってご飯を食べたりしています」
「だから、せめて、誰かの役に立ちたいんです」
「明日もまた笑ったりご飯食べたりしたいから」
「人助けをしたいんです」
響は胸中を語る。
やはりというべきか、2年前のライブが響の人助け癖に直結したらしい。
奏の代わりになるというのもパートナーとしての奏ではなく、人助けをした奏という意味だったのかもしれない。
ライブは肉体的にも精神的にも大きな変化をもたらしていた。
一方である意味では自分を犠牲にするようになってしまった。
歪んでいると言われるわけである。
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「あなたらしいポジティブな理由ね」
「その想いは前向きな自殺衝動なのかもしれない」
「誰かのために自分を犠牲にすることで
古傷の痛みから救われたいという自己断罪の表れなのかも」
そんな響の歪みを翼は穏やかになれど突く。
何せ翼自身が後ろ向きな自殺衝動に苛まれていた。
奏を失った悲しみから逃れるために剣だからと自分を殺し追い込み、そして死にかけた。
ある意味、響の気持ちが痛いほどにわかるのかもしれない。
立派ではあれど決して褒められた生き方ではないことも知っている。
一度ぽっきりと折れたおかげで今の翼は爽やかになっている。粘着質じゃない。
コレジャナイ翼ですか、こやつは。
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「デュランダルに触れて暗闇に飲まれかけました」
「気が付いたら人に向かってあの力を……」
「わたしがアームドギアをうまく使えていればあんなことにもならずに……」
屋上に移動して響は自分の中にある悩みを話す。
思えば二課にはこの悩みを話す相手はいなかっただろう。
無関係な級友にも当然話すわけにはいかない。
自分と同じ立場なのは翼だけだ。
以前はこんなことを話せなかったが、今は二人の距離は(未来を犠牲に)大分近付いている。
だから、伝えることができる。
でも、これを意識的に天ノ落涙を人にぶっぱした翼に言うのは何かの皮肉か?
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「力の使い方を知るということは即ち戦士になること」
「それだけ人としての生き方から遠ざかることなのよ」
「あなたにその覚悟はあるのかしら」
出た!
風鳴翼だ!
戦士とか覚悟とか言ってもらえると空気が引き締まりますね。
常在戦場とか言われるとさらにすごくなる。
思わず笑いを堪えきれなくなることに。
覚悟はないと否定した身から、覚悟はあるのかと問う身に切り替わっている。
本当に翼がダメ先輩ではなくなっている。
何か不味い薬でも打ったんじゃないだろうか。
真面目に不安に感じてしまう。
これが奏という薬の効力か。
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「ノイズに襲われている人がいるなら1秒でも早く救い出したいです」
「最速でッ! 最短でッ! 真っ直ぐにッ!
一直線に駆けつけたいッ!!」
「そして――もしも相手がノイズではなく誰かなら……」
「どうしても戦わなきゃいけないのかっていう胸の疑問を、
わたしの想いを届けたいと考えています」
「今あなたの胸にあるモノをできるだけ強くはっきりと思い描きなさい」
「それがあなたの戦う力、立花響のアームドギアに他ならないわ」
最速!
最短! 真っ直ぐ!
一直線!
まるで烈海王みたいなことを言う響である。
その想いを翼は認めた
アームドギアを持つからではなく、戦う意志があるから響を認めた。
あの面倒臭さに定評のある翼が……
なんてこった、キャラ崩壊って勢いだ。
何か翼がすごくいい先輩に見えてきちゃったよ。
持ち味を活かせッッッ。
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「お腹空いてるんです」
「今日はおばちゃんのお好み焼きを食べたくて朝から何も食べてないから」
さて、ひとりぼっちでお好み焼き屋フラワーに来る未来であった。
響は翼をひとりぼっちにしなかったのかもしれないが、未来をひとりぼっちにしてしまっていた。
守りたい日常を守れていない。
抱えてしまった自己矛盾を解決できるのはいつの日のことやら。
未来は朝から何も食べていない。
それほど響と一緒に食べたかったんだろうな……
溢れる想いとすれ違う想いだ。
せっかく響と同室で二人っきりになれたのにお預けを食らってばかりだ。
フラワーのおばちゃんは山ほどのキャベツをお好み焼きに乗せている。
広島風のお好み焼きだ。
金子彰史の出生地と近いから、そこからインスパイアを受けているのだろうか。
しかし、女子高生が一人でお好み焼き屋か……
舞台は近未来なのに妙に庶民的というか何というか。
舞台は荒野なのに箸文化のWAみたいだ。
おばちゃんの言葉を受けて、未来は響とちゃんと話をすることを決める。
すれ違っていたのも未来が変に遠慮をしていたせいだ。
響もそれに甘えて伝えるべきことも伝えられていなかったことは否めない。
素直になって自分。
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「知ってますか、翼さんッ! お腹空いたまま考えてもロクな答えが出せないってことッ!」
「前にわたし言われたんですッ!
