EPISODE3 終焉を望む者、終焉に臨む者



今回は萌えアニメと勘違いできそうだぞ!
ごめん嘘! 無理!
そんなことをすれば金子彰史の体調が怪しまれるアニメがシンフォギア。
切歌と調のやりとりとか血を吐いて死ぬかと本気で心配したものデスよ。



第1期の時もそうだったのだがオープニングの演出が若干変わっている。
光量などのちょっとした変更が多い中で、もっとも変わったのはウェル博士であろう。
シルエットで隠す気さえ失った。
相当悪い笑みを浮かべている。金子彰史名物の頭のおかしい人だろうか。
ウェル博士のこれからに期待だ!



武装組織フィーネの拠点である廃病院でナスターシャ教授はS2CAトライバーストの動画を見ていた。
そして、その特性と響の融合症例としての特異性に注目している。
絶唱の特性はアームドギアの延長線上にあるが、誰かと手を繋ぐことこそが響の絶唱のようだ。
それはガングニール本来の性質とは別のものだ。
聖遺物と融合したことで響の性格そのものが、ガングニールの特性になってしまったのだろうか。

ともあれ、ルナアタックにおける月の破片砕きの絶唱のバックファイアもこの特性で軽減したようだ。
みんなが一斉に絶唱したように見えてうまいタイミングで手を繋いで負担を軽減したのだろうか。
S2CAトライバーストは親玉のマリアさえビビらせる破壊力だった。
これをどう封じ込めるかも組織フィーネの課題なのだろう。
もっとも、チャージ時間が長いため、白兵戦でどれほどの効力を発揮できるのかには疑問がある。
マリアさんが槍持って突っ込めばいいんじゃないっすかね。
マリアさんなら何とかしてくれるんじゃないっすかね。



S2CAトライバーストで引き起こされた膨大な量のフォニックゲインで謎の聖遺物、ネフィリムはINCUBATED(孵化)したようだ。
何かモンスターっぽくて怪獣らしくない。
ある意味では当たり前だが、モンスターじゃなくて怪獣や怪人を好むのに金子彰史だ。
神話やら悪魔やらクトゥルフに無闇矢鱈に詳しいのに、それに混ぜて出してくるのは怪獣やら怪人やらUMAである。
ノイズもどう見ても怪獣や怪人の類である。
ブドウさんはどう見てもマスコットの類である。

ネフィリムは「天より落ちたる巨人」の二つ名があるようだ。
あの方ことカストディアンが関わっていそうだ。
ルナアタックの後にネフィリムは落ちてきたのか。
それだと年齢的に見るに数年前の出来事と思われる第1話冒頭と矛盾する。
ネフィリムの正体が武装組織フィーネの目的に絡んでいるのは間違いないか。



「覚醒の鼓動……」

ナスターシャ教授は呟く。
第1期第1話のサブタイトルである。
第1期は響のガングニールの覚醒から始まった物語であるが、シンフォギアGはネフィリムの覚醒から始まる物語ということだろうか。
金子彰史作品は目覚めから始まるのだ。



「ライブ会場からの宣戦布告から1週間ですね」

「ああ」
「何もないまま過ぎた1週間だな」


二課本部では1週間過ぎたことが語られる。
やっと、弦十郎に反応してもらえた……のはいいとして、1週間という沈黙は怪しい。
国土割譲はどうした。
そして、カリスマであるマリアの突然の行動に関しては述べられていない。
あれは落涙していたインド人が血涙するほどの反響がありそうなのだけれども……
宣戦布告以上の衝撃かもしれない。



と、ここで緒川さんからの通信が入る。
ライブ会場近隣に乗り捨てられたトレーラーから情報を探そうと諜報を行っていたようだ。
そして、今緒川さんがいる場所はどうみてもアレだ。
金子彰史、ヤクザ好きである。
戦後のヤクザや愚連隊をある種のファンタジーと賞賛したことがある。(WA3攻略本インタビュー)
ヤクザは第1期の時点で出したくて仕方なかったんだろうな。

しかし、囲まれていて緒川さん、大ピンチ……に見えて片手にはボコボコにしたヤクザがいる。
完膚なきまでにボコボコだ。
これは徹底応戦した証左と言えよう。
緒川さんと言えばいい人だ。切歌と調のやりとりから人がいいとも言える。
だが、バク転した直後にフィーネの心臓に銃撃3連射を的確に命中させる恐るべき身体能力を誇る。
これは並みの人間、いやプロにもできない技だろう。

