刃牙道 第22話 刀



佐部京一郎敗北!
あの佐部がまさか……こうもあっさり……
と驚くにはちと実績が足らんな。
思えば拳刃第2話に出てきた人だし、ポジション的には次鋒だ。
郭春成である。
まぁ、うん。


「見せてはくれんか」「剣を」

佐部を斬り殺した(という設定)武蔵は佐部に刀を見せてくれないかと申し出る。
武蔵はイメージ上とはいえ表情を変えず人を斬殺してのける男である。
刀を渡すのはちと怖い。
まぁ、ここで好奇心を剥き出しにするみっちゃんでありますがね。
最悪、それで佐部がリアル斬殺されても驚きはすれど悲しみはしそうにない。

徳川光成の一声で佐部は承服し刀を渡す。
そして、武蔵は刀を抜く。
それだけで現代人2人は驚愕するのだった。
ピクルが立ち上がるだけで驚愕していたことを思い出す。(範馬刃牙第88話
伝説の剣豪は刀を抜くだけでも美しいのか?

「ふむ…」「懐かしい…」

(懐かしい…?)
(平成の現代に至るも知らぬ者のない「剣豪」宮本武蔵が…)
(刀剣(かたな)が懐かしいなどということが…………………??)


武蔵がふと呟いた言葉に違和感を覚える徳川光成である。
心は常に戦場(いくさば)。常在戦場な武蔵が刀を懐かしいというのはたしかに違和感がある。
だが、武蔵は61歳で亡くなっている。
その死因は病死のようだし晩年は刀を握る力はなかったのかもしれない。
なので、刀を懐かしいと言うのは理屈としては合っている。

まぁ、武蔵の記憶がどの段階なのかはわかりませんが。
死ぬまでの記憶を持っているのか、あるいは肉体年齢に合わせているのか。
後者なら大坂の陣の直後だしやはり違和感がある。
グラップラー向けに素手でいくさをしていたのか。
あるいは刀なんてリーチないっすよなんて槍を使っていたら夢ぶち壊しだ。

武蔵は佐部が持っていたもう片方の刀も手にする。
これにて宮本武蔵二刀流完成!
有名な肖像画がリアルで拝めたぞ。
アニメじゃない光景にみっちゃんも大満足か。

そして、その技を見せて欲しいとねだる。
武蔵をただ蘇らせたわけではない。伝説をこの目で見たいからだろう。
これには斬殺された佐部も興味を引かれる。
自分を斬殺した人間がどんな技を使うのか、興味があるのも道理か。
ちと文脈がおかしいが気にしないようにしましょう。

ここで「どちらを斬ればいいのか」と物騒なことを言う武蔵さんである。
それを拒否る2人の顔は一生懸命すぎてまるでオバQですな。
佐部……すっかり面白い人になってしまって……
今なら本部と美味い酒を飲めるかもしれない。
無論、状況としては大変不味い。刃牙だってさっさと本部との付き合いを止めちゃったし。

まぁ、さすがにそれは冗談であった。
武蔵は冗談を言える人である。
冗談一切ゼロで人間を食うピクルと比べると大分付き合いやすいか。
これなら意外と早く現代に馴染めるんじゃないだろうか。
あとは刃牙の煽りにどれだけ耐えられるかがポイントだな。
なお、ピクルは耐えられなかった。

(……果たして……… ……持つか………?)
(美しく…仕上がってはいるものの…)
(これは…鍛錬の甘い鉄の延べ板…)
(人を斬る代物ではない)


武蔵は手にした刀を酷評する。
見た目はいいが中身はダメ!
一時期溢れたムービーばっかり(もちろん飛ばせない)のゲームみたいだな。
現代よりも戦国の世の方が刀の質が高いのだろうか。
現代の刀は芸術品に近いものとなっている。
そのため、人を斬るということにベクトルが向いていないのだろうか。

しかし、佐部の商売道具なのに扱いが悪いな。
人を20人以上斬ってるのに。
あるいは武蔵の想定したレベルで人を斬れるわけではないのだろうか。
佐部が使っているのは「はがねのつるぎ」だが、武蔵が求めているのは「ロトのつるぎ」なのかもしれない。
中盤の敵は倒せても終盤の敵は倒せんよ。

「ぬんッッ」

武蔵は思い切り振りかぶり真っ直ぐ振り下ろす。
その握りは人差し指だけで柄を握るという独特のものだ。
親指はハバキに当てているのか。
とても力が入るとは思えない握りである。
虎眼流はあの握りで神速なので、これが剣の世界なのだろうか。
振り終わった時にはちゃんと握っているので、消力のように緊張と脱力のうちの脱力の部分なのかもしれない。

振り終わると同時に刀は折れて壊れた。
素振りだけで刀を破壊する武蔵の恐るべき膂力である。
筋力の為せるものなのか、あるいは技術なのか。

(茎(なかご)の部分から切断されている…!!!)

