範馬刃牙 第214話 記者会見



もうワーレフの負けでいいんじゃないか?
巨漢×胸毛×ロシア人×ボクシングの四重奏ですよ。
戦わずともわかるものがある。
ここまで厄い要素が集まると名前に範馬が付いていないと挽回出来ない
範だけだと普通に負けちゃうんで注意してください。


烈とワーレフのエキシビションマッチが決まった。
というわけで記者会見だ。
記者会見するのか?
あっという間に烈は有名人だよ。
そもそも、記者会見という概念があったことに驚きだ。

今回の試合はバキとしては珍しく公式試合である。
こんなのは神心会トーナメント以来の気がする。
大擂台賽には記者がいたことから、あれも公式試合に入るのだろうか。

まぁ、ベガスの記者たちは烈のことを知るまい。
日本の神心会本部を汗まみれにするチャイニーズモンスターのことなど知る由もない。
ラブプラスに出てもおかしくないほどの癒し系キャラであることも知らないだろう。
というわけで、まずは経歴を訪ねる。
普段、こういうことを質問すれば間違いなく殴られる。

「4才で百林寺に入山した 後は修行 鍛錬の日々を………」

でも、今回はちゃんと答える烈だよ。
烈は4歳の頃から武に励んでいた生粋の武道家だった。
一体、どういう経緯から百林寺に入山したのだろうか。
あまりの汗の量に両親が扱いに困ったのか?

烈は入門した日に劉海王に学んだことが站椿だと大擂台賽で語った。
4歳の幼児に站椿…
百林寺は修羅の道だな。幼い頃から土台となる肉体を鍛えさせる意図があったのか?
これほどの鍛錬が烈に驚愕の肉体を宿らせたのだろう。
どう造ったかと問われれば4歳の頃から站椿したのだ。

記者は思わず呆然とする。
4歳の頃から武道の道を志したとは思いも寄らなかったのだろう。
次に戦歴を問いかける。

烈は中国武術の最高峰、海王の名を継ぎ天才の名を欲しいままにしている。
堕落が激しい海王の中でも本物の中の本物なのだ。
軍部にも名前が知られているほどである。
それだけに数多の戦いを潜り抜けていることだろう。
今まで語られていなかった烈の歴史が語られる時が来るか?

「公式なものはありません 全ての試合は非公式でした」

ねーのかよ!?
ミスターレツ。アンタ、一体どうやって海王として認められたんだ。
公式の試合が一度もないのによく海王の認可が下ったものだ。
あとさりげなく大擂台賽がなかったことにされてないか?

前述したように大擂台賽には記者がいて、郭海皇にインタビューをしていた。
でも、大擂台賽は公式の試合じゃなかったということか?
まぁ、あれを公式のものにすれば中国武術の威信はだだ下がりだ
多くの海王が無残に敗れた。あと武術省の3人は不祥事の償いとして利き手を斬られた。
あれを公式試合にするとマズイと判断して、非公式のモノに変更したのだろうか。
そもそも、ムエタイが海王になっている時点で中国武術としては不祥事もいいところだ
サムワン海王が生まれた時点で、大擂台賽はぽしゃる運命にあったのかもしれない。

まぁ、大擂台賽は置いておく。
公式試合なしでよく烈は海王になれたし、国に認められる戦士にもなれたものだ。
あ、でも、百林寺の海王認定試験って波を起こすヤツだった。
海王って実績がなくとも試験さえ受かれば何とかなるものなのか?
…何か海王の質が下がった理由がわかった気がする。

ともあれ、この答えにどよ…と気まずい空気が流れる。
非公式の試合しかやっていないとか、胡散臭いにもほどがある。
ただでさえ片脚で胡散臭いというのに…
試し割りがなかったら、こうして記者会見すら不可能だったのかもしれない。
カイザーのプロモートに感謝しておかなければいけないな。
さて、次の質問は非公式試合の戦績だ。

「数えたことがありません 勝った数も……………負けた数も……………」

しかし、この烈海王。ノリの悪い解答しかしない。
ワーレフに挑発する時はノリノリだったのに…
挑発は得意だが自己アピールは不得手ということだろうか。

烈は自分の試合を数えていなかった。
勝ったのか、負けたのか、それすらも数えていないという。
だというのに、地下闘技場ではあの態度だ。
数え切れないほど勝ってきたということか。
無論、記者にそれは伝わらないのだが。

