EPISODE5 血飛沫の小夜曲
切歌と調がクリスに挑戦デぇス!
突然の展開だ。
予測不可能の展開だ。
様子のおかしい人たちが勢揃いだ!
まともな人、募集中。
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「翼さんッ!
あの子たちはッ!!」
「ああ……だが、何のつもりで……」
暁切歌と月読調、歌の戦場に降り立つ。
響と翼にもしっかりとバレている。
顔バレしまくるのはいかんだろう。
むしろ、顔バレしている状況で聖遺物をよく奪えると判断したものである。
常識だけでも、手段を選ばないだけでも。
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一方、武装組織フィーネの隠れ家は僅か数日で米国の特殊部隊にかぎ当てられていた。
見つかるの、早!
ステルスだけでは情報を隠蔽しきれないということか。
浜崎病院が見つかるのも時間の問題だったのかもしれない。
WA2の劇中で言われた言葉だが「悪の秘密結社も大変」だ。
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一方、(ポンコツっぷりが)大人気のマリアさんはこの表情である。
ライブ中や戦っている最中とは違い表情が暗く沈んでいる。
心中に漂うのはフィーネさんの魂を覚醒させないために奮闘している切歌と調のことだ。
(2人共、遊んでいるけど)
表情の暗さは2人に負担を強いているからか、第2のフィーネさんだと嘘を付いているからか。
未だにこの人がフィーネさんというのは嘘臭い。
覚醒していないからマリアのままというのも嘘臭い。
証拠見せてみろよ、証拠!
D・V・D! 特典! D・V・D! 特典!
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「後悔しているのですか?」
「大丈夫よ、マム……私は私に与えられた使命を全うしてみせる」
本心を見抜かれるマリアだったが首を振って強がる。
マリアは特にこれといった挫折もしていないのにこの調子である。
逃亡生活及び隠匿生活の負担はわかるのだが、それでも紙メンタルだ。
この辺の折れやすさも翼に似ている。
翼が真っ当な先輩に生まれ変わったので、今度はマリアがダメな人担当だ!
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「今度は本国からの追っ手……」
「もうここが嗅ぎ付けられたのッ!?」
「異端技術を手にしたといっても私たちは素人の集団」
「訓練されたプロを相手に立ち回れるなどと思い上がるのは虫が良すぎます」
米国の特殊部隊の強襲にわりと本気で驚くマリアと彼我の戦力の違いを冷静に語るナスターシャ教授であった。
武装組織フィーネはシンフォギアとノイズによって単純な武力では相当のものだ。
だが、人員の少なさ、設備の乏しさ、(資金洗浄をしていることから)自由に使える資金の少なさ、
特殊部隊の動きを把握できなかった諜報の乏しさなど組織としての態勢は貧弱そのものだ。
悪の秘密組織らしく、秘密基地を頻繁に用意することもできていない。
武装組織フィーネを取り巻く環境は極めて世知辛い。
マリアが滅入るのもわかるというものだ。
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「踏み込まれる前に攻めの枕を押さえにかかりましょう」
「マリア、排撃をお願いします」
ナスターシャ教授はマリアに排撃の命令を下す。
武装組織フィーネの最大戦力がシンフォギアである。
如何に組織として負けていても今は戦略の介入しない局地戦。
武力さえあれば窮地を切り抜けられるという算段か。
妥当かつ当然の判断である。
なお、「攻めの枕を押さえる」はWA:Fでザックがブロッカーを発動させた時の台詞だ。
WAネタというよりも金子節ですね。
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「排撃って……相手はただの人間ッ!」
「ガングニールの一撃を食らえばッ!」
この人、メッチャド甘ェ!
一般人が相手ならこの主張もわかる。
甘さというよりも優しさだと認めることもできよう。
だが、シンフォギアを持たないとはいえ覚悟を持って戦場に立った相手にもこの台詞だ。
物凄い甘さだ。響のことを笑えないくらい甘い。
相手が弦十郎なら躊躇している間に何が起きているのか理解できないまま敗北するぞ。
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当然、ナスターシャ教授には責められる。
こんな甘いことを言えば責められても文句は言えない。
第4話の猛々しくも勇ましい姿は一体何だったのか。
マリアは命を奪うことには迷いがあるようだ。
翼に全力で挑んだのは命を奪うことはないという確信があったからか。
そういう意味で全力の自分をぶつけられる翼はマリアにとって貴重な存在なのだろう。
そりゃあ気に入るし防人語で話す。
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「ライブ会場占拠の際もそうでした」
「マリア、その手を血に染めることを恐れているのですか」
「マム……私は……」
だが、これでもマリア・カデンツァヴナ・イヴ、己が徹したい生き方はある。
反論しようとする。
だが、目を逸らしてしまう。
この人、全然ダメ!
ポンコツすぎ!
本当可愛いなぁ、チクショウ!
