範馬刃牙 第198話 個性=オリジナル
麻仁アキオが瞬殺された。
正確には1分半以上はかかっているが、何にせよワンパンチで敗れた。
やはり、ボクサーのステータスはこんなものらしい。
アイアン・マイケルによって下がったイメージを回復することは相当難しいのだろうな。
麻仁アキオは失神していた。
完全なるTKOだ。
烈は多くの非常識系格闘家を屠ってきた。
ボクサーなど物の数ではない。
それにしてもバキ世界のボクサーは打たれ弱いな。
アイアン・マイケルなんて素人に殴られても致命傷だったし、ガラス製のボクサーが多い。
もっとも大きなダメージは負っていなかったようで、麻仁アキオはジム内で目覚める。
烈は本気を出せば普通人なら一撃で殺せる(第95話)。
さすがに手心という物はあったようだ。
麻仁アキオは烈のパンチがまるで見えていなかったらしく、コーチ深町に聞かされてからやっと食らったパンチを認識する。
本職のボクサーすら捉えきれないほどのパンチだったのだ。
これがボクサーの伝統であるジャブより速いというヤツか?
もっとも、烈の放ったパンチは下から突き上げるように打ったものだ。
ボクシングの辞書にはない。さらにそれをカウンター気味に放った。
だからこそ、麻仁アキオが反応出来なかったのかもしれない。
中国武術のエッセンスが活きている。
さて、麻仁アキオを倒した烈は何をしているのか。
鏡の前に立って站椿(たんとう)の姿勢を取っていた。
いや、烈さんや。それ、ボクシングじゃないぞ。
フォームを確認していた2週間前の烈はどこへ消えた(第196話)。
実は神心会を追い出されただけじゃないのか?
「ボクシングを習いに来たんじゃねェのか」
「そうです」
「じゃあボクシングをやらんかいッッ」
深町が普通に突っ込んだ!
そりゃあツッコミを入れる。
ボクシングを習いに来たはずが、烈はボクシングの練習をしていない。
そりゃあ何のためにここに来たんだよって話だ。
本当に何のために来たんだろう…
言いたいことを言った深町だが、その表情はどこか懇願しているように見える。
語調とは反対にお願いしますボクシングをやってくださいって感じだ。
あるいは出て行って欲しいのかも。
ぶっちゃけてしまえば、烈はジム内の規律を乱す存在だ。
出て行ってもらった方がジムにとってはプラスになる。
「まともなボクシングが――――― 何故わたしに倒されたのでしょう」
「自説の正当性は闘って示す以外はない」
「ご自分が正しいと仰るなら 会わせていただきたい」
「わたしの武術が通用しない―― 強力な拳撃家(ボクサー)にッ」
烈は堂々と反論する。
いや、論点が壮大にズレているけど。
深町は烈にボクシングをやれと言う。
そこで烈は自分を倒せない格闘技を習う必要はないと反論する。
だが、そもそも烈はボクシングを習うという名目で、このジムに訪れているのだった。
決して(建前上は)道場破りとかそういうものではない。
だから、何のためにここに来たんだ?
そもそも、いつから自分の格闘技の強さを証明することになったのだろうか。
もちろん、そんなことにはなっていない。
ジム内の規律に従えという深町に対し、自分より弱い奴に従う気はないと言う烈…
自分にとって都合の良い方向に話を作り替えて、論争を行っている。
どうみてもクレーマーだ。
いや、議論で勝つコツは相手の反論を一切聞かないことだと言うしな。
烈はその辺を忠実に守っているだけかも。
無論、それは議論にならないが。
しかし、ボクシングやらないなら出て行けばいいのに。
何のためにボクシングジムにいるんだ。
もしかして、ボクシングジムの乗っ取りが狙いか?
「このジム内では私が最強だ。ならば、ジムの所有権は私にあるッッッ」と言い出して百林寺日本支部を作り出したりして。
新しく道場を作るよりも、あらかじめ存在しているジムを乗っ取った方が金はかからない。
これは不況に対する烈なりの答えか?
「非の打ち所がねェ」
「正しいから勝つんじゃない」
「勝ったから正しいッ」
ギャー!麻仁アキオが肯定しちゃった!
別にどちらが強いのかを決めるためにスパーしたわけじゃないのに、いつの間にかそんなことになっている。
いや、実際に立ち会った二人にしかわからないことがあるのか?
麻仁アキオはパンチが見えなかった。わかる前にやられたとしか思えない。
「アンタは世界中のボクサーを敵に回したんだ」
こうして烈とジムの問題のはずが、何故か世界中のボクサーを敵に回すことになった。
コミュニケーションがまるで成立していない。
理に叶っていない…!
どんどん話が飛躍していくな。クレームにはクレームか?
全世界クレーマー合戦が開かれようとしている。
とりあえず、烈はボクシングを馬鹿にした。
ボクサーとしては由々しき事態だ。
なら、破門にしておけという話だ。
破門にしようとしたらどうするのだろうか。
私を破門にしたいのならば、私を倒せるボクサーに会わせていただきたいッッとゴネてみるか?
天然ボケは怖いな。
さて、時は夜。場面は神心会本部ビルに移り変わる。
そこには刃牙が壁にもたれかかっていた。
勇次郎に吹っ飛ばされて以来の登場だ。
刃牙の身体には痣がいくつも出来ていた。
リアルシャドーで勇次郎に殴られ続ける日々が続いているのか?
うーむ、何とも不毛なトレーニングだな。
さて、神心会ということで久しぶりに克巳が出てくる。
名勝負中の名勝負であるピクルとの一戦以来の登場だ。
やはり、右腕はない。失ってしまったままであった。
克巳は宙に浮いたビニール袋に前蹴りを放つ。
ビニール袋は破れることなく、ふわりと浮く。
寸止めしたのだろうか。
さらに跳び蹴り、膝蹴りと矢継ぎ早にビニール袋に放つが、破けることなく浮くだけだ。
かといって克巳の動きが遅いわけではなく、十分な鋭さがあるように見える。
これが技術か?