お好み焼き屋のおばちゃんに」
「けだし名言ですッ!!」
一方でかなり打ち解けた響はいつもの調子で翼と語らう。
珍妙なポーズを決めてお好み焼きを買いにダッシュだ!
いつもの響のノリに巻き込まれ、何も言えなくなる翼である。
苦笑するばかりである。
こんな感じに語らうのも久し振りのことだろう。
なるほど、酒を飲み合うのではなく、お好み焼きを食べ合えばいいのか。
ノイズともお好み焼きで対話すればいいのに。
美味しいよね、お好み焼き。
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だが、その時、クリスが登場だ。
何とも言えないポーズで空を飛んでおります。
何だろう、このどこか抜けた空気は……
本当に格好良いライバルになりきれない人だ。
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「お前はァッ!!」
現場に急行したところで未来と鉢合わせる。
未来にとっては幸運で、響にとっては不運だ。
さらにクリスと鉢合わせ、未来が巻き添えを食って吹き飛ぶ。
未来にとっても響にとっても不運になってしまった。
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「しまったッ!
あいつの他にもいたのかッ!」
ここで素で焦ってしまうクリスだ。
いくさ場に生きてはいるが、そこに覚悟なき一般人まで巻き込む気はないのか。
ノイズさんを出しておいて今更だが、根は悪い人じゃないのか?
悪い人ではあれど、外道ではないのかもしれない。
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未来は傷付きさらに未来めがけて車が落下してくる(クリスは焦る)。
そこで響が変身! 救助!
シンフォギアのことがバレるのが速ェ!
展開の速さに定評があるシンフォギアだが、こんなところまで高速とは……
いつまでもすれ違いで引っ張る気はないということか。
響は歌う。
『撃槍・ガングニール』ではなく、新曲『私ト云ウ 音響キ ソノ先ニ』だ!
その名の通り、奏の歌『君ト云ウ 音奏デ
尽キルマデ』の響版とも言うべき歌だ。
メロディは同じだが歌い手が違えば歌詞も違う。
これは実際に見て聴いて欲しい演出だ。
戦いながら歌う!
シンフォギアの特色とも言える演出が、最高のシチュエーションで大爆発だ!
響は絶頂に達したテンションに流されず、とりあえず場所を移す。
今までなら激情に身を任せるところだが、今の響は守りたいものを守るために戦う。
己の道標がないわけではない。
だから、平静を維持している。
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「どんくせえのがやってくれるッ!」
「どんくさいなんて名前じゃないッ!」
「わたしは立花響ッ!
15歳ッ!」
「誕生日は9月の13日で血液型は0型ッ!」
「身長はこないだの測定では157cmッ!」
「体重は……もう少し仲良くなったら教えてあげるッ!」
「趣味は人助けで好きなものはご飯アンドご飯ッ!」
「あとは……彼氏いない歴は年齢と同じッ!!」
そして、まさかの自己紹介だ!
自己紹介かよ!?
立花響全開だ!
これは心強いぞ。
何が心強いのかはわかりません。
しかし、体重って彼氏いない歴以上のシークレットなんだ。
まぁ、まだ隠さなくても大丈夫か。
アラサーになったら気を付けい。
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「な、何をトチ狂ってやがるんだ、お前……」
「わたしたちはノイズと違って言葉が通じるんだからちゃんと話し合いたいッ!!」
そりゃ自己紹介されればカテジナさんでなくてもトチ狂っていると言いますよねー。
それでも響は意見を変えない。
対話路線を崩すことがない。
いきなり天羽々斬を向けた翼とは大違いだ。
かつては戸惑うばかりであったが、今ではしっかりとした意志が響にはある。
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「何て悠長なッ!
此の期に及んでッ!
(こいつ……何が変わった……ッ!?)
(――覚悟かッ!)
対して敵対路線を崩さないクリスだ。
だが、全て回避!
翼でさえ苦戦した間というのに……
弦十郎の教えによるものか?
もっともシンフォギアには歌が、精神的なものが多分に関わってくるようだ。
なら、完全聖遺物も……
響の存在と言葉で迷いが生じてポテンシャルが落ち込んでいるかもしれない。
また、ネフシュタンの鎧自体、絶唱を受けデュランダルを受けた。
傷付き疲弊しているかもしれない。
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「話し合おうよッ!