だからなのか、ヤクザに囲まれた状況でも二課に通信しながら応戦するほどの余裕を見せる。
緒川さんもまたOTONAであった。
その技も尋常ではないらしく、ヤクザの叫び、
いや悲鳴には「忍法を使うぞッ!」「身体が動かないッ!」なんてものが混ざっている。
OK、緒川さんが強いのはいい。いや、既に実証されているのだから設定を固める意味でこの描写は有意義だ。
だからってニンジャにするのがさすがすぎる。
どうやら緒川さんはトッキブツ・ニンジャ=サンらしい。フィーネ殺すべし。慈悲はない。



ヤクザの叫びは通信を通して二課にも聞こえている。
だというのにこの無反応だ。
弦十郎が無反応なのはわかる。この人も同じことを実行できるし。
だが、藤尭も友里さんも無反応なのは地味な役どころとはいえ、さすが修羅場を乗り越えた二課の一員と言ったところか。
これくらいは日常茶飯事ということにも繋がる。
完全聖遺物を凌駕する弦十郎の戦いを見たら日常茶飯事で済ませないと二課はやっていけない。



緒川さん、やりすぎである。そして、この笑顔である。
いい人には間違いないが敵対する相手には容赦がないということか。
まぁ、かつて仲間だった人間の心臓に銃弾を叩き込むのだから、そりゃあ容赦もクソもないわけであるが。

ともあれ、このヤクザと武装組織フィーネには繋がりがあり、資金洗浄に関与していたようだ。
悪の組織だからといって何でも好き勝手にできるわけではないのが金子彰史作品だ。
WA2のオデッサは世界征服を掲げながらも資金繰りに頭を悩ませていた。
同じように武装組織フィーネも暗躍するために裏の方で苦労をしているようだ。

第1期ではあまり描かれなかった二課の大人としての仕事であった。
シンフォギアを使わないと戦えない場面では適合者に頼らざるを得ない二課であるが、そうでないのなら全て二課の力だけで対応している。
大人として子供に戦わせたくないのが本音であろうし、だからこそ翼の夢を応援するように適合者の生活を保障しようとしているのだろう。
二課は響たちを戦わせるためだけの存在ではないのだ。



さて、新設リディアンである。
リディアン校舎崩壊から3ヶ月。
たった3ヶ月なのに妙な威厳が漂っている。
無論、妙な威厳を漂わせることに異論など一片足りともない。
むしろ、妥当!
これで創立僅か10周年なのが怖いですね。
あとこの威厳はそのうち用語集で解説されるのは間違いありません。



(ガングニールのシンフォギアが2つあるんだ)
(だったら戦う理由がそれぞれにあっても不思議なことじゃない)

(わたしが戦う理由)
(自分の胸に嘘なんてついてないのに)


授業を受ける響が頭を悩ませるのはもう1つのガングニールと調の偽善という言葉だった。
一応は16歳の少女が立花響である。(社長が16歳になったと公言している
迷いや悩みを持つ年頃なのだ。
そんな年相応の懊悩は全ての翼もクリスが持っているものだ。
防人語使っていますけど中身は女の子です。ホントです。疑わないでください。



そんな響を心配するのは(シンフォギアGになって出番があまりない)未来である。
適合者間の人間関係の変化は何度か描写されたが、未来との変化はあまり描かれていない。
逆に言えば第1期のまま、仲睦まじいということだろうか。
戦場をせんじょうと読める常識人にしてシンフォギアのヒロインのこれからはいかに。



第1期では途中から音信不通になった先生も健在だ。
何やかんやで響を取り巻く日常は変わっていないことがわかる。
これが第1期で響が守り抜いたものであり、これからも守っていくべきものなのだろう。
未来と隣の席なのも守っていくべき日常に違いあるまい。



「でねッ! 信じられないのはそれをご飯にザバーっとかけちゃったわけデスよッ!」
「絶対おかしいじゃないデスかッ!」
「そしたらデスよッ!」


出た! WAシリーズの伝統、ご飯にザバーっとかける話だ!
何をかけたのかはわからない。
ただ、何かをご飯にかけた事実とそれに対する驚きだけが語られる。
WA2で初めて用いられてから何度も行われてきた伝統と実績の一説だ。
WAシリーズを知らない人にわかりやすく言うと「あったかいものどうぞ」レベルの慣用句だ。
あれ? わかりやすくない?



