範馬刃牙 第226話 最高峰



烈ピンチ!烈ピンチ!
まさかのドロドロ状態だ。
あのボクシング(しかも、タイトルすら取れない)に不覚を取るなんて、アイアン・マイケルに不覚を取ると同義だ。
今の烈は千春にだって五分る!

まぁ、そんな烈は今回は出てこない
…え?


千春を恐怖の4連撃で瞬殺し帰宅した刃牙だった。
が、刃牙ハウスの前で足を止める。
玄関の前に千春が立っていた。
烈を置いておいて千春が再臨だ。
今の千春は烈よりも待遇がいい。
空前絶後の千春フィーバーである。

千春は再び刃牙に喧嘩を売る。
あれだけの実力差を見せつけられてまったく懲りていなかった。
むしろ、あれだけやられれば喧嘩した記憶自体が消し飛んでいてもおかしくはない。
というか、脳細胞の10%くらいは死滅しているような…

たしかにあのままフェードアウトすれば、千春は何のために喧嘩を売ったのかサッパリわからない。
復活するのも道理か。
でも、千春だからあのままフェードアウトしてもあまり気にならない。
刃牙との組み合わせだからなおさらだ。

千春は再びキングギドラを解放する。
両腕を天高く掲げ、侠客立ちのように決める。
無論、本物とは違って張りぼてもいいところだが。

「よし 買った」

今度は即受ける刃牙だった。
これには千春が驚く。
どうやら彼にとって刃牙は喧嘩を買わない人間だったようだ。
無闇に好戦的な刃牙はどこへ行ったのやら。

「――なワケねェだろ千春さん アンタどーしようってんだよ」
「さっきはノリで買っちまったけど 2度はダメだぜ」


と、思ってページをめくったら全然違った。
あれってノリで買ったのか?
あの4連撃はノリってレベルなのか?
春成を殺してしまうような連撃をついうっかりノリでやるのが刃牙なのか。
危険度が半端なく高い。

刃牙は文化としての戦いを掲げて、ピクルに喧嘩を売った。
戦わないような態度を取られた時は本気でキレた。
なのに、自分が買うとなれば乗り気じゃない。
何という俺様思考…
まぁ、相手が千春だから致し方あるまいか。

「範馬刃牙には――……」

「ハイその通りです 俺には理由が必要です」
「アンタねェ なんで俺と闘いたがるのよ」


刃牙が超上から目線だ!
その目線は下を向いている。千春を見下しているぞ。
もう全然敬語を使っていないし、千春の方が身長が高いのに上から見るような目線だ
こんな腐った魚のような目ができる主人公はなかなかいない。

千春が言うには刃牙の喧嘩の練習らしい。
予想外の答えに刃牙もビックリだよ。
喧嘩の練習よりも主人公の練習をさせるべき気がする。

散々見下していた刃牙だが、いざ喧嘩が始まりそうになると困り始める。
これだけなら口だけの男だ。
でも、刃牙は憎たらしいことに実力も一流である。
というわけで襲いかかる千春をビンタ一発で昏倒させる。
相変わらずアゴを狙い打つ無駄のない一撃だ。
それも紅葉が言っていた脳を揺らすのに効率の良い打撃だ。
それほど千春との戦いが面倒臭いということか。

千春はコンクリートの地面に頭から倒れる。
二度と起き上がれない倒れ方だ。
痛そうだ。
あとヤバそうだ。

「練習相手―――― 買って出てくれたのは有り難いけど――」
「弱ええんだもんアンタ…」
「もう 相手はしないよ」


そして、この上から目線だ!
衛星軌道上から人間を見下ろすかのような上から目線だ。
塵芥のなど気にも止めない気配がする。
当然、危険な倒れ方をした千春など、気にしようはずもない。

堂々と相手を弱い呼ばわりする主人公はどうなんだろうか。
それってむしろ敵のやることじゃないだろうか。
さすが、範馬刃牙。ヒールよりもヒールらしい。
そんな彼が私は嫌いではない。
ムカつくけど。

刃牙が千春との喧嘩に乗り気ではないのは戦力差によるもののようだ。
烈の蹴りだって普通人を殺せるレベルだ。(第95話
刃牙だって普通人を本気で殴り殺せるだろう。
刃牙も大統領は誘拐しても、殺人は犯したくないに違いない。

そして、千春は普通人レベルだろう。
だって、アイアン・マイケル以下だし。
多分、山ごもりする前の刃牙でも勝てるくらいだ。
良くて互角だろう。

まぁ、千春に本気になるなんて大人げないにもほどがある。
ガーレンのように天井に生えさせるか、ジャックのように指だけで気絶させるか、スマートにやらなければならない。
あのキラ・ヤマトだってサイ相手には片手だけで相手した。
決して4ページ丸々使って叩き潰すなどと、下品な戦いをしてはいけないのだ。

どれくらい時間が経ったのか。あるいはすぐなのか、千春は覚醒する。
脳裏に浮かぶのは花山の言葉だ。
ここまで来ると千春が花山に洗脳されたのではないかと心配になってくる
耳をすませばハナヤマハナヤマハナヤマと呪文のようにつぶやいていそうだ。

「オマエだからいい…」
「弱ええオメェだからいい」


千春の弱さは花山公認だった。
…公認なのかよ。
花山は千春が酷い目に遭わされるとわかって、それでも刃牙に挑ませたのか?
鉄砲玉のような扱いだな…

千春の戦力は多く見積もってもアイアン・マイケルレベルだ。
勇次郎に9人まとめてかかって勝てないし、100kgのカマキリの前座扱いを受ける。
ヘヴィ級ボクサーチャンピオン程度なのだ。
なので、烈はもうちょっと真面目に戦って欲しい。

