範馬刃牙 第196話 事切れる前に…
徳川光成が死にそうだ!
徳川光成…バキ世界の問題児の一人だ。
この人が余計な気持ちが多くの被害者を生み出してきた。
例えば、危険極まりない夜叉猿やアナコンダを格闘家と戦わせようとしてヒドイ目に遭わせてきた。
今考えれば頭がイカれているとしか思えない。いや、実際にイカれているんだろうけど。
この現状は報いに見えてしょうがない。
事切れる前に夢を叶えたい。
鎬紅葉に対して徳川光成はそう申し出た。
余命幾ばくもないことを悟っている。
それに対して鎬紅葉はまだ健康だから大丈夫とはぐらかす。
病状を一切述べていないのに健康も何もあったもんじゃない。
範馬脳に興奮するくせに変に処世術を身に付けている男だな。
病状をきちんと説明するのがインフォームド・コンセントというものだろう。
逆に言えばそれほど深刻な病であることも伺える。
「一か月か――三か月か――半年か――」
「どの道一年は持つまい」
だが、こういう時には調子に乗らない徳川光成であった。
誤魔化そうとする鎬紅葉を無視して、徳川光成は小坊主の一人、佐藤に何らかの指示を出す。
結局、鎬紅葉に頼まず小坊主に頼んだ。
鎬紅葉は徳川光成に使えない判定を出されてしまった。
これは最悪だ。
なお、波斗山征夫は傍で愛想笑いしているだけだ。
まるで使えねえ。
「もたもたするんじゃないッッ」
徳川光成は激昂する。
先ほどから何かと誤魔化そうとしている鎬紅葉も黙らざるを得なかった。
激昂するついでに徳川光成は身体を起こしている。
病人のわりに元気だな。
鎬紅葉は病状を誤魔化しているんじゃなく、本当に大丈夫だからその事実を伝えようとしていたのかも。
さて、徳川光成が佐藤に出した指示の内容はわからない。
明らかになるのはこれから先なのだろう。
徳川光成が生涯最後のイベントとして決めているようなこと…
刃牙と勇次郎の戦いは二人が勝手に始まるだろうから、わざわざ佐藤に指示を出す必要はない。
むしろ、佐藤に頼まれたからと言って戦い始める連中でもない。
となると真の地上最強を決める第2回最大トーナメントか?
烈がボクシングを習い始めたのは第2回最大トーナメントの開催を直感で察したからなのだ。
習うモノを間違えている。
ムエタイやロシア人を集めた最弱トーナメントを見たい可能性もなきにしもあらずだ。
さて、烈が入門を試みたボクシングジムに場面は移る。
そこでOPBF(東洋太平洋)スーパーウェルター級チャンピオン麻仁アキオが記者たちにインタビューを受けていた。
何だか尊敬するボクサーは?と聞かれたら、アイアン・マイケルと答えてしまいそうな雰囲気がする。
要するに使い捨てキャラの匂いがする。
ボクサーで使い捨てられないキャラの方が珍しいが。
そんな麻仁アキオはアマプロ通して無敗、さらにプロでは14試合全て1RKO勝ちという経歴の持ち主だった。
経歴だけなら凄まじい。
だが、経歴だけで強者になれるのなら苦労しない。
それなら剣持武志だって強者になれた。
経歴しか自慢出来るものがなさそうでむしろ不安になってくる。
経歴を自慢するならティラノサウルスを食料にしているくらいじゃないと辛い。
この記録を狙ったものなのかと記者に問われる。
狙わないと無理だろう、これは。
1Rを様子見に費やさず勝負を決める…
圧倒的な実力差か偵察や情報収集などの入念な下準備のどちらかがあるのだろう。
麻仁アキオは間違いなく後者だ間違いない。
「リングという凝縮された非日常――」
「その空間で―― 無駄な時間は過ごしたくない」
「相手のアクションに対し 理に叶ったリアクション」
「理に叶うなら 3分は長すぎるということです」
どうやら麻仁アキオはアイアン・マイケルが尊敬するタイプなのではなく、サムワン海王が尊敬するタイプのようだ。
ビッグマウスは敗北の要因だ。
麻仁アキオは自らそのフラグを立てている。
より速く噛まれるぞ。気を付けろ。
しかし、この言葉は刃牙に聞かせてあげたいな。
投身自殺をして無駄な時間を過ごしている場合じゃないんですよ。
あれ?強者は例外なく無駄なことが好きだから、麻仁アキオは強者にはなれないのか?
