10周年記念プレイ日記横浜GP







ここからついにとでも言うべきなのか、赤碕にも声が聞こえ始める。
レーラグを語る上では欠かせない必須単語、『…………』ザーもここが初出である。
レーラグのシナリオは加速する。
序盤とは雰囲気がまるで異なるが、ここから先の展開があってこそのHI SPEED DRIVING RPGなのだ。



さて、レーラグにおけるある意味最大の山場とも言える横浜GP決勝。
レーラグを何の攻略情報もなくプレイした人の多くはここで詰まったと思われる。
私は思いっきり詰まった。

詰まる要因となるのはこの時点では多くのプレイヤーがサイドブレーキの重要性に気付いていないからだろう。
まず、他の多くのレースゲーム…代表的な例としてグランツーリスモでは、サイドブレーキを引こうものなら姿勢を大きく崩す。
レースゲームにおいて、サイドブレーキは基本的に使わないものというある種の思い込みがプレイヤーにはあることだろう。
その思い込みによって、レーラグではサイドブレーキは非常に優秀だと気付かないことが…
私は見事に思い込んでいた。ええ、思い込んでいたとも。

さて、ここまではサイドブレーキがなくとも普通に進むことが出来た。
いや、サイドブレーキがなければ普通に負け込む。
事実、私が初プレイの時は普通のブレーキばかりで勝とうとしたら、1stNightで連敗の嵐だった。
それでも何とかマシンを鍛えればマシンパワーでゴリ押しすることが出来る。

加えて3rdNightで手に入る沢木専用ブレーキパッド、Jackknifeがサイドブレーキの重要性を遠のかせる要因となる。
フットブレーキにサイドブレーキの効果を付与する(と思われる)ブレーキパッドで、
これを装備しておけばサイドブレーキなしでも進むことが出来てしまう
沢木の形見…そして、魅力的な説明文に引かれてマシンに組み込むプレイヤーはさぞかし多いことだろう。
私は思いっきり組み込んだ。

サイドブレーキを使わないという思い込み、パワーによるゴリ押し、そしてJackknifeによる擬似サイドブレーキ…
3重にも渡るサイドブレーキの重要性を遠のけるオブラートがレーラグには存在するのだ。
それでも今までは進むことが出来た。これらの要素で誤魔化せてきたから
だが、横浜GPではそういた状況から一気に隔離され、サイドブレーキが必須とされる場面に遭遇する
間違いなく詰まる。サイドブレーキの重要性に気付かない限り、詰まり続ける。

10年前に私がプレイした時も前述した通りに詰まった。
何度も何度も詰まって、ふとサイドブレーキを使ってみたら容易に勝てたことで、やっとサイドブレーキの存在に気付くことが出来た。
ハマる人は延々とハマりかねない厄介な罠である。
特にリアル系レースゲーム…当時はグランツーリスモくらいしかなかったけれど、
その類にハマったプレイヤーほどこの罠にハマりやすいことだろう。
…私はここまでに該当する要素の全てに合致していましたとも、ええ。

そんなわけで横浜GP決勝はサイドブレーキを使えば楽勝、使わなければ高難度という異色のBATTLEである。
なお、サイドブレーキを使わずとも勝てることは勝てる。
3年前にやった86ユニットプレイで達成しました(詳しくはこちら)。

もっとも、横浜GPの難度が高く感じてしまうのはサイドブレーキのこともあるが、
250馬力のへっぽこGTマシンに乗らされることも大きいだろう。
これでDiabloTuneは倒せないよ、さすがに…
なお、パワーには劣るが、操作性自体は非常に素直で乗りやすい。
変な挙動を出さないので非常に素直なハンドリングを楽しめる。
足回りは本当に優秀なのだ。…だが、Engineが…
もしかして、高橋は峠を走らせるためにこのマシンを組んだんじゃないかと疑ってしまう。





横浜GPが終わると怒濤の展開を見せる。
休む暇なしだ。



突如、BayLagoon Towerの前に来て、藤沢はただ一言だけ言って、BATTLE開始…
残酷なまでの美しさを持つレーラグの名シーン中の名シーンだ。
10年前、横浜GPを必死にクリアして、怒濤の展開に思考を停止させながらも、
このシーンを見た時は言葉に表せないくらいの切ない思いが溢れ出たものだった。
ついに藤沢と戦う時が来た。
なのに、不思議と燃えることがない。心が揺さぶり立てられない。
…ただ、どこか切ない感情だけが胸に去来する。
なぜだろうか。
勝敗を決するBATTLEなんかではなく、己の思いをぶつけ合う走るという行為だからなのだろうか…






予想だにできなかった、藤沢の事故…
あれほど大きかった藤沢先輩が弱音を吐く…
とことんスカしてお笑いキャラにさえなってしまった赤碕の脆い顔…
プレイヤーの心情を揺さぶる。とにかく、揺さぶる。
今見てもこのシーンはすごい。10年の月日を経てもまったく劣化していない。
悲しい輝きを秘めた名シーンだ。
余談ながら体験版で病院を調べた時に赤碕が言っていたのはこのシーンのことなのだろう(WagonNRさんの体験版台詞ページ)。




