範馬刃牙 第205話 美しき打拳
政治家が出てくると話が進まなくなる。
だが、烈が出てくると話がギャグになる。
そんなわけで後編は烈の出番だ。
ボクシング×烈!
この組み合わせはまだ続くぞ。
さて、成田空港にカイザーと呼ばれる男が降り立つ。
同時に記者らしき人間たちから来日の理由などを問われる。
相当な有名人らしきカイザーはボクシングのプロモーターのようだ。
タイトル戦と問われていることから相当地位の高い人間らしい。
さて、このカイザー。
長身だがとにかく身体が細い。筋肉がなさそうだ。
顔には若干ではあるが皺が刻まれている。
第一印象はとにかく弱そうだ。
プロモーターという立場や顔に走った皺に加え、鼻や耳にピアスをしていることから、既に前線から一歩身を引いているだろう。
逆に言えばそんな身でも注目を浴びていることから、ボクシング界の重鎮であることが伺える。
「ケンカを買いに来た」
カイザーは来日の理由を話す。
今ボクシング界の片隅ではチャイニーズタイフーンが巻き起こっている。
もう滅茶苦茶だよ。
ボクシング界の重鎮として何とかせねば!
そんな決意がカイザーの胸にはあるのかもしれない。
さて、烈が占領…もとい通っているボクシングジムで、烈はトレーニングに励んでいた。
站椿だけど。
おい、ボクシングの練習をしやがれ。お前何のためにここに来ているんだ。
服装は上半身裸に下はいつもの胴着、靴は功夫シューズである。
つまり、いつもの服装だ。
ちょっとくつろぎすぎだ。
最初はボクシングのフォームの確認をしていたのに、やがて站椿をやるようになり、今やいつもの服装で鍛錬を行うようになった。
ボクシングへの従順度がだだ下がりだな。
寂海王がそのまま老人になったようなジムの会長は、深町コーチに烈のことを問う。
どうやら站椿を2時間続けているらしい。
こいつ、本当に站椿が大好きだな。
さすが、一番最初に行った鍛錬だけのことはある。
汗まみれにしないのはせめてもの情けだろうか。
今の烈は片脚を失っている。
だからこそ、足腰を鍛える必要がある。
というわけで、站椿に励んでいるのだろうか。
それは自室でやれ。
ボクシングジムでやるな。
「エラいもんを背負(しょ)い込みました」
深町コーチは率直な感想を述べる。
烈は本当に疫病神だ。
こんな人間がジムにいたら門下生一同の士気も下がるというものだ。
麻仁アキオなんて大事な試合を前にデカい一敗をしてしまった。
黒人ボクサーギャリーは完膚無きまでに破壊された。
何故、烈を破門にしないのだろうか?
面倒見が良すぎるだろう。
速く破門にしないと烈と並んで門下生が站椿しちゃうぞ。
そんな海王が調和を乱しているジムに冒頭で現れたカイザーがギャリーを連れてやってくる。
深町コーチも会長も大驚きだ。
やはり、カイザーはボクサーにとってよほどの人物のようだ。
やたらと弱そうだけど。
カイザーの要件は当然烈だった。
站椿厨…じゃなくて站椿中の烈を見つめる。
これから戦うかもしれない相手だ。
戦力分析しておいて損はない。
「ビューリホー………………」
「この世界で40年――」
「これほどのヒットマッスル お目にかかったことはない」
カイザーは烈の筋肉を今までのボクシング人生で見たことがないと賞賛する。
忘れられているけど、烈の筋肉の完成度はかつては他の格闘家と比較すると一線を画していた。
オリバやピクルのような超級筋肉が現れたことで、そのインパクトは薄れてきたが、やはりボクサーとは比較にならないものらしい。
そして、40年ということはカイザーはけっこうな年配者らしい。
ボクサーの寿命は短い。カイザーは既に引退済みか。
だからこそ、プロモーターとしての第二のボクシング人生を歩んでいるのか。
カイザーは烈と話しをしたいと言う。
その言葉を聞いて烈は站椿を止めて立ち上がる。
カイザーに何か察するものがあったのだろうか。
「静かにせんかァァッッ」
「稽古の邪魔をするなら出ていけェッッ」
烈はいきなりキレた!