ともあれ、生死の境目に立たされながらもこの優柔不断な態度である。
見事なまでのヘタれである。
ホント、第4話の格好良さは何だったんでしょうね。
もっとも、その第4話でも即刻ボロを出したのだが。
翼にシンパシーらしきものを感じていたのもメンタル面の弱さを共感したからなのだろうか。
いや、今の翼はメンタル面が大分成長したのだけれども。
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さて、とりあえず、古典的な挑発を行う切歌であった。
クリスはのけぞる辺り、何というかわかりやすいというか、乗りやすいというか。
切歌もクリスの歌に感動していたしわかりやすい。
今ひとつ繋がりが見えない2人の共通点はこうした部分にあるのかもしれない。
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「きりちゃん」
「わたしたちの目的は――」
「聖遺物の欠片から作られたペンダントを奪い取ることデぇス」
「だったらこんなやり方しなくても」
2人揃ってノリノリかと思ったら、調はあんまり乗り気ではなかった。
いや、アンタも相当ノリノリに見えたんだけど……
右脳だけで生きているというか、小脳だけで生きているというか。
何というか楽しそうな人たちなので響たちの友達になれるといいですね!
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「聞けばこのステージを勝ち抜けると望みをひとつ叶えてくれるとか」
「このチャンス逃すわけにはッ!」
常識人(笑)が考えた常識的な作戦がこれだ!
これで聖遺物のペンダントを公然と奪い取ろうという算段であった。
あの、喉自慢の商品は生徒会の権限の中でやれることだし、個人の所有物を勝手に渡すわけにはいかないと思うのだけど……
素晴らしい常識的な発想ですね。常識人(笑)は桁が違いますね。
武装組織フィーネの人たちは化けの皮が剥がれてばかりだ。
一方で格を保っているナスターシャ教授、格を保つどころか得体の知れなさばかりが見えるウェル博士はさすがである。
やはり、OTONAは格が違ったな……社長感謝。
ともあれ、堂々のノープラン!
だが、それがいい。
俺たちもう迷わない!
何か真面目に頑張っているナスターシャ教授と真面目に迷っているマリアさんが可哀想になってきました。
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「月読調と」
「暁切歌デスッ!」
言ったァ!
この人たち、あっさりと本名を漏らしたァッ!
偽名を使うなんてことはしない堂々とした態度である。
顔がバレているのだから名前がわかるのも時間の問題かもしれないが、それでも与える情報は少ない方がいい。
こういうところはわかりやすく悪の秘密結社然としている。
クリスといい本名を漏らすのが好きな人たちだ。
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「2人が歌う『ORBITAL
BEAT』ッ!」
「モチロン、ツヴァイウィングのナンバーだッ!」
ここで「ORBITAL
BEAT」だとォ!
予想外の楽曲が出てきた。
第1期では前奏だけ流れて作中では歌われることのなかった幻の楽曲である。
ツヴァイウィングのキャラクターソングとしてだけ収録されている。
本編と歌が濃密に絡んでいるシンフォギアにおいて、唯一本編との関わりが薄い楽曲でもある。
(完全に独立していたひだまりメモリアもだが)
だが、ここで歌われるとなれば「ORBITAL
BEAT」の意味も変わってくる。
演出としての意味合いが生まれてくるのだ。
シンフォギア第1期放映から1年半、ついに「ORBITAL
BEAT」にスポットライトが浴びる時がやってきた。
遠大な伏線であった。
また、「モチロン、ツヴァイウィングのナンバー」という台詞からはツヴァイウィングは未だに人々の心に残っていることが伺える。
奏の死によってツヴァイウィングは解散となったのだが、人々から忘れ去られたわけではないのだ。
この「ORBITAL
BEAT」はツヴァイウィングの解散と現在を繋いでいる。
奏の歌は人々の心に届き未だに生きているのだ。
それにしても「現着ッ!
電光刑事バン」は歌わないみたいなので一安心ですね。
歌っていれば腹筋がマッハヤバかった。
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「何のつもりの当てこすり――」
「挑発のつもりか」
当然、穏やかではないのは「ORBITAL
BEAT」を歌っていた本人である翼だ。
当てこすりなんて防人的な言い回しを使うほどに穏やかではない。
精神が戦場に赴くと途端に防人語を放つのでこの人はわかりやすいですね。
切歌と調が「ORBITAL
BEAT」に込めた意図はまだわからない。
もしかしたら、この2人もツヴァイウィングの曲が好きなのだろうか……
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そして、「ORBITAL BEAT」開始と同時に爆発!
これは第1期第1話で用いられた演出とまったく同じだ!