「ルールを定めた試合経験はありません ただ……どちらかが強いかという…」

試合のルールにはこう答える。
烈はノールールで戦ってきたらしい。その環境こそ、ルールに縛られない武道家を育てたのだろう。
…中国武術ってノールールなのか?
4歳に站椿やらせるわ、海王認定に公式試合必要ないわ、恐ろしいくらいのブラック武道だな、中国武術。

烈の言うノールールは格闘技のノールールとは意味合いが異なる。
不意打ちあり武器使用あり何でもありのノールールだ。
武器を使われることもありだし、自分が使うのもありだ。
潜り抜けてきた修羅場が違う。
スポーツマン止まりのワーレフなど、烈の後光を浴びるだけで死にかねない。

そして、烈の脚についても問われる。
ある意味、一番の焦点だ。
義足の人間が元チャンピオンと戦う。
普通の試合では起こりえないことだ。

「友人との試合で失いました」
「そういうこともある 試合とはそういうものです」


烈にとっての試合とは、五体を失う覚悟で行うものだ。
烈の志す武道は厳しい。
空手やってました程度のボクサーには想像も出来ない厳しさだ。
烈はその厳しさを受け止め、自分を責めたこともあった(第102話)。

ここで烈がピクルを友人と呼んでいるのが印象的だ。
ピクルが烈に好意を抱いていたように、烈もまたピクルに通じ合うものを感じ取ったのかもしれない。
言葉はない。通じる言葉がない。戦い方もまるで違う。種族も異なるかもしれない。
だが、それでも二人の心に芽生えるものがあった。
それは友情に近い感情だったのかもしれない。

こうして記者会見の締めはカイザーの言葉で行われる。
ルールは拳で強さを競う。
ボクシングとは呼ばず、拳で競うことをルールとした。
烈の戦い方はボクシング的にはNGだ。
こういうルールではなければ不都合があるのだろう。
そして、このルールで有利になるのは烈だ。
カイザーの企みやいかに。

さて、スペシャルスウィートな自室に烈は戻る。
そこで深町コーチは酒をあおっていた。
信じられない出来事が立て続けに起こった。
酒も飲みたくなる。
このお酒もスペシャルスウィート備え付けのものなのか?
でも、缶ビールだし、自販機で買ってきたりしたのかも。

「嘗めてる………」

「嘗めてるよボクシングを」

深町コーチはキレていた。遠慮なくキレている。
海外に来てついにキレた。
いや、国内でもキレていたか(第198話)。

初の試合が元チャンピオンのアンドレイ・ワーレフ…
ありえないくらいに豪華なカードだ。
深町コーチの育てた選手たちが一生に一度体験出来るかどうかのカードである。

ボクシングの試合は簡単に組まれるものではない。
簡単に組まれたら一歩と宮田はもう戦っているようなものだ。
実力以外のものが必要となる時だってある。
であるのに、ワーレフとの試合があっさりと決まってしまった。
これは嘗めてると言われてもしょうがない。

そんな深町コーチは突然ファイティングポーズを取る。
これには烈も驚く。
こいつ、戦えたんだ…そんな驚愕がありそうだ。
私だってびっくりだよ。
もしや、深町コーチがカイザーの隠し球か?
いや、さすがにそれはないか。

深町コーチは烈に左ジャブを放つ。
だが、数多の拳技を見切り、ピクルの豪腕すらも受け止めた烈にとって、深町コーチ程度のジャブなど…
モロに食らって鼻血を流していた。
ば、馬鹿な…烈が鼻血を流しただと?

