範馬刃牙 第223話 闘う理由
NINJAが刃牙の前に現れた!
NINJA相手にどう刃牙は戦うのだろうか。忍術VS妖術か?
ちょっと見たいかもしれない。
余談ながら外国のFPSゲームに壁を通り抜けられるバグがあって、
それを外国の人がどう呼んでいたかと言うとNINJA
DOORだ。
外人のNINJA好きは異常。
[現れたのは―――――― 三つの頭を持つドラゴンでした―――――――]
出たー!キングギドラの彫り物(もんもん)だー!
いきなり千春は背中の竜を解放した。
やる気だ!
千春は本当に刃牙とやる気だ!
だが、道のど真ん中でいきなり上半身裸になるというのは猛烈な違和感がある。
高く掲げた両腕は普段なら決まっていたところだが、煙草を持ちながら掲げているので何か格好付かない。
この規格外の忍んでいない光景には刃牙だって呆然としてしまう。
これには刃牙を責められまい…
周りにいる人々も訝しげな視線を向けるよ。
千春はダメNINJAだ。
「…………… なんで…………?」
刃牙は疑問をそのまま口にする。
本当にそうだ。
何故、千春が刃牙を喧嘩を売ったのか。
梢江が主役の漫画をヤングチャンピオンに掲載するくらいに理解しがたい行為だ。
戦いたい者同士が戦うのに理由は必要ない。
これがバキ世界のルールだった。
それ故に千春は戦うのに理由が必要なのかと問いかける。
必要ではないが、お前が刃牙に喧嘩を売った理由は必要だ。
本部が現役復帰するような暴挙ですよ。
「いや……」
「そりゃあ…」
だが、刃牙の返答はまったく乗り気ではない。
いつもなら刃牙のローテンションを責めるべきだろう。
でも、今は刃牙の気持ちがわかる。
これほど刃牙に感情移入できたことがあっただろうか。
随分、久し振りの気がしてならない。
それでも戦いは始まっている。
千春は煙草を刃牙に向かって投げつける。
柳が本部に行った行為と同じだ。
空道が使った伝統のある戦法を千春もやった!
…柳が本部に行った…?
それって本部にすら通用しない戦法ということでも…
目の前に迫る煙草を刃牙はどうするのか。
両腕をだらりと下げたまま、煙草を弾きもかわしもせず受けた。
その瞬間、千春が殴りかかる。
大きなモーションのテレフォンパンチだ。
刃牙の前にはまったく危機感のないパンチだ。
それに対して刃牙はインパクトの瞬間が見えないほどのコンパクトなパンチで迎撃する。
決まり決まっているにもほどがある結果だ。
モーションの小ささから大した威力もなさそうだが、千春はこれだけで全身を浮かせる。
本場の地下闘技場戦士のパンチは、ナナハンとは比べものにならない。
アイアン・マイケルとも比べものにならない。
[まるで見えない壁にぶつかったように――]
[忍者ボーイは5mもハジけ跳んだのです]
千春は格の違いを見せつけられた。
不意打ちをして全力のパンチをしたら、刃牙の軽いカウンターで5mも吹っ飛んだ。
今の千春は予想通り…まさに予想通りだ…とシコルスキーのように呟くことことしかできない。
この短時間に柳とシコルスキーの要素を満たしているのはさすがだ。
…ネタキャラとして。
背中のドラゴンを解放してドラゴンニンジャになった千春だったが、
相変わらずウィリアムズには忍者に映っているようだ。
恐ろしいまでのNINJA信仰だな。
何でこんなにNINJAが好きなんだろう。
NINJAに対する愛は留まるところを知らなすぎて困る。
ここで千春は回想する。
とあるバーで花山と共にいた。
花山に言われたことは「バキとヤレ」だった。
…無茶振りにもほどがある。
だが、花山は入団テストとして烈と戦えと言ったことがあるほどだ(烈特集)。
花山は意外と無茶振りをする人なのかもしれない。
あまりにも唐突な花山の命令だった。
さすがの千春も困惑する。
自分と刃牙のレベルの違いは重々承知しているようだった。
千春だってただのバカではなかったのだ。
バキ外伝での勇姿はバカというか莫迦と難しい漢字で表現したくなるほどだったけど。
それに対する花山の答えは理由が必要かというものだった。
理由が必要じゃないから、本意でなくとも戦わなければいけないというのも奇妙だ。
千春の言葉は花山の言葉をなぞったものだった。
それだけに千春の意志が見えてこない。
花山は一体何を考えてるのか。それに対し千春は何を考える。
何も考えられなくなったから、やけくそになって喧嘩を売ったのかもしれない。
刃牙と千春の戦いはこれで決着なのだろうか。
実力差は十分すぎるほど見せつけた。
だが、千春は根性で戦う男だ。
絶対的な力量差を根性で埋めようと奮闘するのか?
見たいような見たくないような…多分、鏖殺って感じな凄惨な勝負になる。
睾丸がぽろりと逝ったら根性じゃどうしようもないな。
ここで千春ができる最善の行為は自分の役割を守ることだ。
バキ外伝でネタキャラとして目覚めた。NINJA属性だって付与された。
ならば、ネタキャラとして突っ走ろうじゃないか。
「ハンマパワーにはまいったな!」とか「ふりょうはくめいぃぃぃぃ!」と言って欲しいところだ。
NINJAだからこれくらいの発言は許されるだろう(ニンジャコマンドー@サターンバレー様)。
煙草投げつけは「しんぱいごむよう!みねうちでござる!」で。
さて、ベガス。
烈は思いっきり冷や汗を流していた。
たしかに烈の発汗量は多い。神心会の道場を汚すほどだ。
だが、この汗はそれとは質が違う。
焦りによって流されるものだった。
(何なのだ………!?この打撃は……!?)
