範馬刃牙 第170話 柳に風



ピクルタックルが腕一本で逸らされた!
でも、すごいのはピクルらしい。
どういうことだ?
花山の回答やいかに。


「さすがだよ白亜紀最強」

花山の回答の前に刃牙もまたピクルを賞賛する。
凄まじく偉そうだ。
もちろん、顔はムカつく微笑である。
アンタすごいけど、すごいアンタを捌いた俺の方がもっとすげえとでも言いたいのだろうか。
クソ!これだから範馬刃牙は!

一方でピクルは完全に冷や汗を流していた
最強必殺技であるピクルタックルがいとも簡単に破られたことが不思議でたまらないに違いない。
あるいはふざけんなよ!お前主人公だろ!真っ向から受け止めろよ!とでも言いたいのかも。
俺にも一撃を入れさせろと言うと断ってきたヒキョウ者それが刃牙。

「投げ飛ばしたのはバキじゃど なんで飛ばされたピクルがスゴいんじゃ」

さて、観客席の方ではみっちゃんがわかりやすくうろたえていた。
バキじゃどって何語だ?
最近のみっちゃんは不思議がいっぱいだ。
もしかして始まっちゃったのか?
既に高齢で老齢。定められない運命なのか…

そんなわけで花山の解説が始まる。
普段は他人の戦いに口を出すことはまずないだけあり、どんな真相に触れるのだろうか。
花山に期待がかかる!

出る力進む力が強ぇえほど 横からの力に弱ぇえってことだ」

例えば拳銃をぶっ放した時。
腹から入った弾丸が横っ腹から抜けたり肩から抜けたり、柔らかい腹の中で様々な影響を受ける時がある。
時には観葉植物の葉っぱ一枚に軌道を逸らされることがある。
つまり、腕一本で逸らされるピクルのタックルは弾丸並みなのだ!
だからこそ、刃牙よりもピクルがすごいのである。

…な、納得できねえ。
いや、弾丸とピクルは質量がまるで違いますよ。
弾丸ならたしかに軽い障害物でも軌道が逸れるだろうけど、質量の大きいもの、例えば車はそういうわけにもいくまい。
うーむ、何だかピクルよりも結局刃牙の方がすごいようにも思えてきた…
クッソ、詐欺くせえ!

というか、僅かに力を加えて逸らすなんて実に古典的な手法だ
最先端?を走るバキでこんな描写が見られようとは…
いや、ピクルは古代人だから古典的がお似合いなのかもしれない。
その理屈はおかしい。

「花山氏の言葉で思い出した闘いがあります」

と、ここで烈海王の連携解説の開始だ!
花山の解説から流れるように自分の解説へと繋いだ。
ぬう、何という解説テクニック…本気で本部の後釜になる気だ。
今頃、本部は何をしているのだろうか。唯一の存在意義を奪われた悲しみに暮れているのか?
解説という武器を失った本部が持てるのは日本刀くらいである。

1964年、プロボクシングヘヴィ級タイトルマッチでソニー・リストンカシアス・クレイ(モハメド・アリ)の試合が行われた。
また、中国拳法以外の話かよ!?
ぬう、それでいいのか、海王よ…
郭海皇に玉ピンされても知らないぞ。
ついでにモハメド・アリとマホメド・アライが同居する世界観については無視しておくのが大人の醍醐味。

さて、その試合でリストンの放った右ストレートを、アリはパリング(払い落とし)する。
その結果、リストンの肩は脱臼に陥ったようだ。
これは有名なエピソードらしく、ググってみると散見される。

「クレイのパリングが強烈過ぎたから ――と見る専門家もいるが」
「それは誤りだ」
「むしろ―――」
「パリングごときで肩が外れてしまう――― リストンの拳の推力こそを讃えるべきだろう」


自分のパンチで肩が外れてしまうほどリストンのパンチはすごい、ということのようだ。
パンチのすごさはよく分かった。
そんなパンチをパリングしたアリの方もなかなかだとは思うが…
少なくともパリングした技術は大いに評価するべきだろう。
そうなるとピクルタックルの性質を瞬時に見切り、必要最小限の動きで対処した刃牙の天才性も評価することになり…
結局、刃牙がすごいってことか?
…もしかして、鬼哭拳もこれで流して脱臼、勝利するんじゃないだろうな…

さて、解説が終わったところで範馬刃牙さんの奇行が始まる。
というか、最近の刃牙は奇行ばかり行っている。
いきなり自殺したり、恐竜になったり、奇行には事欠かせない。
そんな刃牙の最新作の奇行はこれ!
闘技場の柵に立ち小便だ!
テメエ、神聖な闘技場で何やっとんじゃあ!!

もう、本気で出しているよ。ジョジョジョと小便垂れ流しているよ。
何やってんですか、この人。
自らの命を描ける場所に小便をする主人公なんて前代未聞だ。
とんでもない雌豚だよ。もう罰当たりなんてレベルじゃない。
かつて繰り広げた死闘全てを泥をぶっかけるような行為だ。
泥というかもう小便ぶっかけているな。なんて野郎だ…

刃牙はひとつの柵だけに小便をかけるのではなく、周りの柵全てに小便をかけている。
別の柵へ行く時はちゃんと股間は隠します。
でも、後ろは半ケツです。
無駄にSEXYだ。
凡夫ども見ろ、尿カジを極めたオレのお通りだ 刃牙(18)

絶尿…あいや、絶妙な尿のコントロールがあって成し遂げる技術で刃牙は尿を振りまく。
いや、放尿に技術があっても困りますが…
でも、餓狼伝の丹波は尿を相手の目にぶつける技を持っていたな。
尿と言えばゲバルも尿サークルを使っていた。ピクルだって大量の尿で威嚇していた(第85話)。
一流は尿をも使いこなすのだ!
だが、刃牙。おめーはただの罰当たりだ。

刃牙の尿を見てピクルはもう大驚きだ。
そりゃあ戦っている最中に尿を出す奴はいない。
カルチャーショックだよ。現代人は尿を出すのか!

