範馬刃牙 第254話 窮鼠
秘拳鞭打が刃牙に炸裂した!
並みの鞭打ではなく、地上最強の鞭打である。
どうせなら柳にこれを使ってあげれば良かったのに。
本部にこてんぱんにやられたことを忘れるくらいに悶える。
(俺って………)
(こんなにも 痛がりだったのか!!?)
刃牙は今まで味わったことのない苦痛を感じていた。
一瞬の油断が命取りの闘争のまっただ中、それも勇次郎が相手だと言うのに背中を押さえて床に這いつくばっている。
痛みに耐えられない……!
とんでもないナイスリアクションである。
最近の刃牙はすっかり面白い人になってしまった。
昔からか?
これじゃ窮鼠というよりも泣訴だ。
猫を噛むどころか、泣いて許しを乞いそうだ。
そういえば、昂昇は紅葉と戦った時に許しを乞うてたか。
刃牙もやってみるか?
[鍛錬とは苦痛(いたみ)の連続だ]
ここで刃牙は己の歴史を振り返る。
ピクル戦の時といい(第177話)、何だか過去を見つめる男になっちゃったな。
あるいは走馬燈か?
刃牙がまず思い返すのはトレーニングの苦しみだ。
ロードワークでさえ心肺が苦痛に苛まれ、足首にも負荷がかかる。
筋力トレーニングも鍛える部位が痛む。痛みに耐えながら鍛えていく。
[苦痛(いたみ)のその先――――]
[やがて意志とは無関係に肉体が果てる]
刃牙は何とジャック式トレーニングを組み込んでいた。
オーバーワーク上等らしい。
それでも筋肉が萎まないのが刃牙の刃牙たる所以か。
実は見えないところで1日30時間のトレーニングをしていたのかもしれない。
下半身のトレーニングはさらに大きな苦痛が襲いかかる。
筋肉の負荷が高まるとまさに発火するような痛みが襲いかかるらしい。
刃牙とて苦痛に顔を歪める。
そりゃエンドルフィンが必要になるわけである。
闘争になるとさらに顕著で苦痛だらけとなる。
その例と挙げられたのが胴着の背に滅の文字が刻まれた男……
烈海王にだって勝てると豪語したことのある鎬昂昇だった。
痛そうな技が多いし、苦痛に関してはなかなかの自負があるのかも。
それに昂昇は刃牙の腕の筋繊維を引きちぎって多大な苦痛を与えた。
個人的にはあの技の方が紐切りよりも有効なんじゃないかと思っている。
そんな昂昇は今何をやっていることやら。
わりとピクルとの戦いは期待したのだが。
ドイル戦で見せた新生昂昇の戦い方は格好良かっただけにもったいない。
[苦痛(いたみ)をくぐり抜けた18年………………]
[苦痛(いた)いことが日常………]
[苦痛(いた)いからこそ安心………]
[普通(なみ)ではない]
[苦痛への免疫………]
刃牙の格闘家人生は出生直後に地面に叩きつけられたことから始まった。
人生全てがダメージ続きだ。
だからこそ、刃牙の身体中に傷が刻まれている。
もはや痛いことが日常だし、痛いからこそ安心とまで言わしめてしまう。
こいつ……もはや救いのないほどの……
刃牙がマゾなのはこうした経験が積み重なった結果なのだろうか。
痛みが続く日々を過ごした上で、痛みを拒絶せずむしろ安心してしまうなんて真性のマゾだ。
そりゃあ刃牙だって奇妙珍妙なタフネスを見せつけるわけである。
刃牙の痛み耐性は本物だ。
人生全てを痛みで埋め尽くしているほどである。
SAGA中だって何か痛いことをしていたのかもしれない。
いや、梢江とSAGAること自体が痛いのだが。
さて、その間実に10ページだ。
ここまで回想すれば鞭打だってなんてことないだろう。
いわばプロレスラー並みに覚悟した状況ですよ。
己のM気質(れきし)に目覚めた刃牙が――鞭打で快楽(かん)じるのはむしろ必然。
[…………があったハズ]
(苦痛(いた)い!!!)
(痛い!!!
激痛(いた)い!!! 苦痛(いた)い!!! 辛苦(いた)い!!! イタい!!!)
が、全然ダメ!
何のための10ページかと問われたら、痛みを引き立てるための10ページであった。
こいつ……本当にマゾだな……
うっかり勇次郎の鞭打なんかに期待するからこうなる。
マゾでパパ大好きはこれだから困る。
そんな苦痛に喘ぐ刃牙を見て勇次郎はどこか嬉しそうだ。
苦痛に身をよじるとは何たる軟弱ッッッと説教しそうなものだが……
それどころか「捨てたものではない」と鞭打の評価を改めた。
やっぱり、これは仕置きと言うことか。
鞭打の感触に満足の勇次郎さんは第二打目を刃牙の太腿の内側に放つ。
刃牙がピクルに行った打たれ慣れていない部位への攻撃だ。(第165話)
柳も刃牙にやっていたし、鞭打の特性を活かした攻撃なのだろう。
遊びはするが手を抜かない勇次郎であった。
この一撃を受け刃牙は目を見開き、息を思い切り吸い込む。
そして、垂直に跳ねながら絶叫する!
