刃牙道 第24話 印象



刃牙と武蔵が急接近している。
これは戦いが近い……わけがない。
こんなので戦うのならとっくの昔に戦っている。
範馬刃牙はこと戦わないことに関しては超一流の格闘家だ。
勇次郎を相手にした時は言わずもがな、死刑囚も、ゲバルも、オリバも、ピクルも、千春も、とにかく戦わない。
とりあえず、3年は待ちたい。
さすがに3年も待てば戦ってくれるぞ。
何かワールドカップみたいなヤツだな。


「隣の部屋に隠れたヤロウだよ どこのどいつだいッッ」

これで本部ならガッカリだが、そういうこともあるまい。
隣の部屋にいる人間の気配を尋ねる刃牙であった。
もうすっかり花山のことを忘れてますな。
忘れること前提で男とか幸せとか何かポジティブな言葉を並べたのだろうか。
だとしたら、この男、政治的な手腕は微妙に上がっている。

そこで屋敷には使用人がたくさんいるから隣の部屋に誰かいるのも当然だと言い出すみっちゃんでした。
ええい化かし合いはいい!
武蔵を出せ、武蔵を!

対して範馬勇次郎の息子だからと性別や敵意など様々なモノを感じると言う。
あ、そこを強調するんだ。
すっかり勇次郎の息子であることを認めておりますな。
仲睦まじいようで勇次郎の威光にすがろうとしているようにも思える。
丸くなってやる気がなくなると刃牙は魅力半減だ。尖っていて欲しいものだ。
まぁ、連載再開直後にクソ野郎っぷりを見せたので別に平気か。

とかそんなことを言いながら感じるわけがないと言い出す刃牙さんでした。
気配なんてオカルトはあり得ないと申すか。
お前も化かし合いか。
何を主張したいのかよくわからぬ。
だが、そんなボンクラでも感じ取れる気配があるらしい。

直後、刃牙の背後に人の気配を感じる。
感じることができないと言いながら気配を感じていた。
さすが範馬刃牙である。
でも、気配を感じていた方向は180度違った。
やっぱり範馬刃牙である。
俺はやるぞという雰囲気を漂わせた直後にズッコケをするのが刃牙という男だ。
萌えキャラで例えるとうにゅうとかふみゅうとか言うタイプですな。

「ひィあああぁ!!!」

気配を感じた刃牙は即応戦しようとする。
蹴りだ。
だが、足を斬られたイメージが刃牙の頭をよぎる。
なので叫ぶ。思いっきり叫ぶ。
ちと情けないが刃牙ってそういうキャラなんですよね。仕方ない。
大丈夫、彼岸島の明さんよりは取り乱さない。

悲鳴を上げて大量の冷や汗を流す刃牙だが、脚はちゃんとくっついている。
思わず見直しているほどだ。
百戦錬磨の刃牙でさえ冷や汗を流す衝撃だった。
今のがリアルでなくて良かったな。リアルだったらお前もう死んでるぞ。

まぁ、刃牙はよく冷や汗を流すけど。
刃牙の冷や汗は安くてちとありがたみがない。
これが勇次郎ならなかなかに高級品なのだが。

「こ………ッッッ」
「こいつだ!!!」


背後にいた人間は当然宮本武蔵だった。
その鼓動を感じ一目で胸騒ぎさせていた人物だと気付く刃牙であった。
当然、メッチャ驚いている。
死刑囚だろうが原始人だろうが驚かないと決めていたのにこのザマである。(第19話
まぁ、こうなることはヨミヨミでミエミエですがね。
原始人よりは常識的だが宮本武蔵が蘇るのも十分おかしい。

部屋にドアはひとつしかない。
なのに、武蔵はいつの間にか背後に回り込んでいた。
もっともよくあることだ。何の不思議もない。
逆に言えばこの程度をできずに何が強者か。

「刹那二人が垣間見た(イメージした)もの……」
「片や巨大なキノコ雲……… …………に対し」
「片や地平線まで続く 懐石料理(ごちそう)だったという」


刃牙は武蔵に戦略級の兵器を感じたのに対し、武蔵は刃牙にとんでもないご馳走を感じた。
強者を上等の料理と感じるのは勇次郎と似ている。
勇次郎のみならずピクルとも似ている感性だ。
強者の思考は似通ってくるということか。
上等な料理であれど脅威にはならない辺り、刃牙と武蔵の実力差が表れているのだろうか。

「五体(からだ)が効くな」「大した少年(ボン)だ」
「「忍者(しのび)」か………?」


アイエエエ、ニンジャナンデ?
刃牙の実力を評価する武蔵であった。
大物らしさが漂っていていいですな。
刃牙はちと小物っぽいのは言うまでもない。

徳川光成は武蔵に何を感じるかを問いかける。
目の前にいるのはリアル伝説だ。
反応が楽しみなのだろうか。
いつもはつれない刃牙だが今回はいいリアクションをしている。

「宮本武蔵さん………?」

刃牙、大当たりだ!
ビビりっぱなしだったが何とか意地を見せた。
さすが武蔵の領域に踏み込んだ男である。
ゴキブリの領域にも踏み込んでいるがな。
あ、ゴキブリだった。
懐石料理を連想したのは間違いだったか……?
次回へ続く。


刃牙と武蔵が急接近だ!
足を斬られたイメージをした辺り、まだ武蔵には敵わないのだろうか。
初手より脚を斬る辺り、武蔵は恐ろしい。
日本刀を持っていたらもう刃牙は死んでますね。

だが、素手ならわからぬ。
素手でやり合おう!
……とはならないのが刃牙だ。
何かと理由を付けて戦わない。戦わないプロなのだ。

刃牙曰く戦う理由も戦わない理由も無限に用意できる。
だから、戦わない理由を用意する。
そんな男である。
みっちゃんは武蔵に逢わせるだけでなくどう戦わせるかも考えるべきじゃな。

もっとも刃牙と言えば強者レイプを得意とする。
刃牙じゃ敵わないと思われた強者を妖術で(理不尽に)屠っていく。
なので、他の格闘家が戦っても良いのじゃよ。
お前はそのために鍛錬していたのだろう、なぁ本部さんや。

多くの格闘家が動きを見せていたのだが、肝心のストーリーは武蔵だけで進行している。
これはちょっと寂しいし格闘家難民を消化しきれない。
ピクル編は1戦1戦の密度は濃かったのだが、ピクル戦線にエントリーした格闘家の大半が出番なしで終わってしまった。

ここは「範馬刃牙」で密かに存在が囁かれていた第2回最大トーナメントだろうか。
武蔵も大満足間違いなしだぞ!
トーナメントなら展開も早くなるに違いない。
これで武蔵が優勝者と戦うとなれば恐ろしいことになるな。
あ、刃牙は観客として出場します。観客として出場します。




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