範馬刃牙 第157話 食べる為ではなく… 



このままでは俺の寿命がストレスでマッハなんだが・・
そんな勢いでピクルがキレた。大盛りでキレた。メガキレだ。
hai!!刃牙は早く謝ってください!
はやくあやまっテ!!


さて、刃牙はピクルの頬を平手で叩いた。
…あくまでも優しく。どこまでも弱く。
撫でるように、叩いた。ダメージは当然ない。
あくまでも小馬鹿にするように叩くだけである。

[コツは軽ぅ〜く…]
[軽ぅ〜く頬を……]
[決して強く打ってはいけません]
[強く打つこと――――― それは相手に対する敬意になってしまいます]


ピシャ…ピシャ…ピシャ…と力なく3回頬を叩いた。
なお、ゆっくりしていってね!!!と言わんばかりのムカつく表情だ。
ピシャ!ピシャ!ピシャ!バーカバーカ!うるせえ原始!
これはキレる。遠慮なくキレられる。
ピクルの気持ちがわかった!



無理矢理ゆっくりしてみました。
無理矢理すぎました。

[慈しむように軽ぅ〜〜〜く平手で……]
[これが効くのです 深ぁ〜〜〜く相手を傷付けるのです]


舐めるような平手がピクルを怒らせた。
人から怒りを買うのに必要なのは力ではなく、人の神経を逆撫でする技術であると思い知らされる。
刃牙の表情もその技術の一環なのだろう。
表情だけでも十分な怒りゲージを溜められるのに、さらに手加減された平手…
刃牙の人を小馬鹿にする技術の集大成 とも言うべき大技だ。
実際俺は地下闘技場界でも結構有名で死刑囚とかでもたいしてビビる事はまず無かったが生まれて初めてほんの少しビビった。

でも、思いっきり叩いてもピクルに対しては十分だろう。
何せそれは勝負を挑むことになる。
ピクルと戦うことが刃牙の目的なら、それで十分の意味を持つ。
だというのに、あえて挑発した…
刃牙はわざわざ相手の嫌がる行動を選択したのだった。
ひどい漢だ…

さて、ここで平手打ちの解説に入った。
1994年…第3回UFC(アルティメットファイティンチャンピオンシップ)…
第1回と第2回を制してホイス・グレイシーは同大会がデビュー戦だったキモと戦う。
キモは餓狼伝で梶原に瞬殺されたレスラーにそっくりだ。元ネタなのであろうか。

優勝候補のホイスの圧勝が予想された。
…が、予想とは裏腹に大苦戦の果てにかろうじて勝利するのだった。
そして、視力を失ってしまい二回戦を棄権するに至る。
キモの大健闘を支えたものは何だったのか。
それはホイスが刃牙と同じように軽く頬を叩いたからだった

そんなわけで軽く平手をすることは戦士にとって一級の侮辱に値するのだ。
たしかにわざと手を抜かれる…それも策略も何もなく手を抜かれる…まさに侮辱そのものだ。
ただ、キモがホイスの平手で激怒したのはわかったが、それがどうして健闘に繋がるのだろうか
逆上していればむしろ冷静な判断を失う気も…

なお、ホイスとキモの試合の動画はこちら(ニコニコ動画です)。
残念ながら平手のシーンはないのが惜しいというか、何というか。

とにもかくにも、戦士であるピクルもまたその侮辱を受けて黙っていることは出来なかった。
…刃牙も戦士ならこういう侮辱は控えておこうよ。
相変わらずの不遜さを見せつける刃牙であった。
自分がそういう態度を取られるとキレるくせに…

[烈海王の秘術……]
[愚地克巳のマッハ……]
[ジャック・ハンマーの拳……]
[その どれもがピクルの肉体にダメージを刻んだ]
[しかし――――――その どれよりもピクルを深く抉ったのは そう―――
 刃牙の蠅も殺せぬ軽ぅ〜い平手打ち?――――――だった…]


挑発だけで3人の戦士を上回りやがった!
久しぶりに刃牙の憎々しさが大爆発だ。
右腕を犠牲にして打ち込んだ真マッハ突きよりも、ムカつく表情で出したムカつく平手打ちが上回るなんて…
汚いなさすが刃牙きたない…範馬の血はあもりにもひきょう過ぎるでしょう?
セックスして強くなる男だけあるぜ。

しかし、これじゃピクルに食われ殺されかけた3人が報われない。
死力を尽くしてピクルにやっと強敵と認められたのに…
あ、怒らせただけなら刃牙はただのムカつく奴なんだよな。
なら、まだ3人とも救われるチャンスはある!