わたしたちは戦っちゃいけないんだッ!」
「だって言葉が通じていれば人間はッ!」
「うるせえッ!」
「わかり合えるものかよ人間がッ!」
「そんな風にできているものかッ!」
「気にいらねえ気にいらねえ気にいらねえ気にいらねえッ!」
「わかっちゃいねえことをぺらぺらと知った風に口にするお前がァッ!!」
言葉を交わせばわかり合えると主張する響と、言葉ではわかり合えないと主張するクリスだ。
クリスはかつて親を殺され拉致されている。
である以上、クリスの言葉には重みがある。
響は世間を知らないだけかもしれない。
それでも響は必死で一生懸命だ。それにクリスは乱される。
絶唱までは終始余裕を保っていた翼戦とは大違いだ。
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「うおおおおおおぉぉおおおッ!
ふっ飛べェッ!!」
「持ってけダブルだァッ!!!」
もはや響の捕獲という任務を無視!
翼を瀕死に追い込んだNIRVANA GEDON2連発だ!
確実に殺す気だ。
だが、受け止める!
何というタフネスだ。
デュランダルの件といいイレギュラーなれど適合者としてのポテンシャルの高さが伺える。
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(アームドギアに形成されないならその分のエネルギーをぶつければいいだけッ!)
さらにアームドギアを形成ッ!?
には至らないがアームドギア相当のエネルギーを生み出せるようになっていた。
ならば、そのエネルギーをぶつける!
何という物理系!
八極拳といい、物理系キャラとしての道を歩み出した響であった。
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「雷ッ!
握り潰すようにィッ!」
(最速でッ! 最短でッ! 真っ直ぐにッ! 一直線にッ!)
(胸の響きをッ! この想いをッ!
伝えるためにィッ!!)
「うおおおおぉおおおおぉおッ!!」
雷を握り潰すように引き寄せ!
バーニアでダッシュして勢いをつけ!
そして、トドメの腹パンだ!
ついに響の必殺技が炸裂だ。
アームドギアを用いていないからか、カットインは入らないのがもったいない。
とりあえず、ワイルドバンチ(仮称)でどうか。
バグに注意したれし。
この一撃でネフシュタンの鎧を貫きクリスをKOだ。
防御力自慢のネフシュタンの鎧さえも撃ち抜いた。
絶唱やデュランダルのダメージが蓄積していたのか、一点集中の一撃だから鎧を貫けたのか。
いずれにせよキンボシオオキイ!
ヤッター!
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「響……?」
だが、円満解決というわけではなく、響の真実を知った未来が残っている。
ハッピーエンドとは行かなかった。
あとワイルドバンチ(仮称)でやっぱり爆発だ。
爆発、好きだな!
戦隊モノとかライダーモノでは当たり前だから仕方ない。
響と翼の距離が一気に近付き、未来が響が適合者であることを知り、クリスが撃破されたと大きく話が動いた。
いや、シンフォギアで話が動かない話なんてないんですけどね。
もはや1クールが終わったくらいの内容だが、まだ6話だ!
恐ろしいまでの濃密さはまだ続くぞ。
次回へ続く。
待望の新曲だ。
『私ト云ウ 音響キ ソノ先ニ』は『君ト云ウ 音奏デ
尽キルマデ』と対になっている歌だ。
曲名のみならず歌を歌って尽きた奏と歌を歌ってその先を進もうとした響で対称的だ。
私なんて震えて言葉を失ったくらいですよ。
これぞシンフォギアだ!
相変わらずものすごい勢いで話が進んでいく。
大きいところでは未来とクリスのことだが、小さいところだと二部の設備改修などがある。
これからどうなることやら。
WAネタもどうなることやら。
響はいつの間にかクリスを上回る戦闘力を身に付けていた。
まぁ、金子彰史作品のキャラは精神面による強化の幅が大きい。
戦う覚悟と理由ができた響は強く、響に乱されたクリスは弱くなるのが道理です。
とはいえ、響の戦い方が接近戦型かつ八極拳ベースというタイマン型なのも影響しているかも。
クリスの戦い方は鞭による中距離からの攻撃がベースだし、ネフシュタンの溢れるパワーも今回はうまく活かせなかった。
あとノイズに頼れなかった。
しかし、個人的には翼さんがいい先輩に生まれ変わってすごく寂しいです。
風鳴翼は中二病で惰弱メンタルで面倒臭いのが可愛いのに……
これからそんな一面を見せてくれるかもしれないけど。
あれはちょっと死にかけたくらいでは直らない。間違いない。
ただの萌えキャラになったら持ち味殺してますよ!
「素直になって自分」を翼に読ませると病気がぶり返すかもしれない。
来週、また血涙が見られます。無意味に。
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