「どうよ…… ギリギリ8か所のマーキング」

こうして四方八方の柵に尿をふりかけた刃牙であった。
うわ!ばっちい!
あと何でそんなに自慢げなんですか
ギリギリやん。自慢ならないやん。余裕を持って8か所を尿まみれにしても自慢にならないけど。
熱心な地下闘技場愛好家にはコンクリートブロックを投げつけられんばかりの暴挙ですよ。
hai!はやく謝っテ!

「そんなところで怖気ついているうちに――――」
「俺の縄張り(テリトリー)になっちまったぜ」


暴挙の次は挑発だ!
なるほど、放尿はただの罰当たりな行為ではなく、ピクルの縄張りを奪うための行為だったと。
相手の所有物に小便をぶっかける。挑発としては最上級のものだ。
って、この戦いって縄張り争いだったのか?
そもそも、地下闘技場ってピクルの縄張りなのか?
何が何だかわからんが刃牙が罰当たりなことだけは痛いほどわかった。
というか、また挑発かよ!

「な…なんッちゅう…」

「成る程オオオオッッ」

「ハハ……」


徳川光成、烈海王、花山薫の順に三者三様の驚きを見せる。
みっちゃんは神聖な闘技場で何て罰当たりなことを!とでも言いたそうだ。
うん、罰当たりだよね。小便とかふざけてるよね。
刃牙信者っぷりを披露した烈はここぞとばかりに感心している。
いや、一体何が成る程なんだよ。全然成る程じゃねーぞ!
そして、花山はダメだこいつ速く何とかしないと…と言いたそうだ。
呆れたくもなる。小便出せば呆れたくもなる。

刃牙の挑発を見たピクルは飛翔する。
そして、闘技場に降り立つ。
その表情は形容しがたい感情に包まれていた。
怒り以上に自らの身を汚されたような悔しさがにじんでいる。
刃牙に誇りを2度汚された。戦って捻り潰すしかない。そんな心持ちなのだろうか。
ところで何でこんなに怒っているんだろう。
闘技場が縄張りという自覚があったのか?

「もういいだろ 手品は終わりだ」

お前が言うな刃牙ィ!
一体、何を言ってんですか。散々妖術に頼ったくせに…
こういうのはピクルが言う台詞だ。
いや、妖術に翻弄されまくったピクルが言ってもアレだけど。

「T-レックス トリケラ… チョットやりすぎた」

いや、恐竜拳はやりすぎたというか、やれる方がおかしいです。やる方もおかしい。
飛んだだけにしか見えないプテラノドンはさりげなく省かれている。
なのに完全なフェイクだったトリケラトプスは頭数に入っている。
何が何だか。

「原点回帰」
「ホモサピエンス同士―――――」
「人間として戦闘(たたか)おう」


この人はさぞかし偉そうにいきなりナニを言っているのだろうか。
原点回帰?ホモサピエンス同士?人間として戦おう?
妖術使ったり恐竜になったりして、自分から脱線した身分でありながら本当にナニを言っているんだろうか…
終始、人間として戦おうとしていたピクルに向かって言う台詞ではない。

刃牙は無防備にピクルの間合いに入る。
ピクルの危険性を知った上でこの行為だ。侮辱に等しい。
それと同時に反射のようにピクルの両腕は振り上げられ刃牙に叩きつけられる
オリバが得意としたハンマーアタックだ。力100%の確定的に原始的な攻撃である。
どうする、刃牙。
パリングして脱臼させちゃうか?

ギャドッ

モロに食らった!
ついにピクルの打撃が刃牙に直撃した。
刃牙はムエタイ戦士30人即死分のダメージを受け、地面に叩きつけられる。
ジャックですら轟沈するほどの一撃だ。
…あれ?マジで食らった!?
妖術師刃牙が打撃を直接食らうなんてありえるのか?
嘘臭い…きっと、リアルシャドーで生み出した幻影が食らったんだ。そうだ、そうに違いない。

[一度はヤリたい…]
[真っ向勝負ッッ]


地面に叩きつけられながらも、刃牙は笑っていた。
まだ意識はある。ピクルの打撃をモロに受けて、まだ意識を保っている。
ズ、ズルい…
全ての攻撃が一撃必殺のピクルの打撃を受けておいて、まだ余裕が見えるなんてさすが範馬刃牙。
さりげなく反則級のタフネスを見せた。

「バカでしょ……?」

烈は後日インタビュアーにそう言うのだった。
自分より圧倒的に大きく強い相手に真っ向勝負…
頭の良い戦い方とは言えない。
だが、こういう戦い方は至極主人公らしい。
むしろ、今までの戦い方をバカでしょと言って欲しかった。
飲まず食わずなんて…バカでしょ…?
挑発するなんて…バカでしょ…?
虚勢を張るなんて…バカでしょ…?
自殺するなんて…バカでしょ…?
今更鞭打なんて…バカでしょ…?
恐竜になるなんて…バカでしょ…?

そんなわけでついにピクルの一撃が命中した。
待望の瞬間だ。
30mからの落下に耐えられない刃牙はどうなるのであろうか。
読者の期待を背負ったまま、今週中の次回へ続く

ところでこの流れは闘技場を汚した刃牙に対してピクルが正義の鉄槌を振りかざしたように見えてしょうがない
…いや、まぁ、実際に汚しているんだけど。
何か応援しがいがないなぁ…刃牙…



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