そんな切歌の言葉は調の耳に届いていないようだ。
物思いに耽るのは響だけではなく調も同じであった。
あ、そういえば、シャワーシーンですね、これ。
このシーンを混ぜた恥ずかしさをWAネタで薄めようとする金子彰史の必死の抵抗がわかるだろう。



「何にも背負っていないアイツが人類を救った英雄だなんて私は認めたくない」

「本当にやらなきゃならないことがあるなら
 例え悪いとわかっていても背負わなきゃいけないものだって」


調と切歌は胸の内を語る。
二人とも根っからの悪ではなく、悪にならなければいけない事情があるから悪になっていることが伺える。
根はそこらでちゃちゃっと済ます常識人。
フィーネさんはある意味ではカラッとした悪い人だったのに対し、武装組織フィーネはやや粘っている悪い人なのか。
こんなぼろっちいところでシャワーを浴びるのも不本意なのだろう。



「困っている人たちを助けるというのならば、どうして……ッ!!」

月読調、壁パンである。
初登場の時は物静かだったが、響のことになれば感情を露わにするタイプだ。
表と裏が激しいというか、あっさりと裏が出るというか。

調の言動からは響を敵視しているのは謎多き響の過去というよりも調自身の過去に起因するもののようだ。
響はある意味で八つ当たりを受けた形となるか。
こうした身に覚えのない感情を受けることになるのも英雄の務めか。
金子彰史作品は英雄に対して手厳しいばかりである。




鬼のような表情になる調の手を切歌が握り、そして二人で握り合う。
おおう……何だこの雰囲気は……
二人の身体からオーラが立ち上っているぞ……
理由はよくわからんけど金子のおっさんが死にそうで怖いのですが……
いや、初期プロットでは「調が壁パンで壁を破壊する」というものを監督がアレンジを加えたのかもしれません。
そういえば、調は壁を壊せていない。鍛錬が足りない。



そんな二人の世界に空気を読まずに割り込むのがマリア・カデンツァヴナ・イヴである。
しかも、凄まじい量のオーラを纏っている。
湯気ではないかと思う方もいるかもしれませんが、この段階ではマリアはシャワーを浴びていない。
つまり、オーラである。黒いガングニールとしてのオーラである。防人としてのオーラである。
白いのは作画ミスなので、BDでは黄色とかそういうのになると思いますよ。

ともあれ、この空気の読まなさはさすがは新防人である。
この人、どうしてこうもアレなんだろう。
いちいちポイントを微妙に外してくる。
もしかして、ご飯にザバーってかけたのはこの人なんじゃないか?
おあつらえ向きに外人だ。日本の作法を知らないのも道理である。
そのくせ、防人語は知っているけど。



「それでも私たちは私たちの正義とよろしくやっていくしかない」
「迷って振り返ったりする時間なんてもう残されていないのだから」

「マリア……」


……この人は今まで切歌と調の会話を聞いていたのだろうか。
2人が得体の知れないオーラを漂わせたからシャワールームに入るタイミングを見失ったのだろうか。
それでもシャワーを浴びたいから自分もオーラを纏って突貫したのだろうか。
切歌と調の視点も変な人を見るようなものにも思えてくる。
マリアは根元からのズッコケ体質の気がする。
だから、何とも憎めない人なわけですが。

さて、「正義とよろしくやっていく」はWA3で出てきた台詞だ。
それも主人公のヴァージニアが物語の佳境で自分の決意を叫んだものなので重い台詞だ。
動き出してしまったからには止まれない。
「正義を信じて、握り締めて」はマリアたちのことなのか。



そんな2人の絆と1人の大ボケが混ざる中、突如警報が鳴り隔壁が降りていく。
宣戦布告前から設備は整えていたのだろうが、廃病院のくせに随分と物々しい。
こんな設備に金を注いだから潰れたんじゃないだろうな?



(あれこそが伝承にも描かれし共食いすら厭わぬ飢餓衝動……)
(やはり、ネフィリムとはヒトの身に過ぎた……)


警報の原因はネフィリムらしい。
さらに共食いと物騒な単語が出てくる。
一筋縄にいかない扱いであることが伺える。
そして、道具として使うことに終始する他の完全聖遺物とは様子が異なる。
ナスターシャ教授もちょっとビビっちゃうよ。



「ヒトの身に過ぎた先史文明期の遺産、とか何とか思わないでくださいよ」

「例えヒトの身に過ぎていても
 英雄たる者の身の丈に合っていればそれでいいじゃないですか」


ば、馬鹿な……
ウェル博士が武装組織フィーネとの繋がりを持っていたなんて!?
予想外の展開に小生、驚きを禁じ得ません。ビックリ過ぎて驚いています。
ま、まさか、こんなことになるなんてー。

さて、英雄マニア、ウェル博士はまたも英雄という単語を出してくる。
繰り返すようだが金子彰史作品における英雄の意味は重い。
どれほど重いかとなるとWA2では英雄を否定するストーリーだったほどだ。
つまり、英雄と言い出した時点で地雷を踏んだ状態である。