シンフォギアお得意の対比である。
爆発するジンクスでもあるんですかね、この曲。
誰かが「ORBITAL
BEAT」を歌うと世界のどころかで何かが爆発しているのかもしれない。
なお、爆発しているのは喉自慢会場ではなくて、武装組織フィーネの隠れ家だ。安心。
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こうなるとマリアも覚悟を決めざるを得まい。
前回見せた勇ましさとは反対に戦うことへの躊躇い、引いては命を奪うことへの躊躇いが見える。
中身は想像以上に普通なのかもしれない。
防人語を使う人に普通もクソもないと思ってしまうが、それは高度なミスリードなのだろうか。
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切歌と調は2人とも振りを付けて歌っている。
歌だけではなく全身で自分を表現している。
ノリノリだ。言うまでもなくノリノリだ。
クリス並みに楽しんで歌を歌っている。
ただの挑発として「ORBITAL
BEAT」を選んだのではなく、この曲が好きだから選んだのではないだろうか。
こうした部分に根の純真さが見て取れる2人である。
マリアさんはポロポロとガトリングガンのように出すボロに根の純真さが見て取れますね。
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2人の熱唱にみんなは見入ってしまう。
自分の歌をここまでノリノリで歌われれば翼としても文句はないだろう。
クリスの表情にもうらやましさのようなものが見える。
まるで歌を楽しんでいるのは自分だけではないことに寂しさを感じているようだ。
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一方、マリアさんは未だに覚悟完了できていませんでした。
輸送船にダメージを与えられればそれだけで詰みですよ。
悪の組織の筆頭(仮)なのに外道作戦にとことん弱そうだ。
多分、ウェル博士と戦えば一瞬で敗北する。
二課に拾ってもらえばいかがか。
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「炭素……分解――だと……ッ!?」
ここで特殊部隊が次々に炭素分解されていく。
(初めて炭素化の正式名称が出てきた気がする)
しっかり驚くマリアさんである。
うん、フィーネさんじゃないな、この人。
少しでもフィーネさんの片鱗があるならこの程度では驚かない。
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戦場に立ちノイズを使役したのはウェル博士だ!
何というか、物凄く出たがりやですね。
召喚師もといゾアプリーストのウェル博士が前線に立つことにナスターシャ教授も驚きだ。
マリア?
言うまでもない。
畑違いと思えるウェル博士だったが、的確なノイズの指揮によって特殊部隊を殲滅していき、さらには銃弾も防御していた。
適合者でもないただの人間なのにウェル博士は高い能力を発揮している。
これはソロモンの杖を持っていれば誰にでもできるということでもあるまい。
腐った人格の外道とはいえOTONAはOTONAであるということか。
この人がフィーネさんと言う方がまだ説得力がある。
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」
そして、「ORBITAL
BEAT」フィニッシュ!
最初から最後まで見事に決めてみせた。
これには観客は拍手喝采である。
その拍手に対して切歌は嬉しそうに手を振り、調は驚いている。
ここだけ見ると普通の可愛い女の子ですね。
歌っている時の調は表情が豊かだ。
普段は大人しいが歌うと感情が爆発する人なのか。
だから、響に対する敵愾心を爆発させたのだろうか。
皆、胸に熱い想いを抱いているのだ。
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「何故……歌を歌う者同士が戦わねばいけないのか……」
2人の歌を翼も暗に認める。
歌を歌う者同士ならばわかり合える。
……かどうかはわからないが、マリアとシンパシーを感じた。
クリスとの関係が近しくなったのも歌が関与しているのだろう(事実、クリスは翼のライブを楽しみにしていたようだった)。
「歌は共通言語」がシンフォギアのテーマのひとつであるし(正確には上松氏の掲げたテーマであり、金子彰史の解釈は異なる)。
しかし、戦うために歌っていると言っていた人と同一人物とは思えませんね。
あの頃の台詞をボイスレコーダーに保存して再生してあげれば悶え苦しむことであろう。
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さて、チャリンコ野球部ジャリガキが物音のする倉庫に近付く。
出た。金子彰史大好きなチャリンコだ。
どこかで出すかと思ったら見事に出してきた。
さすがはWAシリーズにチャリンコを出すために四苦八苦してきた男だ。
(チャリンコを背景にでも出してと言ってきたが一向に出してくれないために、イベントシーンに組み込んでチャリを強引に登場させた)
また、3人ともママチャリであることから、金子彰史のこだわりが見て取れる。
そして、今回はチャリンコだけではない。野球部である。
金子彰史は野球が大好きだ。
WAシリーズの企画として野球を出したくらいである。
なお、12%の本気で言ったら、100%の本気で否定された。当たり前だ。
チャリンコ+野球+ジャリガキである。
金子彰史が大好きなものを総動員させている。
チャリンコォ! 野球部ゥ!
ジャリガキィ!
故に金子彰史が爆発しているシーンでもある。
これは金子信者として見逃せないと言えよう。
なお、WAシリーズにおいて「ジャリ」という表現は何度か使われているので欠かせない。
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さて、チャリンコ野球部ジャリガキはノイズに炭素分解される人間を見てしまう。
チャリンコォ!
野球部ゥ! ジャリガキィ!
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「おやぁ……?」
一部始終を見てしまったチャリンコ野球部ジャリガキにウェル博士が迫る。
チャリンコォ!
野球部ゥ! ジャリガキィ!
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「止めろウェル……」
「その子たちは関係ないッ!」
「止めろォオオッ!!」
マリアは叫ぶ。
この僅かな時間でこれでもかと甘さを爆発させてきた。
そんなマリアにとって例え一部始終を見られたからといって一般人の命を奪うことさえ躊躇われるのは当然の帰結である。
人質を解放したのも強さからの行動ではなく弱さからの行動なのだろう。
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チャリンコォ! 野球部ゥ! ジャリガキィ!
