範馬刃牙 第228話 戦闘力



今回は刃牙のターンだ。
烈→刃牙→烈→刃牙と出番が規則正しく入れ替わる。
この二つ、まるで関係ないようで実は何かしらも繋がりがあるのだろうか。
どっちも大物が小物を相手にして、舐められてようとしているのは共通しているか。


千春は玄関の前で構えていた。
上体を大きく引いた格闘技のセオリーにはない構えである。
連携や防御を度外視してただ一撃のみに賭けた構えだ。
そして、バキ世界ではこのような捨て身の構えが功を奏すことがよくある。
あるけど、千春がやっても仕方がない気もする。

千春は目を閉じ聞き耳を立てる。
集中して刃牙の接近を感じ取ろうとしている。
いつもの千春からは考えにくい姿だ。

よく考えればこの構えは刃牙が自分が立ち直ったことを察知していること前提だ。
刃牙がもう少し千春に感心がなかったらこの構えのまま夕暮れまで立っているところだった。
稀代の間抜けになるところであった。
いや、刃牙に喧嘩を売った時点で稀代の間抜けだけど。外伝の時点でも間抜け丸出しか。
千春の中二病は未だに完治していないぞ!

ズリ…ズ…

(なんだァ!!? 今の音は…………)

突然の物音に千春は猛る。
SAGAの音か?実は梢江を連れ込んでいたのか?
この『波動』は…ククク…この街にも『漆黒の覇気』を纏うものがいようとはな。
どうやら今宵は40年以来の『暗黒の饗宴』となりそうだ…
なんて中二脳味噌を働かせているのかもしれない。

そう思ったらシューズのカカトを潰したまま靴を履いた音らしい。
千春はその音のことを知っていたのか?
何てマニアックな…
そんな音を聞き分けられるなんて恐るべき聴覚だな。
名前を†千葉千春†に改名してみてはいかがか。

この音を聞いたと同時に、千春の唇は歪む。
そして、刃牙が玄関に手をかけたと踏み込む。
好機到来か?

(知ってんのか!!?)
(カカトを潰したシューズの不利ッッ)
(戦力は10分の1!!!)


カカトを潰したシューズの戦力は1/10!そういうのもあるのか!
…いや、どういう理屈だよ。
踏ん張りにくくはなるのはわかるけど、そこまで下がるものなのか?
千春の頭は理解しにくい。
まぁ、千春はニンジャシューズだしな。致し方あるまい。

ともあれ私の戦闘力は530000ですと余裕こいたら53000でしたな状態になったらしい。
これならネイルにだってフリーザを倒せるぞ。
まぁ、千春はネイルというよりもサイバイマン程度の戦闘力っぽいけど。
いや、刃牙はヤムチャっぽいところもあるからイケるか?

(バカだぜアンタ…)

かつて克巳がドイルに下段突きを撃った時、オリバが楊海王をジャガった時と同じ台詞を千春は言った。
相手を叩き潰す時に適した台詞だ。
過去の実績通りに千春のパンチは刃牙に突き刺さる。
前々回の締めのシーンだ。

実にテレフォンなパンチだった。
玄関の戸に肩の根本までめり込ませるくらいだった。
実に捨て身だ。空振りでも笑えないし格好悪い。

だが、刃牙は思いっきり油断していて、しかも玄関越しだった。
見事に顔面にヒットする。捨て身の甲斐があった。
これを受けて刃牙は鼻血を流して吹っ飛ぶ。
ば、刃牙が千春の打撃で出血した…?

(スゲェな…………)
(素人のパンチじゃない)


これを受けて刃牙さんが一言。
って、アンタは最大トーナメントの千春の試合を見てなかったのかよ!?
いや、見てたよね。何かコメントしてたよね。
仮にでもボクシングヘヴィ級チャンピオンと殴り合った千春を完全な素人とでも思っていたのか?

刃牙の千春の評価の低さが改めて伺えるというものだ。
瞬殺しちゃったから心から雑魚扱いしたのか。
そりゃあ油断もしてカカトを履き潰して、戦闘力を1/10にしちゃう。
刃牙はいつもこうだ。

追い打ちをかけるように千春は家の中に踏み込み、刃牙の首に腕を回す。
これに対して刃牙は「力も強い」なんて感想を抱く。
この期に及んで値踏みしている。
優先順位を間違えているんじゃなイカ?

千春はブリッジして刃牙を投げ飛ばす。
玄関を突き破って刃牙は飛んだ。
千春が意外な腕力を見せた。
人を投げ飛ばせるだけの力を持っていようとは…

伊達にトレーニングをサボって花山に近付こうとしていたわけではない。
トレーニングをサボった甲斐があって、花山の領域に近づけているらしい。
…文脈的に何かおかしいけど気にするな。

強くなるには休養も必要だとおしえられたよと言わんばかりに千春は追撃の蹴りを放つ。
そして、殴る。殴る。殴る。
全て刃牙にヒットする。
今までカスりすらしなかったのに、突然当たり始めた。
玄関パンチで流れを掴んだのか?