ネフィリムは勝手に暴れるようなものだ。
どう扱うのかはあまり関係のないようにも思えるしただの脅威にしかならなさそうだが、英雄なら何とかなるらしい。
武装組織フィーネの目的はわからないし、この人の考えもよくわからん。
ただよからぬことを考えているのは間違いなさそうだ。



警報を聞いてマリアたちが一番にやってくるのがナスターシャ教授のところである。
心配及び信頼していることが伺える。
切歌と調は質素というよりもシンプルな着替えやすく動きやすい服装だが、マリアは堂々とガウンである。
腰の帯は花をあしらったものと凝っている。
無駄にゴージャスを演出しようという心構え……一挙手一投足がどうにも突っ込めてしまう。
だから、何とも憎めないのですが(2回目)。

食事を与えたのでネフィリムの暴走は収まるらしい。
が、やっぱり、暴れて設備が揺れる。
そもそも、食事とは何なのか。
物騒なものを与えているんじゃないだろうな。人とか。



「それよりもそろそろ視察の時間では?」

「フロンティアは計画遂行のもう1つの要」
「起動に先立って視察を怠るわけにはいきませんが」


ここでフロンティアという新たな単語が出てくる。
武装組織フィーネは二段構え。
ネフィリム(謎)に加えてフロンティア(謎)まで隠していた。
フロンティアはカ・ディンギルとは違ってWAシリーズでは聞かない単語だ。
これが謎ポエム予告にあった新天地のことなのだろうか。
謎が謎を呼ぶのであった。



ウェル博士に向ける3人の視線はナスターシャ教授のそれとは反対に厳しい。
実に疑っている。
ともあれ、ナスターシャ教授と新適合者3人はフロンティアの視察へ向かい、ウェル博士がここの留守番を務めるようだ。
……こういう人を1人にするのは不味いと思うのですが。

ここでウェル博士はネフィリムの食料調達について考えると言った。
どうやら簡単に集められるものではないらしい。
普通の餌ではないことは明らかだ。
共食いさえするくらいなのだから非合法な何かなのか?



(さて、撒いた餌に獲物はかかってくれるでしょうか)

4人が部屋から出て行ったらこの表情である。
不穏なことを考えている人の顔だ。
何てわかりやすい人だ。今までよく研究していけたよ。
フィーネさんと合わせたら仲良くなるか殺されるかの極端な二択になるのは間違いない。

撒いた餌と言っていることから、ウェル博士は何らかのアクションを仕掛けているようだ。
先の内容にも触れるがこの設備はすぐに二課にバレる。
あえて設備がバレるように情報を撒き散らしており、それを緒川さんが掴んだのだろう。
そして、そんなことをする狙いとは。
武装組織フィーネの考えていることはわからないが、この人の考えていることもわからない。
よからぬことばかり考えているのはわかるが。



さて、リディアン校舎ではある人物が走っていた。
この髪型! この制服! あとおっぱい!
これはまさか! ついにやるのか、あれを!



ついに出たクリスの制服姿だ!
公式サイトでも必死に隠していたとっておきたかったとっておきがついに出た。
な、何だか萌えアニメみたいだぞ。
喋れば方言ばっかり言う人だけど萌えアニメの住民みたいだぞ。
そして、サイズが大分キツいのか、胸がとんでもないことになっている。
翼さんと合わせてお楽しみください。悲哀をな。

第1期から日常生活がどうなったのか不安なクリスであったが、無事リディアンに入学したらしい。
クリスの経歴は見事なまでの灰色なのだが、二課が気を利かせたと見るべきか。
クリスに失ってしまった日常を渡すというのが二課のクリスに対する最大級の礼なのだろう。
少女たちにせめてもの日常を謳歌して欲しいという大人たちの心遣いから、普通の高校生活をクリスは手に入れたのだ。
これはただの制服アピールではなく、クリスに人並みの喜びや幸せが与えられたことでもあるし、
クリスの犯してきた罪が赦されたということでもある。
ちょっと目頭が熱くならざるを得ない。

なお、クリスのソックスはフリルがついていて可愛らしい。
色気も何もない翼のソックスとは偉い違いだ。
リボンといい服装には何かしら可愛さを出すのがクリスであった。
見習え、防人。いや、見習うとキモくなりそうだから別にいいです。