口封じとしてノイズさんに……
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マリアは貴重なチャリンコ野球部ジャリガキが命を失ってしまったことに涙する。
迷わずシンフォギアを纏って戦場に赴いていればこのチャリンコ野球部ジャリガキを失うという最悪は回避できた。
自分の弱さによって引き起こされた結果だ。
だが、それがマリアに刻んだ傷は大きい。
マリアにとっても大事なチャリンコ野球部ジャリガキを失ってしまったからだ。
え?
それは関係ない?
マリアは根が弱いのに必死にどや顔しながら頑張っている。
それでも頑張りきれずこうして涙する。
これでもかと言わんばかりに弱い敵だ。
響たちと同じくらいの弱さを、あるいはそれ以上の弱さを備えている。
そんなマリアが強さを持って立ち上がる時、一体どうなるのか……
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審査の段階になると切歌と調は逃げ出した。
米国特殊部隊の襲撃の報告があったからだ。
例え、任務の達成を直前に控えていても、マリアのことを考えると足踏みできない。
もっとも、喉自慢で勝ったからと言ってペンダントを奪える道理はないのだが。
ともあれ、歌えて良かったですね。
思いっきりただ歌うだけのことも、今の2人には難しいことである。
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「響……やっぱり、こんなのって……」
防人化が著しい響は翼と共に追いかける。
戦うことも止むなしだ。
凜々しさの一方で未来の表情は暗い。
響が持つ歪みを今一番知るであろうと思われるのが未来だ。
戦いに傾倒していく響に何か感じるものがあるのかもしれない。
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とんずらできょうきょ逃げ出した2人だが、クジラの行列に阻まれる。
これでは逃げられない!
いや、さすがにそれはない。それはないよね。
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「クソッ! どうしたものかデスッ!」
本当に逃げられなかった!?
急いでいるなら無理に割り込めばいいのに……
あるいは脇道から逃げ出せば……
そもそも、堂々と歌った以上、今更機密とかそういうのは気にしていないだろうに……
だが、何だかんだで2人共、学園祭を楽しんでいた。
である以上は楽しそうな学園祭を乱すようなことはしたくないのだろう。
ちょっとしたシーンだが2人の平穏に対する姿勢が伺える。
チャリンコ野球部ジャリガキを問答無用に殺したウェル博士とは大違いだ。
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「ここで戦うことであなたたちが失うもののことを考えて」
が、そんな足踏みをしている間に囲まれてしまう。
数で不利なため、来場者を人質として使う。
だが、本当のワルなら迷わず来場者を巻き込む。
むしろ、響たちが来場者のことを考え動きを鈍らせば好都合!
こんな脅しを使うのは数の不利や帰還を優先する以上に学園祭を乱さないようにする思惑が見える。
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「お前、そんな汚いことを言うのかよッ!」
「さっき、あんなに楽しそうに歌ったばかりでッ!」
もっとも、直情径行のクリスにはそんな思惑を捕らえきれぬ。
ただ楽しそうに歌ったことを突っ込む。
歌で平和を掴む両親の夢をクリスは受け継いだ。
だから、楽しそうに歌った相手がこんな不穏当なことを口にするのが信じられないのか。
歌でもわかり合えないものがあるというのが、金子彰史のシンフォギアのテーマに対する意見であった。
その一端が旧シンフォギアチームと新シンフォギアチームの関係に表れている。
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「ここで今戦いたくないだけ……」
「そうデスッ!
決闘デスッ!」
「然るべき決闘を申し込むのデェスッ!」
こ、こいつ、本当にダメだ!
ノープラン!
ノープラン!
ガンダムWの登場人物並みにノープラン!
武装組織フィーネは最大の戦力を持つ肝心要の実行部隊が素人というのが最大の弱点の気がしてきた。
緒川さんが本気になって動いていれば今頃現代忍法で動けなくなっていたかもしれない。
年頃の少女であることは切歌も調もマリアも変わらない。
それにしてもデスのイントネーションが実に偽外国人っぽい。
偽外国人風日本人。
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「逢えば戦わなくちゃいけないってわけでもないわけでしょッ!?」
「「どっちなんだよッ!」」
平和主義の響はいつもらしく曖昧な態度を取ってしまう。
ここで2人がハモった。
こういうところで噛み合うんだ!?
戦場では仲が悪いが日常では仲がいい。
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つい赤面する。
あら、可愛い。
可愛い者同士のコラボレーションだ。
今のところ、切歌と調は真っ当に可愛いというのがわりと信じられない今日この頃。
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決闘の時をこちらが告げると言って2人は逃げていく。
そして、ああやって脅された以上は逃がさざるを得ない。
日常での初めての出逢いであったが、歓迎すべき出逢いではなく、そしてすれ違うばかりである。
そして、お互いに抜けている部分を見せ合ってしまった。
これで翼が防人語を口走っていたら収拾が付かなくなっていた。
何を言っているのかわからないデェス!