出血はけっこうなダメージを意味する。
麻仁アキオや黒人ボクサーを歯牙にもかけなかった烈が、深町コーチのジャブで鼻血を流す…
異常事態だ。異常事態すぎる。
深町コーチって強いのか?
…ストライダム並みの伏兵だな。

「どうしたい ブルース・リー……………
 引退して10年―――元ボクサーのパンチが見えねェかい」
「ボクサーのジャブはそれほど速ええ」
「ワーレフだったらブッ殺されてるぜッッ」


恐るべし、深町コーチ。
現役スーパーウェルター級チャンピオン、麻仁アキオに現役ヘヴィ級の黒人ボクサー…
彼らが為しえなかった烈に出血させるという偉業を成し遂げたのだ。
不意打ち気味とはいえ、それは烈にとって不覚を取った理由にはなり得ない。
不意打ちすらあり。それが烈の戦いなのだ。
逆に言えばあいつらの格はその程度ということでもある。

これで深町コーチのジャブは現役チャンピオンや期待のヘヴィ級よりも速いことが証明された。
それって証明されていいのか?
どうなんだろう…ホント、どうなんだろう…
やっぱ、ボクシングは斜陽格闘技だ。

試合を断って帰れ。カイザーなんて知ったことか。
ジャブを当てて調子に乗った深町コーチは言いたいことを言う。
今、深町コーチのランキングは麻仁アキオよりも上なのだ。
そりゃあ、調子に乗る。

深町コーチは酒ほどまで飲んでいた缶ビールを取ろうとする。
だが、取れない。何故か取れない。
疑問に思って手を見てみると、手首から先が存在しない。
焦って見てみたら手首が180度曲がっていた。要するに脱臼していた。
いきなりびっくりのホラーだよ。これには冷や汗だらだらだ。
一瞬で酔いが醒める勢いである。

「反射的に関節を外してしまったようだ」

不覚を取ったかに見えた烈だったが、実は深町コーチにやり返していた。
見えているどころではない。反撃すらしてしまうほどだった。
殴られた瞬間、烈の手は深町コーチの手元にあった。
その瞬間に関節を外すくらい、烈にとっては朝飯前だろう。
踊らされていたのは深町コーチの方だった。

でも、反射的に関節を外すって、どれだけの関節を外してきたんだ。
今までそんなことを一度もしなかったのに…何という危険なジョイント・フェチだ。
中国武術の神秘は関節を外すことにも及んでいるらしい。
これはワーレフの関節を外すフラグか?

まぁ、カシャって関節をハメます。ハマっちゃうんだ。
中国武術は関節を痛みなく外す技術があるのかもしれない。

「よけるつもりはなかった」
「長年ボクシング界へ身を置く原田さん あなたの怒りは妥当すぎる」
「このパンチはあなたを傷付けたわたしへの罰です」


原田って誰だよ!?
ここまで深町コーチ深町コーチ言いまくった私が馬鹿なのか?
でも、ググっても深町コーチはヒットしても原田コーチはヒットしやしねェ。
深町コーチの本名って、実は深町原田なのだろうか。あるいは原田深町。
まぁ、それは置いておこう。

傲慢不遜蛮勇。
そんな烈だったが、深町コーチ(原田さん)の心境は理解していた。
あれだけボクシングなど知らぬ通じぬな態度を取っておきながら、実は深町コーチのことは理解していたのだ。
理解していたのなら少しくらいはボクシングのトレーニングをすればいいのに…
あとボクシングを挑発するのも少しは抑えておけば…
烈は人の心情を理解出来るのか、出来ないのか、空気を読めるのか、読めないのか、さっぱりわからぬ。

「わたしにとっての武への思いも」
「どうかご理解をッッ」


強き人間と戦い己を高めたい。
烈は戦いにはそんな想いが込められていたことだろう。
その過程でピクルと戦い、脚を失ってもなお武への道を諦めていない。
無礼とわかりつつも、己の道を貫きたい。
烈は頭を下げる。三つ編みが垂れ下がるくらい、頭を下げる。

「……………エキシビションだしなぁ……」
「もう少しいてみっかァ…………」

「謝々(シェイシェイ)ッッ」


ついに深町コーチがデレた!
ツンデレとツンデレは引き寄せ合う運命にある。
烈にとって深町コーチはベストパートナーなのかもしれない。
深町コーチが攻略対象になるのか、うん!
そうかそうか、そうなれば話は違う。ここに並んだ大量のツンデレが全てカップリングとして立ち上がってくる。