千春は準備体操する。
普段、一切運動をしないからか身体が堅そうだ。
事実、普通人並みにしか身体が曲がっていない。
ヨガの修行者すら裸足で逃げ出すほどの柔らかさを持つ刃牙に対してこの身体の硬さは…
卍固めで小馬鹿にされながらやられてしまいそうなくらいだ。

一方、刃牙は寝っ転がりながら部屋の中で本を読んでいた。
…こ、こいつ…
読んでいるのが活字なのがせめてもの救いだ。
漫画だったらどうしようもなかった。

勇次郎との決戦が(一応)間近に迫る中、刃牙は寝っ転がりながら本を読んでいる。
勇次郎はスペックの時のようにTVを見るだけでもやたらと筋肉を使っているのに…
恐ろしいまでの憎たらしさだ。
梢江がいたら早速SAGAって情事を見せつけたんだろうな。

(スゲェな……)
(全く諦めていない……………)
(もう準備してやがる……)

刃牙は千春の覚醒を感じていた。
寝っ転がっていても、既に臨戦態勢だ。
こういうところがあるから、なおさら刃牙が憎く思えてくる。
どうしようもないほどに刃牙はムカつく要素を見せつけている。
この人は一体何をやりたいんだ?

(ダメか………)
(あの手の漢
(タイプ)は一度――徹底的に)


いい加減に面倒になってきたのか、刃牙は千春を叩き潰すことを決意する。
あの4連撃は徹底的じゃなかったのか?
ノリで打ち込んだだけあり、脳震盪程度は刃牙にとってジャブ代わりということか。
本気を出せば金玉殴って睾丸爆裂させるよ。
ピクルに一番ダメージを与えたのも金的だったし。

刃牙は玄関の前に立つ。
その瞬間、玄関越しに殴られた!
玄関を破壊しながらの奇襲に刃牙はモロに食らう。
千春を舐めきった結果がこれだよ。
因果応報とはこのことか。

初めて千春の打撃がヒットした。
それがダメージに勘定されるかは置いておいて、大きな前進と言える。
千春の反撃はここから…と言いたいところだけど、花山と違って千春は別に攻撃力が高いわけではない。
だって、アイアン・マイケル級だし…

この一撃で刃牙も本気を出すのだろうか。
いや、刃牙が本気を出せば千春は骨になるけど。
勇次郎ですら壊さなかった玄関を千春は破壊したのだ。
地下室へ行こうぜ…久し振りに…キレちまったよ…
次回へ続く。


意外にも刃牙と千春の戦いが続いた。
負けても戦いを続ける諦めの悪さなんて、まるで死刑囚みたいだ。
アウトローだけあり通じるものがあるのだろうか。

千春の武器は根性だ。
が、刃牙は根性の入る余地のない打撃で2度も気絶させている。
ちゃんと相手に合わせた攻撃を行っている。
クレバーでもあるのが刃牙だ。クレバーというかダーティでもあるけど。

ただ肉体に残るダメージがないからか、千春は立ち上がってしまう。
だから、徹底的に叩き潰す気なのか?
刃牙が本気を出せば千春如き一瞬で肉塊だ。
千春は金的に注意しろ。

しかし、千春もとい花山は何を考えているんだか。
ピクル裁判では刃牙を推したから、親刃牙派かと思ったら…
今の刃牙は肉体的には問題ない。脳味噌だって範馬だ。
千春をぶつけるのは精神的な面に変化を起こさせるためか?
今の刃牙のメンタルは主人公のものではない。

止めてよね、千春が僕に勝てるわけないだろと思っている刃牙の(腐った)性根を叩き直すのが目的だろうか。
あえて小兵をぶつけることで、甘えを自覚させるつもりか?
そういえば、死刑囚編の時も花山は刃牙に絡んだ。
その時は梢江に石をぶつけられた挙げ句、脛をツマ先で蹴られたけど。
刃牙のモチベーションが怪しくなった時に一石を投じるのが花山の役割なのだろうか。

思えばボクシングの地位が本格的に怪しくなったのは、チャンピオンのアイアン・マイケルが千春と五分ったからではないだろうか。
その上でアイアン・マイケルはリアルシャドーで弄られ、刑務所で弄られとボクシングの権威の失墜は連鎖した。
だが、ここで千春が健闘すればアイアン・マイケルの評価は間接的にではあれど上がる!
ボクシングの評価も上がって烈の苦戦に納得がいく!
すみません、彼の姿を思い出すだけで笑いがこみ上げてくるので無理でした。

そういえば、烈はどうなったんだろう。
世界観や設定崩壊の危機に襲われ、今や千春よりもずっと危険度が高い。
烈の話を続けるためにも千春の迅速なる退場が望まれる。
鬼の貌を出して鬼哭拳を出しても許されるな。

千春は脳震盪にやられ、烈も脳震盪で危機にさらされている。
脳震盪がキーワードなのかもしれない。
刃牙世界において脳震盪の地位は高い。
というか、ピクルが出てきてから脳震盪の話題が増えている。
必要最小限の打撃で斃す時代なのか?

ここで刃牙は脳震盪に頼らない打撃を開拓するのかもしれない。
そのための実験台が柴千春!
それが烈の逆転の鍵にもなるというリンク展開だ。
ん…それってただの打撃だよな…

それにしても今回のサブタイトルの「最高峰」は何が最高峰なんだろうか。
わからぬ…
とりあえず、今回の刃牙のムカつきは歴代随一なのでその辺が「最高峰」なのかもしれない。
バキという作品において、刃牙ほどムカつくキャラはいない。
褒め言葉です。



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