範馬刃牙 第240話 一本拳



烈の秘密兵器が登場だ!
そいつは中指一本拳!
人差し指一本拳ではなかった。
グローブの上からだとわかりにくいな。


(秘術…)
(今ここに…)
(封印を……………… 解く………………!!!)


一本拳は秘術だったようだ。
…秘術…なのか?
今まであまりにも普通に使っていたものだから、秘術という印象がまるでない。
目立たない高等技術だったのだろうか。
あんなもん写真でしか見たことねえ…と加藤が驚いていれば良かったのに。

中指一本拳を握ったことでグローブの形が鋭利な刃物を秘めたように変貌する。
恐ろしい中指力だ。
グローブの中はけっこう不自由だと思うが、それを何とかするのが烈海王の握力なのだろう。
烈の握力は握力自慢の孫海王以上だ。
自慢になるのかは微妙なところだが。

それでもクレーザーは前に出る。
後退のネジを外した男だけのことはある。
前へ前へ…延々と前に出続ける。
独歩と仲良くなれそうだ。
…肋骨開放性骨折は気を付けなければならないが。

クレーザーは連打する。
それを烈は片腕で受け、好機を待つ。
…こんなディフェンスができるなら最初からやればいいのに。
今回の烈海王は最初からやればいいことをやらない烈海王だ。
最初から全力を尽くしたピクル戦とは対称的である。

そんな連打の隙を突いたのか、烈の一本拳がクレーザーの人中に密着する。
そこから繰り出されるのはワーレフを沈めた技、無寸勁だ!
零距離からの打撃にワーレフの顔面も消える。

[人中]
[一本拳にて直角打突 顔面神経の分岐点にて]
[痛急所当込急所
 仮死または殺傷に至る急所にて四肢を麻痺させ行動を完全に停止させる]


ここで再び人中の解説だ!
(感想中では書いてませんが)第209話でもやったばかりだ。
金的といいかつての急所にスポットが当てられる傾向にあるのだろうか。
ついでに当サイトでアクセス数を多く稼いだ話のひとつが金的の話だ。
みんな、金的が好きみたいだし、烈もやってみてはいかがか。

クレーザーは無寸勁と人中のコラボレーションを受けた。
腰が落ち、脚がくだけていく。
長年、その信頼性が怪しかった人中だが、近年急激に評価が改められている。
規格外の相手に通用しないだけで、並みの相手にならば必殺級の破壊力があるのだろうか。

(ジョーよ… 振り返っちゃあダメだ………)
(前へ……… ただ前へ生きるのだ…)
(希望は…… 夢は……… 未来(あす)は…)
(後ろにはないものだから……)

意識を喪失しながら(後述される)亡くなった父の言葉をクレーザーは聞く。
三途の河を渡ってしまいそうな破壊力が人中には込められていたらしい。
もしかして、死んでしまったんじゃないかと心配しちゃったほどだ。

亡き父はクレーザーにいい言葉を遺したものだ。
この言葉があったからこそ、クレーザーは腐らずにボクシングをやってこれたのだろう。
成績が伸び悩み、年齢も増していき、それでも戦うことを止めない。
おそらくはそのファイトスタイルが徒となり、幾度も負けたことだろう。
だからこそ、クレーザーの成績はパッとしない可能性が高い。

それでも自分のスタイルを捨てない。自分を裏切らない。
深町コーチがファンになり、烈が評価する理由もわかるというものだ。
しかし、なのに何でスモーキンジョーなんていう相手を煙に巻いていそうなニックネームがついたんだ…?

倒れ果てたクレーザーは立ち上がるどころか、微動だにすらしない。
そして、テンカウントで決着する。
観客は沸き上がり、深町コーチも抱きつくほど歓喜し、アライ父も何が起こったのかわからないように困惑する。
深町コーチは喜びすぎだ。
ボクシングの仇敵とも言える烈が勝ったのに…
これは同時に二人の絆の強さも示している。

だが、烈の顔は陰気なものだ。
何かと気難しい男だがいつものそれとは様子が違う。
この勝利に思うことがあるのか?

目覚めたクレーザーは烈を称える。
その顔には悔しさや憤慨と言った感情はない。
ボクシングのタブーを犯しながらも戦った烈に対し、クレーザーは爽やかな笑みを向けるだけだ。
何だかんだで全力を尽くせたのだろう。
それに対し烈も小細工抜きで…いや、空中殺法や目隠し殺法は小細工に入るか?