克巳は宙に浮いたビニール袋に拳をカスらせる。
空中でビニール袋がくるりと回り、ふわりと回転を終える。
同時に骨格を多重関節にして突きを放った。
久しぶりの真マッハ突きだ。
いや、マッハに達しているのかは定かではないが、ともあれピクル戦を盛り上げた多重関節である。
克巳の腕が骨だけになった時は、現実を見てしまったことで多重関節をイメージすることが出来なくなってしまったと思った。
だが、今もこうして多重関節に出来ている。
克巳は復活を果たしていた。
克巳の突きによってビニール袋は壁まで吹き飛ぶ。
だが、相変わらず破れていない。
原理は不明だが、ただ普通に破壊するよりも深い技術が用いられていそうだ。
同時に関節を多重化したのに骨折に至っていない。
マッハの速度に達していなかったのか?
あるいは多重関節突きを実用出来るように磨きをかけたのか?
(隻腕………)
(片腕という――――――― 個性(オリジナル)!!!)
克巳は腕を失ったとは思っていなかった。
腕を失ったのではなく、隻腕という個性を手に入れたと解釈した。
損失ばかりで本当に個性なのだが、ものすごく前向きな考えだな。
さすが、生物が成し遂げた進化と比べれば関節の多重化など容易いとした男だ。
克巳は空手家の命とも言える利き腕を失ったが、腐ったわけではなかった。
なくした利き腕以上の働きが出来るように鍛錬を続けていた。
そして、新しく手に入れた武器、多重関節に磨きをかけている。
天才愚地克巳は未だ進化しているのだった。
刃牙が神心会ビルの近くにいる。
克巳に用があるのだろうか。
次回は克巳と刃牙の話が描かれるのか?
刃牙は克巳に何の用があるのだろうか。
もしかして、多重関節を教えてもらいたいのか?
「克巳さん、そいつ(多重関節)を教えてくれ」
「いや、これはイメージが難しいけど…」
「リアルシャドーをイメージ出来るならそれだって出来るッッッ」
「〜〜〜〜ッッッ。何という説得力ッッ」
なんかこうなっちゃいそうで怖いな。
バキ世界のイメージの達人の邂逅はどうなるのだろうか。
もっとも、イメージする方向性がまったく違うけど。
想像と妄想くらいに違う。
次回へ続く。
烈は結局何がしたいのだろうか。
ボクシングに文句を言いたかっただけとしか思えない。
もしかして、深町がどこかで中国武術を馬鹿にしちゃったか?
いや、入門の時にお前じゃ無理と言っちゃったことを根に持ったのかもしれない。
アレは常識的な返答なので勘弁してやってください。
ともあれ、烈は全世界のボクサーを敵に回した。
回したことになるのはおかしいが、敵に回してしまった。
烈がボクシングを習う編から烈がボクシングと戦う編が開始されるのか?
何のためにボクシングジムに来たんだよ。
とりあえず、ボクサーが烈に襲い掛かる。
麻仁アキオ四天王がやってくるのかも。
闇の世界でしか戦えない呪われたボクサーが麻仁アキオ四天王だ。
まずはラベルト・ゲランだ。実力すら闇の中にあるというまさしく闇のボクサーだ。
次はユリーが来る。かつてはベルトを総ナメにしようとしたと言われているぞ。
さらにJr.もやってくる。著名な格闘家を倒し、復讐され、金玉を砕かれた呪われたボクサーだ。
最後は当然アイアン・マイケルだ!囚人なのが呪われている。
うーん…勝てる気がしない。
一方で刃牙は何を企んでいるのだろうか。
克巳にピクルと戦った様子を語って聞かせるのか?
別にマッハを出さなくても格闘技やっていたら勝てましたよ、なんて言われたら、克巳は怒って真マッハを放ちそうだな。
むしろ、積極的に放て。
大いに許す。
とりあえず、刃牙には自重して欲しいものだ。
暴言は慎め。
アンタはファイターとして終わりなんだよッッとか言ったら人気ダダ下がりだ。
いや、今更だけど。
烈が出て、克巳が出た。
ピクルと死闘を繰り広げた戦士が再登場している。
とすると、克巳の次はジャックか?
ジャックはある意味烈や克巳よりも受けたダメージが大きい。
自分の得意分野であるパワーで完全敗北した上に、刃牙にトドメの追い打ちを浴びせられた。
やさぐれて酒漬けどころか、薬漬けになっていても不思議ではない。
薬は今まで使っていた薬とは別の物を使っております。
しかし、3人の戦いを思い起こすと何故刃牙がピクルを追い詰めることが出来たのか、今でも不思議に感じてしまう。
明らかに理に叶っていませんよ。
もしかして、刃牙はみんなに文句を言われてしまうのか。
言われてもおかしくないというか、積極的に言われるべきだ。
アンタはファイターとして終わりなんだよッッッ。
そして、半ば忘れ去られる徳川光成の夢であった。
一体、何を夢見ているんだろうか。
勇次郎VSストライダムが見たい、と言い出したりしないだろうな。
残念ながらその夢は既に実現しているぞ。
何にせよ烈にも克巳にも復帰の目がありそうで良かった。
二人ともダメージの大きさとは裏腹に元気だ。
克巳も回復をアピールするためにもかませ犬と戦ってみるか。
相手はあの末堂と加藤だ!
全盛期の克巳ならば我ら二人同時に相手に出来ぬはずがない!と意気込む。
…克巳が片腕でもこいつらには負ける気がしないなぁ…
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