「何やかんやと理由を付けてあたしを学校行事に巻き込もうと一生懸命なクラスの連中だ」

クリスが走っていたのは学園祭の手伝いをさせようとするクラスメイトから逃げていたためだった。
日常は与えられたのだが、それにまだ馴染んではいないらしい。
疑い傷付け合う環境で育っただけあり、人と当たり前のように触れ合うことができないのだろう。
それでもやっていることはちょっと捻くれた子がやるような行為だ。

そんなことをしたクリスを見て翼は優しく微笑む。
おそらく翼も同じような時期があったのだろう。
具体的には剣とか常在戦場とか言っていた時期。
あ、それは今も言っていた。奏が死んでから響に出逢うまでの時期ですよ。



「フィーネを名乗る謎の武装集団が現れたんだぞ」
「あたしらにそんな暇が……そっちこそ何やってんだ」

「見ての通り、雪音が巻き込まれかけている学校行事の準備だ」


学校とはいえ戦場(いくさば)から離れられないクリスと戦場からは離れていた翼であった。
第1期の頃の翼とはまるで違う。余裕が溢れている。
だからこそ、それはそれ、これはこれと気持ちを切り替えている。
翼自身に余裕が生まれたのもあるが、二課への信頼が為せるものでもあるだろう。
それは油断ではないことは、歌女であることを最後まで捨てないしなやかさからもわかる。
第1期では見られなかった一面をシンフォギアGではスポットを当ててキャラを掘り下げている。



「ぐぬぅ……」

翼に手伝えと言われてぐぬぬとなるクリスであった。
一応は先輩だ。断り切れないのか。
ついでにまだクリスは他の装者を名前で呼んでいない。
不器用さが見え隠れする。



「まだこの生活に馴染めないのか?」

「まるで馴染んでない奴に言われたかないね」


リディアンの先輩らしく話しかける翼に対してクリスのこの答えである。
たしかに防人語辺りは馴染んでいない。
いや、日常生活でも防人語を使っているのか?
その辺の空気さえ読まない人なのか?
この人、マリアと同じく天然だから思わず防人語を使っちゃいそうなんだけど。



と思ったら翼のクラスメイトが声をかけてきた。
防人が人の世に生きているだとォ!?
アンタ、孤高の歌姫とか言われていてオーラ出していたじゃん!
切歌と調を引かせるようなオーラ出していたじゃん!
その翼が学園生活に馴染んでいる!?



「思い切って話しかけてみたら私たちと同じなんだってよくわかったッ!」

そんなわけで孤高の歌姫と近寄りがたい雰囲気を出していた翼だが、話してみたら存外同じ少女のようだ。
つまり、この子たちも防人語を使う。
いや、そういう意味じゃないな、うん。それはあからさまに普通じゃない。
防人語以外の翼には普通の少女みたいなところがあるさ。
恋の桶狭間を歌ったりとか。
……まぁ、デートを楽しみにするくらいには普通の少女なんじゃないだろうか。

ともあれ、翼は級友が出来るなど学園生活に馴染めているようだ。
これも奏の死を乗り越えたことで翼の角が取れたおかげだろう。
だが、第1話と第2話を見る限り、防人として健在である。
そういえば、この人たちはマリアとの殺陣を見ているはずだ。
ヘタすれば鞘走るとかも聞いたのかもしれない。
それでも同じだと言ってくれた。
とんでもなくいい人ですね。あるいは本当に級友も防人なのかもしれない。



「だけどあたしももうちょっとだけ頑張ってみようかな」

そんな翼を見てクリスも頑張ってみると言う。
慣れない学園生活だが嫌いではないのか。
こういうところにいい人っぷりが出るのが雪音クリスである。
いやよいやよと言いながらも、実際はそんなにいやでなく、むしろやりたい。
いい人です。



「これが私たち、防人の務めです」

武装組織フィーネの拠点はあっさりとバレていました。
緒川さん、優秀である。
何で切歌と調を見逃したんですかね。
ちゃちゃっとそこら辺で小便を出そうとする人を止める気にはなれないのだろうか。
いや、あの時は小か大か、述べていなかったから……
止めましょう。か弱い女の子にそんなもの。

ともあれ、防人モードである。
夜だろうが明日が学校だろうが、防人として生きる。
だが、先ほど学園生活を描写したことで、皆の大切な日常を守るために防人として戦うのだとわかる。
戦う理由が第1期以上に明確になっているのだ。



「おもてなしといきましょう」

いきなりの拠点侵攻だがウェル博士には余裕が見える。
ソロモンの杖を持っているのは間違いないが、それだけでは戦力としては足りないだろう。
だが、この余裕である。
博士だけあり知略を張り巡らせているに違いない(勝手な先入観)。
第1期では存在しなかった知的な敵と言えよう。
フィーネさん?
あの人、恥的だから。