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さて、響とマリアのガングニールのアウフヴァッヘン波形はまったく同じであることが判明する。
まったく同じということは響とマリアのガングニールはまったく同じものということなのか。
あるいはガングニールそのものが同じアウフヴァッヘン波形なのか。
奏のデータがなければわからない。
そして、生憎と奏のアウフヴァッヘン波形は不明だ。
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「だけど妙だな……米国政府の連中はフィーネの研究を狙っていた」
「F.I.S.なんて機関があってシンフォギアまで作っているのならその必要はないはず」
二課は了子がガングニールを持ち出して作ったと推測する。
が、フィーネをよく知るクリスは疑問を感じる。
もっとも、F.I.S.は米国政府から独立していたと仮説が立てられ、疑問は収束する。
とはいえ、F.I.S.の技術力の高さなど謎は多い。
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(ついに本国からの追っ手にも捕捉されてしまった)
(だけど、依然、ネフィリムの成長は途中段階)
(フロンティアの起動には遠く至らない)
ナスターシャ教授は好転しない状況に顔をしかめる。
世知辛いばかりである。
そして、謎のフロンティアの起動には成長したネフィリムが必要だとわかる。
この2つの因果関係と武装組織フィーネの目的は謎に包まれている。
それでも以前は人間以下のサイズだったネフィリムは人間と同じくらいには成長していた。
浜崎病院の戦いからほんの数日だというのに成長するのが早い。
巨人の名は伊達ではないか。
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(セレナの意志を継ぐためにあなたは全てを受け入れたはずですよ、マリア)
しょぼーんとしているマリアさんであった。
チャリンコ野球部ジャリガキを失った心の傷は大きい。
その手に握られているのは貴重な聖遺物のペンダントだ。
ここでマリアは思い起こす。妹、セレナの想い出だ。
![](gimg/05082.jpg)
さて、6年前。
F.I.S.ではネフィリムの歌を介さない強制起動が行われたのだが、それによってなのか、暴走してしまう。
完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲインが必要となるのだが、暴走付きとはいえ起動させている。
F.I.S.の技術力が伺えるし、フィーネさんの直接の助力なしにそこまで至った理由も気になるところだ。
この頃はセレナがいる。マリアさんもおっぱいがあんまりな……じゃなくて幼い。
6年前だから当然か。
でも、この頃から髪飾りは同じだ。
2人とも髪飾りの意匠に共通点があるから仲がいいのだろうか。
![](gimg/05088.jpg)
「わたしの絶唱でネフィリムを起動する前の状態にリセットできるかもしれないの」
「ギアを纏う力はわたしが望んだモノじゃないけど、
この力をみんなを守りたいと望んだのはわたしなんだから」
在りし日のセレナは絶唱によるネフィリムのリセットを実行しようとする。
絶唱、便利だなー。
起動させることもできれば停止させることもできる。
S2CAを考慮すると絶唱は応用の範囲が広いのだろうか。
こんな胡散臭い組織に身を置きながらも、セレナはすれていない性格だ。
大変なことがあった結果、捻くれた翼やクリスがいるだけに異質とも言えるほどの健気さだ。
こういう時に天使の名を持つ者とか言われるんですかね。
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そして、変身!
まさかのXD(エクスドライブ)モードだ!
いや、実際にXDモードなのかはわからないが、この純白のギアはXDモードと共通している。
XDモードは高レベルのフォニックゲインがなければ発動できず、響たちも個人の力では使うことはできていない。
一方で装者の技量が高ければ常態的にXDモードが使えることは言及されている。
XDモードへの変身をセレナ個人でできるとしたら装者としての適性は極めて高いことが伺える。
マリアと違ってセレナは優秀のようで。
姉より優れた妹など存在したぁ!
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そして、ネフィリムと向かい合う。
ネフィリム、メッチャでっかい。あと白い。
モンハンのあれにより近いですね。
この凜々しさは素材をなかなかドロップしないことに対する怒りも多少は含まれているといいですね。
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すかさず絶唱!
吐血しながらも強力なエネルギーを出す。
XDモード(あるいはそれに近い状態)を扱えることからセレナの適合係数の高さが伺えるが、それでも絶唱のダメージは軽減しきれていない。
アームドギアを用いず、また特殊な使い方をするため、通常の絶唱よりも負担が大きいのだろうか。
用語解説が待たれる。
![](gimg/05095.jpg)
「セレナッ!
セレナぁッ!」
そして、シンフォギアGのプロローグの場面へ移る。
セレナの手に握られているネフィリムは絶唱によってリセットされたものだった。
こうして話は繋がるのだった。
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「誰かッ!