さらに青崎が顕在化する。
乗り移るなどの証言によってこれにより謎だった横浜最速伝説が、
霊によって引き起こされたファンタジーの類だとプレイヤーは誤解してしまう。少なくとも私はした。
RPGだからファンタジーに話が飛んでもおかしくなどない。
当然、これはミスリードで横浜最速伝説の真実である企業による実験から、プレイヤーを遠ざけるためなのだろう。
このミスリードがあったからこそ、Diabloの正体に気付いた時の衝撃は大きい。
レーラグは今のゲームにも勝るとも劣らないくらいに、シナリオの展開が考えられていると思う。

語り尽くせないほどに濃い展開が続いた。名場面も多い。
そして、ここがレーラグの転換期である。
これを期に走り屋の物語から企業の陰謀へと物語の舞台は変わっていくのだった。
…うん、やっぱり、レーラグは面白いです。

余談
この夜の謎
・青崎が目覚めた理由
横浜GP決勝を目前に控えて、青崎は目覚めた(正確には【声】が聞こえ始めた)。
なぜなのだろうか。
高橋から借りたGTマシンはストーリー上はとんでもない速さを誇る。
このマシンでテスト走行を繰り返すうちに、今まで体験したことのないスピード領域に飛び込んでしまったことが原因なのか。
あるいは赤碕が現代の横浜に解き放たれて、時間が経過したからか。
いずれにせよ、目覚めるに妥当な条件がいくつも揃っている。

・赤碕が藤沢を殴った理由
赤碕の独白を見るに、赤碕の意識は相当あやふやなようだった。
あの時点で青崎が赤碕の身体を奪っていたのかもしれない。
そして、それに赤碕が気付かなかった…可能性としては濃厚か。

青崎が藤沢先輩を殴った理由に関しては、
最速の男としてもう一人の最速の男である藤沢先輩が気にくわなかったせいだろうか。
9thNightでは藤沢先輩を弱い男だと青崎は罵る。
藤沢先輩を深層心理下で見ていくうちに敵意が芽生えたのかもしれない。
最終的には青崎は藤沢先輩を真の最速の男と認めるのだが。

・青崎との問答
青崎のだんまりは無意味ではなく、答えられる質問にだけ答えている。
以下、選択肢ごとに青崎の心情を追ってみる。

・おまえは誰だ?
これに関して青崎は横浜最速の男だと返答する。
記憶が混乱している青崎ではあるが、横浜戦争終結の夜は強く記憶に刻み込まれている。
だからこそ、自分が横浜最速の男であるという意識もまたハッキリとしていたのだろう。

・おまえはいつから俺の中にいる?
初めからお前の中にいると返答する。
赤碕が青崎の上に植え付けられた擬似意識である以上、初めからいるというのは当然のことだ。
だが、それを赤碕に否定されると『…………』ザーと黙り込む。
当然、赤碕の中にいる理由もとい赤碕が自分の身体を乗っ取っている理由がわからないから、こうして黙り込むより他ないのだ。
わからないことは話さないのが青崎の主義である。

・おまえはどうしてここにいる?
『…………』ザーと黙り込む。
どうしてここにいる、というよりも、どうしてこんなことになっている、とした方が青崎の思考にはマッチしているであろう。
当然、それは青崎にとってわからないことだ。
そのため、黙り込む。

・おまえは【声】なのか?
難馬さんや藤沢先輩を事故らせた【声】なのか、と問われても青崎には知る由のないことだ。
そのため、黙り込む。

・おまえは乗り移れるのか?
乗り移れるのかと言われても青崎にとっては意味のわからないことだ。
何の話をしているんだと言ったところだろう。
まったくわからないので黙り込む。
青崎が何を言っているなどと返答しないのは、質問を行う思考力を取り戻すには至っておらず、
オウム返しのようにただ自分の記憶に基づいて返答するだけの状態だからなのかもしれない。
現に青崎には反射的に答えた様子が多々見られる。

・おまえが殺ったのか?
オレが殺ったと青崎は答える。
これは難馬さんや藤沢先輩ではなく、Diabloによる偽りの横浜最速の男を殺したことを指しているのだろう。
今の青崎の意識は横浜戦争終結の夜にある。殺ったと聞かれれば勘違いして殺ったと答えるだろう。
赤碕も誰を殺したのかと具体的に問うていないのがポイントだろうか。
そして、どうやって難馬さんや藤沢先輩を殺したのかと聞かれれば、身に覚えのないことなので当然黙り込む。

・次は……俺なのか?
これも青崎にとっては意味がわからないので黙り込む。

・青崎のイメージ
DiabloZetaを横に携えている。
愛車のZeta3000じゃないのか?
記憶の混乱が影響しているのかもしれない。


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