シコルスキーなんてスプリンクラーに捕まったり無駄の塊だったぞ。
無駄すぎて弱いくらいだ。
取材は終わり記者たちは帰ったようだ。
同時に麻仁アキオはトレーニングを開始する。
熱心な男だ。
輝かしい経歴の裏には入念なトレーニングがあるようだ。
麻仁アキオは努力家だった。
もっとも、並大抵の努力ならしない方が強いのがバキ世界だが。
そんな麻仁アキオの目に前回烈に破壊されたサンドバッグが目に映る。
ボクシングジムの日常にはありえない光景だ。
コーチから烈が破壊したことを伝えられる。
三流格闘家には辿り着けない境地があると教えられた麻仁アキオの反応やいかに。
「バカな……… 素手の右ストレートでヘヴィバッグが…」
「理に叶ってない……ッッ」
そんなオカルトありえませんと一般人の反応をする麻仁アキオだった。
麻仁アキオは常識の範囲内の人間であった。
ほうアレを破壊するとは素人風情にしてはなかなかやるなくらいは言わないとダメだ。
黒曜石で打岩を作る世界なんて想像も出来ないんだろうな。
麻仁アキオにとって理に叶うかどうかが物事の判断基準のようだ。
効率的か否か、それを重視する効率厨のようである。
サンドバッグを壊すとか聞いたことないので抜けますね^^
しかし、サンドバッグを素手で破壊する…
それは理に叶う叶わないという問題ではない気がする。
そりゃあパンチだけでサンドバッグを破壊出来たら何かがおかしい。
だからといって理に叶っていないと否定するのも違う。
壊せた以上、それは理に叶っているものなのだ。
君たち噛ませ犬は価値観が狭すぎる。
そんなサンドバッグクラッシャー烈海王は鏡の前でボクシングのフォームを取っていた。
フォームの確認中なのだろうか。
どうやら無事入門出来たらしい。
そして、本当にボクシングを学ぶつもりだった。
てっきり4000年前に通過していると虚仮にするものだとばかり…
でも、功夫シューズは場違いだな。まだ、土足なのか?
麻仁アキオは烈の姿を見てただ者ではないと判断したのだろう。
スパーをさせてもらうようにコーチに頼む。
義足だからと弱者と決めつけていないあたりは好印象だ。手遅れだけど。
しかし、サンドバッグを破壊出来る人間にスパーを挑むなんて、効率厨のくせに実に理に叶っていない。
かつて、烈の肉体は見る者を驚嘆させた。
それほど筋肉の詰まった肉体だった。
その肉体は今も健在だ。
麻仁アキオの身体が貧相に見えてくるくらいだ。
こんな男にスパーを挑まんでも…
相手の実力を見切ることは出来ても、比べることは出来ないようだ。
また、さりげなくピクルに食われた肩が完治している。
脚は治らずとも肩は治った烈であった。
あれは自然治癒出来る範囲を超えている気がするのですが…
アキレス腱が治った渋川先生、頬が治った花山さんがいる世界だ。
突っ込むのも野暮か。
さて、コーチにスパーの件を話される烈だ。
その申し出に「一向にかまわんが――」と烈は果てしなく偉そうである。
そりゃあコーチも持て余してフォームの確認を一人でさせますよ。
いや、実態はそうじゃないかもしれないけど、そうとしか思えない。
烈は麻仁アキオの姿を見る。
戦闘力5…ゴミかとでも言いたそうな視線だ。
侮られている。侮られているぞ、麻仁アキオ。
「お断りします」
「彼が相手ではわたしにとってハンデだ」
「あの人の力量では わたしが全力を出せないのですッッ」
ギャー!言っちゃったぁ!