烈がボクサーのパンチに驚愕している!?
バ、バカな!こは如何に!?
あの中国四千年が僅か150年のボクシングに驚愕している!?
ボクシングなんてアイアン・マイケルなんだぞ!
烈にはクレーザーのパンチは見えていた。
全て受けることには成功している。
(なのに――――身体の奥深く――――――)
(内蔵に奥深く―――)
(消え残る損傷(ダメージ)………)
受けたのに貫通されるダメージに烈は驚いていた。
中国武術にはそんな技術がたくさんありそうなものだが、それに烈は翻弄されている。
ど、どういうことだ…?
何なんだこの展開は…
とりあえず、ものすごいことが起きている。
あの烈がボクシングの技術に驚いている。
技術という点においては、中国武術はバキ世界最高峰だ。
そして、烈は解説だって本部並みにこなせる。
なのに、ボクシングに…
いや、これ、本当にどういうことだ?
もしかして、クレーザーはジョー海王というオチか?
この技術は煙拳道!中国武術に精通するボクサーがいようとは…と烈が唸っちゃうかも。
そうでないと納得できないくらい異常な状況だ。
烈はやられているばかりではない。
クレーザーのフックにカウンターで拳を当てる。
だが、クレーザーの勢いは衰えず、烈はアゴを撃ち抜かれる。
烈の顔面が歪み、マウスピースが飛び散る。
マウスピース、つけていたんだ…
(不覚………)
己の失敗を悟る烈だった。
クロスカウンターの形で入った最高のパンチだ。
これには烈も危ういのかもしれない。
だが、何だか納得がいかない。
烈が駆け引きや運動能力に圧倒されるのはわかる。
でも、技術で圧倒されたのはどういうことだ?
しかも、相手はボクサーですよ。一体何が起きているんだ?
ボクシングは長所が見えにくいジャンルだ。
ボクシングでできることは他の格闘技でもできた。
最速の打撃であるはずのジャブだって、ジャブよりも速いという単語が生まれるくらいだ。
そんなボクシングに技術で圧倒される…それも技術自慢の烈が…
ぬう、今まで読んできたバキは何だったんだ?
クレーザーは烈を煙に巻くと同時に、読者も煙に巻いてしまった。
いや、意外と吹き飛んだマウスピースはクレーザーのものかも。
烈が致命傷を与えられたと思ったら、実はクレーザーに致命傷を与えていたのだ!
次回、絶対に立ち上がれないダウンをしているクレーザーが見られるぞ。
なお、不覚というのは興行的に盛り上がらない試合をしてしまったことです。
次回へ続く。
今回は予想通りと予想外の二つの展開が待っていた。
千春が一蹴されたのは予想通りだ。
むしろ、健闘しようものなら、珍しく刃牙を怒っていたところだ。
逆に烈がクレーザーに苦戦しているのは予想外だ。
正確には苦戦の仕方が予想外である。
クレーザーのパンチは烈に見えていた。
である以上、クレーザーの身体能力は並み程度…少なくとも烈を上回るものではない。
現状、正面から殴っているだけだし、駆け引きの類は見られない。
なのに、烈はガードを貫くダメージを感じていた。
技術面で烈が翻弄されているのだ。
ちょっと想像しがたい。
烈を技術面で上回ることができるのは、独歩や渋川先生クラスの達人級だけと思ったら…
それもボクシングの技術に後れを取っているというのが信じられない。
ボクシングの鉱石は掘り尽くされたと思ったら、何だかとんでもないことになってきた。
烈は片脚で戦力は落ちている。
落ちているとはいえ、ボクサーに打撃の技術で苦戦するのは…
本当に煙に巻かれてしまった心持ちだ。
一体全体どういうことなんだか。
しかし、ピクルの打撃を受け止めた烈がボクサーの打撃に驚くというのも不思議だ。
あの頃は両脚揃っていてシューズを脱いだいわば完全体烈とはいえ…
この打撃…中国武術で言うアレか…ッッと唸ってみてはどうか。
知っているのか烈!と深町コーチは返してくれます。
ともあれ、烈ピンチだ。
規格外の死刑囚やピクルと戦ってきた烈が、ボクシングに追い詰められているというのも機会だがピンチである。
片脚のハンデの大きさがわかるというものだ。
烈がやたらと強いから片脚のハンデを感じなかったけど、やっぱりデカいんだろうな。
だって、ボクシングに苦戦しているし。
だが、烈にはまだ隠し球がある。
そう、グローブを脱いでいない。
無論、手の方ではなく足のグローブだ。
裸足になってからが烈海王の本領発揮だ。
でも、裸足1/2なんだよなー。
本領も半分くらいしか発揮できないか?
もしかしたら、同時進行の千春事件とリンクするのかもしれない。
実はクレーザーは千春同様に忍者だった。
忍者独特の打撃(どんなものかは知りません)を行うことで、中国四千年を翻弄したのだ!
うむ、クレーザーが忍者となれば、実力の裏付けも十分だ。
そして、烈も忍者に対抗するために地球の裏側にいる刃牙の戦いを真似るわけですよ。
そいつは蹴り!
ボクシングでは反則だが、だからどうしたと言わんばかりに蹴る。
興行的にも盛り上がること間違いなしだ。
盛り上がりの方向性は知らぬ存ぜぬ。
…うーん、どうやってこの濃密な煙を脱出するんだろうなぁ、烈も読者も。
もしかしたら、板垣先生も自分の出した煙に巻かれているのかもしれない。
そうなるとヤバい。
ただでさえ第2回最大トーナメントとかは煙に巻かれている状態だというのに…!
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