というわけで謎の赤いガスである。
毒ガスでも撒けば適合者一同は全滅するんじゃないだろうか。
シンフォギアを纏えば毒物耐性もできるのだろうが……
響たちはどう防ぐのか。



無策ゥ!?
演出の一部としか思っていないよ、この人たち!
漢である。心底漢である。



そして、盛り上げるためにノイズさんも来ました。
ほのぼのですね。




「ばぁんッ!」

そして、旧適合者チーム、最後となったクリスの変身だ。
「ばぁんッ!」とか言う!
あざとい! でも、どこか古い! これぞ雪音クリスの変身だ!
あとおっぱい相変わらず凄いっすね。



まずは新曲「Bye-Bye Lullaby」からの十八番「BILLION MAIDEN」だ。
曲名のセンスが古い……のは雪音クリスさんだから良しとしましょう。
むしろ、積極的に良し!
歌詞も「挨拶無用のガトリング」と本編にマッチしている。
シンフォギアGは曲と展開のリンクが第1期以上にこだわられている。



「立花ッ! 雪音のカバーだッ!」
「懐に持ち込ませないように立ち回れッ!」


そして、3人の連携によるバトルだ!
まず、クリスの射撃で制圧してインファイター二人で迎撃と遊撃を行いながらクリスの射撃を活かす作戦なのだろう。
第1話からわかる通り、ちゃんと連携して戦えるようになっている。
あと今回も相変わらず回る。グルグル回る。回りながら撃つ意味はわかりませんが格好いいので良しとしましょう。



3人の連携で問題なくノイズを一掃した。
だが、炭となったはずのノイズが蘇った。
予想外の展開に驚くばかりである。歌の調子も狂ってしまう。



翼の十八番、蒼ノ一閃を受けてもノイズは蘇る。
第1期にはなかったことだ。
ほのぼのしているが異常事態でピンチだ。



「何でこんなに手間取るんだッ!」

「ギアの出力が落ちているッ!?」


シンフォギアの出力が落ちていたため、ノイズを倒しきれないようだ。
再生能力そのものはないのか。再生能力を上回るダメージを与えられていないのか。
そのどちらも影響しているのか。
ともあれ、原因はウェル博士のガスの影響だろう。
シンフォギアに勝る戦力を用意するのではなくシンフォギアそのものを弱らせてきた。
まさにプロの博士だからこそできる知略である。
あと君たちはガスをもうちょっと警戒しなさい。



疲弊した響たちに突如ネフィリムが襲いかかる。
ちょっとモンハンのアレに似ている。
低いドロップ率への恨みを込めて響のパンチと翼の斬撃が入るが、ネフィリムは健在である。
完全聖遺物?だけありタフだ。




「アームドギアで迎撃したんだぞッ!」

「なのに、何故、炭素と砕けないッ!」

「まさか、ノイズじゃない……?」


ネフィリムに全員がビックリだ。
ほのぼのとしていないし、どう見てもノイズではないのだが、こんな異形はノイズ以外にいないのだから勘違いしても仕方ない。
また、これからわかることはこのような姿の生物はノイズ以外に通常存在しないということだ。
さすがにリアル怪獣が跋扈できるような世界観ではないようだ。
いても文句は言いませんが。



「ウェル博士ッ!?」

そして、あっさりと姿を現すウェル博士であった。
知略担当が前線に立つのは王道である。
王道をことごとくやってのけるのがシンフォギアであり、ならばウェル博士も戦場に立つより他ない。
それをやる中でちょっとコケるのもシンフォギアです。楽しいね。



「意外に聡いじゃないですか」

WAシリーズで頻出する言い回し、聡いを使って二課を評価する。
だが、施設の情報を撒いたのは他ならぬウェル博士らしい。
あえて響たちをおびき寄せたのはアンチシンフォギアガス(仮称)の効果を確かめるためだろうか。
他にもネフィリムのデータも取るためかもしれない。
そのネフィリムはウェル博士の足下にあるケージにあっさりと入って休戦だ。
餌があれば聞き分けがいいのか?