(技術を持たない… 素人でありながら…)
(高い………)
(闘志に十分に見合うだけの………)
(極めて高い 戦闘力!)


…蹴って殴られているのに、まだ値踏みかよ。
恐ろしいまでの上から目線だ。
相変わらず遥か高みから見下ろしている。
一体その上から目線はどこから来ているんだ?
刃牙は千春よりも高みにいるからお前のイタズラにも笑顔だったがいい加減にしろよ。

(闘志そのものの戦闘力!!)

千春は根性の男だ。
技術や筋力に劣るハンデを根性で補ってきた。
それは最大トーナメントで証明されてきた。
今更気付くようなものじゃない。

…本当に千春の試合を見ていたのか?
そういえば、最大トーナメント前と後では刃牙の人格は別物になっている。
もしかして、範馬の血に目覚めた影響で昔の記憶を失ったのか?

ともあれ、千春の強さの本質にやっと気付いた。
今まで取るに足らないただの不良と思っていたらしい。
だからこその上から目線だったのか…
あれは実にゴミ虫を見る目だった。

吹き飛ばされながらも刃牙はバク宙して体勢を立て直す。
基本的な運動神経ではやはり刃牙は優れている。
上から目線と油断癖がそれを帳消しにしている。
でも、油断しなければ2秒で倒したりするから評判が悪い。

「アリガトウ テーマができた」

ようやく刃牙は千春を見直し、エンジンにも火がかかる。
千春は根性を見せたが格下であることには変わりはない。
本気を出せば一瞬でやれる。というか、一瞬でやった。

そこでテーマなのか?
千春は並外れた根性と闘争心の持ち主だ。
そうした相手といかにして戦うかは大事だろう。
というわけで、心を徹底的に折るのがテーマなのかもしれない

闘争というよりも、むしろ陵辱を繰り広げるのだ。
骨をバッキバキに折る。鞭打だって嫌になるほどやる。金玉潰した挙げ句、竿だって弄る。
さらにはこの邪気眼電波不良!と負の想念が場を支配するほどの悪口で煽る。
肉体も精神も破壊し尽くすのだ。
…それが主人公らしいかは置いておく。

新必殺技ゴキブリダッシュを刃牙は披露したりして。
根性を越えたゴキブリ!
節足動物に霊長類が勝てると思うなよみたいなノリで。
まぁ、ゴキブリダッシュの試験運用はしてみてもいい気はする。

ともあれ、その答えは再来週か。
来週は多分烈の出番だぞ!
内容がリンクして「グローブを緩く付ければクレーザーの戦力は1/10!」とか言い出すかも。
クレーザーのグローブを外させることに烈は執心するのだ。
次回へ続く。


刃牙は油断から殴られて、さらに連続で攻撃を食らった。
それがダメージになっているかは怪しい。
何せピクルの打撃に耐えたのが刃牙だ。
あれは妖術臭いけど。

千春は持ち前の闘争心で刃牙を驚愕させた。
今の刃牙って闘争心なさそうだ。
昔は尖っていたけど今は丸くなった…というよりもやる気がない
そりゃあ千春の闘争心にビビるよ。

花山は実力はさほどでもないけどやる気のある千春を見習えと刃牙に言いたいのか。
だから、千春をけしかけたのかも知れない。
まぁ、刃牙の最大の問題はやる気がないことだ。
そして、やる気がないくせにピクルとの戦いに先んじていたとか言い出すのが怖いところだ。

刃牙は千春との戦いでやる気を取り戻せるのだろうか。
俺の精神テンションは今!幼年期に戻っている!そう、不良との喧嘩に明け暮れていたあの頃にだ!
刃牙が一番強さに執着していた時期が幼年期だ。
勇次郎との戦いを前にした時は実に必死だった。
それが今や寝そべって本を読むほどだ。
…初心に返ろう。

実力は劣るが闘争心は強い。
千春は昔の刃牙とかぶる。
今の刃牙は実力は超一流だがやる気があるのかどうかわからない。
いや、ないだろう。
牙を取り戻せ!餓狼になるんだ!丹波文七のように!
禁句でした。

烈パートでは試合、刃牙パートでは喧嘩が行われている。
烈はグローブというボクシングの試合ならではの要素に苦しみ、刃牙は千春の喧嘩根性にちょっとは驚いた。
それぞれの部門ならではの要素が鍵か。
烈は試合ならではの、刃牙は喧嘩ならではの立ち回りが求められるのだろうか。
でも、点数を稼ぐために必死になる烈は見たくないなー。

それにしても2つのバトルが同時展開されると話の進行が遅くなって仕方がない。
ただでさえのんびり気味だったのでなおさらだ。
今までは2つのバトルが行われそうになってもどちらかがすぐにぽしゃっていた。
成立したのは克巳VSドイルと刃牙VS梢江くらいですよ。
うん、あれはバトルに数えてもいいよね。

このままだと徳川光成に寿命が来てしまいそうだ。
あるいは餓えに餓えた達人たちが手錠をかけられるかもしれない。
餓狼伝はのんびりしている間にイブニング的に寿命が来ました。
俺はやっと登り始めたばかりなんだ。このボクシング坂をよ…



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