さすが存在自体が火薬みたいな男だ。ヘタに触れば即座に爆発する。
さらに初対面の相手で自分のことを褒めてくれた相手にこのデカすぎる態度…
まさに蛮勇烈海王だ。
無礼ってレベルじゃないぞ。
しかし、烈さんや。
その台詞は深町コーチが一番言いたいと思う。
というか、似たようなことは言ったな(第198話)。
ただ練習の邪魔をすれば出ていけと言っても、弱い相手の言うことなど聞く必要はない!と問題をすり替えられる。
強弁すぎて手が付けられない。
無礼を尽くされたカイザーだが、「ビューリホー」と言って頭を下げる。
落ち着いた大物らしい対応だ。
地位にあぐらをかくだけの人間ではなさそうだ。
「君の―――」
「チカラを 見せてくれ」
「逃げずに――――」
「見せてもらえるかな」
同時にカイザーは烈を煽る。
あそこまで言ったんだから逃げられないだろ、と念を押している。
さすがボクシング界に40年身を置くだけあり、なかなかの曲者だ。
うまく相手の力量を試そうとしている。
烈はグローブが収められている棚へと歩き(つまり、このグローブはジムが所有しているもの)、
ボロボロになったグローブを取って片手にはめる。
スパーリングに使用するような大きなグローブだ。
カイザーはこの状態でサンドバッグを叩くと予想する。
が、烈はカイザーの目の前で崩拳の構えを取る。
もしかして、カイザーを殴る気か?
やりかねん。烈ならやりかねん。
そして、烈はカイザーの目の前で崩拳を繰り出す。
一見工夫も何もないただの崩拳だ。
だが、振り抜いた瞬間、拳がグローブを貫いていた。
筋力や速度だけでは説明出来ないマジックだ。
まさしく、中国四千年の神秘である。
別の言い方をすれば大道芸。
また、ボクサーの命とも言えるグローブを破壊した。
しかも、ジムの備品だぞ、そのグローブは。
サンドバッグを破壊し、ボクサー二人を破壊し、そしてグローブを破壊した…
烈は本気でボクシングを破壊することしか考えていない。
「ビュ…………ッッ ビューリホー…ッッ」
そんなボクシングを嘗めたパフォーマンスだったが、カイザーにとっては合格点だったようだ。
殴ったらグローブを貫いた。
ボクシングにはありえない出来事だ。
烈はボクシングにありえないことばかり持ち込むな。ボクシング界の黒船だ。
じゃあボクシングジムにいるなよと言いたくなる。
ともあれ、ボクシング界の大物(っぽい)であるカイザーが現れた。
プロモーターである以上、カイザー自身が戦うことはなさそうだ。
烈に勝てるようなボクサーを発掘してくるのか?
でも、ヘヴィ級ボクサーでさえアイアン・マイケルがチャンピオンだ。
良くてマホメド・アライだ。ボクシングの強さの上限は低い。
カイザーは曲者のような雰囲気はあり、それなりに期待出来る。
が、如何にするのだろうか。
どんな一流の料理人でも腐った食材を美味しく仕上げるのは無理がある。
まだ見ぬボクサーの逸材を連れてくるのか?
くれぐれもヘヴィ級チャンピオンだけは止めていただきたい。
次回へ続く。
2話同時掲載で徳川光成の夢が語られると思った。
思ったが、盛大に放置された。
そろそろ触れてもいいと思うのですが…
とりあえず、政治家は置いておこう。
あいつらは放っておいても何の問題もない。
烈ボクシングの方は謎のプロモーター、カイザーが現れた。
ボクシングという鉱山は発掘し終えたと思っていたが、カイザーはそこをどうしてくれることやら。
Jr.の登場でボクシングに可能性があると思いきや、金的された挙げ句、さらにアイアン・マイケルがボクシングにトドメを刺した。
ここからボクシングを復権させるのは並大抵のことではない。
ヘヴィ級チャンピオンも戦力として期待出来ないので、カイザーは裏のボクサーでも連れてくるのだろうか。
ハンドポケットボクサーとか狂獣ボクサーとか。
後者はその間実に2秒でやられる。
そんな状況にカイザーは風を吹き込んでくれるのだろうか。
プロモーターが出張るなんて珍しい展開だ。
いつもと違った展開に期待したいところである。
間違ってもボクシング界最強の男と言ってJr.は連れてこないでください。
ここで希望的観測をすると歴代最強のヘヴィ級チャンピオン!と言って、アイアン・マイケルを1RKOした新チャンピオンを連れてくるとか。
あのアイアン・マイケルが!とジム内は騒然とする
マイケルが負けるなんて…と刃牙だって驚く。
こうしてアイアン・マイケルが無闇に持ち上げられる。
うむ、最高の材料だ。
「範馬刃牙」になって忍術の使い手であるゲバルが現れ、原人であるピクルといったように意外性のあるキャラクターが現れた。
同じように烈と戦うボクサーにも意外性が欲しいところだな。
いっそボクサー海王を連れてくるとか。
ムエタイで鍛えた打たれ強さはボクシングでも通用する!
新ヘヴィ級チャンピオン、サムワン海王!とかどうだろう。
盛り上がるぜ。感想サイト的には。
今現在、烈×ボクシング・親子対決・徳川光成の夢の3つの話が進んでいる。
が、まったく収拾がつかない。
一体どうするつもりなんだか。
放置されたピクルもどうするつもりなんだか。
最近は展開がスローテンポすぎてちょっと困るな。
最近、バトルがなさすぎて格闘漫画であることを忘れてしまいそうなくらいだ。
私はちょっと忘れかけている。
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