「あの時既にアタッシュケースにソロモンの杖はなく
 コートの内側にて隠し持っていたんですよ」


シンプル! それでいて効果的な策!
当然、いつどこで移し替えたのかが気になるところだが、まぁそこは博士の博士力の為せる技であろう。
むしろ、どこで移し替えたのかがわからないからこそ、ウェル博士が隠し持っていたことに気付かなかったのかもしれない。



「ソロモンの杖を奪うため、自分で制御し自分に襲わせる芝居を打ったのかッ!」

「バビロニアの宝物庫よりノイズを呼び出し制御することを可能にするなど
 この杖をおいて他にありません」

ソロモンの杖以外の原因があると思った二課を嘲笑うかのような答えだ。
とはいえ、さすがにこれは二課の不注意だ。
あんな変な顔をする人、気を付ければ良かったのに。
アークセプター言い出すのも不味い。
WAネタを使った時点でその人は要注意人物だ!

本来は列車をノイズで襲わせて奪う予定だったのだろう。
その方がライブまでの時間に余裕ができる。
また、ソロモンの杖が本物かどうかを確かめることも可能だ。
研究室に運ばれてサンプルとして正式に保管されてしまえばウェル博士でも好きにしにくい事情もあろう。
アークセプター強奪は列車と岩国米軍基地の2段構えの策であることがわかる。



「そして、この杖の所有者は自分こそが相応しいッ!」
「そう思いませんかッ!?」


どうしてそういうことになるんだ!?
ガスやソロモンの杖と策を披露していきなりこれである。
まるで意味がわからんぞ!
いや、本気でわからない。さすがに話が飛びすぎている。
でも、面白いから許す! 表情が面白いからなおさら許す!



「思うかよッ!」

かつて争いの火種を叩き潰すことを流儀としていたクリスだ。
それでは戦いを終わらせられないとわかりながらも、それでもなお、戦いを終わらせるためなら迷わず黒幕を叩く心持ちなのだろう。
だからこその躊躇のないMEGA DETH PARTYだ!
殺す気満々である。この雪音クリス、容赦せん。



「ぐああァアアッ!?」

だが、激痛が走りミサイルの狙いが逸れてしまう。
そして、爆発!
せっかく資金洗浄をやって作った設備なのに……隔壁を何重にも用意した自慢の設備なのに……
あとホント爆発が好きなアニメですね。
採石場で戦えば周りを気にしなくていいんじゃないでしょうか。



「適合係数の低下に伴ってギアからバックファイアが装者を蝕んでいますッ!」

アンチシンフォギアガスの効果はこんなところにも及んでいた。
シンフォギアの301,655,722種類のロックは装者への負担を減らすという意味もある。
つまり、シンフォギアが装者にもたらす負担は常に存在しているのだ。
そして、適合係数が低下したことでその負担をカバーできなくなったのだろう。
シンフォギアは絶唱以外でも身体に優しくないのだ。



「何でこっちがズタボロなんだよ……ッ!」

そんなわけでクリスは死に体になる。
怒りで引き金を引いた報いなのかもしれない。
怒りで守れないモノもあれば、倒せない敵もいるのだ。
あと無理に可愛いアピールしすぎたバックファイアだろう。間違いない。



その隙に気球ノイズがネフィリムを運んでいました。
あれだけ禍々しかったネフィリムがあっという間にほのぼのの仲間入りだ。
ノイズさんの癒やし効果は凄いな。
運ばせるなら運ばせるでステルス型ノイズにやらせればいい気がしないでもないが、それだとほのぼのが足りないのだろう。
ウェル博士は粋である。



(さて、身軽になったところでもう少しデータを取りたいところだけれど)

未だに策略を張り巡らせようとするウェル博士だったが、響は必殺技を使えないこともあってクリスとは違って健在だった。
それともアンチシンフォギアガス(仮)の影響が少ないのか。
絶唱のバックファイアさえ軽減できる融合症例としての特性があるかもしれない。
いずれにせよ響は十分に戦えるコンディションであることがわかる。



というわけでウェル博士はあっさりと諸手を挙げる。
それだけに不敵でもある。
いろいろな意味で響たちと相性が悪そうだ。
ウェル博士と比べるとフィーネさんは良くも悪くも激情家だったから、響たちとの相性は良かったか。



(天羽々斬の機動性ならッ!)

ここで翼はウェル博士とクリスを響に任せて、気球ノイズにガンダッシュだ!
本当にダッシュだ!
機動性と言いながらの全力疾走、嫌いじゃない覚悟だ。
アンチシンフォギアガス(仮)の副作用でシンフォギアの力を使えないのなら、ダッシュすることで負担を軽減しようという考えだろう。
こういう適切な判断にも翼の成長が見える。昔の翼なら剣なら上等と血涙していたところだよ。
翼バイク3号機が出ればそれが一番だがさすがにいきなり出てくることはなかった。
乗り捨てすぎだからバイクへの愛が疑われたのかもしれない。