ピクルの突進を刃牙は受け止める。
ジャックすら軽々と葬るピクルのパワーを受け止めるのは容易いことではあるまい。
このまま、2階席まで吹き飛んでしまえ!
そして、泡吹いて鼻水流して、運ばれやがれ。

そんな期待を裏切るように刃牙はピクルの突撃を受け止める。
押し返しは出来ないもののちゃんと踏ん張る。
ぐう…その足腰の強さが妬ましい。
やっぱり、高濃度範馬は侮れない。

そして、闘技場の端から端まで移動するが、受けきることに成功する。
勇次郎以上のパワーを受け止めた。
オリバと真っ正面からの殴り合いを制しただけのことはある。

「ピクル…ありがとう……………」
「理解(わか)ってくれたんだな……」
「俺が君を侮辱したこと………………」


刃牙はヒロインを洗脳から救ったような満ち足りた笑みを浮かべる。
俺は君のためを思ってやったんだ…とか平気な顔して言いそうな雰囲気だ。
実際歯ムカつく顔して挑発しただけのことは忘れてはいけない。
ともあれ、わざとピクルを怒らせたようだ。
わざわざ挑発しないと気が済まないのか、こやつは。

刃牙の真意に気付いたのか、ピクルは冷や汗を流し驚く。
いきなりピクルに冷や汗を流させた!
さすがに刃牙は格が違った。
…やっぱり、憎い。
こんなクソガキに何を本気になったんだという後悔の冷や汗でありますように…

「君は進化した」

何でこの人は上から目線でピクルを見てるの!
どうしてそういうことするの!
止まることのない刃牙ISM大炸裂だ。
挑発するということは誇りを傷付けること。それに怒ったら人間に向かった進化した扱い…ピクルを見下しているよ、こいつ。
原人に肉をおごられたお前は人類として退化しているというのに…

もしかして、怒らなかったら失望されていたのだろうか
全然進化していないッッ。こんな奴は俺の相手に相応しくないッッ。帰るッッ。と逆ギレされそうだ。
思わずピクルも悔しさで泣きかねない。

異常にムカつく挑発…嫌みな上から目線…
刃牙の長所が凝縮された連続技だ。
はい、長所です。
長所なんです。

[君は今…生まれて初めて――――――]
[食べる為にではなく―――――――――]
[誇りを守護(まも)る為に―― 格闘(たたか)うんだ!!!]


刃牙は素早くドロップキックをピクルに放つ。
ピクルの体勢は崩れる。
そして、着地と同時にハイキックがピクルの顔面に直撃した
タフネス自慢のピクルはこの程度のハイキックで…ダウンした!
頭を地面に着けちゃったよ…さすがは刃牙である。恐ろしいまでの補正だ。

誇りを守るために戦う――
それはジャックVSピクルの第2ラウンドも同様だが、勝手に生まれて初めてのことにした。
まさに刃牙で、さすが刃牙だ。
先駆者を無視して前人未踏の地に踏み込んだと告白する冒険者のような無理無茶である。
ついでに原人に肉をおごられた刃牙の誇りはどうなんだ?

あと食べるために戦うんじゃないとも勝手に決めつけた。
誇りを守るために戦っているのは事実かも知れないが、結局は食べる可能性だって捨てきれない
何だか自分の都合のいい方向に思い込んでいる。
つい最近までピクルが自分を食うことを忘れていただけのことはある(第155話)。

それにしても無理矢理自分の都合のいい方向に解釈している。
さすがは刃牙である。
これで戦いの最中に食われようものなら、どうして食うんだよ!とか怒りそうだ。
思わずピクルも唖然とする。

格闘で、格闘(たたか)う…
刃牙にとってピクルとの戦いは格闘技の延長戦なのだろうか。
今までのピクルとの戦いは生存競争に近かった。格闘技なんてレベルではなかった。
…もしかして、刃牙は格闘技のレベルで済むと思っているんじゃないだろうな。
ゆとりっぷりが発揮されている。