私の妹がッ!?」
「どうしてそんな風に言うのッ!」
「あなたたちを守るために血を流したのは私の妹なのよッ!」
セレナの絶唱で窮地は免れたのだが、F.I.S.の研究員は「実験サンプルが自滅した」「実験はタダじゃない」「無能共」と冷たいし酷い。
マリアも怒る。妹持ちなら怒る。妹がいなくたって誰でも怒る。
こんな環境にいたのだから切歌や調の様子がおかしくなるのもわかる。
辛い環境にいたからって語尾に「デス」を付ける奴はいないよ。
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「良かった……マリア姉さん――……」
こうして遠い日に深紅の涙は落ちた。
やっぱり、血涙は絶唱の証であった。
翼の血涙によって絶唱が血涙に直結するようになり、セレナが絶唱したことがわかった。
翼の血涙は演出上の観点でも極めて大きい意味を持つのだ。
ただの笑いどころじゃないのだ。
血涙を流しホラーになりながらも、セレナはマリアを気遣っている。
血涙流していますが優しい子ですね。
マリアもセレナの心配をしているし、2人の仲の良さが伺える。
お互いに大きな存在であっただけに、失ったことの痛みも大きいだろう。
なお、マリアに(本当に)フィーネ因子があるのなら、セレナにもフィーネ因子があるということでもある。
フィーネ因子は遺伝子で継ぐのならば血縁者にそれが備わっているのは道理だろう。
もしかして、セレナこそフィーネさんという可能性が……
こうしてフィーネ疑惑は広がっていき収拾が付かなくなる。
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(セレナ……あなたと違って私の歌では誰も守ることができないのかもしれない……)
チャリンコ野球部ジャリガキを守れなかったマリアはセレナとの想い出にすがる。
姉さん、防人ですね。奏と会話していてどこぞの防人を彷彿とさせる。
たしかにマリアの歌ではチャリンコ野球部ジャリガキは守れなかった。
だが、世界中を熱狂させた歌であることは事実だ。
姉さんにもいいところはあるんだよ。あるんだよ……
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さて、マリアたちと切歌たちのランデブーポイントはカ・ディンギル跡地だ。
前作のラストダンジョンであり、前作のラストダンジョンが比較的序盤に出てくるのはわりとお約束だ。
Chapter1の最後のダンジョンとなったWA3とか、いきなり前作ラスボスが出てきた怒首領蜂2とか。
ごめん、後者は忘れてください。常識-KO-
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「マリア、大丈夫デスか?」
「良かった……」
「マリアの中のフィーネが覚醒したらもう逢えなくなってしまうから……」
そんなマリアさんでしたが2人からは心配されていた。
カップリングから省かれて可哀想と思っていたらちゃんと抱き合う仲のようで。
さっきまで沈んでいたマリアの表情も和らいでいる。
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「いい加減にしなさいッ!」
「マリアもあなたたち2人も、この戦いは遊びではないのですよッ!」
だが、ナスターシャ教授には平手で叱られる。
聖遺物のペンダントを奪えなかったのは良しとしても、決闘の約束をしたなんて言い出せばそりゃ怒られる。
新シンフォギアチームは悪であれど弱さと甘さが見える。
調の「手段を選ばない」という説明も非道という意味ではなく無鉄砲としての意味だったし。
切歌の「常識人」は……誰にでも「デス」と言うなんて口調が丁寧ですね!
常識的!
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「それにその子たちの交わしてきた約束、決闘に乗ってみたいんですが」
ここで策に長けるウェル博士が打診する。
今現在、その策略は響たちを圧倒していると言っても過言ではない。
武装組織フィーネで一番侮れない存在である。
切歌もおののくほどだ。
前回、殴ったのに……
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「ノイズの出現パターンを検知ッ!」
「古風な真似をッ!」
「決闘の合図の狼煙とはッ!」
アンタが古風って言うか?
一番古風な人が何を言っているんだ。
現代の防人が何を言っているんだ。
金子彰史が設定マニアじゃないと言うくらいに説得力がない。
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「東京番外地、特別指定封鎖区域――」
「カ・ディンギル跡地だとォッ!!」
さらに決闘の地はカ・ディンギル跡地だ!
前作のラストダンジョンが序盤に出てくるのはお約束だと言ったら本当に出てきた。
WA3のオマージュですね。
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決戦の地、カ・ディンギル跡地に赴くとウェル博士が待ち構えていた。
装者3人相手に1人、それも得物はソロモンの杖だけである。
それでも今までの戦いを見るに十分に渡り合っている。
ソロモンの杖の扱いだけならフィーネさんより上かもしれない。
もっとも、直球勝負の響たちとの相性もあるか。
脳筋パーティに状態異常攻撃連発のボスが現れたような状態である。
マヒや混乱で行動さえロクにできません。
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カ・ディンギルで2回目となる3人同時変身だ!
第1期第11話との対比であることは間違いない。
並べてみると響とその他2人の演出が異なることがわかる。
融合症例と装者の差だろうか。
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そして、「正義を信じて、握り締めて」で決闘の幕が開ける。
適合係数を下げるガス、ALi_model_K0068_Gがなければノイズに苦戦する理由はないのか、召喚したノイズを圧倒していく。
無論、策略に長けるウェル博士がこの程度で済ませるわけがない。
圧倒しているからこそ油断できない戦況でもある。
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「お友達感覚で計画に支障をきたされては困りますんで」
切歌と調がいないことに対する答えがこれである。
ものすごく嫌らしい。
そして、こういうキャラを描くと生き生きするのが金子彰史だ。
ううむ、これだから金子悪役はたまらない。
メガネがずり落ちそうですよ。
……多分、どこで言うことに賭けておきます。
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「何を企てるF.I.S.ッ!」
「企てる?
人聞きの悪いッ!」
「我々が望むのは人類の救済ッ!」
「月の落下にて損なわれる無辜の命を可能な限り救い出すことだッ!!」
「月のッ!?」
月の落下を食い止めるのが武装組織フィーネの目的だった!