何というリアクション芸……
痛そうだと一目でわかるナイスリアクションだ。
うーむ、急に刃牙のことが好きになってきたかも……
刃牙のリアクションはそれだけでは済まず、跳ね回った挙げ句エスカレーター付近にあったガラスを突き破る。
本人の動作に加えて器物損害をドッキングさせた高度なリアクションだ。
このナイスリアクションで悶える刃牙を見て、勇次郎は心から楽しそうだ。
サドの勇次郎とマゾの刃牙……相性が完璧すぎてどうしようもない。
勇次郎の鞭打を刃牙は鋼鉄の鞭と形容する。
柳の水銀の鞭よりも重く硬いのか?
鞭打の特性上、ガードでは防げない。
さらに勇次郎が使った時の破壊力……
相当な反則技なのかもしれない。
こうなると守ってばかりではじり貧だ。
刃牙は苦痛に喘ぎながらも反撃に出る。
[放つしかなかった…………]
[父からの手ほどき… 女 子供の鞭打(ごしんじゅつ)!!!]
刃牙が勇次郎に直伝の鞭打を放った!
刃牙の鞭打は柳を屈服させ、ピクルに激痛を与えた本物の破壊力を持つ。
それが勇次郎に決まるとどうなるのか……
烈は鞭打は勇次郎にさえ有効だと語っていた。(第164話)
本物の勇次郎に鞭打が通用するか、試される時が来た。
これは興奮してしまうシチュエーションだ。
勇次郎と言えば圧倒的なパワーや超人的なテクニックのみならず、規格外のタフネスも自慢だ。
勇次郎は今まで一度も相手の打撃に苦しんだことがない。
独歩の正拳も郭海皇の消力だって全て受け止めてきた。
勇次郎はあらゆる打撃に屈しない反則級のタフネスを誇っている。
だが、タフネスと無関係の激痛というカテゴリーに勇次郎はどう反応するのか?
(多分)誰もが一度は夢想する勇次郎にあの技を使ったらシリーズが始まる。
打震やマッハ突きを打ち込んだらどうなるんだろう的な。
戦いはやっと今まで知る由のない未知の領域に踏み込んだ。
勇次郎は刃牙を責めるために鞭打を使った。
いわば遊びとも言えるモノだ。
それに対して刃牙は苦し紛れの護身術としての鞭打だ。
同じ鞭打とはいえ、その目的や用法がまったく異なる。
勇次郎が卑下した意味での鞭打を刃牙は行っているのだ。
窮鼠猫を噛むことに成功するのか。
あるいは勇次郎に叩き潰されて泣訴する羽目になるのか……
でも、勇次郎って落雷に堪えうる肉体を持っているんだよな。
あれは痛み云々というレベルではないが、だからこそ鞭打程度で怯むとはとても思えない。
ついに刃牙が反撃を行ったところで次回へ続く。
刃牙と勇次郎の戦いが動き出そうとしている。
ついに刃牙が勇次郎にダメージを負わせかねない反撃を行ったのだ。
次回が気になるところだ。
まぁ、勇次郎なら鞭打を鼻で笑うんだろうけど。
これで勇次郎が痛みで飛び跳ねたり涙を浮かべたらさすがに……
痛みに耐えるのは肉体よりもむしろ精神力の問題だろう。
勇次郎の鞭打に刃牙の精神力はあっさりと瓦解した。
柳の鞭打は冷や汗程度で済んだのに……
やはり、勇次郎は格が違う。
対して勇次郎はその精神力は過去の偉人を上回るとストライダムに太鼓判を押された。
その精神力が激痛に屈するか否か。
例え屈せずともどんな反応を見せるのかは気になるところである。
刃牙は鞭打の激痛には堪えられなかった。
でも、鞭打の激痛に感じるようになったりして。
そうなれば鞭打の撃ち合いをした時に形勢逆転する。
あくまでもダメージに堪えることのできる勇次郎とは違って、刃牙はダメージをプラスに転換できる!
まぁ、さすがに今の様子じゃ無理か。
今現在、鞭打を破る方法は提示されていない。
頑張って堪えるか、鞭打を上回る必殺技をちらつかせるくらいしか対策がない。
だが、勇次郎なら鞭打を破る方法も知っていそうだ。
刃牙が必死になって放った鞭打を勇次郎が軽々と破る姿も見てみたい。
よもや鞭打がこんなに便利な技だったとは。
この調子で勇次郎にも通用しそうな必殺技を連発すればいいかも。
マッハ突きや打震なんかはそれなりに有効そうだ。
ピクルにも通用したカスりパンチなんかもありか?
そんな手探りでは勇次郎がギアを上げた瞬間に置いてけぼりにされそうだが。
そうなると一番気になるのはあれですよ。
勇次郎に金的をすればどうなるかだ。
金的はバキを代表する技で、ジャブでありフィニッシュブローでもある。
その金的に勇次郎はどんなリアクションを見せるのか……
鞭打以上に気になるところだ。
よし、刃牙よ。金的をしろ!
まぁ、金的する前に勇次郎にやられれば何か悲しくなるけど。
間違いなく鞭打以上のナイスリアクションをするんだろうな……
金的がこれからのキーポイントになるのは確定的に明らか。
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