さて、ダウンしたピクルは笑みを浮かべていた
強敵が現れた時に浮かべる歓喜の笑みだ。
ピクルは刃牙を対戦相手としての資格十分と判断した。
さらに泣き出したら食うぜ。
食う前には一度泣くのがピクルの謙虚なところ。

そんなわけで次回からついに刃牙VSピクルが開戦される。
高純度の範馬VS超生物である。
刃牙じゃ無理だろう、と思ったけど、まぁ刃牙だから互角に渡り合えそうだ。
刃牙…ズルい。
一番ズルいのはその間実に2秒!とピクルを瞬殺することだけど。
…ハイキックで2秒キルを達成していないよね。ピクルの笑みは強敵に敗れることの喜びを知った笑みじゃないよね。
次回へ続く。


とにかく濃厚刃牙だった2本立てだった。
刃牙の何たるかを読者にマッハで投げつけた。
まさにヒールの貫禄だ。ピクルが主人公に見えてくる。
烈特集は刃牙成分を中和するための措置なのだろうか。

ジャックはピクルを恐れさせ、その誇りを揺るがした。
が、刃牙はピクルの誇りを傷付けた。
…どっちが高尚かと問われれば、前者だな。
神経を逆撫でするというわざわざ嫌味な挑戦をするのが刃牙らしい。

刃牙はかつてオリバ相手に挑発三昧を尽くした。
あの時、オリバは耐えて耐えて耐えまくった。
今にして思えばあれは今回と同じ意図があったのだろうか。
誇りを傷付けて奮起することを促したのかもしれない。
で、やってもやってもオリバはやる気を出さない。
そして、刃牙は失望していたことだろう。
うっわ!最ッ低!

あの時、オリバはさっさとキレると早く解決すると書いた。
ピクルはさっさとキレてくれた。早く解決した。
怒る時は怒った方がいいということか。
ピクルは野生らしい無理性の行動で早期解決を実現した。

しかし、何故にピクルは刃牙に気に入られなければいけないのだろうか
むしろ、刃牙は挑戦者…本来ならば刃牙の方が気に入られるために苦労しなければいけない。
恐ろしい立場の逆転だ。強引に見下している。
これが高濃度の範馬の血が為せる技なのか?
好きな子がいたら目の前でふんぞり返って、俺に惚れないなんてダメな女だ!とか投げ捨てるタイプなのだろうか。
なお、曖昧な態度を取る梢江は投げ捨てました。

まぁ、どうあれどピクルは刃牙に気に入られた。
次回から対決が始まる。
お互いにチート性能の二人だ。
どちらのインチキ度が上回っているのかを比べる死闘が始まろうとしている。
普通に考えれば刃牙に勝ち目はなさそうだけど、刃牙だからなぁ…

ピクルの凄まじさは何度も証明されている。
マッハ突きの直撃に耐えうるタフネス、そのダメージから即座に復帰できる回復力、ジャックを凌駕する超パワーに超スピード…
ピクルの強さは確実におかしいレベルだ。対する刃牙の強さは何となくおかしいレベルである。
甲乙付けがたい。
ファジーなおかしさが刃牙の強みか。それって強みでいいのか?

ピクルの食糧問題は培養肉で一応の解決を迎えようとしている。
食えば、の話だけど。
野菜を食わせる努力もしてみたらいかがか。
あるいは水に砂糖を混ぜる努力をしておくとか。

しかし、バイオテクノロジーが解決の糸口になるというのも予想外だった。
この手の話はバキに絡んでこなかったのに…(除く外伝)
いっそティラノサウルスのクローンを造ってみてはどうか。
これなら確実にピクルも満足する。ペイン博士の株も急上昇だ。

ところで刃牙の服装はTシャツにジーンズだ。
伝統のトランクス姿で戦わないのだろうか。ちょっともったいない。
今からTシャツもジーンズも脱ぎ捨ててしまえ。
ついでにパンツも破り捨てる!
バキ史上初の全裸バトルの幕開けだ。
フンドシは捨てないピクルを見て、刃牙は進化したとツバを吐く。

さて、バキ3本立てのラストは
烈特集だ。
刃牙で溜めた刃牙ウィルスを烈で洗い流せ!



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