月が大きいとは思ったがまさか地球に近付いていたということだった。
事実だとすれば地球史上最大の災厄だ。
人類どころか地球が滅んでもおかしくはない。
やっぱり、近付いているのはフィーネさんの一本背負いの影響なのだろうか。
これは詫びのひとつくらいは欲しいかもしれない。
マリアさん、目覚めてみたらいかがですか?
本当にフィーネさんならな……
月の落下は人類の範疇を凌駕した惑星規模の災厄という点でWA2の侵食異世界カイパーベルトと似ている。
2作目・イグニッション・英雄といい、WA2との共通点が見受けられるシンフォギアGだ。
6人パーティ(予定)もWA2ですね。
シンフォギアGのサイトが公開された直後に月と地球をバックにしたのは、人類が抱えた災厄のスケールの大きさを物語るためか。
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「月の公転軌道が各国機関が3ヶ月前から計測中ッ!」
「落下などと結果が出たら黙って――」
「黙っているに決まってるじゃないですかぁッ!」
メッチャいい笑顔ですね、ウェル博士。
人を心底小馬鹿にした最高にして最低の笑顔だ。
第1期に唯一不足していた金子節、外道キャラをシンフォギアGは見事なまでカバーしている。
これは爽快感があるぞ!
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「対処方法の見つからない極大災厄などさらなる混乱を招くだけです」
「不都合な真実を隠蔽する理由などいくらでもあるのですよッ!」
混乱を招くから地球の命運を分ける災厄だとしても隠蔽する。
筋は通っている。
月がより大きくなった時、その混乱はさらに大きくなるのだろうか。
月の欠片とは比べものにならない、絶唱でもどうにもならない極大災厄だ。
月バラルの咒詛で人々は分かたれ、さらにそれが落下して滅ぶというのは悲惨だ。
これがあのお方に手を伸ばそうとしたフィーネさんに対する罰なのだろうか。
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「私たちの答えが――ネフィリムッ!!」
それを食い止めるにはどうすればいいか。
当然、響たちは答えられない。
ならば、ウェル博士の答えはネフィリム!
その足下から出てきたネフィリムの登場でクリスは車田吹っ飛びをする。
日常では幸せ続きですが戦闘ではいいところないですね、クリス。
後れを取ってばかりだ。
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落下
-KO-
さらにそのまま戦闘不能になってクリスは本当にいいところがなかった。
ま、まぁ、高いところから落ちれば人間は気を失うよ。
いかにシンフォギアを纏えばそれは変わらないだろうし、何よりも不意を突かれた。
仕方ないね。
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「人を束ね、組織を編み、国を建てて、命を守護するッ!」
「ネフィリムはそのための力ッ!!」
さらに伝統と実績のトリモチノイズで翼も動きを封じられた。
2人丸ごとぶっかけられてしまった。
仲間想いであることが災いしてしまった。
あー、エロくないっすねー。ホントエロくないっすねー。
動きが止まった2人にネフィリムが吠え突っ込む。
というか、かなりデカくなっている。
もう輸送艦に収まらなくなりそうなんですけど……
ネフィリムの成長は日進月歩だ。
伝承によるとネフィリムの身長は1350mだからこれでも小さい方ではあるが。(ネフィリム)
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ここでネフィリムに1人立ち向かうのが響だ!
最近はいいところがあまりなかったが、英雄は遅れて現れる。
「正義を信じて、握り締めて」と共に1人でも立ち向かう響は勇ましい。
得体がしれず、巨体が相手でも引かない。
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まずはインファイトからの5連撃を響はネフィリムに放つ。
ストレート、アッパー、ミドルキック、ハイキック、前蹴りと多彩なコンビネーションだ。
人間が食らえば脳とボディを高密度に揺さぶられ大ダメージは間違いない。
倒れたまま吐きそうだ。
人間が食らえば大ダメージは確実だが、逆に言えばこれは人間前提のコンビネーションとも言える。
人体の弱い部分を的確に打ち抜いているが部位を破壊することがないため、人間を凌駕するタフネスを誇る相手には決定打にならない。
アゴへの攻撃も頸椎が太ければ無効化するらしいですよ?
(ソースがアレなので信憑性はさておき)
これはあくまでも「倒す」ためのコンビネーションであり、「殺す」ためのコンビネーションではない。
だからか、ネフィリムをひるませはすれど反撃の余力を与えてしまう。
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「ルナアタックの英雄よッ!」
「その拳で何を守るッ!!」
ならばと人知を越えた暴力に武術で響は対抗する。
的確な受けで体躯で上回るネフィリムの攻撃を弾き、ボディへの3連撃だ。
響の武術は進化している。
さすがOPで演舞を見せるだけのことはある。
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だが、この反撃も致命打にはならない。
のけぞらせ間合いを離すだけに留まる。
だが、響に同様はない。
人知を越えた暴力が相手ならば、人の限界を伸ばす武器を行使するまでである。
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そう、響の十八番、ハンマーパーツ解放だ!
肘の上よりも引っ張る全開のハンマーパーツ!
それも両腕を解放している!