いやいや、烈先生。
スパーは試合じゃないんです。全力を出す必要はないんです。
軽く遊んでやればいいんですよ。
でも、復元を日常化することが中国拳法の鍛錬だ。
腹八分目とかぬるいことは言わないんだろうな。
病人食は14リットルの砂糖水なのだ。
常に全力だ。こうして烈は常に空回る。
麻仁アキオは侮辱とも言える言葉を受け取った。
怒る前にもう許してくだしあ;;すいまえんでした(土下座)と謝るべきだ。
下手に挑発すると貴様は中国拳法を嘗めたッッと怒られる。
それはボコられフラグだ。
麻仁アキオの運命や如何に。
烈の相手にもなりはしないだろう。
せめて中国武術を使わせてもらうぞ、とでも言わせれば麻仁アキオの勝ちだな。
無論、スパーではヒドイ目に遭う。
とりあえず、注目するべきポイントはこれから麻仁アキオの「理に叶っていない」とどれだけ連呼するかだ。
もちろん、烈にボコボコにされる度に言う。
消力に代表される矛盾している技術をいくつも秘めている中国武術だ。
麻仁アキオがスランプに陥りそうで怖いな。
そうなると烈はとんでもない疫病神になってしまう。
…サンドバッグを破壊した時点で疫病神か。
次回へ続く。
刃牙と勇次郎の決戦に向けて話が進みそうでまったく進まない。
烈がボクシングを習うという壮大な寄り道付きだ。
話の流れがまったくまとまらない。
どこへ向かおうとしているのだろうか。
とりあえず、徳川光成の企みが今後の話の中心になりそうだ。
第2回最大トーナメントか?刃牙と勇次郎を無理矢理戦わせるか?
バキシリーズのフィナーレを飾るイベントを企んでいそうだ。
佐藤に佐藤(姉)の出番がもっと欲しいと言っていたら、殴らない。
いいぞ、もっとやれ。
まぁ、そんなことよりも烈の方が気になる。
麻仁アキオという噛ませ犬…もとい引き立て役をどう料理するのであろうか。
ボクシングのフォームを取ってこれなら試合になると挑発してみるか?
それでも試合にならないな。
麻仁アキオは1RKOを得意とする。
速攻が彼のボクシングなのだろう。
でも、それは烈も得意だ。
最大トーナメントでは刃牙戦まで週殺を実現している。
得意分野がかぶっているならボコられるしか…
そもそも潜り抜けてきた死線が違う。
烈は爆薬あり、勧誘あり、食人ありの第一線を潜り抜けてきた。
ピクルを相手にした時は本来ならば死んでいてもおかしくはなかった。
対する麻仁アキオは温室育ち感がぷんぷんとする。
デコピンだけでやられてしまいそうだ。
麻仁アキオに残された見せ場は烈にどういった返答をするかだな。
「当たらなければどうということはない」と烈のパンチ力から目を逸らしてみるか?
「fack
you」と英語がナチュラルじゃないことを思い知らせるか?
「あたしの勝手じゃん!ボクシング馬鹿にする気?そうならあんたもう死ね!」と怒ってみるか?
実際俺は武術界でも結構有名でケンカとかでもたいしてビビる事はまず無かったが生まれて初めてほんの少しビビった。
ただ、最大の問題は烈がどうしてボクシングを身に付けようとしているかだ。
気まぐれでこんなことをやっても致し方あるまい。
これからの新展開に烈の出番があるのか?
片脚を食われたというのに未だ現役で戦う時が来るのだろうか。
それはそれで嬉しいのだが、そうなると片脚を食わせたことを板垣先生は後悔していたりして。
もしかしたら、これは烈の復活の儀式なのかも。
烈は麻仁アキオに苦戦を強いられる。
「何がハンデだ」「全力を出せないのはこっちだ」「ツンデレの時代は終わった」「かいおうw」「 ま た 烈 か 」と次々に馬鹿にされる。
怒った烈は全力を出し、時を同じくして義足が砕ける。
そこには何と食われたはずの烈の脚が存在した。
「便利なものだな、医学というものは」
こうして烈の脚が再生する過程が語られるのだ!
明らかに義足のサイズが小さいのは無視してください。
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