「そのままッ! 飛べッ! 翼ッ!!」

そんな翼に対する指令が「飛べ」である。
橋は途中で途切れている。
飛行能力はないし飛べば海へ向かって落ちていくだけだ。
そんな無茶をとさすがに翼も疑問を浮かべる。



「海に向かって飛んでくださいッ!」
「どんな時でもあなたはッ!」


ここでWAネタだ!
WA2のテーマ曲「どんな時でもあなたはひとりじゃない」をモチーフにした台詞だろう。
そう、翼は今の翼はひとりじゃないのだ。
頼れる仲間がいて、だからこそ奏の喪失も乗り越えることができた。
だからこそ、翼は迷いなく飛ぶ。されども、ノイズに届かず海へと落ちるが――



「仮設本部ッ! 急速浮上ッ!!」

海から二課仮設本部を利用してのジャンプだ!
出た! 戦艦だ! いや、潜水艦だ!
何にせよヒーローモノに欠かせないものだ!
本来の二課本部がカ・ディンギルでメチャクチャになったことから、潜水艦を仮設本部にしたということか。
事情はいろいろあるのだろうが、多分一番の理由はカッコイイからだな。
うん、カッコイイ。



二課の協力を利用しての追加ジャンプで気球ノイズの撃破に成功する。
そして、ネフィリムのケージを拾おうと手を伸ばしたが、その瞬間に弾かれる。
まさかの妨害である。



翼を弾いたのは黒いガングニール、マリアのアームドギアだった。
この姿勢で停滞する槍……
これはあれをやりかねない! いや、絶好の好機だ!



本当にやったァアアアアアアアア!
宙に浮かぶ武器に乗る。
男の子の夢である。一度はやりたい格好付け方である。
そして、それを寸分違わずにやり遂げて見せたマリアだった。
さすがと言わざるを得ない。思わずガッツポーズしてしまった。
あと笑ってしまった。




「時間通りですよ、フィーネ」

「フィーネだとッ!?」

「終わりを意味する名は我々組織の象徴であり彼女の二つ名でもある」

「まさか……じゃあ、あの人が……ッ!」


ここでウィル博士は驚愕の事実を話し始める。
フィーネとは組織としての名前だけでなく、マリアの二つ名であると。
それが意味することとは、つまり――



「新たに目覚めし再誕したフィーネですッ!!」

マリアは新たな「フィーネ」だった!
う、嘘臭ェ……
フィーネさんに抜けていない部分がなかったとは言わない。
根は恋する乙女だし何だかんだで様子のおかしい部分は盛り沢山だ。
でも、マリアのボケはフィーネさんのそれとは別次元のものだ。
とても同じ魂のボケとは思えません。
再誕した防人の方がまだ説得力がある。

それでなくとも、フィーネさんにしてはマリアのやり方は生温い。
フィーネさんなら目的のためなら躊躇なく非道を行おうとするだろう。
だというのに、マリアは手段を選んでいる。人質を嫌っている。そして、歌への愛を見せている。
フィーネさんが想いのために悪を貫くなら、マリアは正義のために悪を貫く人間だ。
似ているようで違う。マリアは何らかの寄る辺がなければ悪になれないだろう。

何か担がれているんじゃないか?
あるいはフィーネさんが完全に目覚めていないのか?
それともさすがに3ヶ月で蘇るのはばつが悪くて寝たままでいるのか?
でも、「お墨を付けてもらった」は「逆さ鱗」のフィーネさんい似ている。
大きな謎を突きつけ次回へ続く。
ん?
行動よりも言動でフィーネさんって思われるマリアはやっぱり相当アレなのか?


今回はまるで萌えアニメのような描画いくつかあったが、回転爆発戦艦とシンフォギアらしさも詰まっていた話だった。
そして、フィーネを巡る思惑は一筋縄ではいかない。
何と呼べばいいのか、悩んでしまうではないか。
一応、本感想では「武装組織フィーネ」と「フィーネさん」で分けることにしたい。
フィーネさんと言えば故人も報われるでしょう。

フィーネさん疑惑が漂うマリアだがどうも嘘臭い。
何せいろいろと面白い人だ。
フィーネさんも面白い人だが、どうもマリアとは面白さのベクトルが異なる。
証明するためにとりあえず月の破片を引っ張ってみるか?
今度は何を引っ張るんでしょうね、ホント。



なお、クリスの制服解禁につき、エンディングの一枚絵も変わった。
いないと思われた未来がいた!
だが、響が仲良くしているのはクリスでした。
……未来がちょっと可哀想になってきた。
戦場をせんじょうと読める貴重な人なので、新旧シンフォギアチームの橋渡しになればいいんだけど……


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