正直、クレーザーの背景はよくわからなかった。
だが、規格外の戦法を取る烈を相手にこの態度は立派だ。
決して卑屈にならず腐らず…実にいいファイターだ。
ボクサーの印象がかなり良くなったぞ。
こうして、クレーザーは退場するのだった。

(スモーキンジョー…… 違うんだ…………)
(君は敗北者ではない………)
(私が使用(つか)ったあの技術(わざ)は…)


烈はある意味反則をして勝ったも同然だ。
普通のボクサーは飛んだり目隠ししたり人中したりはしない。
それに対してクレーザーは愚直なまでに真っ直ぐに挑んだ。
ボクシング以外の技術に対し、真性ボクシングで戦った。
烈としては心外な勝利なのだろう。

烈はクレーザーを追おうとする。
だが、その時何者かが烈の腕を掴む。
烈の腕がきしむほどの握力の持ち主だった。
そこには身長2mほどと推測される黒人がいた。
彼こそが現チャンピオンのボルトだった。
…アイアン・マイケルじゃないのね。
アイアン・マイケルでも困るが。

ボルトは穏やかな微笑みを浮かべている。
物腰柔らかそうだ。
オリバの親族っぽい雰囲気がちょっとしている。
烈の腕を上げて勝者として祝福する。
王者としての貫禄を見せつけるぞ!

「今更……… どこに行こうというんだい」
「逃ィ〜〜がさ〜ない(はぁと)」

だが、腹黒だ!
ボルトは王者としての貫禄と黒さの双方を備えている。
こいつは強そうだ。
ボクシングの復権を果たそうな気がしなくもないぞ。

(ケタ外れの握力…ッッ 引き戻せない……ッッ この男…ッッ)
(強い!!!)


ボルトの握力は烈を驚愕させるほどだった。
そして、烈が強い判定を出した。
ボルトの強さは本物のようだ。
アイアン・マイケルとは比べものにならない強さを持っていそうだ。
次回へ続く。


ついにクレーザーとの戦いが決着だ!
まぁ、いつもの流儀でやれば余裕でした。
蹴ればもっと速いし、義足じゃなかったら瞬殺だったのだろうか。

とりあえず、クレーザーはいいファイターだった。
個性的な戦いはしていないがいいファイターだった。
そりゃ深町コーチがファンになるよ。
ただ沈むだけのワーレフとは違った。

そして、烈ボクシング編の終着点が見えてきた。
やはり、ラスボスはヘヴィ級チャンピオンのようだ。
チャンピオンということはワーレフをはねのけて王座に座ったのだろう。
ワーレフかー…微妙だ。

でも、握力自慢はバキ世界において雄弁なステータスだ。
強い握力を持つファイターに弱い人はいない。
花山然り、オリバ然り、ゲバル然り。
孫海王みたいに勘違いしてはいけないが。

ボルトの強さはどれほどのものなのだろうか。
ヘヴィ級チャンピオンは今まで負け続きだ。
15歳の花山に負けるし、素人に3人がかりで負ける。
ヘヴィ級チャンピオンの信頼度はムエタイよりも少しマシな程度だ。

ボルトは穏やかな態度と腹黒さを兼ね備えている。
オリバや餓狼伝のサクラに似た暴虐紳士の匂いがしている。
この手のキャラは強いんだよな。
期待しちゃっていいんだろうか。

それだけに何かしらボルトの強さを裏付けるエピソードが欲しいところだ。
超絶エピソードかかませ犬があれば良さそうだ。
キングコブラ相手にボクシングをしていたとか、ミサイル発射口を素手でよじ登る類のエピソードはいりません。

まぁ、そこで割り込む可能性があるのはアイアン・マイケルだ。
お前、アイアン・マイケルネタばかりだなとか言われそうだが、いいえ、これはネタじゃないのです。
第28話アイアン・マイケルは出所したらタイトルを狙うという発言をしている
そう、これは今回の展開のための伏線だったのだ。
故に彼がボルトに挑んだ可能性は極めて高い。
元王者と現王者の試合だし集客力が高そうだ。
カイザーなんて喜んで組みますよ。

というわけで、ボルトにボコボコにされるアイアン・マイケルが見られるかもしれない。
全国のアイアン・マイケルファンは大期待だな。
私も期待していますよ。
…って、アイアン・マイケルの役所ってそんなものなのね…



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