カイザーは烈に好意らしきものを抱いているとはいえ、いかんせん敵か味方かと問われれば敵だ。
烈としては信用がおけない。
だが、深町コーチはどちらかと言えば味方とも言える。
何せ烈は深町コーチの指導を受けている立場だ。何も教わっていないけど。

烈のボクシングへの本格的な挑戦が始まろうとする中、外堀も固められていく。
戦闘準備完了だ。
まぁ、ワーレフは瞬殺されるな。やはり、問題は隠し球だ。
全盛期のJr.が出てくればよかったが、残念ながら睾丸が潰れた今ではムエタイと同程度の価値しかない。
次回へ続く。


今回、深町コーチがデレたぞ!
ちょろっと見せるデレが年の功だ。
まぁ、それはどうでもいいとする。

今回明らかになった烈のキャリアはまさしく不詳そのものだ。
烈は年齢すらも謎に包まれている。
推定30歳前後だろうが、実際はいくつくらいなのだろうか。
人気キャラなのに過去がさっぱりわからないというのもアレだ。

ワーレフは巨漢だ。それに対し烈は格闘家としては背が低い。
また、胸毛がある。胸毛がない。
輝かしい表の経歴がある。表のキャリアが存在しない。
二人はいろいろな面で対照的だ。

そして、勝てない人間と勝てる人間という点でも対照的だ
下手なキャリアを持つくらいなら、経歴不詳の方が強い。
大体、元チャンピオンって自慢にならないし。
ワーレフ、ダメだなぁ。

しかし、まともな経歴がないことを堂々と言ってのける烈ゥ、そこにシビれる憧れるぅ。
でも、少しくらいはハッタリを効かせて欲しいものだ。
公式戦の記録はないがムエタイ戦士なら100人砕いてきたッッッとか言ってみてはどうか。
実際、ムエタイで海王になる!という連中を砕いていそうだ。

まぁ、普通にセルゲイを倒したとか克巳を倒したとか言えば、十分かも知れない。
あ、でも、克巳も公式戦の記録はないようなものだったか?
いっそ、ピクルと戦ったことをバラしちゃえばよかったのに。
あんなのを隠すのは今更だろう。

普通なら記者会見でこんなことを言えばやっぱりなかったことに、と成りかねない。
でも、試合は組まれた。
偽物でも一流ならば通るのがベガスだ。
烈の実力は試し割りとはいえ一流と認められた。
経歴はもはや関係ないのかもしれない。
…まぁ、盛り上がり的にはどうかもしれんが。

それにしても今回は深町コーチが強かった。
いや、原田コーチか?とりあえず、深町コーチで行っておきます。
深町コーチは烈に鼻血を流させた。偉業とも言える。
烈に鼻血を流させることの出来る相手というのはなかなかいない。
そもそも、打撃を当てることの出来る相手事態がいない。

そんな烈にわざと食らったとはいえ、鼻血を流させた…
深町コーチは強いぞ。その実力は本物だ。
現役時代は国内ランカーだったりしたのだろうか。
烈の試合が始まれば深町コーチの解説が光りそうだ。
これからの深町コーチには期待出来るな。

烈は深町コーチの手首を外した。
バキでは印象的なシーンは繰り返し使われることが多い。
最近の例ではピクルの背骨折りだ。
となると、ワーレフも同じように手首を外されてしまうか?

拳のみが武器のボクサーとしては、手首が外されればもう勝負ありだ。
この技は烈がボクシング対策として用意したものなのかもしれない。
無論、ボクシングとしては反則だ。
でも、烈の早業を見切れるレフェリーもいないだろう。
拳のみを使っているからボクシング!烈ならばそう断言しても何の不思議があろうか。
いや、ない。

関節を攻めるという概念はボクシングにはない。
烈はそこを突いて攻めていくのだろうか。
ぐにゃぐにゃになったワーレフが見られるのかもしれない。

やはり、ここは異種格闘技との対戦経験のあるボクサーが必要だ。
そこでアイアン・マイケル!
テコンドーとも、ルール無用の不良とも、多人数とも戦っているぞ!
勇次郎との対戦経験もある。
だったらイケるぜ!
あ、その勝率については言及しません。



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