先ほどの打撃戦でネフィリムのタフネスを見切り、火力を高め一気に勝負に出る気だ。
第1話で使ったジェットパーツは用意していない。
火力ではジェットパーツの方が優れているかもしれないが、
あれはノイズの進路を限定することでクリーンヒットさせることができた技でもある。
ネフィリムの全貌が明らかでない以上、火力を求めるあまり直線的な攻撃を選ぶと反撃される恐れもある。
そのため、威力と小回りを両立したハンマーパーツによる攻撃を選んだのだろう。
地味に戦い方が上手くなっている響だ。
一方で精神面の事情はあまり変わっていないのが調とのやりとりからわかる。
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ハンマーパーツによるマッハ突きでネフィリムをダウンさせた!
多くのノイズを撃破してきた必殺の一撃だけありさすがの破壊力である。
これには相当なダメージらしく、ネフィリムは立ち上がることができない。
シンフォギアGになって大分カラテをやるようになった響であった。
緒川さんの影響か?
いや、緒川さんは忍者であってもニンジャではないから関係ないか。
備えよう。
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そして、今度はブーストによるトドメの左だ!
ブーストによる接近からの一撃はクリスも嫌な顔をした。
絶唱級とはいかずとも十分な加速から放たれる一撃はさらなる威力を生むことは想像に難くない。
そして、素早い追い打ちを行うためにあらかじめ左のハンマーパーツを解放していたのだ。
うーむ、先の戦局を読めるようになっている。
どれだけの映画を見たことやら。
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「そうやって君はッ!」
「誰かを守るための拳でッ!」
「もっと多くの誰かをッ!!」
「ブッ殺してみせるわけだッ!!!」
ノイズの援護が入るが構わずに撃破していく。
ちゃんと左を温存している。
ノイズの障害があっても確実にネフィリムに本命の一打をぶちかませるだろう。
だが――響はウェル博士の言葉を聞いてしまう。
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ウェル博士の言葉を聞き響は動揺する。
思い出されるのは調の「偽善」という言葉だ。
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その動揺を打ち砕こうと響は左を打つ。
いや、打ってしまう。
![](gimg/05166.jpg)
「え――」
え。
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![](gimg/05170.jpg)
「立花ァアアアアアッ!!」
響ィイイイイ!!
喰われた。喰われてしまった。
まさか響の左腕が喰われてしまった。
![](gimg/05172.jpg)
![](gimg/05174.jpg)
ニュルっと噛み損ねました。
左腕、大丈夫デスよ。
そんなことは一切なく響の左腕は消失していた。
そして、ネフィリムは噛みちぎった左腕を咀嚼している。
生々しい。そして、響の負ったダメージの大きさと衝撃もわかる。
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この残酷を受けた響の悲鳴が月に谺する。
欠けた月は惨劇を睥睨するだけだった。
こうして響は誰かと手を繋ぐ「立花響」のアームドギアを失ってしまった。
実に象徴的である。
この事件で肉体的にも精神的にも誰かと手を繋ぐことができなくなってしまいそうだ。
第1期第5話は響が戦いに目覚めた話であった。
だが、シンフォギアGの第5話は響が戦えなくなる話だった。
あまりにも残酷な対比だ。
あくまで容赦なし。容赦ないのが金子彰史だ。
キャラクターに最大級の救いを与えると一方で最大級の絶望も与えるのが金子彰史なのだ。
可愛いキャラが増えたからと言って日和るなんてことは、一切しない。
第4話までは第1期の続きとしてのシンフォギアだった。
そのためにクリスのエピソードを補完した。
そして、第5話で響に最大級の試練を課した。
シンフォギアGは、立花響16歳の物語はここから始まる。
次回へ続く。
壮絶なラストだった。
――少女の歌には、血が流れている。
少女の歌は、血を流すものでもある。
シンフォギアとはこういう作品なのだと改めて思い知らされた。
金子彰史がこういう人間だとも改めて思い知らされた。
左腕を失うというエピソードはWAファンにとって馴染み深い。
何せWA1の主人公ロディが左腕を失っている。
その後、ロディは絶望に苦しむこととなるが無事自分を想う仲間たちの力添えで蘇る。
だが、WA:Fのサーフ村のイベントでそれでもロディの抱えた傷が癒えていないことが描写されていた。
故に響の左腕が元に戻っても問題は解決しないと言えよう。
でも、言うよ?
言っちゃうよ?
小生、WA:Fのサーフ村のイベントはWAシリーズ屈指の感動イベントだと思うわけだ。
ロディは自分の心とARMを繋ぐだけでなく、自分の心とみんなの心を繋いだ。
だったら、これから先、真に蘇った響は誰かと手を繋ぐだけでなく、誰かと心繋ぐアームドギアを手にするかもしれない。
それこそが真の立花響のアームドギアになるだろうて。
これから先、絶対に劇的な復活を果たして感動させるので待っていてください。
金子信者、嘘付かない。
なお、失ったのが左腕というのがミソだ。
銀の左腕、アガートラームはWAシリーズを象徴するアイテムだ。
もしかするともしかするかもしれない。
ともあれ、今まで以上に目が離せない。
俺たちのシンフォギアGはこれからだ!
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