今週のシンフォギア

バトルスタイル考察-マリア・カデンツァヴナ・イブ編-

シンフォギアファンにとってマリアの立ち位置ほど強固かつ哀愁を誘うものはない。
何せ黒いガングニールと圧倒的な悪役オーラを放って登場しておきながら、恐ろしい勢いで地の脆い部分を曝け出し注目を集めた。
そんなマリアの儚さ、繊細さ、可愛らしさは既に周知の事実であり特別強調するものではない。

マリアはストーリーにおいては数多の負荷を一身に背負うことになった。
明確な敵と戦うのでなく形のない何かと戦わざるを得なかったシンフォギアGのストーリーを象徴するキャラと言えよう。
では、そのマリアのバトルにおける活躍は一体どうなのか。
今回はそれについて考えたい。

・マリアの実力
マリアは他のキャラと比べるとあまり戦ってはいない。
特に装者同士でのバトルは翼との2戦だけであり、どちらも勝負なしで終わった。
その上でマリアの実力を考えると決して低くはない。
いや、むしろ高いと言えるくらいだろう。

まずは第2話における翼との戦いから。
戦って勝つことを目的としていなかったためか、アームドギアを使わずマントのみで応戦している。
隙を見せてしまい風輪火斬を喰らってはいるものの、致命傷は受けずに済んでいる。

アームドギアを用いなかったため、攻撃こそ軽度なものに留まっているのだが翼と互角に渡り合っている。
翼の技量の高さは翼編で触れている。
その翼を相手に実質的な手加減をしながらも互角に渡り合ったことからマリアの実力の片鱗が垣間見える。
特に攻守に渡る柔軟なマントの運用からは、翼と比べてもその技量に遜色がないのではないだろうか。

第4話ではアームドギアを解放して翼と真っ向勝負している。
翼にはAnti_LiNKERの影響があり、ネフィリム確保の際にダメージを受けている。
真っ向勝負であれど五分五分とは言い難い状況である。
もっともそれに関してはマリアもマリアでLiNKERの時間制限が大分迫っていたようだった。
（調と切歌より先行した結果だろうか。急な出撃だったため、最悪LiNKERを使っていなかったのかもしれない）
五分五分ではないかもしれないが、マリアにもハンデがあったのは事実だろう。

ともあれ、翼はいくつものハンデを抱えている。
その状況下でマリアは終始ペースを保って翼を押していた。
ある意味、当然の結果かもしれないが相手は翼である。
何せ暴走した響に胸を貫かれた直後にフィーネと真っ向からやり合うほどの人間だ。
そんな人間を相手に圧倒できたことからマリアは十分な力量を備えていると言えるのではないだろうか。

マリアの対装者戦はこの2戦だけである。
他にギアを纏って戦ったのはスカイタワーくらいだ。
そこでもナスターシャ教授をかばいながら（可能な限り）敵を殺傷しないようにすると器用な立ち回りを見せる。

マリアの強さを判別するにはサンプルが少ない。
けれど、その少ない例から高い実力を備えていることがわかる。
特に技量に関しては翼と並ぶものがある。
ヘリコプターを操縦したりとマリアは器用なキャラなのだ。
F.I.S.で正式な訓練を積んできたことがその実力を支えていると言えよう。

この強さを得た背景はおそらくはセレナの存在が大きいだろう。
セレナに報いるために資質に劣る身ながらも、訓練を重ねることで足りないものを補ったのだろう。
また、二課の装者にそれぞれに相性のいい相手をぶつけていることから、戦術面でも考慮が見える。
二課の装者の強さが才能によるものが大きいなら、マリアは鍛錬によるものが大きい。
その点でも翼と近い存在である。

・マリアの弱点
そんな高い技量を持つマリアだが作中では凹んでいる場面が多い。
テロリストとしてはあまりにも繊細すぎる精神性によるものである。可愛い。
戦いにおいてもそれは多分に反映されており、動揺から隙を見せたりLiNKERの時間切れをあっさりと漏らしたりと、
マリアは技量そのものは高いのだが駆け引きがそれほど上手いわけではない。
これは精神的なものもあるし、実戦経験の少なさにも起因しているだろう。
その上で百戦錬磨の翼と互角に渡り合ったというのはやはり評価すべき部分であろうか。

またマリアは高い技量を備えているものの、果たしてガングニールとの相性がいいのだろうか。
歴代ガングニールの使い手を見てみると響は当然パワー型である。
融合症例の高い出力もあって単純なパワーなら全装者最高だろう。
奏もパワー型という印象だ。
対装者戦がないということもあるが、単純なパワーで暴れ回っていた印象が強い。

響も奏もパワー型である。
対してマリアはどうなのか。
先述した通り、マリアの技量は高い。
翼との戦いを見るにガングニールならではのパワーを見せている。

しかし、器用さが先行してそのパワーを発揮できていないのではないだろうか。
いざパワー勝負という段になった時にカウンターを取られていたりと隙が多い。
どうもあまり相性が良い感じはしない。
真のガングニールの所有者ではないということを示しているのかもしれない。
そう考えるとなかなか面白いものがある。

マリアの技量は高い。
力量も十分高い。
しかし、マリアの性格やギアとの相性からナンバーワンになりがたい。
どうしても噛み合わない何かをマリアは背負っている。
資質はあるものの様々な要因から実力を発揮できない一方で、歯車が噛み合えば途端に活躍できる二課の装者とは対称的である。
バトルにおいてもままならぬ現実がマリアにはのしかかっているのだ。

・マリアの必殺技の紹介

HORIZON†SPEAR
全ての必殺技に「†」が付くマリアにとって唯一の必殺技。
ビームである。ゲロビ。
増殖型ノイズを四散させたことから攻撃力はそれなりに高そうだ。
なお、カットインの効果音は奏の必殺技のそれと同じである。

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