ワイルドアームズ紹介





・概要
記念すべきWAシリーズ第1作。
当時としては画期的なフルポリゴンでのバトルを採用している。
発売日は1996年12月20日。
この時代に生きていた者なら誰でも知っている超大作FF7が延期によって1997年1月31日発売になっており発売日が被らなかった。
奇跡的にFF7と同じ土俵で戦わずに済んだのだ。
同日あるいはFF7がWA1よりも先に発売されていれば、WAシリーズは続くことがなかったかもしれないし、今の金子彰史もいないかもしれない。

ただ、その注目度はいまいちだったらしい。
当時は「アーク2」や「ポポロ」などのSCEは人気RPGをいくつか輩出していた。
だが、WA1は有名スタッフなし。まだ、金子彰史の名も絶大なる効力を発揮していなかった。
なので、発表会もひっそりとしたものになったとか。
それでも人気を博しアークシリーズやポポロシリーズ以上の長寿タイトルとなったのは、
金子彰史を初めとするスタッフの尽力によるものに間違いない。


・独自性
当時のRPGとしてWA1は十分に画期的であったと思う。
例えばRPGに欠かせないダッシュもボタン押しっぱなしでダッシュ、
ダッシュ中は方向転換できず壁にぶつかると止まると独自の操作を打ち立てていた。
グッズなどと合わせてARPGの要素を多分に含んでおり、また操作性も良好でフィールド上で操作する楽しさに富んでいる。
そのテンポの良さは今の基準で見てもなかなかのものではないだろうか。

戦闘は基本通常のターン制バトルだが、FPという概念が特徴的であった。
FPはキャラ個別に設定されているパラメーターで、バトル開始時は0で始まりバトル中の行動で蓄積するのが特徴である。
溜まったFPはフォースアビリティで消費することができる。
フォースアビリティは単体で効果を発揮するものから、フォースアビリティ独自の要素として行動を強化するものがある。
バトル終了時も持ち越しMPとは異なりFPは「そのバトル限りのリソース」であり、FPを上手く使うことで消耗を抑えることができる。
特にボス戦ではフォースアビリティが重要になる。

総じてWA1が打ち出した独自性はまとまっており、第1作にしては十分に仕上がっていると言える。
そして、これらの要素は今後のシリーズにも伝えられていく要素となっていく。
金子彰史を初めとした天使の詩を作ったスタッフが多く関わっているのがそのまとまりの良さの要因と言える。


・金子彰史作品として
さて、トータルゲームデザイナーとして有名な金子彰史はこの時点ではまだ「トータルデザイン」という肩書きである。
この時点で既にこの肩書きを持っているとも言えるか。
当時はスタッフが少なかったこともあり、町人に至るまでのテキストを全て書き下ろすなど様々な分野に顔を出していたようだ。
こうした経験が生きて作品全体に金子味を出すような作風が生まれたのだろう。

それでも当時はまだ好き勝手やらせてもらっていなかったのか、金子彰史のはっちゃけ具合は薄め。
シンフォギアのようなハチャメチャな作風はこの段階ではまだ鳴りを潜めていると言わざるを得ない。
シリーズの特色である西部劇という味付けもファンタジーのおまけ程度に留まっている。
だが、それ故に濃い口と言わざるを得ない金子彰史の味付けも薄くなっており、そのため、間口が広くなったとも言える。
第1作のスタートとして致し方ないと言わざるを得ない。
その点、第1作のスタートからアクセル踏みまくったシンフォギアはある意味凄い?



一方、ところどころに(天然ボケ的な)おかしさを見せるのはさすがである。
その代表格がボスモンスターアガレスだろうか。
脚がキャタピラである。
発想が明らかに怪獣である。
何の前振りもなくこんなものをぶつけてくるのだから溜まったものではない。

また、こうした金子彰史の自重のしなさが披露されるのは本編よりも攻略本のインタビューであった。
嫌いなキャラを暴露しまくる辺り、普通のインタビューではない。
WA1では金子彰史が自重していたのは事実だが、自重していただけでその本性は今とさほど変わっていないことが伺える。


・ゲームとして
RPGの要となる戦闘は以後のWAシリーズと比べると調整が荒い……というよりも、以後が変に大人しいというべきか。
他のシリーズよりシビアでリソース管理が厳しめ。
ツインデバイスやスラッシュレイヴなど、意外なオリジナルが強かったりするのも面白い。
私的にはゲームとしての面白さはシリーズトップクラスだと思う。
他のシリーズは使える選択肢があまりにも決まりすぎている感がして若干やらされている感が強いバランスなのだが、
WA1はそう感じないバランスになっている。

そんなWA1の戦闘におけるキャラクターの紹介でもしたい。
WA1をやっている方は想い出にでも浸っていただければ幸い。

-ロディ
HPが高い。
……終わり。
主人公なのにスペック的にはどうもいまいちである。
オリジナルのARMは命中率が設定されているおかげで、フォースの「ロックオン」を使わなければ信用できないというのもいまいち。
一応、主人公の名誉のために言及すると序盤から中盤まではロディの火力は頼りになる。
だが、そこを越えると火力のインフレによって長所がいまひとつ機能しにくくなる。
パーティメンバーが3人であることから出番はあるのだが、積極的に頼りたくはならないのが少し悲しい。

-ザック
強い。実に強い。
攻撃力が高く反応も高い。
ロディと違って命中率に悩まされることもないため、ダメージも安定している。
さらに「ヒーリングファクター」でHPと状態異常を同時に回復できる。
まさに万能である。
その強さにWA:Fでの零落がネタになるのだった。

-セシリア
魔法キャラらしくできることが多い。
攻撃に回復に補助と活躍は多岐に渡る。
もっとも、攻撃は他の2人が担当しているので、必然回復と補助がメインとなるのだが。
そんな中で攻撃と回復を両立できる「ハイマテリアル」の「ラフティーナ」など、攻撃で輝く場面もありバランスが良い。
味付けが上手くできているキャラと言える。
だからこそ、攻撃しかできないロディの立ち位置が悲しくなるのだが。


・シンフォギアとの関連性
一番に思い浮かぶのはやはりカ・ディンギルだろう。
第1期のラストダンジョンはWA1のラストダンジョンでもあるのだ。
また、「絶対に絶対」もWA1が初出である。
WA1を象徴する単語のいくつかがシンフォギアでも用いられている。
さすがは初代の貫禄である。

また、ロディと響は主人公同士で「過去にトラウマを抱えている」「左腕を喪失する」といくつかの共通点がある。
特に「左腕を喪失する」は強烈な共通点である。
それだけにWA1を知る者はショックと同時に興奮したトカ?

マニアックなネタとしてはやはり「シェリフワッパー」だろうか。
WA1の没アイテムを使った時には唸ったものである。
その点からもWA1が金子彰史にとって特別な作品であることが伺える。


・シンフォギアファンへのオススメ度
10年以上前のゲームだけに古臭さは隠せない。
だが、テンポが良いため、プレイがサクサクと進むこともあり、ゲーム自体の面白さは今でもなかなかのものである。
キツい謎解きに唸るのもまた楽しい。

一方、前述した通り、金子彰史のあからさまなノリの良さは控えめのため、そうした部分で期待すると思ったより綺麗なおっさんに面食らうかも?
いや、あまり悪ふざけしていないそこそこ真面目な金子のおっさんを見たいなら一興?
そして、所々で検閲を抜けたように光る悪ふざけを楽しむのも一興である。


シンフォギア感想トップに戻る TOPに戻る