佐部はその刀の折れ方に驚愕した。
目釘が折れてすっぽ抜ける形で壊れるのならまだわかるのだが、茎からすっぱりと折れているのだ。
それも折れ方が非常に鋭利だ。佐部の言う通り、切断の領域である。
素振りだけで破壊芸を見せる辺り、範馬一族に近しいものがある。
まるで勇次郎のような所行だ。魅せる技術も強者には必要である。

で、これは刀ではないとさらに酷評する武蔵である。
人を斬るどころか素振りにさえ耐えられない。
そんなもので人を斬ってきた佐部を嘲笑うかのようだ。
拳刃と本編を繋げた貴重なキャラなのにどんどんと悲しいことになっていく。
あるいは佐部は人を斬るつもりがなく、あえてダメな刀を持ってきたのだろうか。
佐部の驚きようからそれはないと思うだが。

そんな佐部についに武蔵は自分の名前を教える。
が、全然信じない佐部さんでした。
そりゃそうですわな。武蔵がクローンで蘇って降霊されたなんてファンタジーにもほどがある。
今でも格闘漫画でやることとは思えぬ。
あとそろそろ戦ってください。

で、ブツブツと愚痴りながら壊れた彼方を拾う佐部でしたとさ。
もうキャラクターとして再起不能だな。
多分、これが最後の出番だ。
ここから無理に出ようとすると柳みたいに酷い目に遭う。
具体的には本部に負ける。最悪の未来だろう?

「強き者を」
「剣でも」「槍でも」「弓でも」
「或いは丸腰(素手)でも」
「この国随一の実力者をッッ」


佐部を斬殺し刀を破壊した。
それでも武蔵の武人の血は収まらぬ。
剣でも素手でも何でも持ってこいと猛る。
武蔵自身も素手でも戦う気なのだろう。
ついに武蔵は素手の武術家という新説が飛び出すか?

しかし、銃が入ってないのですな。
武蔵が生きていた時代にも銃はあった。
戦場ではリーサルウェポンのような存在である。
銃を武と認めていないのか。
銃を前には勇次郎でさえ不覚を取っている。
実は武蔵も銃をビビっていたりするのか?

武蔵は戦う気満々だ。
満々だがなかなか戦わぬ。
そろそろ戦ってみてはいかがでしょうか。
ピクル編の時にいたらスムーズに死合ってくれたのだろうか。
あ、もしかして、武蔵って当時食料に困っていたピクルのために生み出されたりして……
次回へ続く。


佐部にトドメを刺した武蔵であった。
ここまでして佐部を虐めるのは何故か。
まぁ、虐めるためだけに登場するキャラも多いのだが。
相変わらずキャラの使い方が派手ですな。

武蔵は刀を上回るほどの身体能力を秘めている。
世界最高峰の人斬りが使っていた刀でさえ使い物にならない。
つまり、現代の刀を武蔵が使う理由はなく、闘争においても刀は不要となる。
グラップラーとグラップラーできるのだ!
伝説の剣豪、武蔵があえて刀を使わない理由を作るのは難しい。
そこをどうするのか。板垣先生なら何とかしてくれるでしょう。

武蔵がなかなか戦わない間に花山がどうなったのかも気になる。
謎の時系列のままだし。
いっそのこと勇次郎と戦うよりなら武蔵と戦った方が安全そうだし、武蔵と戦ってみてはどうだろうか。
幾度も日本刀をその身に受けてきた男だ。
イメージ上では斬れぬ男と思われるのかもしれない。
ならば殴ってみよう! と相成る。完璧だ。

範馬刃牙になってからだがGW・お盆・年末の合併号に2話同時掲載を合わせている。
そして、2話同時掲載と同時に試合開始のパターンが多い。
ピクル編の試合開始の合図はそれだった。
なので、刃牙道ののんびり展開もそれに合わせているのだろうか。
あんまり気にせんでテキパキやって欲しいのが読者の要望なのですが。

出逢ったら即喧嘩を売るような命知らずが今必要なのかもしれない。
死刑囚編は命知らず揃いだったので、何だかんだでバトルが絶えなかった。
戦わなかったのなんて刃牙くらいだよ。

そんな死刑囚編で一番捨て鉢だったのは言うまでもなく加藤だろう。並んで末堂だ。
特攻隊そのものであった。
あんな感じに特攻してくれる人材を徳川さんは調達すべきではないだろうか。
大擂台賽の一山いくらのダメ海王に出番を与えれば喜んで飛びつくかもしれない。ムエタイでもいい。
その役割を担った佐部に合掌したい。
ん? もしかしてムエタイ剣士なら佐部は古今稀に見る輝きを見せたのでは……




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